村田製作所(6981)企業分析レポート

更新日: 2025-10-12/株価: 2,842円(終値)

1. 企業情報

  • 概要
    • 積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界首位。セラミック材料から一貫生産する強みを背景に、受動部品(コンデンサ・インダクタ・EMIフィルタ)、高周波デバイス・通信モジュール、センサ、二次電池(リチウムイオン・ボタン電池)などをグローバルに展開。
    • 主要用途は通信機器、モビリティ(xEV/ADAS)、データセンター・エンタープライズ、産業機器、ウェルネス、パーソナル電子機器等。海外売上比率は約93%(2025.3期)。
  • セグメント構成(2026年3月期1Q決算短信の区分)
    • コンポーネント:コンデンサ、インダクタ、EMI除去フィルタ等(1Q売上構成比約64.8%、営業利益率26.0%)
    • デバイス・モジュール:高周波・通信モジュール、樹脂多層基板、二次電池、センサ等(1Qは営業損失)
    • その他:機器製作、ヘルスケア機器、ソフトウェア(Femtet等)

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション
    • MLCCで世界トップ。高周波デバイスや通信モジュール、各種センサでもグローバルなプレゼンス。
    • 強み:材料開発〜量産までの一貫体制、微細化・高信頼・高耐圧など車載・産業向けの高付加価値製品群、顧客基盤の広さ。
  • 競争優位性と課題
    • 優位性:高い製品信頼性と歩留まり、製品ポートフォリオの広さ、車載・サーバー向け高付加価値化の進展。
    • 課題:スマートフォン向けモジュールの需要変動と価格下落、為替(円高)や原材料価格変動の影響、モジュール事業の収益性改善。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・方向性(短信等の示唆)
    • 収益の柱であるコンポーネント(MLCC等)の高付加価値領域強化(車載、サーバー/AIサーバー、産機)。
    • デバイス・モジュール事業の収益性改善(製品ミックス見直し、コストダウン)。
    • 研究開発の継続投資(2026年3月期1Q R&D費:398億円、前年同期比+5.2%)。
  • 具体的施策(短信の動向より)
    • サーバー向けMLCCの伸長への対応(能力・製品構成最適化)。
    • 車載向け(xEV/ADAS)需要取り込み。
    • 為替・価格下落環境下でのコスト改善、操業度の適正化。
    • 自己株式取得など資本政策の機動的運用(1Qに約373億円実施)。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル
    • 広範な最終市場に分散(通信、モビリティ、データセンター、産機等)。コンポーネントの高い利益率が全体を牽引。
  • 環境変化への適応力
    • 価格下落への対応:高付加価値製品(車載・サーバー)へのシフト、材料・プロセス技術でコスト優位。
    • サイクル耐性:スマホ向け減少局面でもサーバー・車載が補完。為替・原材料などマクロ要因は収益変動要因。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の独自性
    • セラミック材料からの一貫生産、誘電体設計、微細積層・高信頼化、SAW/高周波設計、センサ技術、電源/二次電池技術、CAE(Femtet)等。
  • 収益牽引製品
    • MLCC(特に車載・サーバー向け)、インダクタ/EMIフィルタ等の受動部品。
    • スマホ向け高周波モジュールは需要変動の影響大、収益性改善が課題。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提
    • 株価:2,842円、EPS(会社予想):95.56円、BPS(実績):1,365.80円
    • PER(会社予想):29.74倍、PBR(実績):2.08倍
    • 業界平均:PER 24.2倍、PBR 1.6倍
  • 相対評価
    • PER基準の妥当株価(業界平均適用の単純比較):95.56円 × 24.2倍 ≈ 2,314円
    • 現在株価は同算定値に対し約+23%のプレミアム。
    • PBR基準の妥当株価(業界平均適用):1,365.8円 × 1.6倍 ≈ 2,185円
    • 現在株価は同算定値に対し約+30%のプレミアム。
    • EV/S(概算):EV ≈ 時価総額5.58兆 + 有利子負債0.06兆 − 現金等0.52兆 ≈ 5.12兆円。売上(LTM)1.74兆円 → EV/S ≈ 2.95倍。
  • 配当
    • 予想年間配当:60円、配当利回り:約2.11%(5年平均1.77%を上回る)。予想配当性向:約48.9%。

(注)上記は単純比較に基づく客観的計算であり、投資判断を示唆するものではありません。

7. テクニカル分析

  • トレンド
    • 株価は50日移動平均(約2,539円)、200日移動平均(約2,358円)を上回り、上昇トレンド維持。
    • 直近10日で出来高は3カ月平均(約645万株)に対しやや増加(10日平均約721万株)。
  • 位置づけ
    • 年初来高値2,959円に対し−約4%の水準。高値圏寄り。
  • 価格帯
    • 直近サポート目安:2,700〜2,750円帯(直近安値圏)。
    • レジスタンス目安:2,950〜2,960円(年初来高値付近)。
  • 信用需給
    • 信用倍率:5.08倍。買い残・売り残ともに前週比減少で、過熱感はやや後退。

8. 財務諸表分析

  • 収益・利益の推移(連結)
    • 売上高(億円):2022/18,125 → 2023/16,868 → 2024/16,402 → 2025/17,434 → LTM/17,378
    • 営業利益(億円):2022/4,241 → 2023/2,929 → 2024/2,154 → 2025/2,797 → LTM/2,749
    • 傾向:2024期にボトムを付け、2025期に回復。LTMは横ばい〜微減。
  • 収益性(LTM)
    • 粗利率:約41.5%
    • 営業利益率:約14.8%(参考:計算値では約15.8%)
    • 当期純利益率:約12.5%
    • ROE:8.48%(実績9.10%)、ROA:6.19%
  • キャッシュフロー(LTM)
    • 営業CF:4,334億円、レバードFCF:2,133億円。潤沢なキャッシュ創出。
  • 財政状態(直近四半期)
    • 自己資本比率:85.2%、流動比率:約584%、D/E:約2.4%
    • 現金等:5,196億円、有利子負債:604億円 → 実質ネットキャッシュ基調。
  • セグメント(2026年3月期1Q)
    • コンポーネントが高収益で全体を牽引(営業利益率26.0%)。
    • デバイス・モジュールは赤字で、収益性改善が課題。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 2025年3月期:年間57円、2026年3月期予想:年間60円(中間30円・期末30円)。
    • 予想配当性向:約48.9%。
  • 自社株買い・その他
    • 2026年3月期1Qに自己株式取得を実施(約373億円)。自己株式残高は増加(期末自己株式数:1.186億株)。
    • 株式分割:2023年9月に3分割。
  • 参考:次回配当権利落ち予定日(予想)2026/3/30。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム
    • 50日・200日移動平均上で推移し、年初来高値圏でのもみ合い。短期は上昇の勢いがやや一服。
  • 投資家関心
    • 機関投資家保有比率:約51.6%、β(5年):0.79(市場より低ボラティリティ)。
    • テーマ面:AIサーバー向け需要、車載電装化の進展が関心材料。スマホ向けモジュールの動向、為替(円高)や価格下落が懸念要因。
  • 近接イベント
    • 決算発表予定:2025/10/31
    • 権利落ち予定:2026/3/30

11. 総評

  • 収益の柱であるコンポーネント(特にMLCC)が高収益を維持し、サーバー・車載向けの伸長が業績の下支えに。モジュール事業の収益性がボトルネックで、製品ミックスとコストの改善が鍵。
  • 財務基盤は極めて強固(高自己資本比率・ネットキャッシュ・高流動比率)。安定的なキャッシュ創出力があり、配当と自己株買いを両立。
  • 株価は業界平均比でPER・PBRともにプレミアム水準。高付加価値領域へのシフトや財務健全性を織り込む一方、スマホ向けの調整や為替・価格下落の影響が同時に意識される局面。
  • テクニカルには高値圏での推移。出来高はやや増加で関心は継続。短期は2,950円近辺の上値抵抗と2,700円台のサポート帯に注目。

(本レポートは提供データに基づく客観的整理であり、投資助言を目的とするものではありません。)

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:C
    • 根拠:LTM売上YoY微減(-0.3%程度)、3年CAGRも小幅マイナス。2025期は回復も、LTMでは横ばい〜微減。
  • 収益性:A
    • 根拠:粗利率約41.5%、営業利益率約14.8%、EBITDA率約27%と高水準(業界水準上回る傾向)。コンポーネントが高収益。
  • 財務健全性:S
    • 根拠:自己資本比率85%台、流動比率約584%、D/E約2.4%、ネットキャッシュ。非常に健全。
  • 株価バリュエーション:C
    • 根拠:PER29.7倍、PBR2.08倍はいずれも業界平均(PER24.2倍、PBR1.6倍)よりプレミアム。EV/Sも約2.95倍。

参考データ抜粋
– 株価レンジ(52週):1,825.5〜2,959円
– 直近業績(2026年3月期1Q):売上4,161億円(YoY -1.3%)、営業利益616億円(同 -7.2%)、親会社帰属利益497億円(同 -25.1%)
– セグメント損益(1Q):コンポーネント営業利益率26.0%、デバイス・モジュールは赤字
– 営業CF(LTM):4,334億円、レバードFCF(LTM):2,133億円


企業情報

銘柄コード 6981
企業名 村田製作所
URL https://corporate.murata.com/ja-jp
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By シャーロット

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。