カシオ計算機(6952)企業分析レポート
株価:1,224円(2025-10-10終値)
市場:東証プライム/電気機器(電機・精密)
時価総額:約2,909.7億円
1. 企業情報
- 概要:1946年創業の総合エレクトロニクスメーカー。主力は腕時計(G-SHOCK等)、計算機・電子辞書・ラベルプリンタ・電子楽器などのコンシューマ製品。法人向けではハンディターミナル、POS/レジ等を展開。コンデジからは撤退済み。
- セグメント構成(2025.3期実績ベース)
- 時計:売上比率64%、セグメント利益率約12%
- コンシューマ:31%、同3%
- その他(旧システム含む):約5%(再編影響、赤字セグメント含む)
- 海外売上比率:79%(為替影響が業績に与える影響は大きい)
- 最近の構造対応:2026年3月期より「システム」を「その他」に統合。カシオヒューマンシステムズ株式譲渡により連結範囲見直し。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 時計:G-SHOCKを中心にグローバルで強いブランド力。ミドル〜プレミアム価格帯で競争力。国内はセイコー、シチズン、海外はファッション/スポーツブランド、スマートウォッチ(Apple等)と競合。
- コンシューマ(計算機・電子辞書等):国内外で高シェア。計算機は教育需要等で底堅い一方、電子辞書はスマホ代替の構造的逆風が課題。
- 法人向け:PDA/レジ/端末など選択と集中を進行。収益性改善がテーマ。
- 競争優位性:ブランド・耐衝撃技術・ソーラー/電波/Bluetoothなどの機能融合、グローバル販路。課題は円高や新興国通貨安、スマートウォッチとの機能競合、欧州楽器市況など。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方針(短信等の要旨)
- 高付加価値領域(プレミアムG-SHOCK等)へのシフトと商品ミックス改善
- 事業資産の効率運用・財務体質の強化(自己資本比率向上)
- 非中核の見直し(システム事業の整理・再編)
- 地域戦略:米国、インド、ASEANでの拡販を継続
- 業績予想(2026年3月期、2025/5/13公表・8/1修正)
- 売上高2,700億円(前期比+3.1%)
- 営業利益210億円(+47.5%)
- 当期純利益150億円(+86.0%)、EPS予想65.76円
- 前提為替:USD/JPY=145、EUR/JPY=160
- 重点施策(示唆)
- D2C/EC強化、限定/コラボ等のブランド活性化
- 調達・在庫の適正化、コストマネジメント
- 楽器・法人領域は採算性重視
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源は新製品投入とブランドによる単価/数量確保(特に時計が利益の柱)。アフターやアクセサリもあるが、基本は非サブスク型。
- 需要変化への適応:耐衝撃・デザイン・スマホ連携等で差別化。スマートウォッチ台頭と景気循環の影響は留意点。
- 海外比率が高く為替感応度は大。円高局面は売上・利益に重しとなりやすい一方、財務基盤は厚く耐性は相対的に高い。
5. 技術革新と主力製品
- 技術:耐衝撃構造(G-SHOCK)、カーボンコアガード、タフソーラー、マルチバンド電波受信、Bluetooth連携などの独自技術群。計算機はClassWiz等、電子楽器はAiX音源等を展開。
- 主力製品・収益ドライバー:
- G-SHOCK(MR-G/MT-G/メタルシリーズ等の高付加価値モデル)
- 計算機(教育・業務需要)、電子辞書(国内中心、構造課題あり)
- 電子楽器(Privia/Casiotoneなど、欧州市況は厳しめ)
- 2026年3月期1Qセグ利益:時計424.6億円、コンシューマ117.3億円、その他-52.9億円(単位:百万円換算)
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:1,224円
- 予想EPS:65.78円 → 予想PER:約18.6倍(業界平均PER 24.2倍を下回る)
- BPS:951.79円 → 実績PBR:約1.29倍(業界平均PBR 1.6倍を下回る)
- EV/Sales(LTM試算):EV ≒ 時価総額2,909.7億 + 有利子負債423.5億 − 現金1,379.8億 ≒ 1,953億円、売上2,618億円 → 約0.75倍
- EV/EBITDA(LTM):約8.5倍(正規化EBITDA基準では約7.7倍)
- コメント:同業平均と比べPER/PBRともに低位。ROE(3.58%)の低さや成長鈍化がバリュエーションの抑制要因。
7. テクニカル分析
- トレンド位置付け:
- 50日移動平均:1,218.96円、200日:1,183.92円 → 現在値は両線上で小幅上方
- 年初来レンジ:1,028〜1,310円の中位帯(高値比約-7%、安値比約+19%)
- 直近10営業日:1,190〜1,245円のボックス推移で方向感は限定的。出来高は3カ月平均(約89万株)に対しやや低下。
- 信用動向:信用倍率1.36倍、買残は前週比減少で過熱感は限定的。
8. 財務諸表分析
- 売上推移:2022/3 2,523億円 → 2023/3 2,638億円 → 2024/3 2,688億円 → LTM 2,618億円(横ばい〜微減)
- 収益性:
- 粗利率:42〜43%(LTM)
- 営業利益:LTM 142億円(22/3 220億円 → 24/3 142億円前後)で低下傾向
- 営業利益率:5〜6%
- 純利益率:2〜3%(「各種指標」LTM 2.17%)
- 効率性:
- 総資産3236億円、売上回転は年率換算で約0.8倍程度(概算)
- 財務健全性:
- 自己資本比率:66.0%(2025/3末)、1Q時点67.1%
- D/E:約19.5%、流動比率:約4.25倍
- 現金同等物:1,379.8億円、有利子負債:423.5億円 → ネットキャッシュ約956億円(1株当たり約419円)
- キャッシュフロー:EBITDA LTM 約228.7億円(正規化ベース約253.1億円)
9. 株主還元と配当方針
- 実績配当:年間45円(2025/3期、利回り約3.7%)
- 会社予想(2026/3期):未定(短信記載)
- 参考データ:市場データ上のフォワード配当45円・利回り約3.68%(会社計画では未定)
- 配当性向:トレーリングで約128%(LTM EPS低下の影響)。通期EPS予想65.76円前提で維持の場合は約68%(概算)。
- 自己株式:発行済の約4.07%を保有(過去の自社株買いの蓄積とみられる)。新規の自己株買い計画は開示情報上は不明。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:+3.2%(参考:S&P500 +11.8%)。日本株全体との相対比較は割愛。
- 出来高:直近10日平均は3カ月平均を下回り、短期の関心は落ち着き。
- 価格行動:移動平均線上を維持しつつもレンジ内推移。外部要因(為替・関税・新興国通貨)ニュースで振れやすい地合い。
11. 総評
- 事業面:時計が利益を牽引し、ブランド力と技術で一定の優位性。コンシューマは堅調領域(計算機)と構造的逆風(電子辞書)が混在。その他(楽器等)は地域市況の影響が残る。
- 収益・財務:売上は横ばい圏、営業・純利益は圧縮傾向。もっとも財務はネットキャッシュ・高自己資本比率で強固。
- 戦略:高付加価値シフト、資産効率重視、非中核の再編で収益体質の改善を狙う方針。ガイダンスは増益計画だが、為替や需要動向の前提依存度が高い。
- バリュエーション:PER・PBRともに業界平均を下回り、EV/売上・EV/EBITDAも低位。ROEの改善が評価の鍵になりやすい。
- 留意点:為替(円高/新興国通貨安)、関税政策、スマートウォッチ競合、欧州楽器市況など外部要因の影響。
(本レポートは情報提供を目的としたもので、投資助言を行うものではありません。)
12. 企業スコア
- 成長性:C
- 根拠:LTM売上は前年比微減(-2〜5%程度)、3年CAGRも低位。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率は良好だが、営業利益率は5〜6%と中位。業界平均比で中立評価。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率66%超、流動比率4.25倍、D/E 19.5%、ネットキャッシュ大。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER・PBRが業界平均を下回り、EV/S・EV/EBITDAも低位。赤字でないためPERも参照。
参考データ抜粋
- 2026年3月期1Q(前年比):売上 -4.6%、営業益 -17.6%、純益 -39.8%
- 直近指標:予想PER 18.61倍、PBR 1.29倍、ROE 3.58%、自己資本比率 66.0%、配当利回り(実績)約3.6%
- 今後イベント:2025-11-27 決算発表予定、2025-03-28 権利落ち(実績)
企業情報
銘柄コード | 6952 |
企業名 | カシオ計算機 |
URL | http://casio.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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