カヤバ(7242)企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場するカヤバ(7242)の企業分析レポートを個人投資家向けに作成しました。
1. 企業情報
カヤバ(KYB Corporation)は、油圧技術を核とする総合メーカーです。主に自動車部品、産業用油圧機器、航空機器の3つの主要事業を展開しています。特に、四輪車用衝撃緩衝器では世界有数のシェアを持ち、建設機械用油圧シリンダーでは業界首位の地位を占めています。事業セグメントは「オートモーティブコンポーネンツ(AC)」「ハイドロリックコンポーネンツ(HC)」「航空機器」「その他」に分かれており、オートモーティブコンポーネンツが連結売上高の約70%を占めています。海外売上比率は約63%(2025年3月期)とグローバルに事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
カヤバは、四輪用衝撃緩衝器で世界3位、建機油圧シリンダーで首位というグローバルな市場ポジションを確立しています。これは、長年にわたる油圧技術の開発と多様な製品群によって培われた競争優位性であると考えられます。特に建設機械向けにおいては、主要な顧客基盤を築いていると推測されます。一方、自動車業界の電動化や自動運転化の進展といった変化への対応は、今後の技術開発における課題となる可能性があります。また、過去に発生した免震・制振用オイルダンパーの検査不正問題への対応と、それに伴う信用回復は、引き続き事業運営上の重要な課題として挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報からは、中期経営計画の具体的な施策や数値目標といった詳細な情報は確認できませんでした。しかしながら、事業セグメントの状況からは、主力のオートモーティブコンポーネンツ事業における四輪車用油圧緩衝器のOEM販売増、二輪車市場での地域特性への対応、ハイドロリックコンポーネンツ事業における建設機械市場の地域ごとの動向(欧米の弱含みに対する中国の回復傾向)などが報告されています。また、航空機器事業は高い成長率を示しています。知多鋼業株式会社の完全子会社化(2025年4月1日付)を実施し、企業再編を通じた事業強化も図られています。
4. 事業モデルの持続可能性
カヤバの事業モデルは、油圧技術という基盤技術を軸に、自動車、建設機械、航空機、特装車両、舞台機構など多岐にわたる用途・業界に展開されており、特定の市場の変動リスクを分散する効果があると考えられます。オートモーティブコンポーネンツ事業では、電子制御サスペンションシステムやステアバイワイヤ関連製品など、次世代の自動車技術に対応する製品も手掛けており、市場ニーズの変化への適応を図っています。グローバルな生産・販売体制も事業の持続可能性を支える要素です。一方で、免震・制振用オイルダンパーにかかる製品保証引当金の計上など、過去の不適切行為への対応は、ブランドイメージや財務体質への影響を継続的に監視する必要があると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
カヤバは油圧機器の総合メーカーとして、油圧技術を核に幅広い製品を開発しています。自動車分野では、衝撃緩衝器に加え、ステアバイワイヤシステムやEPSアクチュエーターなどの先進的な製品も手掛けています。二輪車向けには電子制御サスペンションシステムを開発しています。建設機械分野では油圧シリンダーが主力であり、航空機器分野では離着陸装置や操舵・制御装置などを提供しています。現在の収益を牽引しているのは、連結売上高の約7割を占めるオートモーティブコンポーネンツ事業であり、特に四輪車用油圧緩衝器および関連油圧機器が中心製品であると考えられます。
6. 株価の評価
現在の株価3,825.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想):10.11倍
* EPS(会社予想):378.24円
* PBR(実績):0.81倍
* BPS(実績):4,714.35円
業界平均と比較すると、PER(会社予想10.11倍)は業界平均PERの13.3倍を下回っており、PBR(実績0.81倍)は業界平均PBRの0.8倍とほぼ同水準です。PERの観点からは、業界平均と比較して割安感がある可能性がある水準です。
7. テクニカル分析
現在の株価3,825.0円は、過去52週間の高値4,270.0円と安値2,500.0円のレンジにおいて、高値圏に近い位置にあります。直近10日間の株価推移を見ると、3,805.0円から4,050.0円の範囲で推移しており、やや下降傾向が見られます。しかし、50日移動平均線(3,808.60円)と200日移動平均線(3,171.58円)をともに上回っており、特に200日移動平均線からの乖離は大きく、中長期的に上昇トレンドにあることが示唆されます。現在の株価は50日移動平均線付近で推移しており、直近で調整局面にあるものと見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間の総売上高は、2022年3月期から2024年3月期にかけて3,883億円から4,427億円へと増加傾向にありましたが、直近12か月では4,383億円と僅かに減少しています。しかし、2026年3月期第1四半期の売上高は前年同期比4.8%増の1,139億円と堅調な伸びを示しています。
- 利益: 営業利益は2023年3月期に314億円とピークを迎えましたが、2024年3月期には208億円へと減少しました。直近12か月では203億円となっています。ただし、2026年3月期第1四半期は、知多鋼業株式会社の完全子会社化に伴う「負ののれん発生益」によって、営業利益が前年同期比119.2%増の133億円、親会社所有者に帰属する四半期利益も同210.6%増の121億円と大幅な増益となりました。この「負ののれん発生益」は一過性の要因であるため、実質的な収益力評価には留意が必要です。
- ROE、ROA: 過去12か月のROEは10.58%、ROAは3.65%です。2024年3月期の実績ROEは6.73%でしたが、直近12か月で改善しています。
- キャッシュフロー: 過去12か月間の営業活動によるキャッシュフローは458億円のプラスとなっています。2026年3月期第1四半期では、営業活動によるキャッシュフローはプラス88億円、投資活動によるキャッシュフローは子会社取得による現金受入の影響でプラス31億円、財務活動によるキャッシュフローは自己株式取得や配当支払によりマイナス65億円でした。
- 自己資本比率: 48.7%(実績)、直近四半期で48.2%と、健全な水準を維持しています。
- 流動比率: 直近四半期で1.48と、1.0を上回っており、短期的な支払い能力に問題はないと考えられます。
- 総負債/自己資本比率 (D/E ratio): 直近四半期で43.58%と、100%を下回っており、財務レバレッジは適切であると考えられます。
9. 株主還元と配当方針
カヤバは株主還元に積極的であると考えられます。会社予想による1株配当は120.00円で、配当利回りは3.14%です。配当性向は37.36%と、企業の利益水準と比較して持続可能な水準にあると見られます。また、決算短信に記載の通り、自己株式の取得(自社株買い)も実施しており、財務活動によるキャッシュフローがマイナス要因となっていますが、これは株主への還元策の一環です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は過去52週で57.89%の上昇を示しており、S&P500の同時期間の上昇率11.82%を大きく上回っています。直近では高値圏で推移しつつも、過去10日間はやや調整局面に入っています。
信用取引残高を見ると、信用買残が97,400株に対して信用売残は21,400株であり、信用倍率は4.55倍と買い残が優勢です。ただし、前週比で買い残・売り残ともに減少しています。
投資家関心には、自動車や建設機械といった主力事業のグローバル経済動向や、免震・制振用オイルダンパーの過去の検査不正問題への継続的な対応、そして今期第1四半期に見られた「負ののれん発生益」といった一過性の要因がどのように業績に影響を与えるかなどが影響を与える可能性があります。
11. 総評
カヤバは、油圧機器のリーディングカンパニーとして、自動車、建設機械、航空機などの幅広い分野で高い技術力とグローバルな市場シェアを保持しています。多角的な事業展開はリスク分散に寄与し、財務健全性も良好です。株主還元にも積極的であると見られます。直近の業績は、一過性の要因による大幅な増益が見られましたが、実質的な収益トレンドの判断には慎重な見極めが必要です。株価は年初来高値圏で推移しており、PERは業界平均を下回っています。景気変動リスクや過去の不正問題への対応は引き続き注視すべき点です。
12. 企業スコア
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成長性:B
過去数年間の売上高は概ね横ばいから微増傾向にあります。直近四半期では前年同期比4.8%の売上成長が見られますが、過去12ヶ月の売上高は前期比で微減です。
* 収益性:B過去数年間の営業利益率は4.7%〜7.3%の範囲で推移しており、業界平均と比較した場合、同水準またはやや下回る可能性があります。直近四半期は一過性要因で営業利益率が上昇しましたが、本質的な収益力の持続性については、一過性要因を除外して評価する必要があります。
* 財務健全性:S自己資本比率は48.2%、流動比率は1.48、D/Eレシオは43.58%と、いずれの指標も非常に健全な水準にあります。
* 株価バリュエーション:A会社予想PER(10.11倍)は業界平均PER(13.3倍)を下回っており、割安感がある可能性があります。PBR(0.81倍)は業界平均PBR(0.8倍)とほぼ同水準です。
企業情報
銘柄コード | 7242 |
企業名 | カヤバ |
URL | https://www.kyb.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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