以下、芝浦機械(証券コード:6104)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

芝浦機械は、主に射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機などの成形機を中心に、大型工作機械や産業用ロボットなどを製造・販売する機械メーカーです。かつて東芝グループの一員でしたが、自己株式取得によりグループから離脱し、独立した経営体制を確立しています。連結売上高の81%を成形機事業が占め、工作機械(13%)、制御機械(5%)が続きます。売上高の77%を海外が占めるグローバル企業です。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社の主要事業である成形機は、自動車、電機、医療、パッケージングなど幅広い産業で利用されています。特にリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置は、主要顧客2社(SINOMA LITHIUM BATTERY SEPARATOR (PINGXIANG) CO., LTDおよびHEFEI GELLEC NEW ENERGY CO., LTD)からの売上が全体の10%以上を占めるなど、特定の分野と顧客への依存度が高い構造が見られます。EV(電気自動車)市場の動向が成形機事業の需要に大きな影響を与える状況です。一方で、ギガキャスト対応の超大型ダイカストマシンへの参入や、超精密加工機の展開により、技術力を活かした高付加価値分野での優位性確立を目指しています。

3. 経営戦略と重点分野

芝浦機械は中期経営計画「中計2026」(2025年3月期~2027年3月期)を掲げ、以下の戦略と重点分野に取り組んでいます。
* ビジョン・戦略: 事業ポートフォリオの組み替え、システムエンジニアリング装置販売・直販へのシフト、人材戦略強化、ESG経営の推進。
* 具体的な施策:
* 脱炭素、EV、再生可能エネルギー、労働生産性向上に対応した商品開発とDX(デジタルトランスフォーメーション)推進。
* 生産体制の強化として、インド工場の増設・生産開始、中国でのOEM移行。
* 市場開拓として、北米での超精密加工機拡販、ギガキャスト対応の超大型ダイカストマシンへの参入。
* 次世代電池分野への出資(AM Batteries Inc.)など、新たな成長機会の捕捉。
* 財務目標(2027年3月期): 売上高2,000億円、営業利益率10.0%、ROE9.5%以上。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の収益モデルは、幅広い産業の設備投資需要に支えられる成形機事業が中心です。市場ニーズの変化への適応として、EV、脱炭素、再生可能エネルギーといったマクロトレンドに対応した製品開発や投資を積極的に進めています。特に次世代電池分野への展開は、将来の成長機会を捉えようとする姿勢がうかがえます。しかし、特定の主要顧客への依存度が高いことや、EV市場の変動、中国景気といった外部環境要因が業績に影響を及ぼすリスクも存在します。成形機セグメントの受注残高が前期比で大きく減少している点は、今後の動向を注視する必要があると考えられます。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向: 省エネ・高機能化を目指した成形機の開発に加え、EV車体の一体成形に貢献するギガキャスト対応の超大型ダイカストマシンへの参入、次世代電池技術であるドライ電極分野への出資など、新たな技術領域にも取り組んでいます。また、高精度を要求される分野向けの超精密加工機も手掛けています。
  • 収益を牽引している製品・サービス: 現状の売上と収益を牽引しているのは、依然として成形機事業が中心であり、特にリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置が主要な収益源の一つとなっています。

6. 株価の評価

現在の株価4,200.0円は、会社予想EPS(139.65円)に基づく予想PERが30.08倍です。これは業界平均PERの16.6倍と比較して割高な水準にあります。この予想PERは、2026年3月期の業績が大幅な減益を見込んでいることを反映している可能性があります。一方で、実績BPS(4,901.31円)に基づく実績PBRは0.86倍と、業界平均PBRの1.4倍を下回っており、純資産価値に対しては割安感がある水準です。

7. テクニカル分析

現在の株価4,200.0円は、年初来高値4,475円の近くに位置しており、年初来安値2,944円からは大きく上昇しています。50日移動平均線(4,142.90円)および200日移動平均線(3,656.88円)を上回っていることから、短期・中長期ともに上昇トレンドにあると見られます。直近10日間の株価推移では、4,170円から4,310円の範囲で推移し、本日は前日終値からは下落しています。全体的には高値圏で推移していると言えますが、直近では小幅な調整も見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 過去数年間は成長傾向にあり、2022年3月期の1,077億円から2025年3月期には1,681億円まで増加しました。ただし、2026年3月期は1,400億円と大幅な減収を予想しています。
  • 利益:
    • 営業利益は2025年3月期に140億円と前期から増加しました。
    • 親会社株主に帰属する当期純利益は、2025年3月期に125億円となりましたが、前期の179億円からは減少しました。これは前期に計上された固定資産売却益などの一時益の反動によるものです。2026年3月期の純利益予想は33億円と大幅な減益を見込んでいます。
  • キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で安定した資金を創出しています。投資活動によるキャッシュフローは、資産売却収入により2025年3月期はプラスに転じました。期末現金及び現金同等物は543億円と潤沢です。
  • 収益性: ROE(実績)は11.01%(過去12か月では9.22%)と、中期経営計画の目標(9.5%以上)に到達しています。営業利益率は8.4%を維持しており、一定の収益性を確保しています。
  • 財務健全性: 自己資本比率58.7%、流動比率2.22、Total Debt/Equity比率8.75%と、非常に高い水準にあり、財務基盤は強固です。有利子負債を大きく上回る現金を保有するネットキャッシュの状態です。

9. 株主還元と配当方針

同社は、1株当たり年間配当金として会社予想で140.00円(中間70円、期末70円)を提示しており、予想配当利回りは3.33%です。2025年3月期の実績配当性向は26.4%でした。2026年3月期も年間140円配当を維持する見込みですが、その場合の予想配当性向は100.3%と高水準になることが短信に記載されており、利益水準にかかわらず安定配当を重視する姿勢が見られます。また、総還元性向を意識し、2025年3月期に20億円の自己株式取得を行うなど、機動的な株主還元策も実施しています。

10. 株価モメンタムと投資家関心

株価は年初来安値から堅調に上昇しており、主要な移動平均線を上回るトレンドが継続しています。信用取引の状況を見ると、信用買残(57,300株)と信用売残(58,100株)が拮抗し、信用倍率は0.99倍と均衡状態にあります。機関投資家の保有割合が54.64%と高く、プロの投資家からも一定の注目を集めていると考えられます。ただし、次期の業績予想が大幅な減益を見込んでいる点や、EV市場の動向、中国経済の不透明感などは株価に影響を与える要因となり得ます。

11. 総評

芝浦機械は、堅実な事業基盤と財務健全性を有する機械メーカーです。成形機事業の成長と多様な産業への貢献を目指し、EVや次世代電池といった成長分野への戦略的投資を進めています。2025年3月期は増収増益(営業利益ベース)となったものの、一時益の反動で当期純利益は減少しました。さらに、2026年3月期には大幅な減益を予想しており、外部環境の厳しい見通しを示しています。財務体質は非常に強固であり、安定した株主還元も実施されています。株価はPBRでは割安感がある一方、来期予想PERでは業界平均に対し割高な水準にあり、今後の業績回復や成長戦略の進捗が株価動向に影響を与えると考えられます。

12. 企業スコア

  • 成長性: A
    • LTM売上成長率(YoY): +4.7%
    • 3年CAGR(売上高): +15.96%
    • 過去数期にわたり売上高は着実に伸びており、高い成長トレンドを示しています。
  • 収益性: A
    • 粗利率(過去12か月): 31.84%
    • 営業利益率(過去12か月): 8.38%
    • ROE(実績): 11.01%
    • 高いROEを達成し、安定した営業利益率を維持しており、収益性は良好です。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率: 58.7%
    • 流動比率: 2.22
    • Total Debt/Equity: 8.75%
    • 潤沢な現金と低い負債比率を背景に、極めて健全な財務体質です。
  • 株価バリュエーション: C
    • PER(会社予想): 30.08倍 (業界平均 16.6倍)
    • PBR(実績): 0.86倍 (業界平均 1.4倍)
    • 来期大幅減益予想に基づくPERは業界平均を大きく上回っており、割高な水準と評価されます。

企業情報

銘柄コード 6104
企業名 芝浦機械
URL https://www.shibaura-machine.co.jp/jp/index.html
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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