カヤバ(7242)企業分析レポート
株価:3,825円(2025-10-10終値)
市場:東証プライム|業種:自動車・輸送機(輸送用機器)
1. 企業情報
- 概要:油圧機器の総合メーカー。四輪ショックアブソーバで世界上位(概ね世界3位)、建設機械向け油圧シリンダで世界首位クラス。自動車・二輪向けサスペンションやEPS(電動パワステ)関連、建機・産機向け油圧機器、航空機用油圧装置、特装車、舞台機構、免・制振装置など幅広く展開。1919年創業、2015年に社名をKYB Corporationへ変更。
- 事業構成(参考):オートモーティブコンポーネンツ(AC)約70%(セグメント利益率目安6%)、ハイドロリックコンポーネンツ(HC)約27%(同1%)、航空機器約1%(同△11%)、その他約2%(同12%)。海外売上比率63%(2025.3期)。
- 最近の動き:2025/4/1付で知多鋼業などを完全子会社化(連結範囲変更)。第1四半期に負ののれん発生益を計上。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:
- 自動車用ショックアブソーバ:世界上位(大手はKYB、ZF(SACHS)、Tenneco(Monroe/DRiV)など)。
- 建機用油圧シリンダ:世界首位クラス。
- 競争優位性:
- グローバルOEMネットワークと量産対応力、油圧・制御の基盤技術、製品ラインナップの広さ(四輪・二輪・産機・航空)。
- 垂直統合・内製化強化(知多鋼業の取り込み等)による調達安定・コスト構造の改善余地。
- 課題:
- 自動車・建機ともに景気敏感で、原材料価格や為替の影響が大きい。
- 過去の免震・制振オイルダンパー検査不適切の対応継続によるコスト・信用面の影響。
- 欧米の建機需要の弱さと中国の需給変動。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方向性(公開情報・短信の示唆ベース):
- AC事業の収益基盤強化(四輪ショックのOEM拡大、二輪ECS・電子制御化)。
- HC事業の構造是正とシステム/高付加価値品の比率向上、需要地域の分散。
- 航空機器の回復局面取り込み。
- サプライチェーン安定化・原価低減(子会社統合、内製化・調達最適化)。
- 具体トピック:
- 知多鋼業の完全子会社化(負ののれん6,148百万円計上)。素材面の垂直統合でコスト・安定調達の効果を狙う。
- 自己株式の取得実施(第1四半期に約35億円支出)。
- 免震・制振ダンパー問題対応の引当(第1四半期残高約18億円)。
- 通期見通し(2026年3月期、会社計画):
- 売上高 4,400億円(+0.4%)、営業利益 225億円(△0.8%)、親会社帰属利益 175億円(+17.5%)。現時点で予想据え置き。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:
- OEM向けが中心(数量×モデルミックス×原価改善が利益ドライバー)。アフターマーケット(補修用ショック)も保有し、景気変動の緩衝材に。
- 構造的耐性:
- サスペンションはEV/ICEを問わず必要で、電動化の中でも需要は継続。EPS/ステアバイワイヤ、電子制御ダンパーなど制御系の付加価値余地。
- リスク適応:
- 地域・顧客分散と原価対策(内製化、調達最適化)でコスト変動に対応。品質・コンプライアンスの継続対応が重要。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:
- 電子制御サスペンション(ECS)、ステアバイワイヤ(ECU/反力モータ/デュアルピニオン/EPSアクチュエータ)などx-by-wire領域の強化。
- 建機油圧での高効率化、アクチュエータ・バルブの精密制御、免・制振技術、舞台機構などニッチ高付加価値。
- 収益牽引:
- 四輪ショック(OEM)が売上・利益の中心。二輪の高機能化、航空機器の回復寄与、HCは地域差ながら底打ち模索。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標(現株価3,825円ベース):
- PER(会社予想):10.11倍(業界平均13.3倍)。相対的に低位。
- PBR(実績):0.81倍(業界平均0.8倍)。概ね同水準。
- EV/Sales(TTM概算):約0.54倍[EV=時価総額1,930億+有利子負債1,027億−現金569億=約2,389億円、売上TTM約4,435億円]
- EV/EBITDA(TTM概算):約5.1倍(EBITDA約466.9億円)。
- 配当利回り(予想):3.14%(5年平均2.97%)。
- 参考計算(単純比較):
- 予想EPS 378.24円 × 業界平均PER 13.3倍 ≒ 5,030円(相対比較の参考値、目標値ではない)。
注:第1四半期に負ののれん等の一過性益があり、TTMの利益水準は一時的に上振れの影響を含む可能性。
7. テクニカル分析
- 52週レンジ:2,345〜4,270円(年初来安値は2,500円)。現値は高値から約10%下、52週範囲の上方ゾーン。
- 移動平均:50日線3,808円、200日線3,172円。株価は50日線・200日線の上に位置。
- 直近10日:3,900円台でのもみ合いから3,825円へ小反落。出来高は10日平均12.7万株程度で平常域。
- 信用動向:信用倍率4.55倍。買残・売残ともに減少(買残前週比▲8千株、売残▲1.1千株)で短期の過熱感は緩和。
総じて、上昇トレンドを維持しつつ高値圏手前での持ち合い局面。
8. 財務諸表分析
- 売上推移(連結、百万円)
- 2022/3: 388,360 → 2023/3: 431,205(+11.0%)
- 2024/3: 442,781(+2.7%)
- 直近12か月(TTM):約443,520(企業財務指標)/438,316(別表)
- 3年CAGR:約+4〜5%
- 利益・収益性
- 営業利益(2023/3→2024/3):31,403 → 20,879百万円(低下)。TTMの営業利益率は資料により差異(短信の一過性益影響)。企業財務指標ベースのTTM営業利益率:約11%(一過性益含む可能性)。
- 粗利率(参考):約19%(TTM:粗利8,445億円/売上4.435兆円換算ではデータ差あり。損益計算書ベースでは約18.9%)。
- EBITDA TTM:約466.9億円、EBITDAマージン約10.5%。
- ROE/ROA
- ROE(実績):6.73%(BPS実績4,714円、PBR0.81倍)。
- ROE(TTM):10.58%(一過性益寄与の可能性)。
- ROA(TTM):3.65%。
- キャッシュフロー/財政状態
- 営業CF(TTM):458.5億円、レバードFCF:111.7億円(プラス)。
- 自己資本比率:48.7%、流動比率:1.48倍、D/E:43.6%(6/30/2025)。
- 現金同等物:532億円、有利子負債:1,027億円。
- セグメントの足元(2026/3期1Q)
- AC:売上+9.2%、利益寄与大。HC:売上△3.0%(欧米弱含み、中国回復傾向)。航空機:大幅増収。その他:減収。
- 留意点
- 2026/3期1Qは負ののれん計上で利益が押し上げ。構造的収益力の評価では一過性を除いてみる必要。
9. 株主還元と配当方針
- 配当(会社予想):年間120円(中間60円・期末60円)、予想利回り約3.14%。
- 配当性向:データ提供のPayout Ratio 37.36%(予想EPSベースの単純計算では約32%=120/378.24)。
- 自己株式:第1四半期に自己株式取得(財務CF▲65億円の一部)。短信ベースの期末自己株式数4,909,286株(発行済の約9.7%相当)。株主持分の資本効率改善に資する施策を継続。
- 株主構成:国内機関(信託銀行等)、事業会社(トヨタ5.82%、日立建機3.53%)や自己株式保有が一定割合。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週で+57.9%。中長期は上向き、足元は高値圏手前での持ち合い。
- 需給:3カ月平均出来高15.5万株、10日平均12.7万株。信用買い優位だが残高は縮小傾向。
- 価格ドライバー(想定):
- 2025/11/12予定の決算(2Q)と通期見通しの見直し有無。
- 原材料コスト/為替(USD/EUR/CNY)の動向。
- 建機需要(欧米vs中国)と自動車生産動向、電子制御製品の伸長。
- M&A/統合効果の具体化、品質関連対応の進捗。
- 配当・自己株買いの追加実施有無。
11. 総評
- 事業基盤:AC中心の安定基盤に加え、電動化・電子制御領域(EPS/ステアバイワイヤ、ECS)での拡張余地。HCは地域差が大きいが回復兆もあり、航空機器は回復トレンド。
- 収益性:一過性益(負ののれん)を含む四半期の上振れがあり、基礎的収益力の見極めが重要。中期的には内製化・原価改善と製品ミックスでの改善余地。
- 財務:自己資本比率約49%、D/E約44%と比較的健全。営業CF・FCFともにプラス。
- バリュエーション:予想PER約10倍、PBR約0.8倍、EV/EBITDA約5倍と、相対的には落ち着いた水準。配当利回りは自社平均レンジ上限寄り。
- 株価位置:52週レンジ上方で推移、50・200日線上。次の決算・見通しと建機/自動車の需給、為替が短期の焦点。
本レポートは事実情報の整理であり、投資判断・助言を目的とするものではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:3年CAGR約+4〜5%、直近1Q売上+4.8%(YoY)。大幅ではないが安定成長。
- 収益性:B
- 根拠:TTM営業・EBITDAマージンは改善も一過性益の寄与。セグメント利益率はAC中心で中位レベル。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約49%、流動比率1.48倍、D/E約44%。キャッシュ創出も安定。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER(予想)10.1倍は業界平均13.3倍を下回り、PBR0.81倍は業界平均並み。EV/EBITDA約5倍、EV/S約0.54倍と落ち着いた水準。
参考データ(抜粋)
– 年初来高値/安値:4,270円 / 2,500円(52週安値2,345円)
– 予想EPS:378.24円、予想PER:10.11倍
– 実績BPS:4,714.35円、PBR:0.81倍
– 自己資本比率:48.7%、ROE(実績):6.73%、ROE(TTM):10.58%
– 次回決算予定:2025年11月12日(予定)
– 予想配当:年120円(中間60円・期末60円)、予想利回り3.14%、権利落ち予定:2026/3/30
企業情報
銘柄コード | 7242 |
企業名 | カヤバ |
URL | https://www.kyb.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。