大日精化工業(4116)企業分析レポート
株価:3,850円(2025-10-10終値基準)
市場:東証プライム/業種:化学(スペシャリティケミカル)
1. 企業情報
- 概要:1931年創業の顔料メーカーを起点に、インキ、樹脂コンパウンド、機能性材料、コーティング剤へ事業を拡大。合成樹脂着色剤(マスターバッチ等)で国内首位クラス、顔料外販も上位。包装・パッケージ、情報電子(LCD等)、自動車、建材向けに展開。
- 主な製品・材料群:
- 顔料・分散体(有機・無機・プレパード、LCD向けほか)
- 合成樹脂着色剤・コンパウンド(PVC、フッ素系、高機能樹脂など)
- UV/EB硬化型コーティング剤、機能性コーティング
- ポリウレタン樹脂、イミド系樹脂、接着剤
- グラビア・フレキソ・オフセットインキ、機能性インキ
- キトサンおよび誘導体(天然由来高分子)
- 事業構成(連結、売上構成比/営業利益率カッコ内は参考・会社資料記載):
- カラー&ファンクショナル:54%(5%)
- ポリマー&コーティング:20%(12%)
- グラフィック&プリンティング:26%(2%)
- 海外売上比率:27%(2025.3)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:合成樹脂着色剤で国内首位クラス、顔料外販でも上位。包装インキは国内大手(競合にはDIC、サカタインクス、東洋インキSC HD等)。
- 競争優位:
- 分散・配合技術、用途別のカスタマイズ能力
- 顔料~樹脂~コーティング~インキまでの垂直的な材料群ラインアップ
- エレクトロニクス・輸送機器・包装といった複数最終市場への分散
- 課題:
- 原材料(ナフサ・顔料中間体等)価格・為替の変動耐性
- 紙媒体向けオフセットインキの構造的縮小
- 中国・北米など海外需要の変動
3. 経営戦略と重点分野
- 中期計画:「明日への変革2027」
- ポートフォリオの高付加価値化(情報電子向け分散体・コーティング、イミド樹脂、機能性インキ等)
- 収益性改善(価格最適化、原材料転嫁、コスト効率)
- HR戦略強化:従業員向け譲渡制限付株式や持株会インセンティブ(2025年7月自己株式処分実施)
- 直近の四半期トレンド(2026年3月期1Q):
- カラー&ファンクショナル:LCD向け顔料・分散体が堅調、自動車向け国内堅調
- ポリマー&コーティング:ウレタンは採用車種の不振で低調も、感熱記録・情報電子コーティングは好調
- グラフィック&プリンティング:グラビア(軟包装・飲料ラベル)堅調、オフセットは横ばい
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源の多角化:包装材、情報電子、自動車、建材と需要分散。景気敏感度を抑えつつ、価格改定と付加価値で採算確保を志向。
- 構造変化への適応:
- 紙媒体インキの頭打ちに対し、軟包装や機能性インキ、電子材料・コーティングへシフト
- 高機能樹脂・フッ素系・イミド系など高付加価値材料の比率を拡大
- リスク吸収力:自己資本比率65%・流動比率2.19と財務耐性が高い。
5. 技術革新と主力製品
- 技術基盤:微粒子分散、表面処理、ポリマー設計、UV/EB硬化、機能性付与(導電・耐熱・耐薬品)など。
- 収益牽引:
- LCD・情報電子向け顔料分散体・コーティング剤
- 合成樹脂着色剤・樹脂コンパウンド(輸送機器・建材・産資)
- グラビアインキ(軟包装・飲料ラベル)
- イミド系樹脂、機能性インキ(伸長分野)
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 会社予想EPS(当期):355.45円 → フォワードPER ≒ 10.8倍(業界平均PER 20.4倍)
- BPS(実績):7,400.6円 → PBR ≒ 0.52倍(業界平均PBR 1.1倍)
- 配当予想:年間174円 → 予想配当利回り ≒ 4.52%
- 予想配当性向 ≒ 49%(174円/355.45円)
- 参考:トレーリング配当性向 ≒ 21%(データ提供値)
- EV/EBITDA(概算、LTM):
- EV ≒ 時価総額697億 − 現金224億 + 有利子負債208億 = 約681億円
- EBITDA(LTM)≈ 126億円 → EV/EBITDA ≈ 5.4倍
- 補足:LTMの純利益には一過性益(合計約66億円)が含まれるため、PER評価は会社予想EPSを基準に参照。
7. テクニカル分析
- トレンド:50日移動平均 3,828円、200日移動平均 3,235円。株価3,850円は50日線付近・200日線上方で、中期上昇トレンド維持の範囲。
- 位置:52週高値4,145円の約7%下、52週安値2,510円の上方。年初来レンジの中上段。
- 需給:信用倍率10.47倍。買残・売残とも前週比で減少し、短期的には積み上がりの圧力はやや低下。
8. 財務諸表分析
- 売上高(億円):2022/12,193 → 2023/12,200 → 2024/11,982 → 2025/12,476(LTM/2025同値)
- 3年CAGR約+0.7%、直近は2024→2025で約+4%増
- 利益:
- 営業利益(億円):2022/74.5 → 2023/26.4 → 2024/45.5 → 2025/70.1(改善基調)
- 営業利益率(LTM):約5.6%(指標データでは7.8%表示、計数差は基準差異の可能性)
- 一過性損益:LTMで特別要因計上(約66億円)。ノーマライズ後EBITDAは約129億円。
- 収益性指標:
- 粗利率:2023/17.5% → 2024/18.6% → 2025/約20〜21%(改善)
- ROE:実績8.41%(LTMベース参考:9%台)
- キャッシュ・財務:
- 現金同等物:224億円、有利子負債:208億円 → ネットキャッシュ近傍
- 自己資本比率:65.1%、流動比率:2.19、D/E(簿価):約16%
- 資産効率(参考):総資産回転率は1Q年換算でおおむね0.6倍程度の水準感
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2026年3月期予想174円(中間87円・期末87円、各回に特別配当15円を含む)
- 配当利回り:約4.5%(株価3,850円)
- 自己株式:発行済の5.26%を保有。2025年7月にRS(譲渡制限付株式)目的で一部処分。直近の大規模な自己株買いの開示は確認情報なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:+28.6%(TOPIX等の主要指数を上回る伸長)
- ボラティリティ:β 0.57(相対的に低ボラティリティ)
- 需給・関心:出来高は3カ月平均約4.6万株で適度。今後は原材料価格、為替、電子・自動車・包装需要、会社計画進捗(価格改定・高付加価値製品の構成改善)への関心が続く見込み。
- 予定イベント:
- 次回配当権利落ち:2026-03-30予定
- 2026年3月期通期計画:売上1,273億、営業利益72億、EPS 355.45円(会社見通し)
11. 総評
- 事業面:顔料・着色剤~機能性樹脂・コーティングまでの技術と用途多角化が強み。紙媒体縮小の逆風はあるが、包装・情報電子・高機能樹脂へのシフトで収益性改善が進展。
- 業績面:売上は横ばい〜緩やかな増収、原価・価格政策の改善で利益率が回復基調。LTMは一過性益が大きく、評価は会社予想ベースが妥当。
- 財務面:自己資本比率65%、D/E約16%、流動比率2.19と健全。景気変動や原材料変動への耐性がある資本構成。
- 株価面:フォワードPER約10.8倍、PBR約0.52倍、EV/EBITDA約5.4倍と、指標面では業界平均比で低位水準。配当利回りも4%台。中期的には高付加価値領域の伸長と海外需要の回復度合いが焦点。
(注)本資料は公開データの整理であり、投資助言を目的とするものではありません。一過性損益は可能な範囲で除外・補足しています。
12. 企業スコア
- 成長性:B
- 根拠:LTM売上+約4%(2024→2025)、四半期YoY +1.1%。3年CAGRは概ね横ばい(+0.7%)。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率約20%台、営業利益率5〜8%レンジ、ROE 8〜9%。業界内で中位水準と判断。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率65%、流動比率2.19、D/E約16%、ネットキャッシュ近傍。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER約10.8倍(業界平均20.4倍比で低位)、PBR約0.52倍(同1.1倍比で低位)、EV/EBITDA約5.4倍。
必要に応じて、セグメント別の詳細KPIや同業他社比較、ノーマライズ指標(特殊要因除き)での再計算も提示可能です。
企業情報
| 銘柄コード | 4116 |
| 企業名 | 大日精化工業 |
| URL | http://www.daicolor.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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