1. 企業情報

ワールドは、衣料品やファッション雑貨の企画、製造、販売、輸出入を手掛ける総合アパレル大手企業です。多数のブランドを展開しており、「アンタイトル」「adabat」「HIROKO HAYASHI」「HIROFU」「TAKEO KIKUCHI」「PINK-latte」など、幅広いターゲット層に向けた商品を提供しています。近年では、BtoCのアパレル販売に加え、企業のEC運営受託や生産・販売・流通のプラットフォーム外販など、BtoB事業(プラットフォーム事業)にも注力し、オンラインショップ展開も積極的に行っています。
事業は主に以下の3つのセグメントで構成されています。
* ブランド事業: 百貨店やショッピングセンターなどで自社ブランドを展開し、商品開発から販売までを一貫して行います。
* デジタル事業: ECサイトの運営受託などのB2Bソリューションや、ユーズド品・オフプライスストアなどのB2Cネオエコノミー事業を展開しています。
* プラットフォーム事業: 生産機能や物流機能を外部企業にも提供し、B2B基盤を強化しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

ワールドは「総合アパレル大手」として、多様なブランドポートフォリオを持つ点が強みです。長年の事業経験とブランド力により、多くの消費者に認知されています。近年はBtoBのプラットフォーム事業を強化し、他社にはないビジネスモデルの多角化を進めています。
一方、アパレル業界全体は、消費者嗜好の変化、気候変動、国際情勢などによる原材料価格や為替の変動といった課題に直面しています。特にブランド事業の一部アパレルでは、春夏商戦の販売苦戦やMD(商品政策)コントロールの課題が見られます。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は中期経営計画「PLAN-W」を最終年度(2026年2月期)としており、通期目標達成に向けた総仕上げの期間と位置づけています。次期中期経営計画の策定も準備中です。
重点分野としては、アパレル事業のデジタル化(OMO:Online Merges with Offline)推進、サーキュラーエコノミー(リユース・サステナブル素材)への対応、そしてB2Bプラットフォーム事業の強化を掲げています。具体的には、エムシーファッションなどの子会社化によりプラットフォーム事業の外販拡大を図り、収益性の向上を目指しています。また、ブランド事業の課題に対しては、組織再編(2025年3月にブランド事業本部を新設)を通じてMDや生産販売コントロールの改善に取り組んでいます。

4. 事業モデルの持続可能性

ワールドの事業モデルは、多角化されたビジネスにより持続可能性を高めています。従来のBtoCアパレル販売に加えて、EC運営受託やサプライチェーン機能の外販といったB2Bプラットフォーム事業の強化は、収益源の多様化と安定化に貢献しています。これにより、アパレル市場の変動リスクを一部吸収できる構造になりつつあります。
また、消費者ニーズの変化に対応するため、OMO戦略に基づくデジタル化や、中古衣料のRAGTAG事業などサーキュラーエコノミーへの取り組みを強化しており、環境変化への適応力が高いと言えます。ブランドポートフォリオの再編やMD改善への継続的な取り組みも、市場ニーズへの適応力を高める要素となります。

5. 技術革新と主力製品

アパレル業界における技術革新として、ワールドはデジタル技術の活用に注力しています。OMO(Online Merges with Offline)戦略の推進や、ECサイトの運営効率化などがその代表例です。また、生産・販売・流通のプラットフォーム事業を通じて、サプライチェーン全体の効率化と外部へのソリューション提供を行っています。
収益を牽引する主力製品としては、多岐にわたるアパレルブランドのほか、「HIROKO HAYASHI」や「HIROFU」といったファッション雑貨ブランド、「adabat」のようなゴルフアパレルブランド、そしてキッズアパレルの「PINK-latte」などがあります。近年では、エムシーファッション等の連結加入によってプラットフォーム事業が成長を牽引しています。

6. 株価の評価

  • 現在の株価 (終値): 2,689円
  • EPS(会社予想): 352.07円
  • PER(会社予想): 7.65倍
  • PBR(実績): 1.08倍
  • 業界平均PER: 21.7倍
  • 業界平均PBR: 1.0倍

現在の株価2,689円を基準に計算すると、PERは約7.63倍(2,689円 ÷ 352.07円)、PBRは約1.08倍(2,689円 ÷ 2,489.70円)となります。
業界平均と比較すると、PERは業界平均(21.7倍)を大幅に下回っており、割安感があると言えます。PBRは業界平均(1.0倍)とほぼ同水準です。

7. テクニカル分析

直近10日間の株価は、9月30日の2,855円から10月14日の2,689円へと緩やかに下降トレンドを示しています。
年初来高値が3,135円、年初来安値が2,297円であることから、現在の株価2,689円は年初来高値圏とは言えず、中間点(約2,716円)よりやや下の水準です。直近の動向を見ると、下落傾向にあり、高値圏ではないと判断されます。

8. 財務諸表分析

以下に過去の損益計算書データを比較し、主な指標を評価します。

指標 過去12ヶ月 2025/2期 (予想) 2023/3期 2022/3期 2021/3期
売上総収益 (百万円) 225,658 225,658 214,246 171,344 180,322
営業利益 (百万円) 17,098 17,098 11,623 1,965 -21,735
親会社帰属純利益 (百万円) 11,105 11,105 5,686 239 -17,149
ROE (実績) 13.60% (連結) 13.60% (連結)
自己資本比率 (実績) 29.7% (連結) 29.7% (連結)

売上と利益の傾向:
2021年3月期には大幅な赤字を計上していましたが、その後はV字回復を見せています。売上収益は2022年3月期の171,344百万円から、過去12ヶ月で225,658百万円へと堅調に増加しており、営業利益、純利益も大きく改善しています。特に、過去12ヶ月と2025年2月期の予想値は、2023年3月期と比較して売上、営業利益、純利益ともに著しく伸長しています。これは主にプラットフォーム事業の拡大が牽引しています。中間期決算では、売上収益が前年同期比+24.3%と大幅な増収を達成しましたが、コア営業利益は計画未達となっており、ブランド事業(一部アパレル)の販売苦戦が影響しています。
キャッシュフロー:
* 営業活動によるキャッシュフローは+9,741百万円(中間期累計)とプラスですが、前年同期の15,745百万円からは減少しています。これは、主に運転資本の増加が影響していると説明されています。
* 投資活動によるキャッシュフローは−3,425百万円(同)とマイナスで、主に有形固定資産の取得によるものです。
* 財務活動によるキャッシュフローは−14,844百万円(同)とマイナスで、主に借入金の返済や配当金の支払いによるものと考えられます。

収益性・財務健全性:
ROEは連結で13.60%(決算短信では12ヶ月換算で14.5%に改善)と、経営目標である12%以上を達成しつつあり、収益性は向上傾向にあります。
自己資本比率は連結で29.7%(中間期末の親会社所有者帰属持分比率は32.2%)と、一般的に健全とされる水準(40%以上)と比較するとやや低い水準です。また、ネットD/Eレシオは0.86であり、会社の中長期目標0.5倍を超過している点には注意が必要です。

9. 株主還元と配当方針

ワールドは株主還元に積極的な姿勢を見せています。
* 配当利回り(会社予想): 4.05%
* 1株配当(会社予想): 109.00円
* 配当性向: 約30.95% (109.00円 / 352.07円)

中間期決算発表と同時に、2026年2月期の通期配当予想を前期の合計80.00円から109.00円へと大幅に増配する修正を発表しました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加に伴うものです。自社株買いに関する今回のデータからは不明です。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近10日間の株価は緩やかな下降傾向にあり、短期的には売りの勢いがある可能性を示唆しています。
信用取引残高を見ると、信用買残が前週比で+67,800株と増加する一方で、信用売残は-59,900株と減少しており、信用倍率は5.84倍と高い水準にあります。これは、将来的な買い戻し圧力(需給の改善)が弱まり、株価の上値が重くなる可能性を示唆しています。
投資家の関心に影響を与える要因として、中間期の大幅増収や通期業績予想・配当予想の修正(増配)が発表された事があります。また、株式会社ナルミヤ・インターナショナルを株式交換により完全子会社化したことも、今後の事業展開や企業価値向上への期待として注目されるでしょう。

11. 総評

ワールドは、2021年3月期の赤字からV字回復を遂げ、売上・利益ともに堅調な成長を続けている総合アパレル企業です。特にBtoBのプラットフォーム事業が成長を牽引しており、事業モデルの多角化を通じて収益源の安定化を図っています。
財務面では、ROEやROICが改善傾向にあり、収益性が向上しています。株主還元にも積極的で、大幅な増配を発表しています。
株価バリュエーションはPERが業界平均と比較して割安感がありますが、PBRは平均水準です。一方で、自己資本比率はやや低く、ネットD/Eレシオも中長期目標を超過しているため、財務健全性には引き続き注意が必要です。直近の株価は下降傾向にあり、信用需給はやや悪化傾向にあります。

12. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 過去12ヶ月の売上成長率は約5.3%(YoY)、直近3年間の売上CAGRは約9.6%と堅調に推移しています。さらに、中間期では売上収益が前年同期比+24.3%、通期業績予想では+32.9%と大幅な増収を見込んでおり、高い成長を示しています。
  • 収益性: B
    • 過去12ヶ月の営業利益率は約7.58%です。2021年3月期の赤字から大きく改善しているものの、中間期ではブランド事業の一部販売苦戦によりコア営業利益が計画未達となるなど、事業構造上の課題も残ります。
  • 財務健全性: C
    • 自己資本比率は29.7%と、一般的に健全とされる40%を下回っています。また、ネットD/Eレシオ0.86は会社目標0.5倍を超過しており、財務の安定性に改善の余地があります。
  • 株価バリュエーション: S
    • PER(会社予想)7.65倍は業界平均(21.7倍)と比較して大幅に割安であり、PBR(実績)1.08倍も業界平均(1.0倍)と同水準であることから、市場からは高い割安評価を受けていると判断されます。

企業情報

銘柄コード 3612
企業名 ワールド
URL http://corp.world.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 繊維製品

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By ジニー

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