1. 企業情報
株式会社メニコンは、コンタクトレンズおよびケア用品の開発、製造、販売を一貫して手掛ける日本の大手企業です。日本で初めて角膜コンタクトレンズを開発した歴史を持ちます。顧客が安心してレンズを使用できるよう、定額制の「メルスプラン」を強力な会員基盤として展開している点が特徴です。事業の中心は連結売上高の9割以上を占めるビジョンケア事業(コンタクトレンズ関連)であり、その他にヘルスケア・ライフケア事業も展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
メニコンは、日本初の角膜コンタクトレンズを開発した実績を持つ老舗として、コンタクトレンズ業界で確固たる地位を築いています。定額制の「メルスプラン」は、安定的な収益と顧客ロイヤルティをもたらす独自の競争優位性となっています。
市場動向としては、近視人口の増加を背景に、特にシリコーンハイドロゲル素材を用いた1日使い捨てコンタクトレンズの需要が世界的に拡大しています。メニコンはこのニーズに対応するため、同分野への投資を強化しています。一方、近視進行抑制に用いられるオルソケラトロジー関連製品では、中国市場で競争激化による停滞が見られるものの、日本や一部アジア地域での需要は拡大傾向にあります。グローバル展開を進める中で、競合他社との競争は今後も継続すると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
メニコンは中期経営計画「Vision2030」を掲げ、「1DAYグローバルトップ」と「オルソケラトロジー領域のリーディングカンパニー」の二本柱を重点戦略としています。
具体的な施策としては、1日使い捨てコンタクトレンズの供給能力強化のため、各務原工場やシンガポールの増強、マレーシアでの新工場稼働(当期下期予定)といった設備投資を進めています。また、欧米の大手量販チェーンとの取引拡大や中国でのオンライン販売開始、インドの大手眼科グループとの提携など、グローバルでの販路拡大にも注力しています。オルソケラトロジー領域では、複数の製品ラインアップ(アルファオルソK、Menicon Z Night、Menicon Bloom Night)展開に加え、近視管理アプリ「ミオログ」の共同開発・リリースなど、デジタルを活用した取り組みも推進しています。
4. 事業モデルの持続可能性
メニコンの事業モデルは、定額制「メルスプラン」による安定的な収益基盤と、近視人口増加という大きな市場ニーズへの対応力が持続可能性を支えています。
1日使い捨てレンズやオルソケラトロジーといった製品・サービスは、現代のライフスタイルや眼科医療の進展と合致しており、市場ニーズの変化への適応力が高いと言えます。ただし、シリコーン素材などの原材料供給逼迫リスク、為替変動による収益への影響、特に中国市場における競争激化、そして成長に向けた先行投資(新工場建設など)に伴う費用発生は、事業の持続性に対する短期的な課題となる可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
メニコンは、日本で初めて角膜コンタクトレンズを開発するなど、高い技術開発力を有しています。現在の主力製品は、使い捨てコンタクトレンズ、特に高付加価値のシリコーンハイドロゲル素材の1日使い捨てレンズや、夜間装用して日中の視力を矯正するオルソケラトロジー関連製品です。
オルソケラトロジー分野では、複数の製品ラインアップを展開し、近視進行抑制という新たな市場ニーズに対応しています。また、近視管理アプリ「ミオログ」の開発など、デジタル技術を活用したサービス提供も進めており、顧客体験の向上と製品・サービスの差別化を図っています。
6. 株価の評価
現在の株価は1,146.0円です。
会社予想EPS 76.30円に基づくPERは15.02倍であり、この水準を現在の株価に照らし合わせると、15.02倍 × 76.30円 = 1,145.326円となります。これは現在の株価とほぼ同水準です。
実績BPS 1,110.32円に基づくPBRは1.03倍であり、この水準を現在の株価に照らし合わせると、1.03倍 × 1,110.32円 = 1,143.6296円となります。これも現在の株価とほぼ同水準です。
業界平均PERが21.1倍、業界平均PBRが1.8倍であることと比較すると、メニコンのPER(15.02倍)およびPBR(1.03倍)は、業界平均よりも割安な水準にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価1,146.0円は、年初来高値1,458円、52週高値1,810円と比較して大きく下落した水準にあり、年初来安値1,005円に近い位置で推移しています。直近10日間の株価は概ね1,118円から1,157円の範囲で推移しています。
50日移動平均線(1,188.22円)と200日移動平均線(1,234.54円)のいずれをも下回っていることから、短期および中期的なトレンドは下降傾向にあると見られます。過去52週間の株価変動率が-27.28%であることからも、現在は安値圏にあると評価できます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間、連結売上高は順調に増加傾向にあります。2022年3月期から2025年3月期(過去12か月)にかけて、1,001億円台から1,214億円台へと成長しています。直近の2026年3月期第1四半期も前年同期比で微増(+0.3%)を維持しています。
- 利益: 営業利益は2023年3月期に120億円台まで増加しましたが、2024年3月期は89億円台に減少し、2025年3月期(過去12か月)は100億円台に回復しました。しかし、2026年3月期第1四半期は、新工場稼働準備に伴う先行費用等の影響で、前年同期比で26.9%の営業減益を記録しています。純利益も同様の傾向で、第1四半期は前年同期比で43.8%減少しています。
- 収益性: 粗利率は過去数年で概ね52%~53%台で推移しており、安定しています。営業利益率(過去12か月)は8.27%ですが、直近の第1四半期では6.48%に低下しており、一時的な費用増や売上構成の変化が影響していると考えられます。ROEは5.74%(過去12か月)と、特別高い水準ではありませんが、成長投資期であることを考慮すると妥当な範囲と言えます。
- キャッシュフロー: 第1四半期のキャッシュフロー計算書は提示されていません。減価償却費は増加傾向にあり、設備投資が積極的に行われていることが伺えます。
- 財務健全性: 自己資本比率は45.5%(実績)から直近第1四半期末には46.1%に改善しており、財務基盤は健全です。流動比率は3.13と非常に高く、短期的な支払い能力に優れています。D/Eレシオ(負債比率)は87.36%と、こちらも管理された水準にあります。現金及び預金は322億円と潤沢ですが、第1四半期には設備投資や配当・賞与支払いの影響で減少しています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは2.44%で、1株配当は28.00円です。2025年3月期の実績配当も年間28円であり、2026年3月期も同額を予想しており、安定的な配当維持の方針が伺えます。
配当性向は40.49%で、利益の水準に応じた適切な株主還元を行っていると言えます。現時点では自社株買いに関する具体的な発表は見られません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近で安値圏にあり、年初からの下落トレンドが続いています。50日移動平均線と200日移動平均線を下回る状況です。
信用取引においては、信用買残が減少し(前週比-49,100株)、信用売残も大幅に減少しています(前週比-311,200株)。信用倍率は8.80倍です。信用売残の大幅な減少は、売り方の買い戻しが進んだ可能性を示唆しています。
投資家の関心は、今後の成長戦略(特に1DAYレンズとオルソケラトロジーのグローバル展開)の進捗、新工場稼働後の生産能力と収益貢献、原材料供給の安定化、そして継続する為替変動の影響や中国市場の競争環境などが主要な要因となるでしょう。次回の決算発表(2025年11月14日)は、これらの進捗を確認する上で重要なイベントとなります。
11. 総評
メニコンは、コンタクトレンズの定額制サービス「メルスプラン」を強みに持つ日本の主要企業です。近視人口増加を背景に、1DAYコンタクトレンズとオルソケラトロジーを成長戦略の柱とし、グローバル市場での拡大を目指して積極的な設備投資と販路開拓を進めています。
財務基盤は自己資本比率や流動比率が高く非常に健全です。過去数年間は売上高を着実に伸ばしてきましたが、直近の第1四半期では、成長投資に伴う先行費用や為替差損の影響で利益面は一時的に減益となりました。しかし、会社は通期業績予想を据え置いており、第2四半期以降の回復を見込んでいます。
現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあり、年初来の安値に近い位置で推移しています。株主還元は安定的な配当を継続する方針です。成長への期待と短期的な利益の変動が交錯する局面にあると言えます。
12. 企業スコア
- 成長性: B
- LTM売上成長率は約4.5%、過去3年CAGR約6.6%と緩やかな成長を継続しています。直近の四半期売上成長率は微増に留まっていますが、通期では増収予想を維持しています。成長投資を継続しているものの、急激な成長は現時点では見られません。
- 収益性: B
- 粗利率は約53%で安定していますが、営業利益率(LTM 8.27%)や純利益率(LTM 3.99%)は、成長投資に伴う先行費用や為替変動の影響で直近の第1四半期で低下が見られます。業界平均との比較データがないため、中立的な評価とします。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率46.1%、流動比率3.13と非常に健全な財務体質を維持しており、豊富な手元資金も保有しています。負債比率も無理のない水準です。
- 株価バリュエーション: S
- PER約15.02倍、PBR約1.03倍は、業界平均PER21.1倍、PBR1.8倍と比較して割安な水準にあります。
企業情報
銘柄コード | 7780 |
企業名 | メニコン |
URL | http://www.menicon.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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