1. 企業情報
- 概要:東ソーは塩ビ・苛性ソーダを中心とするクロル・アルカリと石油化学を基盤に、機能商品(ゼオライト、ジルコニア、石英ガラス、スパッタリングターゲット等)や計測・診断機器、エンジニアリング(水処理・半導体プラント等)まで展開する総合化学メーカー。海外売上比率は51%(2025.3)。
- セグメント構成(会社開示の概況)
- 石油化学:オレフィン(エチレン等)、ポリエチレン、合成ゴムなど
- クロル・アルカリ:苛性ソーダ、VCM/PVC、MDI/HDIなどのイソシアネート
- 機能商品:ハイシリカゼオライト、ジルコニア、石英ガラス、スパッタリングターゲット、エチレンアミン、計測・免疫診断関連
- エンジニアリング:水処理・半導体関連プラント等
- その他:運送・倉庫、検査・分析、情報処理
- 従業員:14,877人、平均年齢38.5歳、平均年収7,950千円
- 本社:東京都中央区八重洲
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の塩ビ・苛性ソーダで上位。川上(クロル・アルカリ、石化)から川下(樹脂、機能材、診断)までの垂直統合と事業多角化が強み。
- 競争優位性
- 一貫型のサプライチェーンとスケールメリット
- 機能商品(HSゼオライト、ジルコニア、石英・石英ガラス、ターゲット材等)の高付加価値ポートフォリオ
- エンジニアリング(水処理・半導体)による需要サイクル分散
- 課題
- コモディティ市況(ナフサ/電力・石炭、為替)への感応度
- MDI/HDIやPVCのグローバル需給動向に左右
- 中国・欧州など海外景況感の不透明感
3. 経営戦略と重点分野
- 方向性(短信・開示より)
- 収益の柱を機能商品・ライフサイエンス・半導体関連へシフトし、ポートフォリオの質を向上
- エンジニアリング(水処理、半導体プラント)の受注拡大で安定収益を補完
- 為替・原燃料変動への耐性強化(操業・在庫運用・価格政策)
- 資本政策
- 自己株式取得:上限1,700万株・総額上限250億円(2025/8/6〜2026/3/31)
- 配当方針:年間100円(予想)を継続
- 重点分野(想定)
- 半導体/エレクトロニクス材料(石英、スパッタターゲット、超純材料)
- 環境・触媒(HSゼオライト)
- 診断システム・体外診断薬、クロマト製品
- 水処理・超純水エンジニアリング
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:コモディティ(塩ビ・ソーダ、石化)とスペシャリティ(機能材、診断)を組み合わせ、景気循環の影響を平準化。エンジニアリングで案件収益を上乗せ。
- 適応力:市況下押し時には原燃料安/交易条件改善の効果を取り込みつつ、機能商品・エンジ分野の強化で利益の質を改善する設計。為替・ナフサ変動や在庫評価差の管理が鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:ハイシリカゼオライト(排ガス触媒等)、高純度石英・シリカ、スパッタリングターゲット(半導体・ディスプレイ)、ジルコニア(歯科材等)、計測・免疫診断装置・試薬、クロマト媒体など。
- 収益牽引:2026/3期1Qは機能商品(営業利益の約59%寄与)とエンジ(約47%)が牽引。クロル・アルカリは市況・在庫要因で赤字寄与。
6. 株価の評価(相対評価の目安)
- 株価:2,230円、時価総額:約7,249億円
- 予想EPS:194.66円 → 予想PER約11.46倍(業界平均20.4倍)
- 実績BPS:2,548.12円 → PBR約0.88倍(業界平均1.1倍)
- EV/S(LTM):EV≒7,698億円(時価総額7,249+有利子負債1,912−現金1,462)/ 売上1兆634億円 ≒ 約0.72倍
- 参考レンジ(単純比較)
- PER基準(業界平均20.4倍×EPS 194.66)=約3,970円
- PBR基準(業界平均1.1倍×BPS 2,548)=約2,800円
- 現状は業界平均比でディスカウント水準との比較結果
7. テクニカル分析(短期)
- 位置:年初来高値2,398円・安値1,755円の中間上部。200日移動平均2,135.8円の上、50日移動平均2,292.8円の下で推移。
- モメンタム:直近10日で戻り基調だが、2,250円近辺で上値重い局面。出来高は3カ月平均(132万株)並み〜やや上。
- 需給:信用倍率10.67倍と買い長。信用買残は前週比減(−45.9千株)、売残は小幅増。押し目での投げや上値での戻り売りが出やすい構図。
- 価格帯:2,200円前後がサポート、2,350〜2,400円がレジスタンスとして意識されやすい。
8. 財務諸表分析
- 売上推移(億円):2022/3 9,186 → 2023/3 10,644 → 2024/3 10,056 → LTM/2025 10,634(3年CAGR約+5%)
- 利益推移
- 営業利益(億円):1,440(2022)→ 746(2023)→ 798(2024)→ 989(LTM)
- 営業利益率:15.7% → 7.0%台 → 7.9% → 約9.3%(改善傾向)。一方、2026/3期1Qは6.6%と短期はやや鈍化。
- 収益性(LTM)
- 粗利率:約24.4%(2,590/1兆634)
- EBITDAマージン:約14.3%(1,517/1兆634)
- 当期純利益:580億円、実績ROE 7.15%
- キャッシュフロー
- 営業CF:1,197億円、レバードFCF:312億円。潤沢な営業CFを確保。
- 安全性
- 自己資本比率:62.3%、流動比率:2.16倍、D/E:約0.22、Net Debt:約450億円相当。流動性・財務体質は健全。
- 直近期の変動要因:ナフサ下落・為替変動、在庫評価差、定修影響、為替差損(経常段階)
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当:年間100円(中間50/期末50)、配当利回り約4.48%
- 配当性向:約55%(会社データ)
- 自社株買い:最大1,700万株(約5.2%)・250億円の枠を設定(2026/3期末まで)。既存の自己株は約657万株(約2.0%)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:+16.4%(TOPIX等と比べ堅調域)
- 関心材料(ポジ・ネガ混在)
- 半導体関連投資・水処理需要の動向(受注・稼働)
- 為替(円安は追い風、円高は逆風)
- 原燃料(ナフサ・石炭)価格と交易条件
- MDI/HDI・PVCなどの国際需給
- 自社株買いの進捗、次回決算(2025/11/5予定)
11. 総評
- 事業面:コモディティ基盤に機能商品・エンジを重ねる構造で、直近は機能商品・エンジが利益を牽引。市況影響は残るが、ポートフォリオの質向上が進展。
- 財務面:自己資本比率60%超、流動性・レバレッジともに健全。営業CFも安定。
- 業績面:売上は3年CAGR約+5%で回復基調、LTMの利益率は持ち直し。1Qは在庫評価・為替差損の影響で鈍化。
- バリュエーション:PER・PBRとも業界平均比でディスカウント水準。EV/Sも0.7倍台と抑制的。市況や為替のボラティリティが評価の割引要因になりやすい一方、機能商品・エンジの伸長や自社株買いは下支え要因。
- テクニカル:中長期は上向き基調の範囲内だが、短期は50日線下でのもみ合い。需給(信用買い長)の整理が進むかが焦点。
12. 企業スコア(S〜D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上YoY +5.7%、3年CAGR約+5%。機能商品・エンジの拡大余地。
- 収益性:B
- 根拠:LTM営業利益率約9.3%、EBITDA率約14%(化学平均並〜やや上)。ただし1Qは6.6%に鈍化。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率62.3%、流動比率2.16倍、D/E約0.22、営業CF良好。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER11.5倍・PBR0.88倍と業界平均(PER20.4倍、PBR1.1倍)比で割安。EV/S約0.72倍も低位。
【今後の確認ポイント】
– 2026/3期の通期計画(売上1.05兆円、営業利益1,080億円、EPS 194.66円)の進捗
– 機能商品・エンジの受注/稼働とマージン動向
– 在庫評価差と為替差損の影響度合い
– 自社株買いの執行状況と資本効率(ROE)の変化
(出典:提供データ一式、2026年3月期第1四半期決算短信 等)
企業情報
銘柄コード | 4042 |
企業名 | 東ソー |
URL | http://www.tosoh.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
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