リゾートトラスト(4681)企業分析レポート
1. 企業情報
リゾートトラストは、日本を代表する会員制リゾートホテル運営企業です。高級会員制ホテル「エクシブ」シリーズを全国展開し、リゾートホテル・シティホテル、ゴルフ場の運営を手掛けています。また、高齢化社会への対応として、富裕層向けの会員制メディカルサービスや健診サービスといった医療事業も展開しており、健康領域への進出に積極的な姿勢を見せています。
事業セグメントは、主にホテル会員権の販売を行う「会員権事業」(売上構成比38%)、会員制ホテルやレストランの運営を行う「ホテルレストラン等事業」(同42%)、メディカル会員制サービスや健診などを提供する「メディカル事業」(同20%)で構成されています(2025年3月期予想)。
2. 業界のポジションと市場シェア
リゾートトラストは、会員制リゾートホテル市場において首位の地位を確立しています。高級ホテルの全国展開と「エクシブ」に代表される強力なブランド力により、富裕層を主要ターゲットとした質の高いサービスを提供することで競争優位性を築いています。1室のタイムシェア制度の導入も、会員獲得における特徴の一つです。
強みとしては、安定した会員基盤に基づくリピート利用、高級路線による高い顧客単価、そしてメディカル事業とのシナジーによる新たな顧客層の開拓が挙げられます。
一方で課題としては、高級路線ゆえの景気変動による影響、高水準のサービス維持に伴う人件費や運営コストの増加、施設開発に伴う投資負担などが考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、中長期的な成長戦略として、主に以下の3点に注力しています。
– メディカル事業の積極投資と健康分野での事業拡張: 高齢化社会に対応し、メディカル会員の増加や健診設備拡張を通じて、健康診断から予防医療、高齢者向けサービスまでを一体的に提供する事業モデルの確立を目指しています。
– ホテル事業の商品・サービス開発: 既存ホテルの刷新や新規ホテルの開業に加え、顧客ニーズに合わせた多様な商品やサービスの開発を通じて、ホテル事業の競争力強化と収益拡大を図っています。
– 会員権販売の継続: 未開業ホテルを含む会員権販売を先行させることで、将来の収益基盤を確保するビジネスモデルを推進しています。
中期経営計画(2025年4月~2030年3月)では、メディカル事業とホテル事業への積極的な投資を通じて、持続的な成長を実現することを掲げています。
4. 事業モデルの持続可能性
リゾートトラストの事業モデルは、会員制を基盤としているため、比較的安定した収益基盤を持つ点が特徴です。会員権販売による初期投資の回収と、ホテル・メディカル施設利用料による継続的な収益が柱となっています。
市場ニーズの変化に対しては、富裕層のウェルネス志向の高まりを捉え、ホテル事業とメディカル事業を連携させることで、健康とリゾートを融合した「ウェルエイジング」といった新たな付加価値を提供しています。これにより、顧客の囲い込みと他社との差別化を図り、持続可能性を高めていると考えられます。
ただし、未開業ホテルの会員権販売に係る不動産収益が、実際に施設が開業した際に一括で計上される会計上の特性があるため、表面上の売上・利益の変動に注意が必要です。会社は「評価営業利益」という独自指標で、実力ベースの業績も開示しています。
5. 技術革新と主力製品
リゾートトラストにおいては、情報・通信技術のような一般的な「技術革新」の記述は多く見られませんが、高品質なサービス提供のためのオペレーション効率化や、メディカル事業における最新医療設備の導入、会員サービスのデジタル化などが含まれます。
収益を牽引する主力製品・サービスは、高級会員制リゾートホテル「エクシブ」「サンクチュアリコート」などのブランド展開と、メディカル会員制サービスです。これらの会員権販売と、会員制ホテルの宿泊・レストラン利用、そしてメディカル施設の利用が主な収益源となっています。
6. 株価の評価
現在の株価1,860.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER(会社予想): 20.74倍
* PBR(実績): 2.76倍
* EPS(会社予想): 89.69円
* BPS(実績): 674.32円
業界平均と比較すると、
* 業界平均PER: 17.0倍
* 業界平均PBR: 1.8倍
現在のリゾートトラストのPER(20.74倍)は業界平均PER(17.0倍)を上回っており、PBR(2.76倍)も業界平均PBR(1.8倍)を上回っています。これは、業界平均と比較して現在の株価が割高水準にあると評価できます。
7. テクニカル分析
現在の株価は1,860.0円です。
* 年初来高値は2,037円、年初来安値は1,308円です。
* 52週高値は2,037.00円、52週安値は1,307.50円です。
* 50日移動平均線は1,878.37円、200日移動平均線は1,660.30円です。
現在の株価は、年初来高値および52週高値に比較的近い水準にあり、安値からは大きく上昇しています。50日移動平均線(1,878.37円)は現在の株価よりわずかに上にあり、短期的な調整局面にある可能性が示唆されます。一方で、200日移動平均線(1,660.30円)を大きく上回っており、中長期的な上昇トレンドは維持されている状況です。
8. 財務諸表分析
過去数年間の損益計算書と財務指標から、以下の傾向が見られます。
* 売上高:
* 2022年3月期 157,782百万円
* 2023年3月期 169,830百万円
* 2024年3月期 201,803百万円
* 過去12か月 249,333百万円
* 会社予想(2026年3月期)259,000百万円
* 売上高は着実に増加傾向にあり、2026年3月期も増収が予想されています。
* 営業利益:
* 2022年3月期 8,702百万円
* 2023年3月期 12,282百万円
* 2024年3月期 21,128百万円
* 過去12か月 26,373百万円
* 会社予想(2026年3月期)27,500百万円
* 営業利益も大幅に増加傾向にあり、収益性が改善していることが示唆されます。
* 純利益:
* 2022年3月期 5,775百万円
* 2023年3月期 16,906百万円
* 2024年3月期 15,892百万円
* 過去12か月 20,139百万円
* 会社予想(2026年3月期)19,000百万円
* 純利益は変動が見られますが、過去12か月は増加し、2026年3月期は特別利益の剥落により減少する見込みです。
* ROE(実績): 14.72%(過去12か月実績14.83%)と、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していることを示唆する高い水準です。
* ROA(実績): 3.42% となっています。
* 自己資本比率(実績): 29.3%(直近四半期28.5%)と、安全性の目安とされる水準(一般的に40%以上)と比較するとやや低い水準です。会員権販売に伴う前受金など、負債に計上される項目が多い事業特性も影響している可能性があります。
* 流動比率(直近四半期): 1.14(114%)と、短期的な支払い能力は確保されていますが、企業活動に十分な余裕があるとは言い切れない水準です。
* Total Debt/Equity(直近四半期): 26.28% と、有利子負債に対する自己資本の比率は健全な範囲にありますが、総負債合計に対する純資産の比率は約236%と高めです。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 1.72%
- 1株配当(会社予想): 32.00円(2025年4月1日付の株式分割後)
- 配当性向: 32.57%
会社予想の配当利回りは標準的な水準です。配当性向は32.57%と適正な範囲にあり、会社の業績と株主還元を考慮した堅実な配当方針であると考えられます。自社株買いに関する具体的な情報は開示されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価は、高値圏での短期的な調整局面にあるものの、中長期的な上昇トレンドは維持されています。
- 52週間の株価変化率は+32.76%と、S&P 500の同時期変化率(+13.84%)を大きく上回っており、良好な株価モメンタムを示しています。
- Beta(5年月次)は0.29と低く、市場全体の変動に対して株価の変動幅が小さい傾向にある、比較的ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
- 信用倍率は1.31倍で、信用買い残が信用売り残を上回っていますが、極端な偏りではありません。
- 直近の出来高は582,900株であり、投資家の関心は安定していると見られます。好調な業績トレンド、メディカル事業の成長期待、そして富裕層向けサービスの堅調さが、投資家関心を支える要因になっていると考えられます。
- 次回の決算発表は2025年11月13日に予定されており、今後の業績見通しが注目されます。
11. 総評
リゾートトラストは、会員制高級リゾートホテルとメディカル事業を主要な柱とし、安定した顧客基盤と富裕層向けの高付加価値サービスで着実に成長を続けている企業です。売上高、営業利益ともに堅調な増加トレンドを見せており、2026年3月期も増収増益の会社予想が発表されています。メディカル事業への積極投資やホテル事業の商品開発など、中長期的な成長戦略も具体的に推進されており、今後の事業拡大が期待されます。
財務面では、ROEが高く資本効率の良さがうかがえる一方で、自己資本比率が業界の一般的な健全性水準と比較して低めであり、流動比率も余裕があるとは言えないため、注視が必要です。ただし、ビジネスモデルの特性上、会員権の前受金が多く、これが負債として計上されるため、一般的な財務評価とは異なる視点での考察も必要です。
株価は、好業績を背景に過去1年間で大きく上昇し、現在は高値圏で推移しています。PERやPBRは業界平均と比較して割高感がありますが、これは成長期待やブランド力に対する評価を反映している可能性もあります。配当性向は適正水準であり、株主還元への姿勢が見られます。
12. 企業スコア
- 成長性: S
- 過去数年間にわたる売上高および営業利益の大幅な伸び、LTM売上成長率の高さ、そして中期経営計画に基づく今後の成長性から高く評価されます。
- 収益性: A
- 高水準の粗利率と営業利益率を維持しており、サービス業としては非常に高い収益性を示しています。
- 財務健全性: C
- 自己資本比率が30%を下回る水準にあり、流動比率も100%をわずかに超える程度であるため、健全性には一定の注意が必要です。ただし、事業特性(前受金)も考慮の必要はあります。
- 株価バリュエーション: C
- PER、PBRともに業界平均を上回っており、現在の株価に割高感が認められます。
企業情報
銘柄コード | 4681 |
企業名 | リゾートトラスト |
URL | http://www.resorttrust.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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