以下は、ニチバン(証券コード: 4218)についての企業分析レポートです。

1. 企業情報

ニチバンは、粘着テープと医療用製品を開発・製造・販売する日本の大手企業です。「セロテープ」のブランドで広く知られる事務用・産業用テープ製品の他、救急絆創膏「ケアリーヴ」や鎮痛消炎剤「ロイヒつぼ膏」などの医療・ヘルスケア製品も手掛けています。事業構成は「メディカル事業」と「テープ事業」の二本柱で、それぞれ売上高の約50%を占める一方で、メディカル事業が利益面で高い貢献をしています(2025年3月期)。海外展開も加速しており、グローバル企業への変革を目指しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

ニチバンは、国内の粘着テープ市場において「セロテープ」ブランドで高いシェアを保持しています。また、医療用製品分野においても「ケアリーヴ」や「ロイヒ」などの製品が広く認知されています。
競争優位性としては、長年の歴史に裏打ちされたブランド力、大鵬薬品との開発提携による医療分野での製品開発力、そして独自の粘着技術が挙げられます。
課題としては、テープ事業ではDX化による紙需要の減少やEC化による販売チャネルの変化、メディカル事業では原材料費・人件費の高騰や病院の経営環境悪化などが挙げられ、これら市場環境の変化への適応が求められています。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は、中期経営計画「CREATION 2026」(2024年度開始)を推進しており、以下の3つを重点テーマとして掲げています。
事業ポートフォリオの再構築: テープ事業の抜本的な収益改善とともに、成長性の高い事業領域への経営資源の配分を強化します。
グローバル企業化: 海外での販売拠点を強化し、2030年にはグローバル売上比率30%達成を目指しています。直近の決算では、海外市場での「ケアリーヴ」等の好調が報告されており、順調に進捗しています。
人的資本経営: 多様性、公平性、包摂性(D,E&I)の推進、評価制度の改定、人材育成を通じて、持続的な企業価値向上を図ります。

直近の2026年3月期第1四半期決算では、テープ事業での収益性改善が見られ、計画の一部施策が効果を示し始めています。

4. 事業モデルの持続可能性

ニチバンは、一般消費者から産業分野まで幅広い需要を持つ粘着テープ事業と、安定的な医療・ヘルスケア分野のメディカル事業という多角的な収益モデルを構築しています。
市場ニーズの変化への適応として、テープ事業では環境配慮型製品の開発や生産プロセスの改善による収益性向上、メディカル事業では新製品の採用拡大や海外展開の強化に取り組んでいます。特にメディカル事業の海外市場での成長と、テープ事業の収益改善は、今後の事業モデルの持続可能性を高める上で重要な要素です。

5. 技術革新と主力製品

ニチバンの事業の中核を支えるのは、長年にわたる独自の粘着技術です。この技術を応用し、消費者ニーズや産業用途に特化した多様な製品を開発しています。
* メディカル事業の主力製品: 救急絆創膏「ケアリーヴTM」、鎮痛消炎剤「ロイヒつぼ膏TM」などのヘルスケア製品、外科手術用テープやドレッシング材などの医療材。海外特にアジア・欧州での「ケアリーヴ」の販売拡大が収益に貢献しています。
* テープ事業の主力製品: 粘着テープ「セロテープ®」をはじめ、両面テープ、布テープ、包装・農業・自動車・建設などの幅広い用途に対応する産業用テープ。環境負荷軽減に配慮した製品開発も進められています。

6. 株価の評価

現在の株価1,920.0円をもとに各種指標を評価します。
* PER(株価収益率): 会社予想EPS 98.24円に基づくと、PERは19.54倍です。業界平均PERが20.4倍であるため、業界平均と比較してわずかに割安水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 実績BPS 2,100.26円に基づくと、PBRは0.91倍です。業界平均PBRが1.1倍であるため、業界平均と比較して割安水準にあり、企業の持つ純資産価値を下回る評価となっています。

7. テクニカル分析

直近(2025年10月03日から2025年10月17日)の株価推移を見ると、1,969円から1,920円へと緩やかな下降トレンドにあります。現在の株価は、年初来高値2,155円と比較して約11%低い一方、年初来安値1,821円からは約5%高い水準です。
50日移動平均線(1,979.48円)と200日移動平均線(1,992.46円)は現在の株価より上に位置しており、短期・中期的には株価が移動平均線を下回っているため、上値が重い展開が続く可能性を示唆しています。出来高も比較的低調であり、大きなトレンドを形成するような強い買い手や売り手は見られません。これらの状況から、現在の株価は年初来の中間レベルに位置し、短期・中期的な移動平均線から見るとやや安値圏に近い水準にあると評価できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 過去数年間で堅調に増加しており、2022年3月期の431億円から2025年3月期(LTM)には494億円へと成長しています。直近の2026年3月期第1四半期も前年同期比3.5%の増収を達成しています。
  • 営業利益: 2023年3月期に一時的な減少が見られましたが、2024年3月期以降は回復基調にあり、2025年3月期(LTM)は25.8億円、2026年3月期第1四半期は前年同期比26.8%増と大幅な改善を見せています。これはテープ事業の収益構造改革が奏功している影響が大きいです。
  • 純利益: 2023年3月期は一時的な特別利益要因で増加したものの、その前後では安定的な推移です。2025年3月期(LTM)は19.5億円、2026年3月期第1四半期も前年同期比17.8%増と堅調です。
  • 収益性指標: 過去12ヶ月の営業利益率は5.47%と改善傾向にあります。ROE(実績)は4.62%、ROA(過去12か月)は2.53%であり、事業規模の割には安定していますが、特段高い水準ではありません。
  • 財務健全性: 自己資本比率(実績)は63.9%、直近四半期も63.4%と非常に高水準を維持しており、財務基盤は強固です。流動比率(直近四半期)も210%と高く、短期的な支払能力に問題はありません。有利子負債への依存度を示すTotal Debt/Equityは4.68%と非常に低く、安全性は極めて高いと言えます。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り: 会社予想の一株配当40.00円に基づくと、現在の配当利回りは2.08%です。これは過去5年間の平均配当利回り2.08%と同水準です。
  • 配当性向: 会社予想EPS 98.24円に対する配当性向は約40.7%であり、36.37%のPayout Ratioとほぼ一致しています。これは安定的な配当実施に努めていることを示唆しています。
  • 2026年3月期の年間配当は前期実績の35円から増配となる40円を予想しており、株主への還元意欲が見られます。自社株買いに関する情報は、提供データからは確認できませんでした。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価モメンタム: 直近の株価は緩やかな下降トレンドにあり、短期的には下落圧力が優勢です。50日および200日移動平均線を下回っている状況は、上値の重さを反映しており、さらなる上昇には時間を要する可能性があります。
  • 投資家関心: 直近の出来高は1万株前後と低調であり、市場からの特段の注目は集まっていない状況です。信用倍率は0.54倍と売り残が買い残を上回っており、株価上昇を期待する買いよりも、下落を予想する売りが強いことを示しています。これは、短期的には株価が上昇しにくい環境である一方で、買い戻しによる株価上昇の可能性も潜在的に存在します。
  • 株価への影響要因としては、マクロ経済の不確実性、原材料価格の変動、中期経営計画における事業ポートフォリオ再構築やグローバル戦略の具体的な成果、そして主力製品の販売動向や新製品の市場投入などが挙げられます。

11. 総評

ニチバンは、粘着テープと医療用製品という安定した事業基盤を持つ老舗企業です。「セロテープ」や「ケアリーヴ」といった強力なブランド力を背景に、メディカル事業は高利益率で牽引し、テープ事業も収益改善の兆しを見せています。中期経営計画「CREATION 2026」の下、グローバル企業化や事業ポートフォリオの再構築に取り組んでおり、その進捗は注目されます。
財務状況は極めて健全であり、高い自己資本比率と十分な流動性を保持しています。売上高は着実に成長し、営業利益も回復基調にあります。PER、PBRともに業界平均と比較して割安水準にあり、株主還元も増配を予想するなど、安定的な方針です。
一方で、直近の株価は下降トレンドにあり、出来高も低調で機関投資家を含む市場からの注目度は現状では高くないと見られます。マクロ経済の不透明性や原材料価格の変動といった外部環境要因、そして中期経営計画の着実な実行が今後の株価動向の鍵となるでしょう。

12. 企業スコア

  • 成長性:B
    • LTM売上成長率(YoY)は約5.5%、3年CAGR約4.6%、直近四半期売上成長率3.50%と、安定的な成長を維持しているものの、高成長とは言えないため中立的な評価とします。
  • 収益性:B
    • 過去12ヶ月の営業利益率は5.47%であり、大幅な利益改善が見られるものの、粗利率を含め、業界平均と比べて特段高い水準とは言えず、今後の戦略の進捗に期待されるため中立的な評価とします。
  • 財務健全性:S
    • 自己資本比率63.9%、流動比率210%、D/E4.68%と、いずれの指標も非常に優れており、極めて健全な財務体質を評価し「S」とします。
  • 株価バリュエーション:A
    • 予想PER19.54倍は業界平均20.4倍より割安、実績PBR0.91倍は業界平均1.1倍より割安(1倍割れ)であるため、業界平均と比較して割安水準であると評価し「A」とします。

企業情報

銘柄コード 4218
企業名 ニチバン
URL http://www.nichiban.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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