川上塗料(4616)企業分析レポート

東京証券取引所スタンダード市場に上場する川上塗料(4616)について、個人投資家向けに企業分析レポートを作成しました。

1. 企業情報

川上塗料は1901年に創業された日本の塗料メーカーです。三井物産グループの中堅企業であり、塗料の製造・販売を主要な事業としています。特に二輪車用塗料においては国内でトップシェアを誇ります。その他、住宅用、建材用、工作機械用、家電用などの幅広い用途の塗料を提供しており、近年では環境負荷の低い粉体塗料の強化にも力を入れています。事業内容は合成樹脂塗料が売上の大半(92%)を占めています。

2. 業界のポジションと市場シェア

川上塗料は日本の塗料業界において、特定のニッチ市場で強みを持っています。特に二輪車用塗料では国内シェアトップであり、これは技術的な優位性や顧客基盤の厚さに支えられた競争優位性であると考えられます。一方で、塗料業界全体としては、景気変動、建設需要、自動車生産動向などに業績が左右される傾向があります。現在の課題としては、国内の個人消費の低迷、主要取引先である機械・金属関連業界の生産量減少に加え、原材料価格の高騰や運送費などのコスト上昇が収益を圧迫している点が挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画に関する詳細な情報は、提供データからは限定的です。しかし、企業概要に「粉体塗料に力」「粉体塗料強化」とあることから、環境配慮型塗料へのシフトや高機能塗料の開発に注力していると推察されます。直近の決算短信では、原材料高騰等のコスト上昇に対し、価格改定を進めることで収益改善を図っていることが示されています。

4. 事業モデルの持続可能性

川上塗料の事業モデルは、多岐にわたる産業向けの塗料製造・販売に特化しています。二輪車用塗料での高い市場シェアは安定した収益源となり得ますが、産業向け塗料の需要は景気変動や設備投資動向に大きく影響を受けます。環境意識の高まりや規制強化に対応するため、粉体塗料や水性塗料、断熱塗料といった製品をラインナップに加えることで、市場ニーズの変化への適応を図っています。しかし、原材料価格の高止まりや物流コストの増加は、収益性を継続的に圧迫する要因となっており、持続可能性を維持するためのコストコントロールや価格転嫁能力が重要となります。

5. 技術革新と主力製品

同社は様々な塗料を製造・販売しており、その製品群には熱遮断塗料、水性塗料、高性能な超低温粉体塗料などがあります。特に「粉体塗料」への注力は、環境規制の強化やVOC(揮発性有機化合物)削減ニーズへの対応として、技術開発の重点分野であると考えられます。主力製品としては、国内で高いシェアを持つ「二輪車用塗料」が収益を牽引しているとみられます。

6. 株価の評価

現在の株価2,083.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 86.40倍
* PBR(実績): 0.64倍
* EPS(会社予想): 24.11円
* BPS(実績): 3,252.72円

業界平均と比較すると、PERは業界平均15.9倍に対して86.40倍と非常に高い水準にあります。これは直近の利益が大幅に減少しているため、1株あたり利益(EPS)が低く算出されていることが主な要因と考えられます。一方で、PBRは業界平均0.7倍に対して0.64倍と、わずかに割安な水準にあります。純資産価値に対して株価が低く評価されていることを示唆していますが、PERの高さは注意が必要です。

7. テクニカル分析

現在の株価2,083.0円は、年初来安値1,472円と比較すると大幅に上昇しており、年初来高値2,284円に近い高値圏に位置しています。
直近10日間の株価推移を見ると、2,284円をピークにやや調整し、直近では2,083円となっています。50日移動平均線(2,054.12円)を上回っており、短期的なトレンドは維持されているものの、高値でのもみ合いが続いています。出来高は900株と非常に少なく、市場の流動性は低い状態です。

8. 財務諸表分析

売上高: 過去数年間は増加傾向でしたが、2023年11月期をピークに直近(過去12か月および2025年11月期第3四半期累計)では減少に転じています。2025年11月期第3四半期累計の売上高は4,301百万円で、前年同期比△1.3%となっています。
利益:
* 売上総利益: 2023年11月期をピークに減少傾向にあります。粗利率も低下しています(2025年11月期第3四半期累計で約16.3%、前年同期17.6%)。
* 営業利益: 2023年11月期までは増加傾向でしたが、過去12か月および2025年11月期第3四半期累計では△9百万円と大幅な減益、赤字に転落しています。原材料高騰や運送費等のコスト上昇が直接的な要因と説明されています。
* 当期純利益: 営業利益同様、直近は減少傾向です。2025年11月期第3四半期累計の親会社株主に帰属する四半期純利益は19百万円に留まり、前年同期から大幅に減少しています。

キャッシュフロー: 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な分析は困難です。ただし、直近四半期の総現金は1,890百万円、総負債は2,070百万円です。
ROE(実績): 5.42%から過去12か月で3.69%へ低下しており、資本効率が悪化していることを示唆しています。
ROA(過去12か月): 0.16%と低い水準です。
自己資本比率(実績): 38.0%から直近四半期で38.7%と微増ではありますが、一般的な目安とされる40%を下回る水準です。
流動比率(直近四半期): 1.59と、短期的な支払い能力は比較的健全な水準にあります。
総合的に見ると、売上高は横ばいから微減傾向にあり、原材料高騰等の影響で利益率が大幅に悪化している点が課題です。一方で、自己資本比率や流動比率は一定の安定性を示しています。

9. 株主還元と配当方針

会社予想の配当利回りは2.11%(1株配当44.00円)です。この44.00円には設立80周年記念配当4円が含まれています。配当性向は29.76%であり、会社予想の利益水準から見て持続可能な範囲にあると考えられます。提供データに自社株買いに関する記載はありません。

10. 株価モメンタムと投資家関心

過去52週間の株価変化率は29.38%と、S&P500の13.84%を上回るパフォーマンスを記録しています。これは市場全体と比較して強い株価モメンタムがあったことを示唆しています。
直近の取引出来高は非常に少なく、市場の流動性は低いと言えます。信用取引においては、信用買残が53,100株と積み上がっており、信用倍率は0.00倍(売残ゼロ)であることから、短期的な需給面では買い圧力が高い状況です。
株主構成を見ると、筆頭株主であるサイブリッジが15.5%を保有し、自社共栄会や三井物産ケミカルなど安定株主が多い構造です。インサイダー保有比率が47.96%と高いことも特徴です。
株価への影響を与える主要因としては、原材料価格の動向、国内および主要顧客業界の景気動向、そして粉体塗料などの高機能製品の需要動向が挙げられます。

11. 総評

川上塗料は二輪車用塗料で国内トップシェアを持つ老舗メーカーであり、安定した顧客基盤と特定の分野での競争優位性を持っています。粉体塗料など環境配慮型製品への注力は、将来的な市場ニーズへの対応として評価できます。
しかしながら、直近の業績は厳しい状況にあります。売上高は減少傾向にあり、原材料価格高騰や運送費増加の影響で、特に営業利益は大幅な減益、過去12か月では赤字に転落しています。これにより、PERは非常に高い水準となっており、株価の割高感を強めています。一方でPBRは業界平均を下回っており、解散価値との比較では割安感があるとも言えます。
財務健全性は自己資本比率が40%を下回るものの、流動比率は健全な水準を維持しています。株主還元は記念配当を含め比較的安定していますが、流動性の低い銘柄であるため、出来高の少なさには留意が必要です。
今後の動向としては、原材料コストの変動への対応策(価格転嫁の進捗)と、主要顧客業界の生産回復が業績改善の鍵となるでしょう。

12. 企業スコア

評価項目 評価 根拠
成長性 C LTM売上成長率は-5.6%(2023年比)、2025年11月期第3四半期累計売上高は前年同期比△1.3%と減少傾向です。QoQ売上成長率は3.90%ですが、年間での売上減少と営業利益の赤字転落を考慮すると、売上成長が停滞・後退しています。
収益性 D 過去12か月の営業利益率は△0.07%、2025年11月期第3四半期累計の営業利益も赤字(△0.22%)に転落しています。粗利率も前年同期から低下しており、本業の収益性が大幅に悪化しているため、低い評価となります。
財務健全性 B 自己資本比率は直近で38.7%と、健全性の目安とされる40%には届かないものの、一般的な範囲にあります。流動比率は159%と短期的な支払い能力に問題はありません。<br>D/E比率も63.96%と過度に高い水準ではありません。全体として大きな懸念は見られず、安定性は維持されていると評価できます。
株価バリュエーション C PER(会社予想)は86.40倍と業界平均15.9倍を大幅に上回り、割高感があります。これは直近の利益水準が低いためです。PBR(実績)は0.64倍と業界平均0.7倍に近く、わずかに割安ですが、異常に高いPERが総合評価を引き下げます。業績の回復が見込まれない限り、現在の株価は純利益に対して割高と評価されます。

企業情報

銘柄コード 4616
企業名 川上塗料
URL http://www.kawakami-paint.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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