富士紡ホールディングス(3104)企業分析レポート
株価:6,470円(2025-10-17終値)/時価総額:734.6億円
1. 企業情報
- 概要:研磨材(CMP向けポリッシングパッド「POLYPAS」等)、化学工業品(機能性材料・医薬/農薬・電子材料向け中間体等)、生活衣料(「BVD」等の繊維素材・製品)を展開。1896年創業の老舗で、現在はエレクトロニクス関連の高付加価値領域が収益の柱。
- 事業セグメントと概況(連結事業構成の目安)
- 研磨材:売上比率約45%、(利益率目安:高水準)。半導体ウェハ、HDD、液晶ガラスなどの精密研磨用途。
- 化学工業品:売上比率約31%。機能性材料・中間体の受託製造。
- 生活衣料:売上比率約16%。国内は苦戦、海外は堅調。
- その他:約7%。自動車関連・化成品(医療機器部品、カメラ部品等)、金型など。
- 従業員:1,319人、本社:東京都中央区
- 上場区分:東証プライム/33業種:繊維製品(17業種:素材・化学)
2. 業界のポジションと市場シェア
- 研磨材(CMPパッド):先端半導体(AI/HBM関連)やシリコンウェハ向けで需要拡大。グローバルでは海外大手も存在する中、同社は日本発のポリッシングパッドで一定のプレゼンス。Q1のセグメント利益の約76%を研磨材が占め、収益牽引度合いが高い。
- 化学工業品:機能性材料を中心に受託案件が堅調。稼働率改善が寄与。
- 生活衣料:国内は価格志向・店舗減少で逆風、海外販売は品質評価に支えられ堅調。
- 課題:半導体サイクルの変動、顧客認定・切替の難易度、素材価格・為替の変動、アパレル国内市場の縮小傾向。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期計画「増強21-25」最終年度:事業ポートフォリオの改革と各事業の増強を基本戦略に、エレクトロニクス関連(研磨材・化学)へのシフトを加速。
- 重点施策:
- 研磨材:先端半導体(HBM等)向けの製品強化、用途拡大(ウェハ/ガラス/金属)。
- 化学工業品:機能性材料の受託拡大と生産性向上(柳井・武生の稼働改善)。
- 生活衣料:海外比率の拡大とコスト管理。
- 通期予想は据え置き(売上4,620億円→誤り注意/正しくは462億円、営業利益70億円、純利益47億円)とし、計画どおりの進捗を想定。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:高付加価値の研磨材が利益の柱、化学工業品は受託で比較的安定、生活衣料は景気・為替に感応。
- 持続性のポイント:
- 先端半導体市場の拡大が中期的な追い風。パッドは顧客認定・評価に時間を要し、切替コストが一定あるため、関係強化が収益安定に寄与。
- 事業分散(研磨材・化学・衣料)によりサイクル変動の緩衝が可能。
- リスクは半導体市況の波、原材料・エネルギー価格、為替(円安は衣料コスト押し上げ)。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:ポリッシングパッド「POLYPAS」を核に、シリコンウェハや液晶ガラス、金属など多用途の精密研磨に対応。機能性フィルム/不織布、合成中間体など、材料技術の裾野が広い。
- 収益牽引:研磨材事業(Q1売上524億円→注:単位は百万円、実額は52.4億円、セグメント利益147.9億円→同14.79億円)で利益率が高く、連結営業利益の約76%を寄与。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標(現値6,470円):
- PER(予想):15.60倍(EPS予想414.85円)
- PBR(実績):1.53倍(BPS 4,224.16円)
- 配当利回り(予想):2.32%(年150円)
- EV/S(LTM):約1.55倍(EV≒6,718億円、売上LTM≒429億円)
- 業界平均(参考):PER 21.7倍、PBR 1.0倍(繊維製品平均)
- 相対評価(参考計算):
- PER基準の仮想株価:414.85円×21.7倍≈9,000円(現値はこの水準を下回る)
- PBR基準の仮想株価:4,224円×1.0倍≈4,224円(現値は上回る)
- コメント:PER面では業界平均比で低位、PBR面ではプレミアム。事業構成(半導体関連比重)や収益性の差を勘案した複合評価が必要。
7. テクニカル分析
- トレンド指標:50日移動平均6,518円、200日移動平均5,498円。現値は50日線をやや下回り、200日線を上回る(中長期は上向き、短期は調整局面)。
- 位置づけ:年初来高値7,060円に対し約-8%の位置。直近10日では高値切り下げ・戻り売り優位の値動き(6,400〜6,800円レンジ)。
- 出来高:直近は3カ月平均並み(約3.5万株)。ボラティリティはβ0.50と低位。
- 参考水準:支持帯6,400円近辺、抵抗帯6,700〜7,000円帯(足元の値動きからの参考)。
8. 財務諸表分析
- 成長性:
- 売上高:36,108百万円(2024/3)→42,912百万円(LTM)で約+18.8%。
- Q1(2026/3期):売上+8.4% YoY、純利益+37.6% YoY。
- 収益性(LTMベースの概算):
- 粗利率:約34.7%(14,884/42,912)
- 営業利益率:約15.1%(6,479/42,912)[参考:指標ベース17.2%]
- EBITDAマージン:約23.7%(10,180/42,912)
- 当期純利益率:約10.4%(4,477/42,912)[参考:指標ベース11.15%]
- 資本効率:
- ROE:実績9.79%、LTMベース約10.6%
- ROA:6.62%(LTM)
- 安定性:
- 自己資本比率:71.3%(期末実績)/72.7%(Q1)
- 流動比率:約212%(Q1)
- 有利子負債D/E:約0.75%(極めて低位)、金利負担は軽微(LTM利息費用20百万円)。
- キャッシュフロー:四半期CFは未作成注記。減価償却は年換算で約35〜36億円規模(LTM3,522百万円)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:前期実績130円 → 今期予想150円(中間75円+期末75円)。予想配当性向は約36%(150/予想EPS414.85)。トレーリング配当性向は約32%。
- 自己株式:短信に自己株式取得の記載(規模詳細不明)。発行済株式数は微減傾向。
- 参考:5年平均配当利回り2.75%に対し、現行予想利回り2.32%(株価上昇により利回りは平均を下回る水準)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週で+38.8%。短期は調整気味だが200日線上でのトレンド維持。
- 信用動向:信用倍率1.78倍。買い残・売り残ともに増加で拮抗感。
- オーナーシップ:機関投資家保有比率約69%。β0.50で安定志向の資金にも親和性。
- 需給・イベント:直近決算通過、次の主なイベントは配当権利落ち(2026/3/30予定)。半導体関連ニュースフロー(AI/HBM投資動向)が株価への感応要因。
11. 総評
- 収益の柱である研磨材が先端半導体需要(AI/HBM)を背景に伸長し、化学工業品も稼働改善で追随。生活衣料の国内は逆風だが全体収益を大きく左右する度合いは限定的。
- 収益性はコロナ後の反動やポートフォリオ改革の成果で改善。ROEは10%前後、自社株・配当で資本効率の維持に配慮。
- 財務健全性は極めて高く、景気変動耐性は相対的に高い。一方、半導体サイクルや原材料・為替の影響、アパレル国内需給といった外部要因への目配りが必要。
- バリュエーションはPERで業界平均比低位、PBRでプレミアム。収益構造(半導体関連の高収益ミックス)を踏まえたセクター横断比較が妥当。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上+18.8%、Q1売上+8.4% YoY、3年CAGR概算+6%程度。
- 収益性:A
- 根拠:営業利益率15%台、EBITDAマージン20%超、粗利率も改善。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率70%超、流動比率200%超、D/E約0.75%。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均比で低位、PBRは平均超。総合すると中立。
(注)本資料は公開データに基づく客観的整理であり、投資勧誘・助言を目的とするものではありません。数値はLTM/会社予想/Q1短信のいずれかに基づき、単位の違い(百万円/億円)に留意しています。
企業情報
銘柄コード | 3104 |
企業名 | 富士紡ホールディングス |
URL | http://www.fujibo.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 繊維製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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