東洋紡(3101)企業分析レポート
注:本レポートは提供データに基づく情報整理であり、投資助言を行うものではありません。
1. 企業情報
- 概要:1882年創業の素材メーカー。フィルム・機能ポリマー、環境・機能材、ライフサイエンス、機能繊維を多角展開。繊維起源ながら非繊維事業が柱。
- セグメント(外部売上構成目安/利益率カッコ内は会社提示の参考値)
- フィルム:40%(営業利益率目安:4%台)…包装用(PET/PE/ナイロン)、液晶偏光子保護、工業用・離型用途など
- ライフサイエンス:8%(6%)…診断薬用酵素、医療膜・医療機器、医薬品CDMO等
- 環境・機能材:26%(7%)…エンプラ、接着剤、光機能材、水処理膜、フィルター、不織布
- 機能繊維・商事:23%(1%)…エアバッグ基布・原糸、機能繊維、衣料・商事
- 不動産・その他:1%(33%)…賃貸等
- 特徴:エアバッグ原糸・基布で世界上位級。液晶・電子部材向けフィルム、水処理膜など高付加価値素材に強み。
- 海外売上比率:約40%(2025.3)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:
- エアバッグ原糸・基布は世界上位のプレーヤーの一角。
- 包装・工業フィルムでは国内大手グループの一角(競合例:東レ、三菱ケミカルG、帝人、クラレ等)。
- 水処理膜や医療膜、診断薬原料などニッチ高機能市場にポートフォリオを保有。
- 競争優位性:
- 高分子設計・成膜・延伸・複合化など基盤技術の蓄積。
- 価格改定の進展(包装用・エンプラなど)と高機能品シフト。
- セグメント分散によるサイクル耐性の一定の確保。
- 課題:
- 自動車・電子材料など景気連動色の強い領域の需要変動。
- EV関連装置の需要減速(VOC回収装置など)の影響。
- ROE/利益率の低位、負債厚めの資本構成。
3. 経営戦略と重点分野
- 会社方針(短信・提供資料ベース)
- 価格改定の定着(包装用フィルム、エンプラ、CRO/受託など)。
- 高機能・高収益品の拡販(液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」、セラミックコンデンサ用離型フィルム、医療膜等)。
- 不採算領域の見直し(スポーツ用途などから撤退、国内不織布体制見直し)。
- 2026年3月期 通期計画(変更なし)
- 売上高 4,400億円(前期比+4.3%)
- 営業利益 210億円(+26.1%)
- 経常利益 155億円(+46.4%)
- 親会社純利益 45億円(+124.6%)
- EPS 51.05円
- 注力領域:包装・電子材料フィルム、医療・ライフサイエンス、水処理・環境対応素材、エアバッグ関連の収益性改善。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:汎用品×価格改定の定着+高機能・用途特化品のミックス改善でマージン確保。賃貸・その他で安定収益も補完。
- 需要変化への適応:
- 電子材料・自動車のサイクル変動には影響を受けやすい一方、高機能フィルム/医療膜等の伸長で平準化を図る。
- 不採算撤退・体制見直しによる固定費吸収力の改善を進捗。
- リスク:原材料/為替、地政学、EV関連投資減速、LCD/電子部材の需給変動。
5. 技術革新と主力製品
- 技術:成膜・延伸・表面改質、膜分離、酵素・バイオプロセス、複合材料・接着・光学制御等。
- 主力・牽引製品
- 液晶偏光子保護フィルム(コスモシャインSRF):堅調。
- セラミックコンデンサ用離型フィルム:販売拡大。
- 包装用フィルム:価格改定進展で収益改善。
- 医療膜(人工腎臓用中空糸膜)、診断薬用酵素・CDMO:堅調/改善。
- エアバッグ基布・原糸:足元は顧客減産の影響。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:1,122円
- 予想EPS:51.04円 → 予想PER:約21.98倍(業界平均PER 21.7倍と同水準)
- 実績BPS:2,193.95円 → PBR:約0.51倍(業界平均PBR 1.0倍を下回る)
- EV/Sales(LTM):約0.79倍
- 時価総額 約9,991億円→訂正:99,913百万円=約999億円
- 有利子負債 2,651億円、現金 308億円 → EV 約3,342億円
- 売上高LTM 約4,220億円 → EV/S ≈ 0.79倍
- 配当利回り(会社予想):3.57%(40円/株)
- コメント:PBR・EV/Sは抑えめ、PERは業界並み。低ROE(実績1.02%)も勘案すると資本効率改善の進捗が評価のカギ。
7. テクニカル分析
- 位置:年初来高値 1,181円に対して現値は約5%下、年初来安値 808円に対して約39%上。50日線 1,104.6円、200日線 974.7円を上回る上昇基調維持。
- 直近の値動き(10日):1,100〜1,142円のレンジ推移で徐々に切り上げ。出来高は3カ月平均 38.7万株に対し10日平均 24.2万株とやや細り。
- β(5年):0.20(指数連動性は低め)。
- 総合:短中期は上昇トレンド内の高値圏寄り。出来高は落ち着き、ブレイクには新規材料が意識されやすい局面。
8. 財務諸表分析(年度推移・LTM)
- 売上高(百万円):2022/3 375,720 → 2023/3 399,921 → 2024/3 414,265 → LTM 422,032
- 3年CAGR 約+3.9%、LTM YoY 約+1.9%
- 利益性(LTMベース)
- 粗利率:97,055 / 422,032 ≈ 23.0%(2024/3:21.3% → 改善)
- 営業利益率:16,653 / 422,032 ≈ 4.0%(2024/3:2.2% → 改善)
- 当期純利益率:2,003 / 422,032 ≈ 0.5%
- EBITDA:32,048 → EBITDAマージン ≈ 7.6%(2024/3:6.5% → 改善)
- 効率・資本
- ROE(実績):1.02%、ROA(LTM):1.96%(低位)
- 自己資本比率:31.6%(40%未満)
- D/E(総負債/資本):約116%(Total Debt/Equity)
- 流動比率:1.79倍(流動性は良好)
- 金利負担:営業外費用(利息)拡大傾向(1,211→2,182百万円、LTM)
- 四半期(2026年3月期1Q)
- 売上高 1,029億円(-2.2%)、営業利益 56.7億円(+80.2%)、営業利益率 ≈ 5.4%
- 価格改定・製品ミックス改善が寄与。セグメント利益はフィルムが牽引。
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当:年間40円(期末 40円)
- 予想利回り:3.57%(株価1,122円)
- 配当性向:
- トレーリング:約176%(過去の低利益を反映)
- フォワード:約78%(40円 / 51.05円)
- 自社株買い:提供資料に新規の開示記載なし(自己株口 約0.98%保有)。
- 方針コメント:利益回復とバランスシートの健全化が配当の持続性を左右。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週変化 +14.96%(S&P500 +13.84%と同程度)。移動平均上方で推移。
- 信用動向:信用買残 41.8万株、売残 4.0万株、信用倍率 10.36倍(買い長)。短期の需給変動に留意。
- 保有構造:機関投資家 約28.7%、インサイダー 6.2%。主要株主は信託銀行口、国内生保、海外インデックス等。
- 近接イベント:決算発表 2025/11/10、権利落ち(予告)2026/3/30。材料接近時のボラティリティに注意。
11. 総評
- フィルム・高機能材・ライフサイエンスの三位一体で利益体質の改善が進展。1Qは価格改定の定着と高機能品の伸長で利益率改善を確認。
- 一方で、ROE・純利益率はまだ低位で、負債水準は相対的に高い。資本効率の引き上げと有利子負債の適正化が中期課題。
- バリュエーションはPERが業界並み、PBR/EV/Sは抑制的。利益回復の継続と構造的な収益性改善が評価織り込みのカタリスト。
- 需要サイクル(電子・自動車・EV関連装置)と原材料/為替の変動が短期業績の主要ドライバー。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 根拠:LTM売上YoY +約2%、3年CAGR +約3.9%(緩やかな成長)。
- 収益性:C
- 根拠:LTM営業利益率 ≈4.0%、純利益率 ≈0.5%、ROE 1.0%と業界平均を下回る水準。
- 財務健全性:C
- 根拠:自己資本比率 31.6%(40%未満)、D/E ≈116%と負債厚め。流動比率は良好。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PERは業界並みだが、PBR 0.51倍、EV/S ≈0.79倍と相対的に抑制的。
(注)一過性損益は除外し、欠損データはB評価とするルールに準拠。
データ出所:提供の株価・財務・決算短信要約(2025/10/19時点)。各種比率計算は四捨五入のため誤差を含む可能性があります。
企業情報
銘柄コード | 3101 |
企業名 | 東洋紡 |
URL | http://www.toyobo.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 繊維製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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