栗本鐵工所(5602)企業分析レポート
株価:1,810円(2025-10-17終値)/市場区分:プライム/業種:鉄鋼
1. 企業情報
- 概要
- 1909年創業の老舗重工メーカー。国内外でダクタイル鋳鉄管・各種バルブ、産業機械(破砕・粉砕・乾燥・焼成・混練など)、産業・建設資材(消音・防音、FRP 等)を展開。
- 報告セグメント:ライフライン(上下水道・バルブ等)、機械システム(破砕機・鋳物・鍛圧機等)、産業建設資材(建材・化成品等)。
- 事業構成(2025/3期):ライフライン49%、機械システム24%、産業建設資材26%(カッコ内は粗い利益率目安と解される6%、6%、8%の記載あり)。
- 直近動向
- 2025年10月に1→5の株式分割を実施。M&A(ツカサ工業、三協機械)によりグループ補強。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- ダクタイル鋳鉄管では国内大手の一角(概ね国内2位とされる)。バルブ・水インフラ更新需要を取り込む体制。
- 産業機械では破砕・粉砕・乾燥・焼成装置や鋳物・鍛圧機を持ち、エンジニアリング対応も可能。
- 競争優位性
- インフラ更新需要に強い製品群、鋳物・機械・エンジの垂直統合的な対応力、FRPや消音技術、二次電池関連製造装置などの分野横断での提案力。
- 課題
- 公共投資・原材料/エネルギー価格・為替の影響を受けやすい収益構造。大型案件の期ズレによる売上の変動性。鋼材・エネルギー高止まり局面ではマージン圧迫。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・中計の方向性(短信要旨)
- 中期3カ年計画に基づく収益力強化を継続。グループ会社の活用とM&Aで事業基盤を拡充。
- 重点施策(読み取り)
- インフラ更新需要(上下水、プラント)への確実な対応と案件組成力の強化。
- 産業建設資材の伸長(消音・空調、化成品)と高付加価値領域(FRP、耐熱・耐摩耗鋳物等)の深耕。
- 二次電池関連製造装置など成長領域への展開。
- 原価改善、製販エンジ一体のプロジェクト採算管理を徹底。
- M&A(ツカサ工業、三協機械)のシナジー創出。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- ライフラインは公共インフラ更新需要に支えられ、中長期で需要の底堅さ。機械・資材は民間投資や産業トレンドに連動。
- 耐性・適応力
- 原価改善や価格転嫁の取り組み進展。製品多角化とM&Aで景気感応度の分散を図る一方、原材料・エネルギー高や為替変動の影響は残存。
- 大型案件の期ズレに伴う四半期変動性には留意。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・製品ポートフォリオ
- ダクタイル鋳鉄管、各種バルブ(ゲート、バタフライ、圧力調整等)、破砕・粉砕・乾燥・焼成装置、混練・反応・造粒機、FRP・消音材、耐熱/耐摩耗鋳物、鍛圧機ほか。
- 二次電池関連製造装置、プラントエンジニアリングにも展開。
- 収益ドライバー
- 安定:ライフライン(上下水・バルブ)
- 成長:産業建設資材(消音・化成品等)、高付加価値鋳物・装置、二次電池関連装置
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提(株価1,810円、分割後指標)
- 予想EPS:115.44円 → 予想PER:約15.68倍
- 実績BPS:1,428.58円 → 実績PBR:約1.27倍
- 時価総額:1,158億円
- 直近現金:218.8億円、負債:201.2億円 → EV ≈ 1,140億円
- LTM売上高:1,266.7億円 → EV/S ≈ 0.90倍
- 業界平均との比較(参考)
- 業界平均PER:約8.0倍、PBR:約0.6倍
- 同社はPER・PBRともに業界平均を上回る水準。EV/Sは概ね1倍弱。
- 配当
- 会社予想DPS:57.6円、配当利回り:約3.18%、配当性向:約50%(LTM EPSベースで概ね半分程度)
(注)一過性損益の影響はPERには限定的、PBRはB/S基準。業界比較は単純平均のため事業構成差に留意。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:1,667円、200日:1,203円。株価は両移動平均を上回り、中期・長期とも上昇トレンド。
- 52週高値:1,975円、安値:740円。現値は高値から約8%下、レンジ上限付近。
- 足元の値動き
- 直近10営業日は1,710~1,929円台で高ボラティリティ。10/17は1,810円で安値引け。
- 出来高は3カ月平均(約152万株)に対し直近も流動性は良好。
- 需給
- 信用買残126万株・信用倍率4.85倍。買い残の積み上がりは上昇時の押し戻し要因/下落時の需給悪化要因となる可能性。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(連結、百万円)
- 売上高:2022/3 105,954 → 2023/3 124,827 → 2024/3 125,925 → 過去12か月 126,669
- 3年CAGR:約+6.1%、LTM YoY:約+0.6%
- 営業利益:4,172 → 6,840 → 7,461 → 7,930(営業利益率 約6.3%)
- 親会社純利益:2,917 → 4,727 → 5,470 → 6,905(純利益率 約5.5%)
- 粗利率:26.3%(LTM、33,282/126,669)
- EBITDA:12,792(EBITDAマージン 約10.1%)
- 収益性(補足)
- 四半期(2026/3期1Q)営業利益率:約4.0%。一部投資有価証券売却益計上で純利益が伸長(1Q一過性要素あり)。
- 効率・安全性
- ROE:8.15%、ROA:3.37%(LTM)
- 自己資本比率:57.9%、流動比率:1.84倍、D/E:約0.23倍(Debt/Equity 22.97%)
- 財務健全性は良好。手元資金>有利子負債で実質ネットキャッシュに近い水準。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 予想DPS:57.6円(分割後表示)、利回り約3.18%、配当性向約50%。
- 5年平均配当利回り:約4.1%(株価上昇で足元利回りは平均を下回る水準)。
- 自社株
- 自己株式比率:約5.0%。直近で新規の自己株買い方針の明示は情報上確認不可(保有は継続)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落:+130.9%。中長期で強い上昇モメンタム。
- Beta(5年月次):0.23と低いが、直近はテーマ・需給で相対的に大きく上昇。
- 投資家関心
- 機関保有比率:約42.5%。信用買いの積み上がり(倍率4.85倍)が短期フローに影響。
11. 総評
- インフラ更新需要を背景に、ライフラインを中核としつつ、産業建設資材や高付加価値機械で収益源を多様化。M&A効果の取り込みと原価改善の継続で、中期的な収益力は底上げ傾向。
- 財務は堅健(高自己資本比率、実質的にネットキャッシュに近い)。一方、原材料・エネルギー価格、為替、公共投資サイクル、大型案件の期ズレなど外部要因への感応度は残る。
- バリュエーションは業界平均(鉄鋼)比でプレミアム(PER・PBR)だが、事業ポートフォリオの安定性・収益性や成長投資を市場が評価している可能性。テクニカル面では上昇トレンド継続の中で直近はレンジ上限圏の推移。
(注)本レポートは提供データに基づく客観的整理であり、投資助言ではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 理由:3年CAGR約+6.1%。LTM売上はYoY+0.6%と足元は横ばい~微増だが、中期では拡大基調。
- 収益性:A
- 理由:LTM粗利率約26%、営業利益率約6.3%、EBITDAマージン約10%。鉄鋼セクター平均を上回る水準と評価。
- 財務健全性:S
- 理由:自己資本比率約58%、流動比率1.84倍、D/E約0.23倍。手元資金厚く健全。
- 株価バリュエーション:C
- 理由:PER約15.7倍・PBR約1.27倍は業界平均(PER8倍、PBR0.6倍)を上回る。EV/Sは約0.9倍で中立寄りだが、総合的には割高寄り評価。
参考データ(主な数値の再掲)
- LTM:売上1,266.7億円、営業益79.3億円、純利益69.1億円、EPS 113.9円
- 2026/3期会社予想:売上1,250億円、営業益75億円、純利益70億円、EPS 115.4円
- 配当予想:57.6円(利回り約3.18%)
- 技術・製品:ダクタイル鋳鉄管・バルブ、破砕/粉砕/乾燥/焼成装置、FRP、消音材、二次電池関連装置 等
ご希望があれば、セグメント別の詳細推移、EV/EBITDA等の追加指標、感応度分析(原材料・為替)なども計算・補足します。
企業情報
銘柄コード | 5602 |
企業名 | 栗本鐵工所 |
URL | http://www.kurimoto.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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