ニッコンホールディングス(9072)分析レポート
株価:3,410円(2025-10-20終値)/市場:東証プライム/業種:陸運業(Integrated Freight & Logistics)
— 本レポートは提示データに基づく客観的な企業分析であり、投資助言ではありません。数値は概算を含みます —
1. 企業情報
- 概要:自動車完成車輸送で国内大手(ホンダ向けが主力)。運送・倉庫・梱包・テストの4事業に加え、通関、包装材、システム、再エネ等も展開。2015年に現社名へ変更。海外比率は18%(2025.3)。
- 事業構成(売上構成比/セグメント利益率の目安):運送48%(約5%)、倉庫16%(約21%)、梱包23%(約7%)、テスト10%(約17%)、その他3%(0%)。高収益は倉庫・テスト、梱包も安定貢献。
- 人員:連結従業員 13,799人、平均年齢43.4歳、平均年収461万円。
- 特徴:完成車輸送首位級のポジションと、梱包・倉庫・テストまで一気通貫で提供する複合物流モデル。累進配当を掲げる。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:自動車完成車輸送で首位級(ホンダ・いすゞなど顧客基盤)。完成車・部品・住宅設備など幅広い荷主を持つ。
- 競争優位性
- 自動車バリューチェーンに沿った一気通貫のサービス(輸送×倉庫×梱包×テスト)で付加価値が高く、価格交渉力・スイッチングコストの抑制に寄与。
- 倉庫・テストの高い収益性が、運送のコスト上昇を一部吸収。
- 海外M&A(米SPMA)により北米の輸送機能を補強。
- 課題
- 物流業界共通の人手不足・人件費/燃料費上昇。
- 自動車生産・販売サイクルへの依存度(ホンダ軸の需要変動)。
- M&Aに伴うのれん償却・統合コスト、為替影響。
3. 経営戦略と重点分野
- 戦略の方向性
- 事業ポートフォリオの強化:運送の量とネットワーク拡大、倉庫の新増設、梱包・テストの効率化で収益性向上。
- M&A活用:米国での輸送M&A(SPMA子会社化)。規模拡大と顧客接点の拡充を志向。
- 価格適正化:運賃改定や付帯サービスの付加価値化でコスト上昇に対応。
- 直近(2026年3月期1Q)トピック
- 売上は+13.6%増、営業利益は横ばい(のれん・無形償却やイニシャルコスト、為替差損で最終利益は減少)。
- 通期予想は据え置き(売上高2,800億円、営業利益280億円、EPS 165.45円)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:基盤の輸送に加え、保管(倉庫)、梱包設計/包装材、車両・部品テストの付加価値でマージンを積み上げ。長期取引が多く、稼働率と単価調整が鍵。
- 持続性評価
- 需要:自動車/二輪のグローバル供給網は継続。EV・CASEへの移行で部品構成が変化し、テスト・梱包のニーズは継続(内容は変容)。
- コスト適応力:燃料・人件費の上昇を、運賃適正化と高付加価値領域で吸収できる体制。Q1は償却・為替で一時的に圧迫。
- 地理分散:海外比率18%まで拡大、為替・統合管理の難度は上がるが、成長機会も拡大。
5. 技術革新と主力製品
- 技術/独自性:梱包設計(仕様設計、専用パレット/台車など)と包装材開発、車両・部品テストサービスのノウハウ。物流設計と梱包・検査の統合で効率化を実現。
- 主力領域:完成車輸送、部品倉庫保管、輸出梱包/流通加工、四輪・二輪テスト。倉庫・テストが収益牽引、梱包も堅調(ただしQ1は一部子会社で減益)。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標(現株価3,410円)
- 予想PER:20.61倍(EPS 165.45円)/業界平均PER:13.9倍 → プレミアム水準
- 実績PBR:1.71倍(BPS 1,994.06円)/業界平均PBR:1.0倍 → プレミアム
- 参考EV/EBITDA(概算):約13.2倍(EV ≒ 時価総額4313億円 + ネット有利子負債約908億円、EBITDA約395億円)
- 参考EV/S(概算):約2.0倍(EV約5,221億円/売上TTM約2,557億円)
- 配当利回り(会社予想):2.17%(年間74円)/Payout比率:約44%
- コメント:完成車輸送首位級+高付加価値セグメントの構成を反映し、PER・PBRともに業界平均比で高め。TTMベースではPER換算でさらに高く見える点(LTM EPS 123円前後)に留意。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 52週高値3,544円・安値1,850.5円の高値圏。現在は高値から約−3.8%。
- 50日線:3,359円、200日線:2,931円。株価は両移動平均線を上回り、中期上昇トレンドを維持。
- 直近10日:3,360〜3,520円レンジでの揉み合い。3,500〜3,544円に上値抵抗、3,350円近辺が支持。
- 出来高・需給
- 3カ月平均出来高約32万株、直近はやや減少基調。
- 信用倍率0.26倍(売り長)。ショート優位の需給で、価格変動はニュースフローに敏感になりやすい。
8. 財務諸表分析
- 収益・成長
- 売上高:1,981億円(2022)→2,121億円(2023)→2,223億円(2024)→2,479億円(2025)と増収基調(2022→2025の3年CAGR約+7.8%)。2026/1Q売上は前年同期比+13.6%。
- 収益性
- 粗利率:2025期 15.7%(前年14.7%から改善)。
- 営業利益:195億円(2022)→196億円(2023)→212億円(2024)→232億円(2025)。営業利益率は2025期で約9.3%。2026/1Qは7.6%(一時コスト・償却増で低下)。
- EBITDA:2025期約395億円、EBITDAマージン約15.9%。
- 最終損益
- 親会社純利益:147億円(2022)→159億円(2023)→166億円(2024)→166億円(2025)。2026/1Qは為替差損・税負担増で減益。
- 効率・資本
- ROE:実績6.79%(LTM約6.0%)、ROA:3.39%。
- 財務健全性
- 自己資本比率:56.4%(Q1は55.5%)。
- 流動比率:1.26倍。
- 有利子負債:約1,278億円、現金等約370〜450億円(資料により差異)、ネット有利子負債は概ね900億円前後。
- ネット有利子負債/EBITDA:およそ2.3倍(許容範囲内)。
- セグメント(2026/1Q)
- 運送:売上3,035億円、利益182億円(利益率約6.0%)
- 倉庫:売上1,052億円、利益212億円(約20.1%)
- 梱包:売上1,396億円、利益95億円(約6.8%)
- テスト:売上586億円、利益75億円(約12.8%)
- その他:損失計上(−64.8億円)
- 高収益の倉庫・テストが全社マージンの底上げに寄与。
9. 株主還元と配当方針
- 方針:累進配当を公表。2026年3月期は年間74円(中間37円・期末37円)予想に変更なし。
- 配当性向:概ね44%(会社予想ベース)。
- その他:自己株式保有約4.35%。2024年9月に1→2の株式分割を実施。自社株買いの新規公表はデータ上確認不可。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週騰落+79.9%と強い12カ月モメンタム。直近は高値圏での持ち合い。
- 投資家属性:機関投資家保有比率約54.5%、インサイダー約20%。完成車大手(ホンダ・いすゞ)との資本関係・取引関係が安定性に寄与。
- イベント
- 決算発表予定:2025-11-07
- 権利落ち予定:2026-03-30
- 価格ドライバー
- 自動車生産計画・輸出動向、運賃適正化の進捗、M&A後の統合・償却負担、為替動向、燃料価格、人件費・労務環境。
11. 総評
- 事業面:完成車輸送での強い顧客基盤と、倉庫・梱包・テストの高付加価値セグメントが収益を支える。海外M&Aで成長余地を拡大する一方、のれん償却や統合コストが短期利益を圧迫。
- 財務面:自己資本比率は50%超で健全、ネット有利子負債/EBITDA約2.3倍は許容範囲。ROEは6〜7%台で安定。
- 株価・評価:PER・PBRは業界平均比でプレミアム。高収益セグメント構成と安定配当が評価される一方、足元の利益率低下(償却/為替)や自動車サイクル依存、コスト環境には注意が必要。
- テクニカル:中期上昇トレンドの高値圏での持ち合い。需給は売り長(信用倍率0.26倍)。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 理由:2022→2025期の3年CAGR約+7.8%、2025→2026/1Qも2桁増収。M&Aと倉庫増設が寄与。
- 収益性:A
- 理由:2025期営業利益率約9.3%、EBITDAマージン約16%。倉庫・テストの高いセグメント利益率。足元Q1は7.6%に低下も水準は良好。
- 財務健全性:A
- 理由:自己資本比率56%台、流動比率1.26倍、ネット有利子負債/EBITDA約2.3倍と健全域。
- 株価バリュエーション:C
- 理由:予想PER20.6倍、PBR1.71倍、EV/EBITDA約13倍と業界平均比で割高圏。
参考データ(抜粋)
– 時価総額:4,313億円/発行株式:1億2,648万株
– 予想EPS:165.45円/実績BPS:1,994.06円
– 予想配当:年74円(利回り2.17%、累進配当)
– ROE:6.79%(実績)/自己資本比率:56.4%
– 50日移動平均:3,358.76円/200日:2,931.07円
– 信用倍率:0.26倍(売り長)
(注)本分析は提示データに基づく定量・定性評価です。業績・株価は為替・市況・需給・政策・会計方針等により変動します。投資判断はご自身の責任で最新の開示資料をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 9072 |
企業名 | ニッコンホールディングス |
URL | http://www.nikkon-hd.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 運輸・物流 – 陸運業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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