ルネサスエレクトロニクス(6723)企業分析レポート
株価:1,917.5円(2025-10-20終値)/時価総額:約3.59兆円
1. 企業情報
- 概要:自動車向けと産業・インフラ・IoT向けに強みを持つ半導体大手。車載マイコン(MCU)で世界首位級。SoC、アナログ/パワー半導体、センサー、コネクティビティなど広範な製品群を保有。
- セグメント構成(2025/1-6 中間期 売上):自動車 50.0%、産業・インフラ・IoT 49.2%、その他 0.7%。
- 事業の特徴:MCU×アナログ/パワー×ソフトウェアを組み合わせた「プラットフォーム/Winning Combinations」による提案力が強み。長期供給と品質が重視される車載・産業用途に適合。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:車載MCUで世界首位級。競合はNXP、Infineon、STMicro、Microchip等。インフラ・産業向けでもMCUと電源、タイミング、インターフェース等のアナログ/ミックスドシグナルで厚み。
- 競争優位性:
- 車載の長期設計採用(デザインイン)と高い切替コストによる粘着性。
- 買収(Intersil、IDT、Dialogなど過去実績、直近はTransphorm/GaN)で補強したアナログ/パワーとソフト資産。
- 課題:
- 半導体サイクルと在庫調整の影響、地域需要の変動(中国依存度の管理)。
- のれん・無形資産の大きさ、M&A後の統合・収益化、WBG(GaN/SiC)投資の採算管理。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略:
- 自動車(制御・IVI/ADAS)と産業・インフラの成長領域に集中。
- MCU中核にアナログ/パワー、RF、センサー、ソフトウェアを統合したソリューション展開。
- 重点施策(直近動向):
- GaN強化:Transphorm買収でWBGポートフォリオ拡充。
- NFC等アナログIP拡張(Panthronics)。過去M&Aで電源・タイミング・ミックスドシグナルのラインアップを強化。
- Wolfspeed再建支援契約関連の損失を計上(2025年中間期、金融費用に約2,350億円)。一時的性格の費用認識が損益に影響。
- 見通し開示:通期予想は非開示、四半期累計レンジでのNon-GAAP指標を重視。2025年Q3累計のNon-GAAP営業利益率ガイダンス中央値は27.5%。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:車載・産業は開発リードタイムが長く、製品寿命も長い。設計採用後の継続出荷で収益回収。付加価値はアナログ/パワーやソフトに広がる。
- 需要変化への適応:ポートフォリオ多角化(MCU/SoC+アナログ/パワー+コネクティビティ)、M&A活用で技術補完。サイクル影響は受けるが、組み込み用途で相対的に安定。
- リスク:サイクル悪化時の在庫圧力、為替、M&A償却・のれん、WBG投資の立ち上がり。
5. 技術革新と主力製品
- 主力製品:車載制御向けMCU(RH/RL/RA/RX系)、車載SoC(R-Car)、電源・パワー(PMIC、FET/ドライバ、DC/DC)、タイミング、インターフェース、センサー、無線(BT/Wi-Fi/NFC)など。
- 技術動向:
- WBG(GaN/SiC)強化により高効率電源、車載・産業電力変換での競争力向上を狙う。
- RF/タイミング技術(IDT系)や電源(Intersil系)との統合でシステム最適化を訴求。
- 収益牽引:車載MCU・SoC、産業向けMCU+アナログ/電源の組み合わせ案件。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- BPS(実績):1,122.90円、株価:1,917.5円 → PBR=約1.71倍(開示値と一致)。
- 参考比較:業界平均PBR 1.6倍に対し、同社PBRは約+6.9%のプレミアム。
- PER:直近12カ月EPSが赤字(-53.62円)のため有意な算定不可。
- 売上倍率:
- PSR=時価総額/売上(LTM)=約2.82倍。
- EV/S=(時価総額+有利子負債−現金)/売上(LTM)=約3.7倍(有利子負債約1.34兆円、現金約0.21兆円)。
- 参考水準(単純比較):業界平均PBR×BPS=1.6×1,122.9≒1,797円。現株価はこの目安比で約+6.7%上方。
7. テクニカル分析
- 52週レンジ:1,320〜2,750円。現株価は高値比-30%/安値比+45%程度の中位圏。
- 移動平均:50日線1,775円を上回り、200日線1,940円をやや下回る水準。200日線付近に上値抵抗が認められる局面。
- 短期モメンタム:10/15〜16に出来高を伴う急伸後、直近は1,900円台での持ち合い。10日平均出来高が3カ月平均を上回り、関心はやや上向き。
8. 財務諸表分析
- 売上高推移(百万円)
- 2021: 993,908 → 2022: 1,500,853 → 2023: 1,469,415 → 2024: 1,348,479 → 過去12カ月: 1,272,193
- 直近は調整局面(LTM対前年マイナス)。四半期成長率(前年比):-9.3%。
- 収益性(LTM)
- 粗利率:約55.5%(705,606/1,272,193)
- 営業利益率:約10.7%(136,770/1,272,193)
- EBITDAマージン:約29.9%(380,125/1,272,193)
- 当期純利益率:約-7.5%(一時的金融費用の影響大)
- 効率性・資本性
- ROE(LTM):-4.25%(2024年実績は9.65%)
- ROA(LTM):2.58%
- 自己資本比率:56.5%(2024年末、2025/6末は52.5%)
- 総資産:3,872,164百万円(2025/6末)、のれん 2,067,884百万円・無形 610,780百万円と無形資産比率が高い。
- キャッシュフロー(LTM)
- 営業CF:336,710百万円、レバードFCF:4,180百万円(投資・財務支出でFCFはわずかプラス)
- 流動比率:1.18、現金同等物:211,111百万円。有利子負債:1.34兆円。
- セグメント(2025/1-6)
- 自動車:売上317,136百万円、産業・インフラ・IoT:312,098百万円。Non-GAAP営業利益は両セグメントで黒字維持。
- 特記事項:Wolfspeed再建支援関連の損失約2,350億円を金融費用に計上し、中間期は最終赤字。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2024年は年間28円。2025年は中間無配、公表予想は未開示(市場データではフォワード28円・利回り約1.46%の表示あり)。
- 配当性向:30.81%(参考値、直近赤字のため実力評価は留意)。
- 自己株式:発行済の約3.2%を保有(自己株口)。自社株買いの新規方針は資料上の明示なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価推移:直近10日で反発基調からの持ち合い。52週では下落率-6.4%。
- 出来高:10日平均が3カ月平均を上回り、短期的な関心は上向き。
- 信用動向:信用買残 285万株、信用倍率 4.75倍。買い残・売り残ともに前週比減で、需給はやや整理進行。
11. 総評
- 事業基盤:車載・産業の組み込み領域で強固な地位。MCUとアナログ/パワーの組み合わせ提案力が競争力。
- 業績:サイクル調整と一時的金融費用でLTMは減益・最終赤字。ただし営業段階は黒字を維持し、Non-GAAPでは一定の利益率を確保。
- 財務:自己資本比率は50%超で耐性はある一方、無形資産・のれんが大きく、WBG投資などの回収が重要。
- バリュエーション:PBRは業界平均比で小幅プレミアム。PERは赤字で参考外。EV/S・PSRは中位水準。
- 今後の注目点:サイクル底入れ時期、WBG(GaN/SiC)事業の収益化進捗、M&Aのシナジー顕在化、車載設計案件の量産立ち上がり。
(本レポートは情報提供を目的とし、投資勧誘を意図するものではありません。)
12. 企業スコア
- 成長性:C
- 根拠:LTM売上が前年を下回り、四半期ベースも前年比マイナス。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率は約55%と良好。営業利益率はLTMで約11%まで低下(Non-GAAPでは高水準を維持)。一過性損失は除外しても、直近のマージンはピークから低下。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率50%超、D/E約0.66、流動比率1.18。現金は十分とは言い難いが耐性は確保。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは赤字で参考外。PBRは業界平均(1.6倍)比で小幅プレミアム(1.71倍)。EV/S・PSRは中位圏で総合的に中立評価。
以上。
企業情報
銘柄コード | 6723 |
企業名 | ルネサスエレクトロニクス |
URL | http://japan.renesas.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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