新日本科学(2395)企業分析レポート
株価: 1,589円(2025-10-21)/市場: 東証プライム/業種: サービス業(Diagnostics & Research)
1. 企業情報
- 概要と事業内容
- 国内最大手の非臨床CRO(Contract Research Organization)。医薬品・医療機器・再生医療等の非臨床試験(安全性薬理・薬物動態・規制対応)を主力に、臨床(新日本科学PPDの持分法会社を活用)も展開。
- トランスレーショナルリサーチ(TR)事業では、独自の経鼻投与技術(SMART)を軸としたライセンス・投資・創薬支援(Gemseki等)。Satsuma社の片頭痛薬(Atzumi™)がFDA承認済みで、事業化投資を進行。
- メディポリス事業(地熱・温泉発電、ホテル運営等)や米国不動産も保有するが、連結売上の中心はCRO。
- 事業構成(連結・参考)
- CRO 97%、TR 0%、メディポリス 1%、米国不動産 0%、その他 1%(売上比、括弧内は営業利益貢献度の目安)
- 地理
- 海外売上比率 約34%(2025.3期)
- 従業員
- 1,541人、平均年齢39.3歳、平均年収626万円
- 特徴
- 非ヒト霊長類(NHP)の繁殖・供給を自社で強化し、非臨床で差別化。バイオアナリシス、MPS等の先端手法も取り込み。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内非臨床CROで首位。グローバルでは大手(Charles River等)との競争環境にあるが、国内需要・NHP供給体制・規制対応力で優位性。
- 競争優位性
- NHP内製力と非臨床の幅広い試験能力、海外顧客向け対応力、持分法の臨床ネットワーク(新日本科学PPD)の活用。
- 課題
- TR事業の投資負担による短期的な営業損失。NHPを巡る供給・規制動向、為替影響、海外景気・製薬R&Dサイクルの変動。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・中期計画(2028 Vision)
- 目標KPI:売上500億円、経常利益200億円、経常利益率40%、配当性向30–40%。
- 重点分野
- 非臨床CROの増員・設備投資(NHP供給、バイオアナリシス、MPS等)で受注拡大。
- TR事業の事業化(経鼻投与技術SMART、SatsumaのAtzumi™関連)による将来のロイヤルティ/ライセンス収益化。
- メディポリス(再エネ・ホスピタリティ)の安定運営と改善。
- 直近期の打ち手(2026年3月期Q1)
- TR関連経費の先行計上(約7.9億円)とCROの成長投資を継続。営業段階でのマイナスを持分法利益・為替差益で補完。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 基幹のCROは受託型でストック性は限定的だが、R&Dアウトソーシング拡大トレンドの追い風が強い。
- TRはヒット次第でロイヤルティ/マイルストン等の高採算収入ポテンシャルがある一方、投資フェーズの損益変動が大きい。
- 変化対応力
- 新モダリティ(核酸/遺伝子/細胞治療等)への試験受託、NHP供給の内製化、MPSなど技術導入で高付加価値化を志向。
- リスク
- NHPの供給・倫理・規制、為替、米国景気・製薬投資サイクル、TRの開発・事業化進捗に依存する不確実性。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 経鼻投与技術(SMART)を軸にした製剤開発。非臨床でのNHP試験体制、バイオアナリシス、MPS導入等。
- 収益ドライバー
- 非臨床CROが主力で利益貢献。TRは現状投資段階だが、FDA承認済み製品(Atzumi™)の事業化進展が将来寄与の可能性。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 会社予想EPS(当期):85.27円 → 予想PER:約18.6倍(業界平均PER 17.0倍)
- 直近12カ月EPS:118.29円 → トレーリングPER:約13.4倍
- BPS:853.03円 → PBR:約1.86倍(業界平均PBR 1.8倍)
- EV/S(概算):EV ≈ 時価総額664億円 + 純有利子負債約250億円 ≈ 914億円、売上約333–324億円 → EV/S ≈ 2.7–2.8倍
- コメント
- トレーリングでは市場平均並み〜やや低め、フォワードでは平均やや上。TR投資による当期減益見込みを織り込む形。
7. テクニカル分析
- 位置関係
- 50日移動平均: 1,648円、200日移動平均: 1,506円。現値は50日線を下回り、200日線を上回る中立〜弱含みの位置。
- 52週レンジ: 1,142–1,897円の中程よりやや上(レンジ進捗約59%)。
- モメンタム
- 直近10営業日で上値を切り下げ(1,700円台→1,580円台)。出来高は減少傾向。
- 需給
- 信用買残 86.7万株、信用倍率 27.1倍と買い長の需給。短期の戻りは戻り売り圧力に注意が必要な水準。
8. 財務諸表分析(傾向)
- 売上高
- 2022: 177億円 → 2024: 264億円 → 過去12カ月: 324億円前後。3年で大幅増、LTM YoYも+22%程度。
- 利益
- 営業利益:2023に約52億円でピーク、その後は投資増で減少し、LTM約30億円。2026年3月期Q1はTR投資で営業赤字(▲3.4億円)。
- 経常・純利益:持分法利益(新日本科学PPD)や為替差益の寄与で下支え(Q1経常8.0%マージン)。
- 収益性(LTM・概算)
- 粗利率 約52%(粗利169.6億円/売上324.1億円)
- 営業利益率 約9%(約29.9億円/324.1億円)
- 純利益率 約15%(約49.2億円/324.1億円)※営業外の寄与を含む
- 効率・資本
- ROE(実績)13.28%、ROA(LTM参考)約2.0%。自己資本比率 43.3%。
- キャッシュ・フロー/負債
- 現金同等物 約116億円、有利子負債 約366億円、D/E約102%、流動比率約1.14。レバレッジはやや高め、流動性は最低限の範囲。
- 注記
- 一部外部データでLTMの営業マージン表示に差異あり。会社開示の四半期決算(Q1の営業赤字)と、持分法利益寄与による経常・純利益の黒字化が乖離の主因。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 会社予想年間配当:50円(中間20円、期末30円)→ 予想配当利回り 約3.1%
- 予想配当性向:約42%(会社予想EPSベース)
- 自己株式/買戻し
- 自己株式は極少(564株)。足元で大規模な自社株買いの開示はなし。
- 方針
- 中計で配当性向30–40%を掲げる。安定配当を意識。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 短期は弱含み(50日線割れ)。年初来では200日線上で推移し中期は堅調。
- 投資家関心
- 浮動株が小さく(約264万株)、インサイダー保有が高い(約52%)。機関保有は16.6%程度。
- TR事業の事業化ニュース、CROの大型受注、為替動向が株価材料。
11. 総評
- 強み
- 国内非臨床CRO首位、NHP供給体制や先端試験能力で差別化。CRO需要はR&Dアウトソーシング拡大で構造的追い風。持分法会社の貢献も安定要因。
- 課題
- TR事業の先行投資で営業段階の利益が圧迫。レバレッジや流動性指標は中庸。NHP・為替・規制・開発進捗等の外部要因に感応。
- バリュエーション・テクニカル
- トレーリングでは平均並み〜やや割安感、フォワードは平均並み〜ややプレミアム。短期テクニカルは調整基調。
- 見通し
- CROの受注増と設備増強が業績のベース。TRの事業化進展が実現すると収益の上振れ余地もあるが、当面は投資負担とのバランスが焦点。
12. 企業スコア(S〜D)
- 成長性:A
- LTM売上YoY +16〜22%程度、3年CAGRも高水準。
- 収益性:B
- LTM営業利益率約9%(Q1は投資で赤字)。粗利率は50%超。業界内で中位評価。
- 財務健全性:B
- 自己資本比率43%と健全だが、D/E約1.0、流動比率約1.14でややタイト。
- 株価バリュエーション:B
- 予想PERは業界平均並み〜やや上、PBRも平均近辺。トレーリングでは割高感は限定的。
(注)本レポートは公開情報に基づく企業分析であり、投資勧誘・助言を目的とするものではありません。記載数値は概算・端数処理を含み、会社開示と外部データで差異がある場合は会社開示の趣旨を優先しています。情報に不足がある項目は省略しています。
企業情報
銘柄コード | 2395 |
企業名 | 新日本科学 |
URL | http://www.snbl.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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