紀陽銀行(8370)企業分析レポート
注意:本資料は公開情報の整理であり、投資助言ではありません。不明な項目は記載を省略しています。
1. 企業情報
- 概要:和歌山県を地盤とする地域銀行。県内シェア首位で、県内唯一の地銀。大阪府内の出店・取引拡大にも注力。預金・貸出、証券運用、為替、政府債販売、各種代理業務に加え、信用保証、リース、カード、システム販売・受託などの関連事業を展開。
- 事業構成(2025/3・連結の概況)
- 資金(受入):普通61%、定期28%、当座5%、他6%
- 資産(運用):貸出金70%、現・預け金14%、有価証券14%、他2%
- 融資:中小企業等向け76%、住宅・消費者向け31%(注:分類の重複により合計は100%を超える)
- 本店所在地:和歌山市本町1-35/代表者:原口 裕之
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:和歌山県で圧倒的シェア。大阪圏に進出して分散と成長を図るモデル。
- 競争環境:地元では強固な顧客基盤を持つ一方、大阪圏ではメガバンクや関西圏の地銀グループとの競合が強い。
- 競争優位性:地域密着の与信・コンサル機能、「メイン化」を軸にした企業支援力、地場企業との関係性。
- 課題:人口減少・高齢化による地元貸出需要の伸び悩み、預金金利上昇による調達コスト増、与信コスト上振れリスク。
3. 経営戦略と重点分野
- 方針:中小企業・個人の「メインバンク化」を推進し、本業支援(経営・財務コンサル、事業承継等)と資金利益・役務収益の両立を図る。
- 地域戦略:和歌山の深耕と大阪エリアでの顧客獲得(府内店舗拡大)。
- 重点指標:「顧客向けサービス業務利益」を重視(2026/3期1Qは48億円、前年同期比増)。
- 収益ドライバー:貸出金利息の増加(NIM拡大)、手数料ビジネスの強化。
- 2026/3期計画(会社予想据え置き):通期 経常収益 1,066億円、経常利益 292億円、親会社純利益 185億円(EPS 288.77円)。第2四半期に旧本店取壊関係の特別損失約20億円を見込む。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:預貸金利ざやと手数料の二本柱。足元は金利正常化で資金利益が改善する一方、預金金利上昇で利鞘縮小リスクも並存。
- 適応力:大阪展開や法人・個人の取引深耕、保証・リース・カード・システム等の周辺ビジネスで分散。与信コスト増へは審査厳格化・引当で対応。
- 構造面の留意:和歌山の人口動態は逆風。エリア分散と非金利収益拡大が鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・サービス:デジタルチャネル強化、キャッシュレス・API連携等が業界共通トレンド。グループにシステム販売・受託事業がありIT関連の知見を保有。
- 主力収益:貸出(特に中小企業向け、住宅ローン)と資金運用、信用保証・カード・リース等のフィーが補完。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価 2,925円、EPS(会社予想)288.77円、BPS(実績)3,767.35円、PER 10.13倍、PBR 0.78倍。
- 業界平均との比較(参考値)
- PER:同社 10.13倍 vs 業界平均 10.7倍 → 同水準〜やや低位。
- PBR:同社 0.78倍 vs 業界平均 0.4倍 → 業界平均より高い水準(ROEや資産内容の差を反映の可能性)。
- 参考計算
- EPS × 業界平均PER = 288.77 × 10.7 ≈ 3,089.8円(現株価比 +約5.6%の水準)。
- BPS × 業界平均PBR = 3,767.35 × 0.4 ≈ 1,506.9円(単純PBR比較では現株価は上方)。
- 補足:銀行のPBRは資本効率・含み損益・規制資本などの差で乖離が生じやすい点に留意。
7. テクニカル分析
- トレンド:50日MA 2,904円、200日MA 2,506円。株価は両移動平均上で推移し、中期的な上昇トレンド。
- 位置づけ:年初来高値 3,055円まで約4.3%の位置。年初来安値 1,861円からは大幅上昇圏。
- 直近10日:2,765→2,940→2,925と上昇後の小反落。出来高は3カ月平均(約16.7万株)と同程度。
- モメンタム:短中期は強めだが、高値圏に近づき上値の節目(3,000~3,055円)が意識されやすい。
8. 財務諸表分析
- 成長(売上・利益)
- 経常収益(売上相当):2022/3 745.7億円 → 2023/3 729.0億円 → 2024/3 682.5億円 → 2025/3 802.6億円 → 過去12か月 882.7億円。直近は回復・拡大基調。
- 税前利益:2023/3 48.7億円 → 2024/3 200.3億円 → 2025/3 232.8億円。
- 親会社純利益:2024/3 150.2億円 → 2025/3 176.2億円。LTMで約202.1億円。
- 2026/3期1Q(連結):経常利益 88.3億円(前年同期比+71.8%)、四半期純利益 63.0億円(+69.9%)。
- 収益性(LTM)
- 利益率:純利益率 22.9%、営業(経常)利益率 36.9%相当(会計定義差に留意)。
- ROE:8.53%(実績開示 7.46%は期間差・算定差)。ROA:0.34%(銀行として標準レンジ)。
- NIM:拡大傾向(会社資料の示唆)。与信コストは増加傾向に注意。
- 安全性・効率
- 総資産:6兆148億円、純資産:2,424億円(2025/6末)。
- 自己資本比率:資料注記の「表示上」は4.0%だが、規制上(国内基準)連結12.24%・単体11.42%(2025/6末)。
- 貸出金:4兆1,945億円、預金:4兆7,648億円 → 貸出/預金比率 約88%。
- 有価証券:7,771億円。金利変動の価格影響に留意。
- キャッシュフロー:四半期CFは未作成(1Q)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2025/3期 実績 110円、2026/3期 会社予想 116円(中間58円・期末58円)。予想配当利回り約3.95~3.97%。
- 配当性向:LTMベース約40.4%。
- 自己株式:発行株式の約4.81%を保有(3,235,600株)。自己株式は将来の機動的な還元手段になり得るが、具体的な買付計画は資料に記載なし。
- 権利落ち予定:2026/3/30(予定)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:+64.9%。β(5年):0.27(市場連動性は低め)。
- 信用動向:信用倍率 7.20倍。買残は前週比減少(-3,600株)、売残は小幅増(+500株)。個人投資家のロング志向が相対的に強い構図。
- 需給:浮動株 3,855万株、インサイダー保有13.33%、機関保有23.45%(データ定義差に留意)。
11. 総評
- 地域密着の安定基盤に加え、大阪展開と金利正常化で資金利益が改善。経常収益・利益は回復基調で、1Qは順調な滑り出し。
- 一方、預金金利上昇や与信コスト増、特別損失(旧本店関係約20億円想定)などの下押し要因にも注意が必要。
- バリュエーションはPERで業界平均並み、PBRは平均より高め。ROEや資産構成の差が反映されている可能性がある。
- 規制自己資本は国内基準で適正水準。貸出・預金のバランスは良好(L/D約88%)。
- 中期的には非金利収益の拡大と大阪圏でのプレゼンス向上が鍵。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D、欠損はB、一過性損益除外)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上成長(前年比+8.5%)、3年で経常収益の回復・拡大。貸出増とNIM拡大が寄与。
- 収益性:B
- 根拠:ROE 7.5~8.5%レンジ、純利益率・経常利益率は良好。与信コスト増や資金調達コスト上昇に留意。
- 財務健全性:A
- 根拠:規制自己資本比率(国内基準)連結12.24%・単体11.42%。L/D約88%。金利リスク・含み損益管理は継続注視。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均並み~やや低位、PBRは平均上。総合すると中立水準。
— 参考データ —
– 株価:2,925円、時価総額:約1,968億円
– 予想EPS:288.77円、予想PER:10.13倍
– 実績BPS:3,767.35円、実績PBR:0.78倍
– 予想配当:116円、配当利回り:約3.95~3.97%
– 年初来高値/安値:3,055円/1,861円
– 次回決算予定:2025年11月10日(予定)
– 権利落ち予定日:2026年3月30日(予定)
注記
– 本レポートは公開データ(決算短信等)に基づく事実整理です。定義差(例:表示上の自己資本比率4.0%と規制自己資本比率12.24%)に留意してください。
– 銀行の利益率やマージンは会計基準により一般事業会社と比較困難な場合があります。
企業情報
銘柄コード | 8370 |
企業名 | 紀陽銀行 |
URL | http://www.kiyobank.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 銀行 – 銀行業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。