タムロン(7740)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ、タムロン(7740)の企業分析レポートをお届けします。
1. 企業情報
タムロンは、一眼カメラ用交換レンズにおいて世界的に知られるレンズ専業の大手光学機器メーカーです。写真関連製品のほか、監視カメラ用レンズ、FA(ファクトリーオートメーション)用レンズ、車載カメラ用レンズ、医療用レンズなど多岐にわたる事業を展開しています。OEM(相手先ブランドによる製品製造)も手掛けています。本社は埼玉県さいたま市に位置し、日本、北米、欧州、アジアなどグローバルに事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
タムロンは、レンズ専業メーカーとして一眼カメラ用交換レンズ市場において世界的な地位を確立しています。特にミラーレスカメラ用交換レンズでは高いプレゼンスを持っています。また、監視カメラ用やFA(マシンビジョン)用レンズの分野も強化しており、高解像度ニーズの増加に対応しています。車載カメラ用レンズではADAS(先進運転支援システム)の普及を背景にセンシング用途での需要を取り込み、医療用レンズでも極小径・薄膜技術を活かした需要開拓を進めています。光学技術をコアとして多様な産業分野に展開することで、特定の市場変動リスクを分散しつつ競争優位性を構築しています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、光学技術を基盤とした多角的な事業展開を推進しています。特に「写真関連事業」に加え、「監視&FA関連事業」と「モビリティ&ヘルスケア、その他事業」を重点分野として位置づけています。監視カメラ市場の高精細化や、車載カメラにおけるADASの普及、医療分野での需要拡大といった市場ニーズを捉え、これらに対応する高付加価値製品の開発・提供に注力しています。中期経営計画では、コスト低減や販管費抑制を進めつつ、下期における監視&FA関連事業の販売増と全体の増収増益達成を目指す方針が示されています。為替変動や米国の関税政策、海外経済動向といった外部環境の不確実性もリスク要因として認識しています。
4. 事業モデルの持続可能性
タムロンの事業モデルは、写真関連事業で培った高い光学技術を基盤に、需要が成長している監視、FA、車載、医療といった産業用レンズ分野に展開することで持続可能性を高めています。
具体的には:
* 多角化: 写真関連製品に加えて、監視カメラ、FA、車載、医療といった多様な分野へ事業を拡大しており、特定の市場に依存しないバランスの取れた収益構造を構築しています。
* 市場ニーズへの対応: 監視カメラの高精細化、車載カメラのADAS普及、医療用レンズの技術革新といった各分野の市場ニーズを捉え、技術開発と製品供給を進めています。
* 技術力: レンズ専業として長年培ってきた光学設計・製造技術が、これらの高機能レンズ製品を支える競争力の源泉となっています。
これらの要素により、市場ニーズの変化への適応力と事業の安定性が期待されます。
5. 技術革新と主力製品
タムロンは光学技術をコアとする研究開発を継続しており、特に小型・軽量化や高画質化といった技術革新に強みを持っています。主力製品は以下の通りです。
* 写真関連事業: ミラーレス一眼カメラ用交換レンズで高い評価を得ており、新製品の投入により市場での存在感を維持しています。
* 監視&FA関連事業: 高解像度ネットワーク監視カメラ用レンズや、FA・マシンビジョン用レンズ、遠隔会議システム用カメラモジュールなどが収益を牽引しています。
* モビリティ&ヘルスケア、その他事業: 車載カメラ用レンズはADAS等の普及を背景に需要が拡大しており、医療用レンズも極小径・薄膜技術を活かして拡充が進められています。これらの分野は今後の成長ドライバーとして期待されています。
6. 株価の評価
タムロンの株価は1077.0円です。
* PER(会社予想):11.98倍
* PBR(実績):2.20倍
これらの指標を業界平均と比較すると、
* 業界平均PER:21.1倍
* 業界平均PBR:1.8倍
現状のPERは業界平均と比較して約半分と大幅に低い水準にあり、割安感が見受けられます。一方、PBRは業界平均をやや上回っています。しかし、ROE(実績)が18.98%と高い水準にあることを考慮すると、PBRが業界平均より高い水準にあることは、資産を効率的に活用して収益を上げている点が高く評価されていると考えることができます。
7. テクニカル分析
現在の株価1077.0円は、年初来高値1,169円を下回り、年初来安値687円を上回る水準にあります。
* 52週高値:1,168.75円
* 52週安値:687.00円
* 50日移動平均線:1,027.16円
* 200日移動平均線:931.84円
現在の株価は、50日および200日移動平均線を上回っており、中長期的な上昇トレンドを示唆しています。直近10日間の株価推移を見ると、1050円台から1080円台の間で推移しており、小幅な値動きながら持ち合いの状態にあるように見えます。52週高値圏からはやや調整しているものの、依然として高値圏に近い位置にあると評価できます。
8. 財務諸表分析
過去数年間の損益計算書と各種財務指標の推移は以下の通りです。
売上高:
* 2021年: 57,539百万円
* 2022年: 63,445百万円
* 2023年: 71,426百万円
* 2024年: 88,475百万円
売上高は2021年から2024年にかけて継続的に増加しており、力強い成長傾向を示しています。
利益:
* 売上総利益率は過去12ヶ月で44.64%、直近中間期では約45.4%と高い水準で推移しており、製品の収益性が良好であることを示唆しています。
* 営業利益は2021年の7,413百万円から2024年には19,205百万円へと大きく伸長しています。
* 営業利益率は過去12ヶ月で22.31%、直近中間期でも約22.1%と非常に高い収益性を維持しています。
* 純利益も同様に堅調に増加しており、2024年には14,526百万円を計上しています。
キャッシュフロー:
* 営業キャッシュフローは過去12ヶ月で156.3億円、直近中間期累計でも76.44億円と安定的に創出されており、本業で現金を稼ぐ力が強いことを示しています。
効率性・健全性:
* ROE(実績)は18.98%、ROA(過去12ヶ月)は11.32%と、資本と資産を効率的に活用して利益を上げていることが示されています。
* 自己資本比率は80.6%(実績)、直近中間期で81.6%と非常に高く、財務基盤の安定性が際立っています。
* 流動比率は4.66と高く、短期的な支払能力に優れています。
* D/Eレシオ(負債比率)は1.99%と非常に低く、有利子負債への依存度が低い強固な財務体質を示しています。
全体として、売上高、利益ともに着実に成長し、高い収益性を維持しながら、極めて健全な財務状況を構築していると評価できます。
9. 株主還元と配当方針
配当に関しては、最新の2025年12月期第2四半期決算短信によると、中間配当が1株当たり40.00円、期末配当予想が1株当たり26.25円で、年間配当は合計66.25円となる見込みです。これは提供データにある会社予想の年間36.25円とは異なりますが、最新の決算短信に基づいて分析します。
* 配当利回り(年間予想):66.25円 / 1077.0円 = 約6.15%
* 配当性向(会社予想EPS 89.99円に基づく):66.25円 / 89.99円 = 約73.6%
高い配当利回りと配当性向は、株主還元に積極的な姿勢を示唆しています。
また、同社は自社株買いも実施しており、2025年2月に1,000,000株、2025年5月に3,300,000株の自己株式消却を行っています。これは1株当たりの価値向上にも貢献する株主還元策です。配当支払開始予定日は2025年9月1日(中間)、配当落ち日は2025年12月29日です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
タムロンの株価は直近でやや落ち着いた値動きを示していますが、50日移動平均線と200日移動平均線を上回る水準で推移しており、中長期的な上昇基調を維持しています。年初来安値から大きく上昇した後、高値圏での調整局面にあると考えられます。
直近10日間の出来高は平均40万株前後で推移しており、3ヶ月平均出来高50万株と比較してやや減少傾向にあります。
信用倍率は3.91倍と買い残が売り残を上回っており、短期的な需給の偏りが見られます。
主要株主にはソニーグループ、大手信託銀行、日本生命保険などの機関投資家が名を連ねており、機関投資家による保有比率も高い水準です。
株価への影響要因としては、写真関連市場の動向に加え、監視カメラや車載向けといった産業用レンズ市場の成長性、為替変動(特に円高の影響)、米国関税政策の不確実性などが挙げられます。直近の決算短信では、上期は減収減益であったものの、下期での反転を見込み通期での増収増益達成を想定しているとされており、今後の業績進捗が株価モメンタムに影響を与える可能性があります。
11. 総評
タムロンは、歴史ある光学技術を基盤に、一眼カメラ用交換レンズ市場での世界的地位を確立しつつ、監視・FA・車載・医療といった成長分野に事業を多角化しています。過去数年にわたり売上高と利益を堅調に伸ばしており、特に高い収益性と非常に強固な財務健全性を誇っています。株式分割後のPERは業界平均と比較して割安感があり、高水準の配当と自社株買いを通じて株主還元にも積極的です。直近の業績は減速を見せているものの、会社側は通期での増収増益を予想しており、今後の市場環境や各事業分野の進捗が注目されます。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- 2021年から2024年にかけて売上高は年平均20%以上の高成長を達成しており、3年CAGRも15%超と高い水準にあります。ただし、直近四半期およびLTM売上は前年同期比で減速しており、2025年通期予想も微増であるため、成長の勢いはやや落ちついています。
- 収益性: S
- 粗利率は44%以上、営業利益率は20%以上と非常に高い水準で推移しています。ROEも18%を超えており、業界平均を大きく上回る高収益体質です。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は80%超、流動比率も4.66倍、有利子負債比率も2%未満と、極めて堅固な財務基盤を誇ります。
- 株価バリュエーション: A
- PER(会社予想)11.98倍は業界平均21.1倍と比較して大幅に割安な水準です。PBR(実績)2.20倍は業界平均1.8倍をやや上回りますが、高ROEを考慮すると妥当な評価とも考えられます。PERの割安感が特に強く、総合的に見て魅力的なバリュエーションにあると評価できます。
企業情報
銘柄コード | 7740 |
企業名 | タムロン |
URL | http://www.tamron.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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