1. 企業情報
ゼビオホールディングスは、スポーツ用品の小売事業を主軸とする企業です。東日本を中心に「スーパースポーツゼビオ」「ヴィクトリア」といった大型の総合スポーツ用品専門店や、ゴルフ専門店の「ヴィクトリアゴルフ」「ゴルフパートナー」、アウトドア専門店の「L-Breath」などを展開しています。スポーツ用品・用具の販売が連結売上の約94%を占めており、その他にはスポーツ関連デジタルプラットフォームの運営、eコマース、マーケティング、不動産管理、人材育成、クレジットカード事業なども手掛ける多角的な事業構成となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社はスポーツ用品販売の大手として、特に東日本地域に強固な店舗網を築いています。総合型メガストアから専門性の高い店舗まで多様な業態を展開することで、幅広い顧客層のニーズに対応しています。提供された情報からは具体的な市場シェアの数値は確認できませんが、複数のブランドを通じて市場での存在感を示しています。業界全体としては、景気の回復に伴う個人消費の動向、インバウンド需要の変化、物価上昇による消費者の節約志向、そして高付加価値商品への二極化といった外部環境の変化に直面しています。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信によると、同社は「構造改革の継続と重点施策の推進」を継続的な経営方針としています。具体的な施策や詳細な重点分野については、決算短信には記載がなく、別途補足資料等で開示されている可能性があります。
4. 事業モデルの持続可能性
スポーツ用品の販売事業を核としつつ、ゴルフ、アウトドアといった専門分野への展開、さらにeコマースやアリーナ運営、デジタルプラットフォームなど周辺サービスを多角的に手掛けることで、収益源の多様化を図っています。これにより、特定の事業に依存するリスクを軽減しています。市場ニーズとしては、健康志向の高まりやスポーツイベントの普及によりスポーツ市場の裾野は拡大傾向にありますが、インバウンド需要の一巡や物価高騰による個人消費の伸び悩み、天候不順による季節商品の販売変動が事業に影響を与える可能性があります。これらの変化への適応力が事業モデルの持続性において重要となります。
5. 技術革新と主力製品
独自の技術革新に関する具体的な記述は提供された情報からは確認できません。主力製品としては、スポーツ用品全般が挙げられ、特にゴルフ用品、一般競技スポーツ用品、シューズ、スポーツアパレル、アウトドア用品などが収益を牽引している部門です。最近の決算情報では、ランニングシューズなどが堅調である一方、ゴルフ部門やアウトドア部門は市場縮小や客単価減少の影響を受けていることが示唆されています。
6. 株価の評価
現在の株価1,123.0円に対して、以下の指標が示されています。
* PER（会社予想）: 47.79倍
* 業界平均PER: 21.3倍と比較すると、現在のPERは業界平均を大きく上回っており、株価は利益面から見ると割高感があります。
* PBR（実績）: 0.39倍
* 業界平均PBR: 1.8倍と比較すると、現在のPBRは業界平均を大幅に下回っており、株価は純資産面から見ると割安感があります。
* EPS（会社予想）: 23.50円
* 株価1,123円をEPS23.50円で割ると約47.79倍となり、PERと整合しています。
* BPS（実績）: 2,914.69円
* 株価1,123円をBPS2,914.69円で割ると約0.385倍となり、PBRと整合しています。
PERは割高である一方、PBRは割安という状況は、現在の利益水準が相対的に低い（ROEが低い）ことで、純資産価値に比べて株価が評価されていないことを示唆している可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価は1,123.0円です。
* 年初来高値: 1,363円
* 年初来安値: 1,073円
* 52週高値: 1,363円
* 52週安値: 1,070円
現在の株価は年初来安値に近い水準にあり、年初来高値からは約17.6%下落しています。
直近10日間の株価推移を見ると、1,086円から1,134円の間で推移しており、やや上昇傾向も見られますが、レンジ内での動きです。
50日移動平均線（1,143円）および200日移動平均線（1,183.74円）を下回っており、長期的には下降トレンドにあると考えられます。このことから、現在の株価は安値圏にあると評価できます。
売上高・利益の推移
| 指標 | 過去12か月（2025.3期予想） | 2024.3期 | 2023.3期 | 2022.3期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) | 250,603 | 242,433 | 239,293 | 223,282 |
| 売上総利益 (百万円) | 97,671 | 92,887 | 91,773 | 87,053 |
| 営業利益 (百万円) | 7,006 | 4,205 | 8,327 | 4,999 |
| 親会社株主純利益 (百万円) | 971 | 2,592 | 5,397 | 3,836 |
売上高は過去数年間で増加傾向にあり、LTM（過去12か月）では前年度比約3.37%増となっています。しかし、直近の2026年3月期第1四半期では売上高が前年同期比1.3%減となっており、成長に陰りが見られます。
利益面では、売上総利益は増加傾向にあるものの、営業利益は2023年3月期をピークに、2024年3月期は大きく減少し、過去12か月はやや回復したものの、直近第1四半期は前年同期比26.1%減と大幅な減少を見せています。親会社株主に帰属する純利益も、2023年3月期をピークに減少傾向にあり、第1四半期では前期比89.6%減と大きく落ち込んでいます。これは人件費上昇や新規出店・システム投資に伴う販管費増加、さらに特別損失（固定資産処分損2,325百万円）が影響していると説明されています。
収益性・効率性指標
- 売上総利益率: LTM 38.97%
- 営業利益率: LTM 2.79% (直近第1四半期 4.4%)
- 純利益率: LTM 0.39% (直近第1四半期 0.45%)
- ROE（実績）: (連)0.79% (過去12ヶ月 -1.24%と表記揺れあり)
- ROA（過去12か月）: 1.76%
利益率は全体的に低水準で推移しており、特にROEは低い水準にあります。これは、売上は堅調であるものの、販管費等のコスト増によって利益が圧迫されている状況を示しています。
財務健全性
- 自己資本比率（実績）: (連)59.5% (直近第1四半期 56.7%)
- 流動比率（直近四半期）: 1.82
- Total Debt/Equity（直近四半期）: 5.98%
自己資本比率は約60%と非常に高く、流動比率も182%と良好であり、負債比率も低いことから、財務健全性は非常に高いと評価できます。手元流動性も十分に確保されています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 3.12%
- 1株配当（会社予想）: 35.00円 (中間17.50円、期末17.50円)
- 配当性向（過去12ヶ月）: 144.70%
- 過去実績（2025年3月期）: 年間32.50円
配当性向が100%を大きく超えていることから、現在の利益水準に対しては配当負担が大きい状況にあります。安定配当を維持しようとする姿勢が見られますが、純利益の低迷が続けば持続可能性が問われる可能性があります。
決算短信には2024年5月に自己株式取得を実施した旨の記載があり、自社株買いによる株主還元も行われています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は安値圏で推移しており、50日移動平均線や200日移動平均線を下回っています。これは、株価に下降圧力がかかっている、あるいは投資家の関心が低下していることを示唆している可能性があります。
直近四半期の決算で純利益が大幅に減少したこと、人件費増や設備投資によるコスト増が今後も発生する見込みであること、そしてマクロ経済の不透明感や消費の二極化といった要因が株価に影響を与えていると考えられます。
信用取引のデータでは、信用買残が信用売残を上回っており、信用倍率は3.59倍です。信用買残は前週比で減少していますが、需給の観点からも株価を押し上げる強い材料は見当たりません。
11. 総評
ゼビオホールディングスは、スポーツ用品小売業界において広範な店舗網と多様な事業展開を持つ大手企業です。売上高は増加傾向にありますが、コスト増による利益率の低下が課題となっています。特に直近四半期の純利益は大幅な減益となり、通期予想の達成には注視が必要です。一方、財務基盤は自己資本比率が高く、流動性も十分で非常に健全です。
株価は現在の利益水準から見てPERは割高ですが、PBRは純資産に比べて大幅に割安な水準にあります。これは低ROEによる株価の伸び悩みを反映していると考えられます。テクニカル的には安値圏で取引されており、株価モメンタムは弱い傾向にあります。今後の成長戦略、特に利益率改善に向けた具体的な施策の実行と成果が、投資家の評価を左右する重要なポイントとなるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: B
- LTM売上成長率3.37%、3年CAGR3.96%と緩やかな成長は維持しています。しかし、直近四半期は減収となっており、今後の成長性は不透明感があります。
- 収益性: C
- 営業利益率2.79%、EBITDA率3.63%と小売業界平均と比較して低水準であり、ROEも非常に低い状況です。直近四半期ではさらに利益率が悪化しています。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率59.5%、流動比率182%、Total Debt/Equity比率5.98%と、非常に健全な財務体質を維持しています。
- 株価バリュエーション: C
- PER47.79倍（業界平均21.3倍）は割高です。PBR0.39倍（業界平均1.8倍）は割安ですが、低ROE（低い利益水準）を考慮すると、PBRが低いのは妥当な水準とも考えられます。総合的に判断すると、利益面からの割高感が目立ちます。
企業情報
| 銘柄コード | 8281 |
| 企業名 | ゼビオホールディングス |
| URL | http://www.xebio.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
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