奥村組(1833)企業分析レポート
作成日:2025-10-22/市場:東証プライム/株価:4,835円/時価総額:約1,869億円
– バリュエーション(会社予想ベース):PER 15.36倍、PBR 0.99倍、配当利回り 4.55%(年220円)
– 財務安全性:自己資本比率 45.1%、流動比率 159%、D/E(総有利子負債/自己資本)約0.32倍
– セグメント構成(売上比率・利益率):土木33%(営業利益率5%)、建築62%(4%)、投資開発3%(-27%)、その他2%(6%)[2025.3期セグメント利益率カッコ内、参考値]
1. 企業情報
- 概要:関西地盤の中堅ゼネコン。免震技術・トンネル施工に強み。土木・建築を主力に、不動産や再エネ(石狩バイオエナジー等のバイオマス)も展開。建設・産業機器の設計・製造・販売、ビル・不動産管理も行う。
- 事業:
- 土木(33%):トンネル、ダム、道路・鉄道、港湾等
- 建築(62%):オフィス、商業施設、医療・教育、物流など
- 投資開発(3%):不動産販売・賃貸、再エネ(バイオマス発電)
- その他(2%):建設資機材の製造・販売 等
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:準大手〜中堅の総合建設。関西圏に強みを持ちつつ、全国で受注。トンネル施工や免震・制振などの技術面で定評。
- 競争優位性:
- 専門性:トンネル・免震領域の実績
- 財務の健全性:自己資本比率45%台、低D/E
- 受注選別・採算管理:足元で原価低減と追加工事確保により採算改善
- 課題:
- 建設コスト上振れ(資機材・労務費)と労働力不足
- 投資開発(再エネ)でのボラティリティ(発電設備トラブル、為替影響等)
- 規模の経済で大手に劣後しやすい案件競争
3. 経営戦略と重点分野
- 方向性(開示ベースの要点):
- 建設事業の採算改善:繰越工事の収益性向上、追加工事の獲得、原価低減
- 受注ポートフォリオ最適化:国内大型建築の受注進展、土木・建築のバランス
- 投資開発の安定化:再エネ事業(石狩バイオエナジー)の運転停止や為替予約の影響管理、資本効率とリスクの見直し
- 2026年3月期会社計画(据え置き):
- 売上高 2,985億円、営業利益 108億円、経常利益 127億円、純利益 113億円、EPS 315円
- 注力領域(推察含む一般動向):
- 生産性向上(BIM/CIM、プレファブ化等)、施工のDX
- 防災・減災需要、更新需要、民間大型再開発
- 脱炭素関連(省エネ建築・再エネ)と収益安定化の両立
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:受注産業(単年度採算)。大型案件の繰越工事が利益のベースに。原価コントロールと価格転嫁が鍵。
- 外部環境:公共・民間とも投資は堅調とされる一方、コスト上昇と人手不足が構造的課題。
- 適応力:
- 1Qで売上総利益率・営業利益率が大幅改善(原価低減・追加工事)
- 再エネ子会社の為替・コベナンツ対応等、非建設領域のリスク管理が当面の課題
5. 技術革新と主力製品
- 技術の方向性:免震・制振、トンネル(NATM・シールド等)での施工技術、BIM/CIM等のデジタル施工管理
- 収益牽引:
- 建築:国内大型案件の受注増で採算改善
- 土木:繰越工事の採算改善が1Qで寄与
- 投資開発:バイオマス発電は点検・減価償却負担緩和で黒字化も、売上縮小と為替影響に注意
6. 株価の評価(相対・簡易)
- 現在値 4,835円
- 会社予想EPS 314.82円 → 予想PER 15.36倍(業界平均PER 14.0倍)
- 実績BPS 4,885円 → PBR 0.99倍(業界平均PBR 1.1倍)
- 簡易評価:
- 収益見通し前提ではPERが業界平均比やや上、PBRは同等〜わずかに下
- BPS≒株価で解散価値近辺の水準感
- EV/S ≒0.71倍(概算)でやや高めの可能性(業界レンジ次第)
- 参考:予想配当220円 → 予想配当性向 ≒70%(220/314.82)
7. テクニカル分析(短期)
- トレンド:株価は50日線(4,804円)と200日線(4,393円)を上回り、上昇トレンド継続
- 位置:年初来高値5,010円まで約+3.6%(上値接近圏)。直近2日でやや反落
- 範囲感:直近安値帯 4,770〜4,835円、上値 4,930〜5,010円が意識されやすい価格帯
- 出来高:直近は3カ月平均を上回る日が増加(関心上昇の兆し)
8. 財務諸表分析(要約)
- 売上推移(連結):
- 2022/3:2,424億円 → 2023/3:2,494億円 → 2024/3:2,881億円 → 過去12か月:約2,982億円
- 3年CAGR ≒+7%(売上は拡大基調)
- 収益性:
- 売上総利益率:2024/3 約12.2% → 過去12か月 約10.6%(コスト高影響)/ただし2026/3期1Qは約13.6%へ改善
- 営業利益:2024/3 137億円(マージン約4.8%)→ 1Q(累計)営業利益率約5.9%
- 純利益率:2024/3 約4.3% → 過去12か月は低下(特殊要因影響)。1Qは約5.3%
- ROE:実績1.49%(低水準、特殊要因の影響)
- キャッシュ・安全性:
- 現金等 255億円、有利子負債 539億円(ネット有利子負債 約284億円)
- 流動比率 159%、自己資本比率 45.1%、D/E 約0.32倍 → 安定
- セグメント(2026/3期1Q):
- 土木:利益率改善(原価低減・追加工事)
- 建築:赤字転換から黒字化、大型受注で伸長
- 投資開発:売上減も黒字化(点検費用・減価償却減)
- 留意:過去期は一過性損益(為替予約評価損、設備トラブル関連等)の影響があり、平常時収益力は1Q実績や通期計画が参考となる。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:前期年間216円 → 今期予想220円(中間110円・期末110円)
- 予想配当性向:約70%(EPS315円前提)
- 自己株式:発行済の約5.6%を保有(株式給付等での処分予定あり)
- 自社株買い:直近明記なし(自己株の処分は開示)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:200日線上での上昇継続、50日線も上回る。年初来高値圏での推移
- 信用動向:信用倍率5.81倍、買い残増加(やや強気傾向)
- ボラティリティ:β -0.03(低ベータ)。出来高は直近増加気味
- 近接イベント:決算(2025/11/6予定)、権利落ち(2026/3/30予定)
11. 総評
- 収益性は2026/3期1Qで明確に改善。建築の黒字化と土木の採算改善が確認でき、通期計画(増益見込み)と整合的。
- 財務は堅健。D/E・流動比率とも健全水準。
- バリュエーションはPERが業界平均比で軽いプレミアム、PBRは概ね同水準。BPS≒株価で資産面の下支えは意識されやすい。
- リスクはコスト上振れ、労働力不足、再エネ子会社の為替・コベナンツ等。非建設領域のボラティリティ管理が鍵。
- 株価はテクニカルに高値圏で推移。決算や配当・案件ニュースが短期の変動要因となりやすい。
※本レポートは公開データの整理であり、投資助言ではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D、欠損はB、一過性損益は除外ベース)
- 成長性:A
- 理由:3年CAGR ≒+7%、直近期も売上+5%程度の伸長(1Q YoY)
- 収益性:B
- 理由:建設業平均レンジ(営業利益率4〜6%想定)に概ね並ぶ水準。1Qで改善だが、平準化は今後確認
- 財務健全性:A
- 理由:自己資本比率45%超、流動比率159%、D/E約0.32倍と健全
- 株価バリュエーション:B
- 理由:PERは同業平均よりやや高め、PBRは同水準〜やや低めで総合中立
参考データ抜粋
– 2026/3期1Q(累計):売上 6,979億円、営業益 41.4億円、純益 36.9億円、営業利益率 約5.9%
– 予想配当:年220円(利回り約4.55%)
– 年初来:高値 5,010円、安値 3,745円
– 50日移動平均:4,804円、200日移動平均:4,393円
ご不明点や深掘りしたい項目(同業比較、案件バックログ、セグメント別受注/残高の推移など)があればお知らせください。
企業情報
銘柄コード | 1833 |
企業名 | 奥村組 |
URL | http://www.okumuragumi.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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