日本取引所グループ(8697)企業分析レポート
株価(終値):1,834円(2025-10-21)/ 時価総額:約1.92兆円
1. 企業情報
- 概要
- 日本取引所グループ(JPX)は、現物市場(東証)、デリバティブ市場(大阪取引所)、商品先物(東京商品取引所)を擁する国内唯一の総合取引所グループ。清算機関(日本証券クリアリング機構:JSCC)を傘下に持ち、上場審査・市場監視などの自主規制機能も内製化。
- 主な事業(2025/3期、営業収益内訳目安):取引関連40%、清算関連21%、上場関連10%、情報関連20%、その他9%。
- 基本データ
- 市場区分:東証プライム
- 業種:その他金融業(Financial Data & Stock Exchanges)
- 従業員:1,263人、平均年齢47.3歳、平均年収1,110万円
- 代表者:山道 裕己
- 所在地:東京都中央区日本橋兜町2-1
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内上場・売買・清算・情報配信を一気通貫で提供する唯一の総合取引所。上場・清算は実質的に独占的地位。
- 競争環境
- 国内現物の売買執行ではPTS(私設取引システム:SBI Japannextなど)が一定シェア(概ね一桁〜一割台)を持つが、依然として東証の存在感が大きい。
- デリバティブはOSEが中心だが、海外顧客はCME、SGX等の海外取引所と取引機会を分散。
- 競争優位・課題
- 優位:上場・清算を含む垂直統合、指数・情報ビジネス、低β(0.36)によるディフェンシブ性、強固なネットワーク効果。
- 課題:売買代金・取引量の景気循環依存、規制・制度変更リスク、システム安定運用とサイバーリスク対応、グローバル競合との商品魅力度競争。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画2027(2025年度開始、短信内訳区分変更に反映)
- 市場機能の高度化:売買制度・上場制度の改善、市場の利便性・公正性の向上。
- 収益多角化:清算・情報・システム(コロケーション、arrownet等)を拡大。
- デリバティブの拡充:金利・株価指数・商品で商品性強化と海外投資家の誘致。
- サステナビリティ関連:カーボン・クレジット市場等の新領域。
- IT基盤強化:低レイテンシ売買・共同設置(コロケーション)の拡充、安定運用。
- 通期見通し(会社計画)
- 2026/3期 連結(IFRS)予想:営業収益1610億円、営業利益825億円、親会社帰属当期利益555億円、EPS 53.74円(前回公表から据え置き)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 変動費型:取引手数料・清算手数料(市場ボラティリティ・売買代金に連動)。
- ストック型:情報配信料、上場維持料、システム利用料(arrownet、コロケーション等)。
- 強み・耐性
- ストック型収益の比率が一定あり、取引量サイクルのボラティリティを緩和。
- 自主規制・清算機能を含む垂直統合により参入障壁が高い。
- 留意点
- マクロ環境や制度変更で売買代金が変動しやすく、短期的な業績変動は回避し難い。
5. 技術革新と主力製品
- システム
- 現物売買システム「arrowhead」、デリバティブ「J-GATE」、清算「JSCC」など中核基盤を運用。高頻度取引向けの低遅延、コロケーション提供。
- 情報・指数
- 相場情報配信、各種指数(TOPIX、JPX関連指数)ライセンス。データ事業は高収益ストック。
- 収益牽引
- 直近期では取引関連・清算関連の増収が寄与(2026/3期1Q:取引+6.1%、清算+24.0%)。コロケーション利用料も増加。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提
- 株価:1,834円、EPS(会社予想):62.19円、BPS:303.55円
- 指標
- PER:約29.5倍(= 1,834 / 62.19)
- PBR:約6.04倍(= 1,834 / 303.55)
- EV/S:約11.5倍(EV≒1.91兆円 − 純現金約93億円 ≒ 1.91兆円、売上約1,653億円)
- 業界平均との比較(参考)
- 業界平均PER:10.3倍、PBR:0.9倍。JPXはプレミアム評価水準。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:1,621円、200日:1,590円。株価は両線上で上昇トレンド。
- 年初来高値:1,884円(本日高値に到達)。52週高値は1,961円。
- モメンタム
- 出来高は直近増加(本日約592万株、3カ月平均約399万株を上回る)。
- 信用動向:信用倍率0.79倍(売り残>買い残)。需給はやや逆張り的(ショート多め)で変動性に注意。
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上高(連結):1356億円(2022/3)→ 1,345億円(2023/3)→ 1,578億円(2024/3)→ 1,642億円(過去12か月)。3年CAGR約+6.5%、LTM YoY約+4.0%。
- 収益性
- 営業利益率:56.8%(LTM)。親会社帰属当期利益率:約37〜39%(LTM・1Q実績参考)。
- EBITDA:1,088億円(LTM)。高採算の構造は維持。
- 効率・資本
- ROE:18.3%(実績)、LTM参考19.8%。ROAは清算資産の両建て計上で希薄化(0.07%)するため、調整後指標の解釈が必要。
- 財政状態・CF
- 自己資本比率(帳簿表示):0.4%だが、清算関連を除いた調整後は約71.5%(短信記載)。
- 現金等:618億円、有利子負債:約525億円(ネット現金)。
- セグメント(2026/3期1Q)
- 取引関連39.9%、清算24.6%、情報18.6%、上場8.7%、システム7.8%、その他0.4%。
9. 株主還元と配当方針
- 方針
- 配当性向「60%以上」を目途。
- 配当
- 会社予想配当:年間50円(予想利回り約2.73%)。
- 参考:Payout Ratio(データ提供値)約60.5%(定義差に留意)。
- 自社株
- 2026/3期1Q末の自己株式数:1,316万株。期中に自己株取得を実施(短信注記)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 50日・200日を上回り、年初来高値接近。出来高増加基調。
- 関心テーマ・要因
- 売買代金・ボラティリティ動向(現物・デリバティブの出来高)。
- 市場制度・指数リバランス、上場件数の推移、データ・清算手数料の改定。
- 新商品・取引時間・システム強化、サステナビリティ市場の拡充。
- 予定イベント
- 決算発表予定:2025-10-29
- 権利落ち予定:2026-03-30
11. 総評
- 事業基盤は国内唯一の総合取引所として強固で、ストック型収益(情報・上場維持・システム)とボリューム連動型収益(取引・清算)のバランスが良い。直近は取引・清算が伸長し、高い利益率を維持。
- 財務は清算関連の会計表示で見かけ上の自己資本比率が低く見えるが、調整後は高水準。ROEも二桁後半。
- バリュエーションは業界平均(その他金融)対比でプレミアム。ディフェンシブ性と独占的地位、収益性の高さを織り込む形。
- 短期的には売買代金・ボラティリティ、制度変更、システム安定運用が主な変動要因。モメンタムは強く、需給は信用売り超で変動性に留意。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- LTM売上YoY約+4%、3年CAGR約+6.5%と増収傾向。
- 収益性:A
- 営業利益率約57%、情報・清算を含む高採算構造。業界内でも高水準。
- 財務健全性:A
- 調整後自己資本比率約71.5%、D/E約16%。ネット現金。
- 株価バリュエーション:C
- PER約29.5倍、PBR約6.0倍、EV/S約11.5倍と業界平均対比で割高水準。
必要に応じ、同業他社(海外含む)比較、通期計画に対する進捗率分析、清算関連項目除外後の調整BS詳細の追加作成が可能です。
企業情報
銘柄コード | 8697 |
企業名 | 日本取引所グループ |
URL | http://www.jpx.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 金融(除く銀行) – その他金融業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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