東レ(3402)企業分析レポート

注記:本資料は公開情報に基づく情報整理であり、投資勧誘や投資助言を目的とするものではありません。数値は連結ベース。単位は特記ない限り円・百万円。

1. 企業情報

  • 概要:合成繊維で国内最大手。衣料・産業用途の繊維を基盤に、機能化成品(樹脂・フィルム・電子材料等)、炭素繊維複合材料、水処理膜などの環境・エンジニアリング、ライフサイエンス(医薬・医療機器)を展開。海外売上比率は61%(2025.3)。
  • 主な製品・ブランド例:ナイロン・ポリエステル等の繊維、不織布、ABS/PBT/PPS等の樹脂、ポリエステル/ポリエチレン/ポリプロピレン等のフィルム、電子・情報材料、炭素繊維・複合材、水処理用逆浸透膜、医薬・医療機器、分析・評価サービス。Ultrasuede、Ecsaine、Toraysee、TORAIN、hitoe、3D-Gene、3DeFX+、TORAYVINO 等。
  • 事業構成(売上比率・事業利益率カッコ内、会社資料ベースの目安):繊維39%(6%)、機能化成品37%(6%)、炭素繊維12%(7%)、環境・エンジ9%(8%)、ライフサイエンス2%(-)、その他1%(5%)。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:合繊分野で国内最大級、炭素繊維複合材料は世界首位クラス。水処理膜や電子材料も有力。
  • 主要競合:繊維・樹脂・フィルムで帝人、クラレ、旭化成、三菱ケミカル等。炭素繊維は海外勢(例:欧米大手)との競争。水処理膜は海外メジャーとの案件競合。
  • 競争優位性:素材から加工・複合化・エンジニアリングまでの垂直統合、幅広い用途ポートフォリオ、長期の顧客関係(自動車・航空・エレクトロニクス・水インフラ)。
  • 課題:サイクル影響(自動車・電子・風力)、原燃料価格・為替感応度、欧州市場や中国需給の変動、電池セパレータ/パネルなど一部用途の市況弱さ。

3. 経営戦略と重点分野

  • 中期方針:プロジェクト「AP-G 2025」
    • 基本戦略:持続的成長、価値創出力・競争力強化、「人を基本とする経営」深化、リスクマネジメントとガバナンス強化。
  • 重点分野(短信等より)
    • 高付加価値素材の深耕(炭素繊維の航空・風力、自動車向け樹脂・複合材、電子材料の選別強化)
    • 環境・省エネ・水処理(中東など大型案件、RO膜など)
    • ライフサイエンス(海外での伸長、ポートフォリオ最適化)
    • 為替前提(通期):145円/ドル。グローバル需給に沿った生産・在庫マネジメント徹底
  • 自己株式取得の実施:2026年3月期1Qに約334億円取得(自己株式は期末1.02億株へ増加)

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:量産素材×高機能素材のポートフォリオ。景気敏感セグメント(繊維・樹脂・フィルム)に加え、構造的成長が見込まれる炭素繊維・水処理膜等の割合を高める方向。
  • 需要変動への適応:グローバル分散・為替マネジメント、用途分散、コスト構造改善。Q1時点では欧州衣料や中国パネルの低迷、電池セパレータの鈍化など短期逆風が確認される一方、樹脂(自動車)回復や炭素繊維の基調回復、水処理の受注パイプは継続。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発:高強度・軽量の炭素繊維複合材、精密フィルム・電子材料、機能樹脂、水処理膜、バイオ・診断(高感度DNAチップ「3D-Gene」等)。
  • 収益牽引領域:
    • 基盤:繊維・機能化成品(売上の約8割)
    • 成長:炭素繊維(航空・風力)、水処理膜(大型案件)、自動車向け樹脂・フィルム
    • 課題:電池セパレータ、パネル向け電子材料、欧州衣料

6. 株価の評価(バリュエーションの目安)

  • 株価:933円、時価総額:約1.52兆円
  • 予想EPS:53.34円 → 予想PER:約17.5倍(業界平均PER 21.7倍を下回る水準)
  • 実績BPS:1,095円 → PBR:約0.85倍(業界平均PBR 1.0倍を下回る水準)
  • EV/売上(LTM):約0.86倍(EV ≒ 2.20兆円、売上2.56兆円)
  • EV/EBITDA(LTM):約8.3倍(EBITDA 2,652億円)
  • 参考感度(単純比較):
    • 業界平均PER(21.7倍)× 予想EPS 53.34円 ≒ 1,158円
    • 業界平均PBR(1.0倍)× BPS 1,095円 ≒ 1,095円

上記は水準比較の算術結果であり、個社固有のリスク・成長率は別途考慮が必要。

7. テクニカル分析(短中期)

  • 現在株価:933円
  • 50日移動平均:973円、200日移動平均:989円 → 株価は両移動平均を下回り、50日線<200日線(デッドクロス)で中期トレンドは弱め。
  • 52週レンジ:804円〜1,108円 → レンジ下半分に位置。
  • 直近10日:981円台から930円台へじり安。出来高は3〜5百万株で、3カ月平均(約511万株)に対しやや低下。
  • テクニカル観点:短期は戻り売りが出やすい水準感(975〜980円近辺が上値抵抗、920円台に下値観測)。イベント(11/14決算)前後の変動に留意。

8. 財務諸表分析

  • 売上(億円):2022/3 22,285 → 2023/3 24,893 → 2024/3 24,646 → LTM 25,633(YoY +4.0%、3年CAGR 約+4.8%)
  • 収益性(LTM)
    • 粗利率:約19.7%(粗利5,059億円/売上2.563兆円)
    • 営業利益率:約4.6%(会社指標)、EBITDAマージン:約10.3%
    • ROE:4.52%、ROA:2.36%
    • 金利負担とカバレッジ:利息費用約219億円、EBIT/利息 ≈ 6.2倍
  • キャッシュフロー(LTM)
    • 営業CF:2,478億円(プラス)
    • レバードFCF:約307億円(プラスだが投資負担大)
  • 財政状態(2025/6期末)
    • 現金等:2,286億円、有利子負債:9,043億円 → ネット有利子負債:約6,757億円
    • 流動比率:1.68倍、自己資本比率:50.8%(前期末51.9%)
    • ネットD/EBITDA:約2.6倍
  • セグメント動向(2026/3期1Q)
    • 繊維:売上2,399億円、事業利益152億円(欧州衣料の弱さ、産業用途は改善)
    • 機能化成品:売上2,201億円、事業利益136億円(樹脂は回復、ケミカル市況弱、電池セパレータ鈍化、電子材料は中国低迷)
    • 炭素繊維:売上669億円、事業利益46億円(在庫調整・円高影響、風力は緩やか回復)
    • 環境・エンジ:売上530億円、事業利益31億円(中東大型案件の出荷時期ずれ)
    • ライフサイエンス:売上117億円、事業損失10億円(国内後発品浸透、原材料高)

9. 株主還元と配当方針

  • 予想配当:年間20円(中間10円・期末10円)、予想配当利回り約2.14%、配当性向約36.9%。
  • 5年平均利回り:2.06%(現状は僅かに上回る)。
  • 自社株買い:2026/3期1Qに約334億円実施。自己株式は期末1.02億株(発行済1.63億株の約6.3%)へ増加。
  • 総還元:配当+自社株買いの併用を確認。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム:50日・200日線とも下回り、短期はディフェンシブな値動き。年初来では高値1,108円からの調整局面。
  • 信用動向:信用買残194万株(前週比+8.9万株)、信用倍率9.50倍と買いに偏重。上昇局面では需給が追い風になり得る一方、下落局面での需給悪化リスクにも留意。
  • 投資家属性:機関投資家保有約42%、自己株の積み増し継続。出来高は直近やや減少し様子見ムード。

11. 総評

  • 事業面:多角化と技術資産に基づく強固な基盤。炭素繊維・水処理など構造的成長テーマを保有する一方、短期は欧州衣料や中国関連(電子材料)、電池セパレータの鈍化、出荷時期のずれ、為替の影響が収益を抑制。
  • 財務面:自己資本比率約51%と健全、ネットD/EBITDA約2.6倍で許容的。営業CFは安定的に確保。
  • 収益性:LTM営業利益率4%台、ROE 4%台と業界中位〜やや低め。回復基調だがQ1は前年同期比で減益。
  • バリュエーション:PER・PBRとも業界平均を下回る水準。EV/EBITDAは一般的なレンジ内。業績見通し(通期EPS 53.55円想定)と為替前提145円/ドルの達成度が評価の鍵。
  • 市場面:テクニカルは戻り待ちの展開。11/14決算と年末に向けたマクロ・為替・需給(信用残)に注目。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:B
    • 根拠:LTM売上YoY +4.0%、3年CAGR約+4.8%。直近四半期は売上▲6.6%と鈍化も、通期は増収計画。
  • 収益性:C
    • 根拠:LTM営業利益率約4.6%、EBITDAマージン約10%。素材・化学の平均水準と比べるとやや低め。ROE 4%台。
  • 財務健全性:A
    • 根拠:自己資本比率約51%、流動比率1.68倍、D/E約0.51、ネットD/EBITDA約2.6倍で健全。
  • 株価バリュエーション:A
    • 根拠:PER 17.5倍・PBR 0.85倍は業界平均(PER 21.7倍、PBR 1.0倍)を下回る。EV/売上約0.86倍、EV/EBITDA約8.3倍も妥当レンジ内。

参考データ
– 株価関連:年初来高値1,108円/安値818円、50日移動平均973円、200日移動平均989円
– 重要イベント:2025/11/14 決算発表予定、2026/3/30 基準日(配当権利落ち)
– 通期予想(会社計画):売上2.67兆円、事業利益1,500億円、親会社帰属利益820億円、EPS 53.55円(為替145円/ドル想定)


企業情報

銘柄コード 3402
企業名 東レ
URL http://www.toray.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 繊維製品

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By シャーロット

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