松屋(8237)企業分析レポート

注記:本資料は公開情報に基づく客観的な企業分析であり、投資助言を目的としたものではありません。一過性損益は可能な限り除外し、数値は主として会社開示・提供データを用いています。データソースにより一部指標に差異がある場合は注記します。

1. 企業情報

  • 概要:松屋は1869年創業の老舗百貨店。東京・銀座本店と浅草店の2店舗体制を基軸に、ラグジュアリーブランドや化粧品、服飾雑貨、食料品、美術等を展開。子会社で飲食・ブライダル、ビル総合サービスや広告事業も行う。
  • 連結事業構成(2026年2月期見通しに近い内訳):百貨店業83%、飲食7%、ビル総合サービス・広告6%、その他4%(カッコ内は営業利益構成の目安)。
  • 特徴:独立系の運営を維持しつつ、銀座の一等地立地を活かしたラグジュアリー強化とインバウンド需要の取り込みに注力。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 位置付け:国内百貨店大手(伊勢丹・高島屋・大丸松坂屋等)に比べ店舗数は少ないが、銀座の旗艦店に強み。東京エリアの観光・富裕層需要への感応度が高い。
  • 競争優位:
    • 立地優位(銀座):高額品・免税需要の捕捉力が高い。
    • テナント力:ルイ・ヴィトン等の改装・増床など、ラグジュアリーの牽引役を確保。
  • 課題:
    • 2店舗集中による地理的分散の弱さと景気/観光動向への感応度の高さ。
    • 百貨店業全体の構造的縮小圧力(EC・専門店台頭)と固定費負担。
  • 市場シェア:定量開示はなし。大手連合に比べ規模は中堅。銀座商圏内でのプレゼンスは相対的に高い。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン:「Global Destination」を目指す(2025–2027フェーズ)。
  • 重点施策:
    • ラグジュアリーブランド強化(銀座店大型改装・増床、テナントミックス最適化)
    • CRM強化(顧客基盤の深化、富裕層・インバウンドの囲い込み)
    • 地域共創プロジェクト(銀座・浅草の街づくりと連動)
    • 資本効率向上(自己株式取得の実施、保有有価証券の適正化)
  • 足元のトピック:
    • 2026年2月期上期:免税・高額品の一服、のれん・ソフトウェア等で減損計上。
    • 投資有価証券の一部売却を決議(特別利益見込み約16億円、最終額は市況で変動)。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:高付加価値テナント・ブランドとの共生と販促によるマージン確保。観光・インバウンドに連動しやすい一方で景気・為替の影響を受けやすい。
  • 適応力:
    • 改装投資とテナント入替による売場生産性向上。
    • CRM・イベント・地域連携で来店動機を強化。
    • 非中核資産の売却や自己株買い等で資本効率を意識。
  • リスク:固定費の高さ、単一都市集中、インバウンド鈍化時の振れ。減損・特別損益の発生可能性。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術・運営:デジタルCRMの強化や改装による顧客体験の刷新が中心(基幹技術ではなく運営の磨き込み)。
  • 収益牽引:
    • 銀座店のラグジュアリーブランド(例:LV増床)
    • コスメ、高付加価値ファッション、免税売上
    • 周辺事業(飲食・ブライダル、ビルサービス等)は補完的に収益貢献。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提:株価1,679円、EPS(会社予想)22.62円、BPS(実績)532.94円
  • 指標比較:
    • PER:74.2倍(業界平均21.3倍比で高位)
    • PBR:3.15倍(業界平均1.8倍比で高位)
    • EV/S:約2.20倍(EV約1,060億円=時価総額894.7億+有利子負債216.4億−現金50.7億、売上481億円ベース)
    • EV/EBITDA:16.8〜18.8倍(EBITDA 56〜63億円、ノーマライズの幅を考慮)
  • 逆算目安(単純比較):
    • 業界平均PER適用の理論株価:約482円
    • 業界平均PBR適用の理論株価:約959円
  • コメント:足元の株価は同業平均に対し大幅プレミアム。特別利益(有価証券売却益)の影響は一過性であり、コア利益水準での評価が重要。

7. テクニカル分析

  • トレンド:50日移動平均1,389円、200日移動平均1,126円を上回る上昇トレンド。
  • 位置:年初来高値1,767円に接近する高値圏。直近は1,700円台で上値試し後に押し目を形成。
  • 需給:信用倍率0.20倍(売り長)。出来高は10日平均約41.7万株と3カ月平均約26.7万株を上回り、投資家関心は高め。売り長に伴う値動きの振れに留意。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益の推移(連結、単位:百万円)
    • 売上高:65,039(2022)→34,400(2023)→41,251(2024)→48,120(LTM)
    • 営業利益:-2,274 →352 →2,978 →4,490
    • 当期純利益:1,000 →4,383 →2,631 →2,383
    • コメント:コロナ後に回復局面。LTMで増収増益。2026年2月期上期は免税一服と減損で減益。
  • 収益性(LTMベース、概算)
    • 粗利率:約54.0%(25,971/48,120)
    • 営業利益率:約9.3%(4,490/48,120)
    • 当期純利益率:約5.0%(2,383/48,120)
    • ROE(概算):約8.4%(2,383/自己資本28,269)
    • 注:別ソースの「LTM ROE 1.71%、営業利益率4.69%」とは乖離あり。会社計数ベースの整合に基づき上記を採用。
  • 安全性・効率性(2025/8/31 中間期末)
    • 自己資本比率:37.1%
    • 流動比率:約57%(流動資産18,039/流動負債31,357)
    • D/E(有利子負債/自己資本):約0.74倍(216.4億/290.7億)
    • 営業CF:+31.3億(上期)、LTM営業CF約29.8億、LTMレバードFCFは▲31.1億(投資・資本施策の影響)
  • 一過性項目
    • 減損損失:約10億円(上期)
    • 投資有価証券売却益の見込み:約16億円(通期、一過性)

9. 株主還元と配当方針

  • 配当:年間12円(会社予想、配当利回り約0.71%)
    • 予想ベース配当性向:約53%(12円/EPS22.62円)
    • トレーリングの配当性向(外部データ)は一時的に高水準表示(約196%)だが、一過性影響・データ差異に留意。
  • 自社株買い:上限240万株(発行済の約4.5%)、上限40億円、期間2025/10/10~2026/4/30。資本効率向上とEPS押し上げ効果が見込まれる可能性。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 52週騰落:+107.3%と大幅上昇。年初来高値圏で推移。
  • 直近の値動き:高値1,767円からの押しを挟みつつ1,650〜1,700円帯での攻防。
  • 影響要因:
    • ラグジュアリー需要・免税売上の動向
    • 銀座店改装・大型テナントの集客効果
    • 特別損益(有価証券売却益)や自己株買い進捗
    • マクロ(訪日客数、為替、消費心理)

11. 総評

  • 銀座の旗艦店を核にラグジュアリーを強化し、インバウンド回復も背景にLTMでは増収増益。中期ではCRM・街づくり連動と資本効率改善を掲げる。
  • 一方、2店舗集中と固定費体質により外部環境の変化に対する感応度が高く、上期の減損計上や免税一服など業績の振れも確認された。
  • バリュエーションは同業平均比で高水準。今後はコア利益の持続性(免税依存度の低減、改装効果の定着)、流動性・自己資本比率の改善、資本政策(自己株買い)実行のトラックレコードが注目点。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:A
    • 根拠:LTM売上YoY +16.6%。3年CAGRは▲約9.5%だが、直近の回復基調を重視。
  • 収益性:B
    • 根拠:LTM営業利益率約9.3%、粗利率約54%。一過性損益の振れ・セグメント差を勘案し中位評価。
  • 財務健全性:C
    • 根拠:自己資本比率37.1%(40%未満)、流動比率約57%、D/E約0.74倍。流動性に課題感。
  • 株価バリュエーション:D
    • 根拠:PER約74倍・PBR約3.15倍と業界平均を大幅上回る。EV/EBITDAも高位。

参考データ
– 株価:1,679円(2025-10-22終値)
– 時価総額:約894.7億円
– 年初来高値/安値:1,767円 / 890円
– 今後の予定:権利落ち日(予定)2026-02-26
– 会社予想(2026年2月期):売上高4,500億円→(注:単位は百万円換算で450億円)、営業利益20億円、純利益12億円、EPS22.62円

注記
– 単位は特記なき限り百万円・円。LTMは提供表の「過去12か月」を採用。
– 一過性(減損・投資有価証券売却益)は評価・スコアから除外する方針。
– 外部提供の一部LTM指標(ROE・営業利益率等)と会社計数に差異があるため、本レポートでは会社開示と整合する系列を優先。


企業情報

銘柄コード 8237
企業名 松屋
URL http://www.matsuya.com/
市場区分 プライム市場
業種 小売 – 小売業

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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