1. 企業情報
澁澤倉庫は、日本が誇る近代化の父とされる渋沢栄一によって1897年に創業された、歴史ある総合物流企業です。倉庫準大手として、日本国内および海外で多岐にわたる物流サービスを提供しています。具体的には、商品の保管・流通加工を行う倉庫業務、トラックによる輸送サービス、海上・航空貨物の国際輸送、通関業務などを手掛けています。また、保有する土地を活用した不動産事業も展開しており、収益の柱の一つとなっています。2025年1月に商号をShibusawa Logistics Corporationに変更する予定です。
2. 業界のポジションと市場シェア
澁澤倉庫は倉庫業界の準大手として確立された地位を築いています。総合物流企業として、倉庫、港湾運送、陸上運送、国際輸送といった幅広いサービスを提供することで、顧客の多様なニーズに対応できる点が強みです。また、創業者の渋沢栄一氏のネットワークと歴史に裏打ちされた信頼性も競争優位性の一つです。
不動産事業も手掛けることで、安定的な収益基盤を確保し、物流事業への再投資を可能にしています。
一方で、物流業界全体としては、トラックドライバーの時間外労働規制強化(2024年問題)や人件費の高騰、作業員不足が課題となっています。国際輸送においては米中貿易摩擦などの地政学的リスクや海外経済の減速が荷動きに影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「澁澤倉庫グループ中期経営計画2026」を推進しており、その2年目を迎えています。この計画では、基盤整備を通じて新規業務獲得と収益拡大を目指しており、具体的には以下の5つの重点施策を進めています。
– 拠点整備:物流施設の最適化と拡充。
– 自動化導入:省人化と効率化に向けた技術投資。
– DX推進:デジタル技術を活用した業務改革。
– 国際物流網の強化:アジア地域を中心とした海外展開の加速。
– サステナビリティ経営:ESGへの取り組み強化。
これらの施策を通じて、変化する市場ニーズと社会課題に対応し、持続的な成長を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
澁澤倉庫の事業モデルは、中核となる物流事業と、収益源を多角化する不動産事業の二本柱で構成されています。
物流事業では、EC市場の拡大に伴う貨物量の増加や、サプライチェーンの複雑化に対応した戦略的物流サービスへの需要が高まっています。特に陸上運送業務が好調に推移しており、市場ニーズへの適応力を示しています。
不動産事業は、都市部のオフィス需要の底堅さや、保有資産の有効活用により安定した収益を生み出しており、物流事業の変動リスクを補完する役割を果たしています。
課題としては、物流業界の人手不足やコスト上昇がありますが、自動化導入などの投資によってこれに対応しようとしています。市場ニーズの変化(EC需要の増加、サプライチェーンの多様化)に合わせたサービス提供と、不動産による安定収益が持続可能な事業モデルを支えています。
5. 技術革新と主力製品
同社の主力製品は、顧客の物流ニーズに応える総合的な物流サービスと、不動産の賃貸・管理サービスです。技術革新の動向としては、中期経営計画に掲げられている「自動化導入」「DX推進」が挙げられます。物流拠点での自動化機器の導入や、情報システムの開発・運用管理を通じて、効率性向上とサービス品質の向上を図っています。特にECフルフィルメントサービスの提供は、EC需要の高まりに対応する重要な取り組みです。
収益を牽引しているのは、連結営業収益の9割以上を占める物流事業であり、陸上運送業務や国際輸送業務がその成長を支えています。
6. 株価の評価
現在の株価1,140.0円に対して、会社予想EPSは88.58円、実績BPSは1,117.45円です。
* PER(会社予想): 12.85倍
* PBR(実績): 1.02倍
業界平均PER14.8倍、業界平均PBR1.1倍と比較すると、現在の澁澤倉庫のPERおよびPBRは業界平均を下回っており、割安感がある状態と評価できます。
EPSと業界平均PERから算出したPERベースの理論株価は約1,310円、BPSと業界平均PBRから算出したPBRベースの理論株価は約1,229円となります。これらを考慮すると、現在の株価は割安な水準にある可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価1,140.0円は、年初来高値1,180円に近く、年初来安値712円からは大きく上昇しています。直近10日間の株価推移を見ても、堅調に推移しており、特に大きな下落は見られません。
50日移動平均線1,131.83円および200日移動平均線952.54円と比較すると、現在の株価はこれらを上回っており、短期から中期のトレンドとしては上昇基調にあることを示唆しています。
ただし、年初来高値に近づいているため、価格帯としてはやや高値圏に位置していると考えることもできます。
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移:
過去数年の連結売上高は700億円台後半で推移しており、2025年3月期(過去12ヶ月)は786億円と微増傾向にあります。
営業利益は2025年3月期(過去12ヶ月)で46億円、純利益は49億円となっています。年度による変動は見られるものの、成長率は緩やかです。
直近の2026年3月期第1四半期決算では、営業収益は前年同期比で+2.8%増加しましたが、営業利益は△19.9%減少しました。これは主に人件費・作業費の増加や新設拠点に係る減価償却費等によるものです。一方で、投資有価証券売却益の増加により、親会社株主に帰属する四半期純利益は+11.5%と増加しました。
収益性指標:
- ROE(実績):7.78% (過去12ヶ月: 8.12%)
- ROA(過去12ヶ月):2.38%
上場企業平均と比較すると、特に高い水準ではありませんが、物流・不動産といった事業特性を考慮すると安定的な水準と言えます。
キャッシュフロー:
過去12ヶ月の営業キャッシュフローは54.8億円のプラスとなっています。しかし、2026年3月期第1四半期累計では、法人税等支払の増加により営業活動によるキャッシュフローはマイナスに転じました。投資活動によるキャッシュフローは投資有価証券売却収入によりプラス、財務活動によるキャッシュフローは短期借入金の純増があるものの、長期借入金返済や配当支払いによりマイナスとなっています。
財務健全性:
- 自己資本比率(実績):54.8% (直近1Q: 54.7%)
- 流動比率(直近四半期):1.39倍
- 総負債/自己資本当期(Total Debt/Equity):47.13%
自己資本比率は50%を超えており、流動比率も1倍を大きく上回っているため、財務基盤は非常に健全であると評価できます。借入金も適切に管理されており、安定性が高いです。
9. 株主還元と配当方針
澁澤倉庫は安定的な株主還元を目指しており、配当利回り(会社予想)は3.95%と比較的高い水準です。会社予想の年間1株配当は45.00円(株式分割後)であり、配当性向は41.52%です。
2025年9月30日を基準日として普通株式1株を4株に分割する株式分割が実施されており、配当予想もこれに伴い修正表示されています。分割を考慮しない場合の年間配当は1株あたり180円であり、株主への還元意欲が見られます。
自社株買いに関する直近の情報は提供されていませんが、配当による還元を重視していると言えます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近で年初来高値圏にあり、50日移動平均線および200日移動平均線を上回って推移していることから、上昇の勢い(モメンタム)は強いと考えられます。
直近の出来高は5.7万株と、平均と比較してやや低水準ですが、株価は堅調です。
信用取引においては、信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率は9.79倍です。買残が多い状況は、将来の売り圧力となる可能性も秘めていますが、短期的には株高を期待する投資家が多いことを示唆しています。
株価への影響を与える要因としては、物流業界の動向(2024年問題への対応、EC需要の動向)、不動産市場の状況、金利動向、中期経営計画の進捗などが挙げられます。直近の決算では、営業利益の減少と、投資有価証券売却益による純利益の増加という内容が注目されました。
11. 総評
澁澤倉庫は、総合物流と不動産事業を柱とする堅実な企業です。創業者の歴史と信頼性、幅広い物流サービス提供能力が強みであり、安定した財務基盤を誇ります。中期経営計画では、物流業界の変化に対応するための自動化やDX推進、国際物流網の強化に注力しています。
直近の決算では、物流コストの上昇により営業利益は減少したものの、投資有価証券売却益により純利益は増加しました。株価は年初来高値圏にあり、テクニカル的には上昇トレンドを示していますが、割安なバリュエーション指標と高い配当利回りは魅力的です。
物流業界特有の課題と不動産市場の変動リスクは存在しますが、これまでの経営実績と健全な財務状況は評価される点です。
12. 企業スコア
- 成長性:B
- LTM売上成長率は7.09%と微増傾向。直近1Qの売上高成長率は2.80%で、通期予想も+0.5%と大きな伸びは見られません。全体として緩やかな成長を維持していると評価できます。
- 収益性:B
- 過去12ヶ月の営業利益率は約5.94%であり、直近1Qでは約5.05%と低下しています。一般的な物流業界の利益率を考慮すると、極端に高い水準ではないものの、安定して利益を確保していると言えます。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率54.8%と非常に高く、流動比率1.39倍、D/E比率47.13%と、どの指標を見ても非常に健全な財務状況です。事業の安定性が高いことが示されています。
- 株価バリュエーション:A
- PER(会社予想)12.85倍は業界平均14.8倍を下回っており、PBR(実績)1.02倍も業界平均1.1倍を下回っています。現在の株価水準は、業界平均と比較して割安感があると評価できます。
企業情報
銘柄コード | 9304 |
企業名 | 澁澤倉庫 |
URL | https://www.shibusawa.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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