1. 企業情報
五洋建設は、1896年創業の歴史ある準大手ゼネコンです。特に海上土木(マリコン)分野では国内最大手としての実績を持ち、日本、東南アジアを中心に土木・建築工事を展開しています。事業内容は、国内土木、国内建築、海外建設の3つを柱としており、港湾、空港、道路、ダムといった社会インフラから、物流施設、データセンター、オフィス、商業施設、住宅まで多岐にわたる建設プロジェクトを手掛けています。その他、不動産開発、造船、保険、環境関連事業も行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は「海上土木の最大手」として国内のマリコン市場で首位の座を確立しており、港湾CIM技術などの独自の強みを持っています。海外では特に東南アジアに強固な基盤を持ち、シンガポールや香港での大型プロジェクト受注実績が豊富です。この海上土木における技術力と海外展開力が、同社の競争優位性の源泉となっています。
一方で、建設業界全体が直面する課題として、建設資材価格の高止まり、労務費の上昇、熟練工の不足といったコストおよび供給制約リスクが存在します。また、地政学的リスクや為替変動も海外事業における潜在的な課題です。
3. 経営戦略と重点分野
五洋建設は、国土強靭化計画や防災・減災対策、カーボンニュートラル(CN)関連、防衛インフラといった国の重要政策に関連する土木工事を国内事業の主要な柱と捉えています。また、民間建築分野では、物流施設やデータセンター、半導体関連施設といった成長分野の需要を取り込むことに注力しています。
海外事業では、東南アジア地域での旺盛な建設投資を背景に、シンガポールのチャンギ空港T5関連工事やトゥアス北部埋立工事といった大型案件の獲得に引き続き注力しています。これらにより、国内外での堅調な建設需要を取り込み、事業成長を目指す方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、国内の公共投資と民間設備投資、そして海外のインフラ投資という多角的な需要基盤に支えられています。海上土木・総合建設という専門性と多様性を兼ね備えることで、特定の市場変動リスクを分散しています。また、港湾CIM技術などの先進技術の導入や、物流施設、データセンターといった新たな市場ニーズへの対応を進めており、市場環境の変化に対する適応力を高めています。これにより、中長期的な収益機会の確保と事業の持続可能性維持に努めています。
5. 技術革新と主力製品
同社は「港湾CIM技術」を推進しており、これは建設業界におけるデジタル技術活用の一例です。これにより、設計から施工、維持管理までを一貫して効率化し、生産性向上と品質確保を図っています。
収益を牽引する主力製品・サービスは、
* 国内土木事業: 港湾、空港、ダム、河川、道路、トンネル、鉄道などのインフラ建設
* 国内建築事業: 物流施設、データセンター、オフィス、商業施設、住宅などの建築
* 海外建設事業: シンガポールや香港を中心とした大規模な海上土木・インフラ建設
などがあり、特に海洋土木分野における高い技術力が強みです。
6. 株価の評価
現在の株価1,283.5円に対し、会社予想EPSは89.24円です。
* PER(株価収益率): 1,283.5円 ÷ 89.24円 = 14.38倍
* 業界平均PER14.0倍と比較すると、ほぼ同水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 現在の株価1,283.5円に対し、実績BPSは619.73円です。
* 1,283.5円 ÷ 619.73円 = 2.07倍
* 業界平均PBR1.1倍と比較すると、PBRは業界平均よりも高い水準にあります。
PERは業界平均とほぼ同水準ですが、PBRが業界平均を大きく上回っていることから、純資産価値から見ると割高感がある可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価1,283.5円は、年初来安値623円に対し、年初来高値1,295円に迫る高値圏に位置しています。直近10日間の株価は一時的な下落もありましたが、概ね上昇傾向にあり、本日高値1,289円を記録しました。
50日移動平均線(1,125.44円)および200日移動平均線(872.93円)を大きく上回って推移しており、強い上昇モメンタムを示しています。過去52週間の株価変動率は+96.27%と大幅に上昇しており、市場全体の動き(S&P500の+16.18%)を大きく上回っています。
8. 財務諸表分析
売上高:
過去数年間で売上高は着実に成長しています。
* 2022年3月期: 458,231百万円
* 2023年3月期: 502,205百万円
* 2024年3月期: 617,707百万円
* 過去12か月: 727,491百万円
直近の2026年3月期第1四半期連結売上高は174,141百万円と、前年同期比で+12.8%の増加を示しており、好調な推移です。会社予想の2026年3月期通期売上高は727,000百万円と、前期比でほぼ横ばいを予想しています。
利益:
粗利益は2023年3月期に大きく落ち込んだものの、2024年3月期に回復しました。営業利益も同様の傾向を示し、2023年3月期には4,119百万円と低水準でしたが、2024年3月期には29,152百万円に回復。
親会社株主に帰属する純利益は、2023年3月期の684百万円から2024年3月期には17,875百万円へと大きく改善しました。過去12か月では12,460百万円。
2026年3月期第1四半期連結では、営業利益10,278百万円(前年同期比+42.5%)、親会社株主に帰属する四半期純利益6,899百万円(同+32.1%)と大幅な増益を達成しており、通期では売上横ばいながらも大幅な増益(営業利益+82.0%、純利益+100.6%)を見込んでいます。
収益性指標:
* 売上総利益率(過去12か月): 約6.54% (47,581百万円 / 727,491百万円)
* 営業利益率(過去12か月): 5.90%
* ROE(実績): 7.22%(2024年3月期実績) / 8.28%(過去12か月)
* ROA(過去12か月): 2.51%
収益性は2023年3月期を底に回復傾向にあり、特に直近四半期の営業利益率5.9%は建設業としては比較的良好な水準です。
財務健全性:
* 自己資本比率(実績): 26.1%(2024年3月期末)、直近四半期25.2%
* 流動比率(直近四半期): 1.28倍
* 総負債/自己資本比率(D/E比率、直近四半期): 127.54%
自己資本比率は建設業の特性を考慮しても、やや低い水準にあります。流動比率は1倍を上回っており、短期的な支払い能力は問題ないと考えられます。一方で有利子負債残高は2,193億円と増加傾向にあり、財務レバレッジは高めです。
キャッシュフロー:
第1四半期決算短信には連結キャッシュ・フロー計算書は添付されていませんでした。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは2.65%(1株配当34.00円)です。配当性向は54.40%と高めの水準です。2025年3月期の実績配当が年間24.00円であったことから、2026年3月期は大幅な増配を予想しており、株主還元に積極的な姿勢がうかがえます。
また、決算短信には当第1四半期に4,492,300株の自己株式取得を実施した旨が記載されており、自己株式取得による株主還元も実行しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、年初来高値に近づく強い上昇モメンタムを示しています。52週間の株価変化率は+96.27%と非常に高く、投資家の関心が高いことがうかがえます。
信用取引においては、信用買残が直近で増加しており、信用倍率も11.07倍と買い方の評価が高まっている可能性があります。
株価に影響を与える要因としては、海外の大型受注状況(チャンギ空港T5関連工事など)や、国内での国土強靭化、CN関連、物流・データセンターといった特定分野の需要動向、そして建設資材価格や労務費の動向が挙げられます。会社が修正なしとしている2026年3月期の通期業績予想(特に大幅な増益見込み)も、今後の株価にポジティブな影響を与える可能性があります。
11. 総評
五洋建設は、海上土木で国内トップの地位を確立し、東南アジアを中心にグローバル展開を進める準大手ゼネコンです。売上高は堅調に増加しており、2026年3月期には大幅な増益を見込むなど、利益面でも回復・成長基調にあります。技術革新への取り組みや、変化する市場ニーズ(物流、データセンター、CN関連)への適応力も強みです。
財務面では自己資本比率が業界平均よりも低い水準にありますが、流動比率は健全性を保ち、有利子負債は増加傾向にあります。株主還元策として増配予想に加え、自社株買いも実施しています。
株価は年初来高値圏で推移しており、PERは業界平均と同水準ですが、PBRは割高感が見られます。しかし、業績の回復・成長期待や今後の大型受注進捗への期待から、投資家の関心は高い状況が継続しています。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率は直近四半期で+12.8%と高く、過去数年間の売上高も着実に増加しています。2026年3月期通期売上高は前期比横ばいを予想していますが、受注高は海外大型案件を中心に大幅に増加しており、中長期的な成長のドライバーとなり得ます。
- 収益性: A
- 過去12か月および直近四半期の営業利益率は5.90%であり、建設業界の平均的な水準を上回っています。2023年3月期に一時的な落ち込みがあったものの、その後回復し、2026年3月期は大幅増益を予想しており改善傾向が見られます。
- 財務健全性: C
- 自己資本比率は直近で25.2%であり、建設業としては標準的ですが、一般的に望ましいとされる水準(40%以上)と比較すると低い傾向にあります。有利子負債残高が増加しており、D/E比率も127.54%とややリスクが高いと評価されます。流動比率は1.28倍と短期安全性は確保されています。
- 株価バリュエーション: C
- 会社予想PER14.38倍は業界平均PER14.0倍とほぼ同水準ですが、実績PBR2.07倍は業界平均PBR1.1倍と比較して割高感があります。
企業情報
銘柄コード | 1893 |
企業名 | 五洋建設 |
URL | http://www.penta-ocean.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。