五洋建設(1893)企業分析レポート

最終更新: 2025-10-23
注記: 本資料は公開情報の整理であり、投資助言ではありません。数値は連結ベース中心。単位は特記なき限り円・百万円。

1. 企業情報

  • 概要: 海上土木(マリコン)で国内首位クラスの準大手ゼネコン。港湾・空港・埋立・浚渫などの海洋土木に強み。国内建築(物流、データセンター等)と、シンガポール・香港など東南アジア中心の海外建設も展開。港湾CIM(BIM/CIMの港湾分野適用)を推進。
  • 事業セグメント(売上構成・カッコ内は短信ベースの傾向):
    • 国内土木: 42%(利益貢献大、採算改善)
    • 国内建築: 35%(大型物件で伸長)
    • 海外建設: 21%(大型受注は厚い、利益は改善途上)
    • その他: 2%(開発・造船・環境・リース等)
  • 地域: 日本、東南アジアほか
  • 特徴: 大型埋立・港湾・空港案件に豊富な実績。設立1896年・東京本社。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション: 海上土木で国内トップクラス。準大手ゼネコン群の中でマリコン専業色が強い。
  • 主な競合: 東亜建設工業、若築建設(マリコン)、大手ゼネコン(鹿島、大成、清水などは総合型)。
  • 競争優位性:
    • 海上土木の専門技術・施工ノウハウ(浚渫・埋立・ケーソン据付等)
    • 東南アジアの大型案件実績(シンガポール・チャンギ空港、トゥアス港など)
    • 港湾CIM等の生産性向上技術
  • 課題:
    • 資材・労務コスト高止まりへの耐性
    • 海外案件の採算ブレ・為替/地政学リスク管理
    • 国内建設の労務逼迫、外注費上昇

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン/方針(短信・IR要旨):
    • 国内: 国土強靭化、防災/減災、港湾・防衛インフラ、CN(カーボンニュートラル)関連需要の獲得
    • 民間建築: 物流施設、データセンター等の大型案件
    • 海外: シンガポール/香港等の港湾・空港・埋立など大型インフラの重点獲得
  • 中期的施策:
    • 受注力強化と採算管理(工事採算の改善、コストコントロール)
    • 港湾CIM・DXでの生産性向上
    • バックログの厚み確保と選別受注
    • 財務基盤の確保(社債枠設定、自己株取得の機動活用)
  • 受注状況:
    • 2026/3期1Q受注高: 313,534百万円(前年同期比大幅増)
    • 受注残(バックログ): 1,246,432百万円(前期比+15.1%)

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル: 請負工事収入(出来高計上)、国内外の公共・民間大型案件が中心。
  • 需要基盤: 国土強靭化/防災、港湾機能強化、物流/DC、CN関連など政策・構造的需要が下支え。
  • 適応力:
    • 港湾CIMや施工DXの活用、採算管理の強化でコスト環境変化に対応
    • 海外は大型受注で案件継続性がある一方、為替・コスト・政治リスクに留意
  • 受注残/売上の目安: 受注残 約1.25兆円 / 年間売上(会社計画7270億円)≒ 約1.7年分のカバレッジ

5. 技術革新と主力製品・案件

  • 技術・独自性: 港湾CIM、海上施工(浚渫・埋立・大水深化対応)、大型ケーソン据付など専門性の高い技術ポートフォリオ。
  • 主力領域/案件例:
    • シンガポール・チャンギ空港T5関連、トゥアス北部埋立など大型案件
    • 国内の港湾・防災・物流関連インフラ、データセンター建築

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 株価: 1,283.5円(2025-10-22終値)
  • EPS(会社予想): 89.24円 → PER ≒ 14.38倍(業界平均PER 14.0倍と同水準域)
  • BPS(実績): 619.73円 → PBR ≒ 2.07倍(業界平均PBR 1.1倍を上回る)
  • 配当利回り(会社予想): 34円 → 約2.65%(配当性向 54.4%)
  • EV/売上(LTM): EV約5,334億円 / 売上約7,275億円 ≒ 0.73倍
  • EV/EBITDA(LTM): 約17.5倍(EBITDA約305億円ベース)
  • 所感(相対比較の事実関係):
    • PERは業界平均近辺
    • PBRは業界平均を上回る水準
    • EV/EBITDAはやや高めのレンジに位置

7. テクニカル分析

  • トレンド: 50日移動平均(約1,125)および200日移動平均(約873)を大きく上回る上昇トレンド。
  • 位置づけ: 年初来高値1,295円に接近(10/22終値1,283.5円)。高値圏に位置。
  • 出来高: 直近の売買高は3カ月平均(約175万株)と同程度〜やや上振れ。
  • 信用動向: 信用倍率11.07倍、買残増加(+145.8千株)。短期の需給は買いに傾斜。

8. 財務諸表分析(トレンド)

  • 売上高(百万円): 2022: 458,231 → 2023: 502,205 → 2024: 617,707 → LTM: 727,491
    • 3年CAGR(概算): 約+16〜17%
  • 利益:
    • 営業利益: 15,939(2022)→ 4,119(2023)→ 29,152(2024)→ 21,697(LTM)
    • LTM営業利益率(計算値): 約3.0%(2026/3期1Qは約5.9%と改善)
    • 当期純利益: 10,753(2022)→ 684(2023)→ 17,875(2024)→ 12,460(LTM)
  • マージン:
    • 粗利率(LTM): 約6.5%(1Qは約9.6%)
    • EBITDAマージン(LTM): 約4.2%
  • 効率/資本:
    • ROE: 7.22%(実績)、ROA: 2.51%(LTM)
    • 自己資本比率: 26.1%(前期末)、1Q末 25.2%
    • 有利子負債: 2,193億円(前期末比+528億円)
    • D/E(総負債/自己資本): 約127.5%
    • 流動比率: 1.28
  • 金利負担・カバレッジ:
    • 営業利益(LTM)約216.9億円、支払利息約23.6億円 → 利息カバレッジは概ね十分(計算上9倍前後)

9. 株主還元と配当方針

  • 配当実績/予想: 2025/3期 24円 → 2026/3期予想 34円(中間17円・期末17円)
  • 予想配当性向: 約54.4%
  • 自己株式: 2026/3期1Qに自己株式4,492,300株取得。期末自己株式数 8,641,861株(発行済株式の約3%)
  • 今後の基準日: 次回権利落ち予定 2026-03-30(予定)

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • パフォーマンス: 52週騰落 +96.3%、年初来レンジ 623円〜1,295円
  • 材料/要因:
    • 受注高の大幅増、受注残の積み上がり(約1.25兆円)
    • 1Qで売上+12.8%、営業利益+42.5%と採算改善
    • 海外大型案件の獲得(チャンギT5等)
    • 社債枠設定(上限100億円)・自己株式取得の実施
  • ステークホルダー構成: 機関投資家保有比率約52.7%、インサイダー約3.9%

11. 総評

  • 海上土木の専門性と海外大型案件の実績を背景に、受注残は厚く、短中期の売上確度を高めている。2026/3期1Qは国内土木・建築の採算改善が進み、海外損失も縮小。
  • 一方、自己資本比率は20%台半ば、D/Eは100%超と負債依存は相対的に高い。資材・労務コスト高や海外リスクへの対応が引き続きの論点。
  • バリュエーションはPERが業界平均近辺、PBRは平均を上回る。足元の株価は高値圏で推移し、信用残は買いに傾くなど短期需給の変動には留意点がある。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性: A
    • 根拠: LTM売上+17.8%、3年CAGR約+16〜17%、1Q売上+12.8%。
  • 収益性: B
    • 根拠: LTM営業利益率約3.0%(1Qは5.9%へ改善)。ゼネコン平均レンジと同水準域。
  • 財務健全性: C
    • 根拠: 自己資本比率26.1%、D/E約127%、流動比率1.28。
  • 株価バリュエーション: C
    • 根拠: PERは業界平均近辺、PBRは平均超、EV/EBITDAも高めのレンジ。

【参考データ抜粋】
– 株価レンジ: 年初来高値 1,295円 / 安値 623円
– 会社予想(2026/3期): 売上高 727,000百万円、営業利益 39,500百万円、純利益 25,000百万円、EPS 89.86円(会社想定)
– 1Q実績: 売上 174,141、OP 10,278、経常 10,040、純利 6,899(いずれも百万円、前年比増)
– 受注残: 1,246,432百万円(+15.1%)
– 次回決算予定: 2025-11-06(予定)
– 次回配当権利落ち予定: 2026-03-30

(数値・予定は公表資料等に基づく。最新開示の確認を推奨)


企業情報

銘柄コード 1893
企業名 五洋建設
URL http://www.penta-ocean.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – 建設業

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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