日本化薬(4272)企業分析レポート
最終更新日: 2025-10-25
1. 企業情報
- 概要
- 日本化薬は、ライフサイエンス(医薬・アグロ)、ファインケミカルズ(機能性材料・色素・触媒等)、モビリティ&イメージング(エアバッグ用インフレータ、シートベルト向けマイクロガスジェネレータ、表示・分析関連材料等)を展開。
- 起源は火薬。現在は機能化学品・医薬・自動車安全部材へ多角化。抗がん剤(ジェネリック/バイオ・バイオシミラー)に強み。
- セグメントと売上構成(目安)
- 連結事業構成比:機能化学品 41%、医薬 30%、セイフティシステムズ 29%(海外売上比率 57%/2025.3期)
- 上場区分・業種
- 東証プライム/17業種: 素材・化学、33業種: 化学
- 主要データ
- 本社:東京都千代田区丸の内2-1-1
- 代表者:川村 茂之
- 設立:1916年
- 従業員:5,979人、平均年齢 40.9歳、平均年収 776万円
- 近々のイベント
- 決算発表予定:2025-11-11
- 配当落ち予定日:2026-03-30
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- モビリティ&イメージング:自動車用安全部材(インフレータ等)をグローバルに供給。地域・顧客分散で安定化を志向。
- ファインケミカルズ:半導体向けエポキシ・感光性材料、色素、触媒などでエレクトロニクス需要を取り込む。
- ライフサイエンス:抗がん剤やバイオシミラー、診断薬、アグロ(農薬)まで幅広い製品群。
- 競争優位性(示唆)
- 多角ポートフォリオと海外売上比率の高さ(57%)による分散効果。
- 医薬の抗がん領域や半導体向け機能材料など技術集約分野を保有。
- 課題
- 自動車需要・規制・安全基準の変化、原材料価格・為替の変動感応度。
- 医薬の価格改定・競争激化(ジェネリック/バイオシミラー)、イメージング(プロジェクター等)の構造的需要変化。
- 市場シェア
- 定量的シェアは公表情報からは不明(–)。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/中計
- 中期経営計画「KAYAKU Vision 2025」最終年度。事業ごとの「ありたい姿」に向けたロードマップを継続。
- 重点分野(会社開示・1Q所感)
- モビリティ&イメージング:収益性回復(原材料・為替影響吸収、製品ミックス・コスト最適化)。
- ファインケミカルズ:半導体市況回復を機に機能性材料・色素の拡販。
- ライフサイエンス:国内製剤・バイオシミラーの浸透、原薬・診断薬の伸長、アグロ輸出の強化。
- 資本政策
- 安定配当方針(年60円予想)を継続。2025年度1Qに自己株式の取得・消却を実施。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源の分散(自動車安全部材×機能材料×医薬・アグロ)により景気循環の影響を相対的に平準化。
- 市場環境への適応
- 半導体需要の波に合わせた機能材料の開発・供給体制。
- 医薬はバイオシミラー等の継続投入によるパイプライン強化が鍵。
- 自動車は地域別需要差(中国堅調、北米一部弱含み等)への対応が課題。
- 主なリスク
- 為替差損、原材料高騰、地政学・関税リスク、規制・薬価改定、需要構造変化。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・製品群
- 安全部材:エアバッグ用インフレータ、シートベルト用マイクロガスジェネレータ、スクイブ。
- 機能材料:エポキシ/マレイミド樹脂、硬化剤、難燃材、UV硬化樹脂、MEMSレジスト、LCDシール材、NIR吸収材、可変調光用二色性色素等。
- 画像・分析:LCDプロジェクター・表示向け材料、X線分析系コンポーネント等。
- 医薬:抗がん剤・バイオ系(バイオシミラー含む)、循環器・光線力学的診断薬、IVD、塞栓材料、原薬等。アグロ:殺虫・除草・殺菌など。
- 動向
- 半導体・エレクトロニクス向け材料の需要回復が追い風。
- イメージング(プロジェクター等)は構造的逆風が残る見通し。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提
- 株価:1,427.5円、予想EPS:110.63円、予想PER:12.90倍
- 実績BPS:1,677.67円、実績PBR:0.85倍
- 予想1株配当:60円、配当利回り:約4.2%
- 業界平均:PER 20.4倍、PBR 1.1倍
- 相対評価(事実比較)
- PERは業界平均を下回る水準、PBRも平均を下回る水準。
- EV/Sales概算:約0.96倍(EV≒2,151億円、売上高≒2,237億円LTM)
- 補足
- ROE(実績)6.5%前後。PBR<1倍で自己資本比率は高水準。
7. テクニカル分析
- トレンド指標
- 50日移動平均:1,412円、200日移動平均:1,351円。株価は両線上。
- 年初来高値/安値:1,465円/1,215円。現在値は高値圏に近い(約97%)。
- 直近の値動き(10日)
- 1,365円→1,427.5円へジリ高。出来高は10日平均38万株で3カ月平均49万株を下回る。
- 価格帯
- レジスタンス:1,465円(年初来高値近辺)
- サポート:1,400円(50日線)/1,350円(200日線)
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上高推移:1,848億円(2022)→1,984億円(2023)→2,018億円(2024)→2,226億円(LTM)。3年CAGR約+6%台。
- 収益性
- 売上総利益:704〜715億円(LTM)、粗利率約32%。
- 営業利益:LTM 204億円、営業利益率 LTM約8%(会社指標7.98%)。2024期は一時的に低下(約3.6%)→回復。
- EBITDA:LTM 363億円、EBITDAマージン約16%。
- 純利益:LTM 175億円、純利率約8%。
- 効率・資本
- ROE(LTM):約6.8%、ROA:約3.2%。
- 自己資本比率:71.6%、流動比率:約3.23倍、D/E(総負債/資本相当):約18%。
- キャッシュ
- 現金同等物:約603億円、総有利子負債:約471億円。ネットキャッシュ基調に近い水準。
- 一過性項目
- 2024期には特別項目の影響(合計特殊要因 -53億円)あり。LTMでは正常化傾向。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025年3月期実績:年60円(中間22.5円・期末37.5円)
- 2026年3月期会社予想:年60円(中間30円・期末30円)
- 予想配当性向:約56%
- 自社株
- 2025年度1Qに自己株式 約427万株を取得、同年5月に約500万株を消却。1株価値の希薄化緩和に寄与。
- 方針
- 安定配当を基本に、機動的な自己株式取得を実施。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落:+19.3%(ベータ0.30で低ボラティリティ)。
- 直近は移動平均線上を維持し、高値圏を試す展開。
- 投資家動向(信用)
- 信用買残14.0万株(前週比 -1.14万株)、信用売残2.74万株(前週比 +0.2万株)、信用倍率5.11倍。買い越しだが買残はやや減少。
- 需給・イベント
- 直近の自社株買い・消却実施済み。次の材料は決算(2025-11-11)や配当関連(2026-03-30配当落ち)等。
- 外部環境
- 半導体市況改善は追い風。為替・原材料価格・自動車需要の地域差は不確実性要因。
11. 総評
- 売上は複数事業で堅調に拡大し、2024期の低収益からLTMでは営業利益率が回復。ROEは一桁台中盤。
- バランスシートは強固(自己資本比率70%超、流動比率3倍超)。キャッシュ水準と低レバレッジで財務余力がある。
- バリュエーションはPER・PBRとも業界平均を下回る水準。配当利回り約4%台、自己株取得・消却も実施。
- セグメント別には、ファインケミカルズとライフサイエンスが増収増益。モビリティ&イメージングは原材料・為替や需要差の影響で収益性が課題。
- 直近の株価は移動平均線上で推移し、高値圏に位置。出来高は平準的。次の決算での見通し・為替影響・コスト動向が注目点。
(本資料は公開データに基づく客観的整理であり、投資勧誘や推奨を目的とするものではありません。)
12. 企業スコア
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上+約10%(2024→LTM)、3年CAGR約+6%台、四半期YoYも+2.1%。
- 収益性:B
- 根拠:LTM営業利益率約8%、EBITDAマージン約16%。2024期から回復も、業界平均との差は不明なため中立評価。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率71.6%、流動比率3.23倍、D/E約18%と強固。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER12.9倍(業界平均20.4倍)、PBR0.85倍(同1.1倍)、EV/S約0.96倍と相対的に低水準。
参考データ(抜粋)
– 株価関連:前日終値1,412.5円、本日高値1,427.5円、年初来高値1,465円、年初来安値1,215円、時価総額約2,284億円
– 財務指標(LTM中心):売上約2,237億円、粗利約708〜715億円、営業利益約204億円、純利益約175〜182億円、ROE約6.5〜6.8%、自己資本比率71.6%
企業情報
| 銘柄コード | 4272 |
| 企業名 | 日本化薬 |
| URL | http://www.nipponkayaku.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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