コニシ（証券コード: 4956）の企業分析レポートを以下に示します。
1. 企業情報
コニシは、接着剤の製造・販売を主力事業とする企業です。特に「ボンド」ブランドの接着剤で広く知られており、国内接着剤市場では最大手の一角を占めています。事業は主に以下の3つのセグメントで構成されています。
* ボンド事業（売上構成比約54%）: 家庭用接着剤、修理材料、テープから、住宅関連分野の内装工事用接着剤、建築用シーリング材、産業資材（自動車・電子部品向け、紙工用等）の接着剤まで幅広く展開しています。
* 化成品事業（売上構成比約27%）: 自動車、エレクトロニクス、化学品、塗料、住宅関連分野向けの化学製品の商社機能を担っています。
* 工事事業（売上構成比約18%）: コンクリート構造物の補修、補強、改修工事の調査、設計、施工を提供しています。橋梁や高速道路の上部工工事、耐震補強技術などで強みを持っています。
同社は1870年に創業し、1925年に設立された老舗企業であり、大阪に本社を構えています。
2. 業界のポジションと市場シェア
コニシは「ボンド」ブランドで知られる接着剤最大手として、業界内で確立されたポジションを築いています。家庭用から産業用、建築・土木分野まで幅広い製品を展開することで、多様な顧客ニーズに対応しています。特に住宅・建築分野における接着剤やシーリング材、公共・民間のインフラ補修・改修工事における耐震補強技術は競争優位性であると考えられます。
一方で、住宅着工戸数の低迷、電子・半導体産業の市況変動、国際的な貿易政策・関税、地政学リスクに伴う資源価格の高止まりなどは事業運営上の課題となっています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は中期経営計画「中期経営計画2027」（2025年3月期～2027年3月期）を推進中です。この計画では、事業拡大と効率化を目指し、新製品投入、成長分野への注力、そして生産・物流・DX（デジタルトランスフォーメーション）分野への過去最大規模の設備投資を重点施策として掲げています。具体的には、住関連分野での水性接着剤の新規導入や、自動車・電子部品向け弾性接着剤などの産業資材分野での拡販に力を入れています。
4. 事業モデルの持続可能性
コニシの事業モデルは、長年にわたる「ボンド」ブランドによる強固な顧客基盤と、家庭用から産業用、さらには建設工事まで多角的な事業展開が特徴です。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定的な収益確保に努めています。市場ニーズの変化に対しては、自動車（ハイブリッド車含む）や電子部品向けといった成長分野に合わせた製品開発や、インフラ老朽化に伴う補修・改修ニーズに対応する工事事業の強化で適応を図っています。
5. 技術革新と主力製品
主力製品は家庭用から住関連、産業用、建築・土木工事まで多岐にわたる「ボンド」ブランドの接着剤および関連製品です。技術開発においては、環境負荷の低い水性接着剤の新規導入や、自動車・電子部品向けの機能性弾性接着剤の開発に注力していることが報告されています。また、コンクリート構造物の補修・補強・改修工事において培われた耐震補強技術も同社の独自の強みとなっています。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 1,313.0円
- EPS（会社予想）: 122.06円
- BPS（実績）: 1,301.79円
- PER（会社予想）: 10.76倍
- PBR（実績）: 1.01倍
- 業界平均PER: 20.4倍
- 業界平均PBR: 1.1倍
コニシのPER（10.76倍）とPBR（1.01倍）は、それぞれ業界平均のPER（20.4倍）およびPBR（1.1倍）と比較して低い水準にあります。このことから、現在の株価は業界平均と比較して割安である可能性が示唆されます。
例えば、業界平均PERを適用した場合の理論株価は約2,489円（122.06円 × 20.4倍）、業界平均PBRを適用した場合の理論株価は約1,432円（1,301.79円 × 1.1倍）となります。現在の株価1,313.0円は、これらの理論株価と比較して低い水準にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価1,313.0円は、年初来安値974円と比較すると上昇しており、年初来高値1,335円や52週高値1,407円に近い水準にあります。50日移動平均線（1,297.72円）および200日移動平均線（1,206.96円）を上回って推移しており、株価は比較的高値圏で推移している状況です。直近10日間の株価は概ね1,254円〜1,315円の範囲で推移しており、緩やかな上昇傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上: 過去数年間で、113,671百万円（2022年3月期）から135,876百万円（2025年3月期予想）へと着実に増加傾向にあります。直近の第1四半期売上高も前年同期比で横ばいながら、堅調な推移を示しています。
- 利益: 営業利益は2022年3月期の7,299百万円から2025年3月期予想の10,649百万円へと増加傾向にあります。純利益については、2023年3月期に一時的な特別損益（Total Unusual Items 7,086百万円）があったため高額ですが、これを調整したNormalized Incomeで見ると、安定的な成長が確認できます。直近の第1四半期連結営業利益は前年同期比で+1.7%と微増を確保しています。
- キャッシュフロー: 第1四半期のキャッシュ・フロー計算書の詳細な開示はありませんが、貸借対照表の現金及び預金は前期末からやや減少しています。
- ROE（実績）: 9.74% (過去12ヶ月では9.45%)。概ね10%前後で推移しており、株主資本を効率的に利用している水準と言えます。
- ROA（過去12ヶ月）: 4.86%。
- 自己資本比率（実績）: 63.0%（直近四半期末は64.2%）。非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
- 流動比率（直近四半期）: 2.05（約205%）。短期的な債務返済能力に優れており、財務健全性が高い状態です。
- D/E比率（直近四半期）: 0.14%。有利子負債が非常に少なく、財務リスクは低いと言えます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 2.89%
- 1株配当（会社予想）: 38.00円
- 配当性向: 27.27%
コニシは安定的な配当を継続しており、2026年3月期の年間配当予想も38.00円と、直近の予想から変更はありません。2025年3月期には設立100周年記念配当（5.00円）が含まれていましたが、これを除けば実質的に配当は堅調に推移しています。配当性向も27.27%と比較的な余裕がある水準です。
また、発行済株式の5.76%にあたる自社株式を保有しており、今後の市場環境や経営戦略に応じて、自社株買いや消却といった追加的な株主還元策を実施する可能性が示唆されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近で年初来高値に近い水準まで上昇しており、上昇モメンタムは比較的強いと見られます。信用取引では信用売残が信用買残を上回る信用倍率0.70倍となっており、需給面では買い戻しによる株価上昇圧力がある可能性が示唆されます。
投資家の主な関心要因としては、中期経営計画の進捗状況、主要な事業分野である住宅着工戸数や半導体・電子産業の市況、さらには原材料価格や為替の動向などが挙げられます。直近の出来高は過去3ヶ月平均や10日平均を下回っているため、投資家の関心は一時的に落ち着いている可能性もあります。
11. 総評
コニシは、「ボンド」ブランドを軸とした接着剤最大手としての地位を確立し、家庭用から産業用、建築・土木工事まで多角的な事業展開で安定した収益基盤を持つ企業です。過去数年にわたる堅調な売上成長と、それに伴う利益の増加が見られます。特に財務健全性は極めて高く、高い自己資本比率と潤沢な流動性で安定経営を行っています。
中期経営計画では、新製品投入や成長分野への注力、大規模な設備投資を通じて、事業拡大と効率化を目指しており、今後のさらなる成長に期待が持たれます。株価は業界平均と比較して割安な水準にありますが、直近では高値圏で推移しています。安定的な配当にも力を入れており、堅実な事業運営と強固な財務基盤を持つ企業として評価されます。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率（YoY）は2.19%、過去3年間の売上高CAGRは6.27%と着実に成長しています。直近の四半期売上成長率は横ばいですが、中期経営計画における成長投資が期待されます。
- 収益性: A
- LTM粗利率20.3%、営業利益率7.84%、EBITDA率10.1%であり、堅実な収益性を確保しています。具体的な業界中央値との比較はできませんが、安定した収益構造と言えます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率64.2%、流動比率205%、D/E比率0.14%と非常に良好な水準であり、財務基盤は極めて強固です。
- 株価バリュエーション: S
- PER10.76倍、PBR1.01倍は、業界平均（PER20.4倍、PBR1.1倍）と比較して割安な水準にあります。
企業情報
| 銘柄コード | 4956 |
| 企業名 | コニシ |
| URL | http://www.bond.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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