伊藤忠食品(2692)企業分析レポート
株価:9,730円(2025-10-24終値)
時価総額:1,237.7億円/配当利回り(会社予想):1.64%/PER(予想):14.87倍/PBR:1.04倍
1. 企業情報
- 概要:伊藤忠商事グループの食品卸大手。酒類・飲料に強みを持ち、加工食品、輸入品、健康食品、ギフトなどを取り扱い。物流(保管・配送・在庫・マーチャンダイジング)や商品情報サービス、小売事業も展開。電子看板(デジタルサイネージ)事業を育成。
- 顧客構成の特徴:大口顧客にセブン&アイ・グループ。売上の約8割を首都圏・中部・近畿の三大都市圏で稼ぐ。
- 事業構成(2025.3、構成比目安):ビール22%、和洋酒17%、調味料・缶詰17%、嗜好・飲料25%、麺・乾物7%、冷凍・チルド4%、ギフト5%、他4%。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内食品卸の有力企業。親会社(伊藤忠商事)との調達ネットワークや、大手CVS・GMS向けの供給力・MD(マーチャンダイジング)支援が強み。
- 競争優位性:
- 酒類・飲料カテゴリでの品揃えと販路。
- 大手CVS(セブン向け中心)・GMS/SM向けの納品体制、情報提供力。
- 物流最適化・在庫回転の改善、データ活用(デジタルサイネージ含む)。
- 課題:
- 食品卸は低マージン構造。原材料・人件費・物流費の上昇の影響を受けやすい。
- 大口顧客依存による集中度リスク。
- 消費者の価格志向・PBシフトの進行による粗利圧迫。
3. 経営戦略と重点分野
- 中計:「Transform 2025 ~創造と循環~」(最終年度、副題「Catch the Market Phase 2」)
- 重点施策(短信記載)
- 情報:デジタルサイネージの外部連携強化、配信台数約1.9万台へ。QR等連動の販促強化。
- 商品開発:自社オリジナル冷凍食品「凍眠」シリーズ、著名ブランド監修の冷凍ケーキ等の拡充。
- 物流:入荷待ち時間削減、積載効率向上、庫内デジタル化による生産性改善。
- サステナビリティ:常温平塚センターで太陽光稼働、GHG削減、食品ロス・DEI・健康経営推進。
- 目標トーン:売上の着実な拡大と低重心(コスト管理)による利益率改善の両立。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:大量・多品目の卸売によるスケールメリット、カテゴリ横断のMD支援、物流効率化とデータ活用で薄利多売を補完。
- 適応力:
- 価格転嫁やプロダクトミックス改善(高付加価値商品や自社開発品)でコスト上昇に対応。
- デジタル領域(サイネージ等)の収益源多角化。
- 物流生産性向上で固定費吸収力を強化。
- リスク:消費者の節約志向・PB拡大、物流・人件費上昇継続、大口顧客依存。全体としては、施策が低マージン構造の緩和に寄与。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:小売店頭でのデジタルサイネージ配信網(約1.9万台)と販促コンテンツ運用。物流現場のデジタル化。
- 主力領域:嗜好品・飲料、ビール、和洋酒が売上の主柱。自社オリジナル冷凍食品「凍眠」や冷凍スイーツが伸長。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- PER(予想):14.87倍(業界平均 12.1倍)→ややプレミアム水準。
- PBR:1.04倍(業界平均 1.0倍)→概ね業界並み。
- EPS(予想):約654.2円、BPS:9,348.5円。
- EV/S(概算):約0.11倍(EV ≒ 1,237.7億 − ネットキャッシュ約488.4億、売上約6,993.7億円を用いた概算)。卸売業の低マージン特性を踏まえた参考指標。
- 配当利回り(予想):1.64%、配当性向約22%(余力ありの水準)。
注:バリュエーション指標は業種特性(低マージン・高回転)と顧客集中度を踏まえて解釈が必要。
7. テクニカル分析
- トレンド位置:株価9,730円は50日移動平均10,237円を下回り、200日移動平均9,100円を上回る水準。
- 短期:50日線割れで調整局面。
- 中期:200日線上で上昇トレンドは維持。
- レンジ感:年初来高値10,950円に対し約−11%、年初来安値6,950円比では大幅上昇圏内。
- 売買動向:信用倍率2.11倍。信用買残・売残ともに前週比減少でポジション整理が進行。
8. 財務諸表分析
- 売上成長:
- 2022/3:6,126.6億円 → 2023/3:6,429.5億円(+4.9%)
- 2024/3:6,724.5億円(+4.6%)
- 過去12か月:6,993.7億円(+4.0%)/3年CAGR約+4.5%
- 収益性(過去12か月、損益計算書ベース):
- 粗利率:約5.9%(41,165/699,369)
- 営業利益率:約1.22%(8,506/699,369)
- 純利益率:約1.17%(8,204/699,369)
- EBITDA:約130.9億円、減価償却:約17.4億円
- ROE/ROA(実績):ROE約7.3%、ROA約1.9%(参考データ)
- バランスシート:
- 自己資本比率:42.6%(期中 41.8%)
- 流動比率:約142%、有利子負債D/E:約3%、実質ネットキャッシュ。
- 四半期動向(2026年3月期1Q):
- 売上+3.2%、営業+8.6%、純利益+25.5%と増収増益。飲料・和洋酒、CVS・GMS向けが牽引。費用改善寄与。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:前期実績140円 → 今期予想160円(中間80円・期末80円)。
- 予想配当性向:約22%(保守的な水準)。5年平均利回り1.52%。
- 自己株式:発行株式の約0.26%保有。自己株買いの継続的な開示は確認できず(短信記載なし)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週変化率+43.3%。足元は50日線割れで短期的に調整一服感。中長期では200日線上で堅調推移。
- ボラティリティ・需給:β0.31(ディフェンシブ)。インサイダー保有比率61.6%、フロート約445万株と流通株が少なめで、出来高は1日1万株前後。
- イベント:次回決算発表ウィンドウ(2025/7/29〜8/4)、権利落ち予定(2026/3/30)。
11. 総評
- 業績は三大都市圏・大手小売チャネルを軸に安定拡大。低マージン業でありながら、コスト管理とミックス改善、デジタル・物流の効率化で利益率を漸進的に引き上げ。
- 大口顧客・コスト上昇・価格志向などの構造リスクはあるが、デジタルサイネージや自社開発冷凍食品などの取り組みが収益多角化に寄与。
- バリュエーションはPERが業界平均比でやや上、PBRは概ね横並び。配当は増配傾向で、財務健全性は高い。
(注)本レポートは公開情報に基づく客観的整理であり、投資判断を勧誘・推奨するものではありません。
12. 企業スコア
- 成長性:A
理由)LTM売上+4.0%、3年CAGR約+4.5%で安定成長。
– 収益性:B
理由)粗利率約5.9%、営業利益率約1.2%。業界水準並みと評価。
– 財務健全性:A
理由)自己資本比率42.6%、流動比率142%、実質ネットキャッシュ。
– 株価バリュエーション:B
理由)PERは業界平均超、PBRは同水準、総合して平均的な評価。
企業情報
| 銘柄コード | 2692 |
| 企業名 | 伊藤忠食品 |
| URL | http://www.itochu-shokuhin.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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