1. 企業情報
本田技研工業(Honda)は、1948年設立のグローバルメーカーです。事業の柱は「二輪事業」「四輪事業」「金融サービス事業」「パワープロダクツ事業およびその他の事業」の4つで構成されています。特に二輪車では世界トップシェアを誇り、四輪車も世界有数の生産台数を誇ります。北米が高収益地域であり、小型ジェット機「HondaJet」も手掛けています。近年は「2040年までに脱エンジン」を目標に掲げ、電動化へのシフトを強化しています。
事業構成 (2025年3月期 第1四半期 外部顧客売上比率)
- 二輪事業: 17%
- 四輪事業: 65%
- 金融サービス事業: 16%
- パワープロダクツ他事業: 2%
2. 業界のポジションと市場シェア
Hondaは、二輪車市場で世界首位、四輪車市場では世界第7位(データより抜粋)の地位を占めています。グローバルに展開しており、特に北米市場は収益源として重要です。
競争優位性:
- 多様な事業ポートフォリオ: 二輪、四輪、金融サービス、パワープロダクツと多角的な事業構成がリスク分散に寄与。
- グローバルな販売網とブランド力: 世界中で認知されたブランドと広範な販売・サービスネットワーク。
- 研究開発力: 長年にわたる技術開発の蓄積(ただし、電動化への転換は業界全体の課題)。
課題:
- 「脱エンジン」への移行: 世界的な環境規制強化に伴う電動化への大規模投資と、それに伴うコスト増。
- 為替変動リスク: グローバル展開が広いため、為替相場の変動が業績に大きく影響。
- 原材料・半導体等の供給制約: サプライチェーン問題が生産やコストに影響を与える可能性。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は「2040年までに脱エンジン」という明確な目標を掲げ、電動化へのシフトを最重要戦略として推進しています。これは、四輪車における電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)への切り替えだけでなく、二輪車やパワープロダクツにおいても同様の方向性を示唆しています。この大胆な戦略転換は、将来の成長への投資を意味しますが、短期的な収益性への影響も伴う可能性があります。直近の決算短信では、中期経営計画の具体的な施策に関する詳細な記述は見られませんでしたが、「脱エンジン目標」がその中核を成すと推測されます。
4. 事業モデルの持続可能性
Hondaの事業モデルは、多様なセグメントとグローバルな展開によって支えられています。金融サービス事業は収益性の高い安定した事業基盤を提供し、変動の大きい製造業の収益を補完する役割を果たしています。二輪事業は高い市場シェアと収益性で貢献しています。しかし、「脱エンジン」への移行は、既存のエンジンビジネスモデルからの大きな転換を意味し、新たな技術開発、生産体制、サプライチェーンの構築が求められます。市場ニーズが急速に電動車へと変化する中で、この変化への適応力が今後の持続可能性を決定する鍵となります。2026年3月期第1四半期決算では、四輪事業が関税や為替影響で赤字となったことが、外部環境への適応力に一抹の懸念を残します。
5. 技術革新と主力製品
Hondaの主力製品は、世界で高いシェアを誇る二輪車、そして多様な乗用車、軽トラック、ミニ車両を含む四輪車です。また、発電機、芝刈り機などのパワープロダクツも手掛けており、さらには小型ビジネスジェット機「HondaJet」も開発・販売しています。
技術革新においては、脱エンジン目標に沿って、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)などの次世代モビリティ技術、自動運転技術、そしてコネクテッドカー技術の開発が注力されていると考えられます。特に電動化への投資は、今後の成長を左右する重要な分野です。
6. 株価の評価
- 株価: 1,594.5円
- EPS(会社予想): 99.95円
- PER(会社予想): 15.95倍
- PBR(実績): 0.55倍
- BPS(実績): 2,887.57円
HondaのPERは15.95倍であり、業界平均PER13.3倍と比較するとやや割高です。
一方、PBRは0.55倍であり、業界平均PBR0.8倍と比較すると割安な水準です。これは、株価が1株当たり純資産価値を下回っており、資産面から見ると割安感が示唆されます。株価がBPS(2,887.57円)を大きく下回る状況です。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を確認すると、2025年10月10日の1,556円から10月24日の1,594.5円まで、概ね上昇傾向にありましたが、直近数営業日は小幅な調整が見られます。
年初来高値は1,730円、年初来安値は1,156円であり、現在の株価1,594.5円は高値圏と安値圏の中間よりもやや高値寄りの水準に位置しています。
移動平均線を見ると、現在の株価は50日移動平均線(1,623.26円)を下回っていますが、200日移動平均線(1,490.84円)を上回っています。これは、短期的な上値の重さを示唆する一方で、中長期的な株価の底堅さがある状態を示しています。
8. 財務諸表分析(年度別比較および直近四半期)
| 指標 | 過去12か月 | 2025年3月期予想(通期) | 2024年3月期(実績) | 2023年3月期(実績) | 2022年3月期(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(百万円) | 21,624,177 | 21,688,767 | 20,428,802 | 16,907,725 | 14,552,696 |
| 営業利益(百万円) | 972,951 | 1,213,486 | 1,381,977 | 780,769 | 871,232 |
| 純利益(百万円) | 637,847 | 835,837 | 1,107,174 | 651,416 | 707,067 |
| 営業利益率 | 4.50% | 5.60% | 6.76% | 4.62% | 5.99% |
| 純利益率 | 2.95% | 3.85% | 5.42% | 3.85% | 4.86% |
| ROE(実績) | 5.46% (LTM) | – | 6.68% | – | – |
| ROA(実績) | 1.99% (LTM) | – | – | – | – |
| 自己資本比率(実績) | 40.1% | – | – | – | – |
| 流動比率(実績) | 1.30 | – | – | – | – |
過去数年間の傾向:
- 売上収益: 過去数年間は着実に増加傾向にありましたが、2026年3月期第1四半期は前年同期比で△1.2%の減収、通期予想も△2.7%の減収を見込んでおり、直近では成長鈍化の兆しが見られます。
- 利益: 2024年3月期は営業利益・純利益ともに大幅に改善しましたが、2026年3月期第1四半期は営業利益が△49.6%、親会社株主帰属四半期利益が△50.2%と大幅な減益となりました。通期予想も大幅な減益を見込んでおり、収益性が急速に悪化している状況です。特に、四輪事業は第1四半期に営業赤字を計上しています。
- 収益性指標: 営業利益率、純利益率ともに2024年3月期には改善が見られましたが、2026年3月期第1四半期は営業利益率が4.57%と前年同期の8.96%から大幅に低下しました。通期予想も低い水準です。
- ROE/ROA: LTMでのROEは5.46%、ROAは1.99%であり、収益性の低下に伴いこれらの指標も前年度から低下しています。
- キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは2026年3月期第1四半期にプラス(85,659百万円)に転じましたが、投資活動(戦略的投資を継続)と財務活動(自己株式取得など)によるキャッシュアウトが大きく、結果として期末現金は減少しました。
- 財務健全性: 自己資本比率は直近で39.5%(前期末40.1%)と、健全性の目安とされる40%をわずかに下回っています。流動比率は1.30と短期的な資金繰りは問題ない水準です。総負債/自己資本比率は98.42%と、負債が自己資本と同程度の水準ですが、これは金融サービス事業を抱える特性も影響しています。
9. 株主還元と配当方針
Hondaは株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 4.39%と高水準です。
* 1株配当(会社予想): 70.00円(中間35.00円、期末35.00円)であり、前期(68.00円)からの増配予想となっています。
* 配当性向: LTM EPS 143.98円に対し、会社予想配当70.00円で計算すると、約48.6%となります。これは持続可能な範囲内と考えられます。
* 自社株買い: 2026年3月期第1四半期において、363,926百万円の自己株式取得を実施しており、積極的な株主還元策として機能しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の直近の変動傾向: 直近の10営業日では上昇基調を示したものの、高値圏でやや調整が入っています。52週変化率は0.79%と、S&P500の16.63%と比較して劣後しており、市場全体の上昇からは取り残されている状態です。
- ベータ値: 0.29と低く、市場全体の変動に対する感応度が低い特性があります。
- 投資家関心: 機関投資家保有比率は38.67%と一定の関心があります。信用倍率は25.27倍と、買い残が売り残を大きく上回っており、株価上昇を期待する投資家が多いことを示唆します。
- 株価への影響を与える要因:
- 電動化戦略の進捗と具体的な成果。
- 為替相場の変動(第1四半期決算では減益要因とされた)。
- 世界経済の景気動向、特に北米市場の消費動向。
- 原材料価格や関税などのコスト要因。
- 将来の業績見通し(直近の通期業績予想の下方修正はマイナス材料)。
11. 総評
本田技研工業は、二輪車で世界首位、四輪車でもトップクラスの地位を確立しており、金融サービスを含めた多角的な事業構造とグローバルな販売網が強みです。しかし、中長期的な「脱エンジン」という大変革期にあり、電動化への大規模投資が喫緊の課題となっています。
直近の2026年3月期第1四半期決算では、売上収益が減少し、営業利益や純利益が大幅な減益となりました。特に四輪事業の赤字化は目立つ点です。会社は通期業績予想も下方修正しており、短期的には厳しい事業環境が示唆されます。
財務面では、自己資本比率が40%を下回る水準にあり、負債比率も高めですが、金融サービス事業の特性や流動性の確保から直ちに問題とは判断されません。
株主還元については、高い配当利回りと積極的な自社株買いが実施されており、株主還元への意志は強いと評価できます。
株価バリュエーションはPERでは業界平均より割高ですが、PBRでは割安感があり、資産価値に対する評価が低い状況です。
結論として、Hondaは構造転換期に直面しており、電動化への戦略投資による短期的収益の圧迫が顕在化しています。足元の業績は厳しいものの、高配当利回りやPBRの割安感は見られます。長期的な視点では、「脱エンジン」戦略の具体的な進捗と、それに伴う新たな収益源の確立が今後の焦点となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- LTM売上成長率は堅調でしたが、2026年3月期第1四半期に売上収益が前年同期比△1.2%減、通期予想も△2.7%減と、直近では売上成長が鈍化・減少傾向にあります。
- 収益性: C
- 2026年3月期第1四半期は営業利益率が4.57%(前年同期8.96%)、通期予想営業利益率も3.3%と、前期から大幅に低下する見込みです。特に四輪事業の赤字が収益全体を押し下げています。
- 財務健全性: B
- 自己資本比率が39.5%(直近四半期)、流動比率が1.30と、自己資本は健全性の目安とされる40%をわずかに下回るものの、流動性は確保されています。負債水準は金融サービス事業の性質も考慮すると中立的な評価となります。
- 株価バリュエーション: B
- PER(会社予想)15.95倍は業界平均(13.3倍)と比較してやや割高ですが、PBR(実績)0.55倍は業界平均(0.8倍)と比較して割安です。PBRの割安感が評価される一方で、PERの高さを考慮し、総合的には中立的な評価とします。
企業情報
| 銘柄コード | 7267 |
| 企業名 | 本田技研工業 |
| URL | http://www.honda.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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