東京コスモス電機 (6772) 企業分析レポート
個人投資家の皆様へ
1. 企業情報
東京コスモス電機は1947年に設立され、電子部品の製造・販売を主に行う企業です。特に、可変抵抗器の有力メーカーとして知られており、産業用機器向けに高い比率で製品を提供しています。近年は自動車用電装センサーや、抵抗体技術を応用した面状発熱体(TOCOS film heaters)などの分野にも事業を拡大しています。事業セグメントとしては、可変抵抗器が売上全体の約40%、車載用電装部品が約59%を占めています(2025年3月期実績)。本社は神奈川県座間市にあり、国内外で事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は産業機器用可変抵抗器において有力なポジションを確立しています。自動車関連分野では、EV化や自動運転技術の進展に伴う需要拡大を見据え、電装センサーやフィルムヒーターなどの製品を提供しています。競合優位性に関する具体的な市場シェアデータは開示されていませんが、長年の技術と実績で確立された地位があると考えられます。
市場の課題としては、世界経済の不透明感、米国の関税政策や地政学的リスク、中国経済の動向などが挙げられています。これらは電子部品業界全体のサプライチェーン再構築や、産業用分野での設備投資の抑制に影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、市場の成長領域を捉えた戦略を推進しています。特に、車載分野でのEV(電気自動車)化や自動運転技術、さらに近年注目されるAI関連市場の拡大を見据えた取り組みを重点分野としています。具体的には、研究開発への投資を進め、「人とくるまのテクノロジー展2025 NAGOYA」でバッテリーEV用フィルムPTCヒータやターゲットシミュレータなどを発表するなど、次世代技術への対応姿勢を示しています。中期経営計画の具体的な数値目標は直近の開示情報では言及されていません。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の収益モデルは、伝統的な可変抵抗器事業と、成長分野である車載用電装部品の二本柱によって支えられています。多様な産業分野(自動車・二輪車、農業・建設機械、産業機器、医療、アミューズメントなど)に製品を供給することで、特定市場への依存リスクを分散しています。EV化や自動運転、AIといった、市場ニーズの変化に対応するための研究開発投資を行っており、製品ポートフォリオの進化を通じて事業モデルの持続可能性を高める努力がうかがえます。
5. 技術革新と主力製品
同社は、可変抵抗器、スイッチ、トリマーコンデンサ、光電子デバイス、車載デバイス、ポテンショメーターなど幅広い電子部品を提供しています。技術開発の動向としては、特にバッテリーEV向けのフィルムPTCヒータやターゲットシミュレータといった、自動車の電動化・高機能化に対応する新製品の開発を加速させています。現在の売上を牽引している主力製品は、全体の約59%を占める車載用電装部品と、約40%を占める可変抵抗器です。
6. 株価の評価
現在の株価8,630.0円は、過去12か月のEPS524.71円に基づくとPERは約16.45倍です。PBR(実績)は1.56倍、BPSは5,517.77円となっています。業界平均と比較すると、電機・精密業界の平均PERが12.9倍、平均PBRが0.8倍であるため、現在の株価はPER、PBRともに業界平均を上回る水準にあります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は8,690円から8,630円の間で推移しており、小幅な変動が見られます。出来高は200株から6,700株と比較的低く、流動性は限定的です。年初来高値は9,450円、年初来安値は5,460円であり、現在の株価8,630円は年初来高値に近い水準に位置しています。50日移動平均線(8,992.40円)を下回っているものの、200日移動平均線(7,492.10円)を上回っており、中長期的には上昇トレンドにある可能性がありますが、直近では上値が重い展開が見られます。
売上高・利益
- 売上高: 過去数年は95億円~107億円のレンジで推移し、直近12か月(LTM)の売上高は105億円と前年度(104億円)から微増傾向です。2026年3月期第1四半期の売上高は前年同期比0.5%増とほぼ横ばいで推移しています。
- 営業利益: 2022年3月期の7.9億円から2023年3月期には13.4億円に増加しましたが、2024年3月期は12.6億円、LTMは10.4億円と減少傾向にあります。直近2026年3月期第1四半期の営業利益は前年同期比6.9%増の2.4億円と改善が見られます。
- 経常利益・純利益: LTMの純利益は7.0億円、ROEは8.11%(実績は9.73%)、ROAは5.37%です。2026年3月期第1四半期は営業利益が増加したものの、為替差損の計上(59百万円)や公開買付関連費用などの特別損失(125百万円)により、経常利益は33.7%減、純利益は60.2%減と大幅な減少となりました。
財務健全性
- 自己資本比率: 2024年3月期実績で63.1%、直近四半期も62.2%と非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
- 流動比率: 直近四半期で2.80倍(280%)と、短期的な支払い能力も非常に高い状態にあります。
- 負債: 総負債・株主資本比率(D/E)は直近四半期で16.88%と低く、有利子負債も抑制されています。
全体として、同社は高水準の財務健全性を保っていますが、直近の利益は一時的な費用や為替の影響を受けています。
9. 株主還元と配当方針
同社のフォワード年間配当は175円で、配当利回りは2.03%です。配当性向は33.35%と、利益の一部を株主還元に充てる方針が見られます。
なお、2026年3月期の期末配当予想は現時点では未定としています。
株主還元策としては、配当だけでなく自己株式の活用も行っています。具体的には、2025年9月30日を消却予定日として、自己株式216,078株の消却を決議しています。自己株式の消却は発行済株式数を減らし、1株当たりの価値を高める効果があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近では小動きですが、年初来で見ると大きく上昇しており、高値圏で推移しています。ただし、出来高は低く、市場の投資家関心は現在それほど高くない可能性があります。
信用取引においては、信用買残が245,000株に対し信用売残が0株となっており、信用倍率は0.00倍です。信用買い残が多いものの、流動性の低さと相まって、需給の偏りが生じやすい状況にあるかもしれません。
最近の重要な出来事として、大株主の異動や、Bourns Japan Holdings LLCによる公開買付(TOB)に関する取締役会の意見変更(賛同・応募推奨を差し控える)といった、企業統治に関する動きがありました。これらの動向は、今後の株価に影響を与える可能性があります。
11. 総評
東京コスモス電機は、可変抵抗器と車載用電装部品を主軸とする電子部品メーカーであり、高い技術力と多様な産業分野への提供を通じて事業を構築しています。EVや自動運転、AIといった成長市場への対応を戦略の重点とし、積極的な研究開発投資を行うことで、将来的な事業拡大を目指しています。
財務面では、自己資本比率60%超、流動比率280%と非常に健全な財務基盤を維持しており、事業の安定性は高いと言えます。しかしながら、直近の四半期決算では為替差損や公開買付に関する特別損失の影響で純利益が大きく減少しました。また、株価は業界平均と比較して割高な水準にあり、直近の出来高は低調で、流動性には注意が必要です。大株主の異動や、TOBに関する状況変化など、企業統治に関する動向も今後の注目点となりそうです。
12. 企業スコア
- 成長性: B
- LTM売上成長率は前年比で微増、直近四半期の前年同期比売上成長率も0.5%とほぼ横ばいです。過去数年間の売上高推移も大きな伸びは見られません。
- 収益性: A
- LTMの営業利益率は9.91%、EBITDA率は14.3%と、電気機器業界の平均と比較して良好な水準を維持しています。可変抵抗器事業の利益貢献も高く、収益性のある事業構造です。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は62.2%(直近四半期)、流動比率は2.80倍(直近四半期)、総負債・株主資本比率(D/E)は16.88%であり、非常に高い水準で財務の健全性が保たれています。
- 株価バリュエーション: C
- LTMのPER約16.45倍は業界平均12.9倍を上回っています。実績PBR1.56倍も業界平均0.8倍を上回っており、現在の株価は業界平均と比較して割高感があります。
企業情報
| 銘柄コード | 6772 |
| 企業名 | 東京コスモス電機 |
| URL | http://www.tocos-j.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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