1. 企業情報
ソネックは1944年に設立された、兵庫県高砂市に本社を置く中堅ゼネコンです。主に兵庫県を活動基盤とし、民間建築工事を中心に事業を展開しています。事業内容は「建設事業」が98%、「運輸事業」が2%を占めています（2025年3月期）。建設事業では、医療・福祉・教育・商業、生産・物流などの各種施設の建築に加え、道路・橋梁、河川・砂防などの土木工事も手掛けています。また、建物の改修・メンテナンスといったリニューアルサービスも提供しており、子会社を通じて化学製品の運輸事業も行っています。特筆すべき点として、無借金経営を続けている企業です。
2. 業界のポジションと市場シェア
ソネックは「兵庫県地盤の中堅ゼネコン」として、特定の地域に根差した事業展開を特徴としています。地域密着型のビジネスモデルにより、地元顧客との関係構築やニーズへの対応に強みがあると考えられます。しかし、市場シェアや業界内での具体的な競争優位性を示す詳細なデータは提供されていません。建設業界全体としては、建設需要が堅調である一方で、人手不足、労務費の高騰、資材価格の変動、納期遅延といった課題に直面しています。運輸事業においても、ドライバー不足や外注費の上昇が収益性に影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信によると、ソネックは建設事業において受注獲得に積極的に注力しています。期首からの繰越工事と当期受注工事が順調に進捗しており、これが売上増加に寄与しています。運輸事業では、ドライバー不足による人件費・外注費の上昇が課題と認識されており、運送料への価格転嫁の状況が収益性を左右すると分析されています。2026年3月期の通期業績予想は2025年5月8日公表分から修正されておらず、これらの状況を踏まえた計画が進行中と見られます。具体的な中期経営計画の内容は提供データからは確認できません。
4. 事業モデルの持続可能性
ソネックの事業モデルは、建設事業を主軸とし、リニューアル事業や運輸事業で補完する構成です。医療・福祉・教育施設など、社会インフラに資する建設事業は比較的安定した需要が見込めます。建物の長寿命化ニーズに応えるリニューアル事業も、安定的な収益源となり得ます。兵庫県という地域に特化している点は、地域経済との連動が強い一方、地域需要の変化に影響を受ける可能性もあります。無借金経営という点は財務的な安定性を示しており、外部環境の変化に対する耐性があると考えられます。ただし、建設業界全体が抱える人手不足や資材価格高騰といった課題への対応力は、持続可能性を評価する上で重要となります。運輸事業も同様にコスト増への対応が必要となります。
5. 技術革新と主力製品
提供された情報からは、ソネックの技術開発の具体的な動向や独自性に関する詳細な記述はありません。同社の収益を牽引している主力は、建設事業における「民間建築工事」です。特に、医療・福祉・教育関連施設、商業施設、生産・物流施設などが中心と考えられます。これらの多様な分野での建築実績が、同社の強みの一つであると推測されます。また、建物の修繕や改修を行うリニューアルサービスも重要な事業の一つです。
6. 株価の評価
現在の株価は1012.0円です。
– PER（会社予想）は9.07倍であり、業界平均PER11.3倍と比較すると、利益面からは割安な水準にあります。
– PBR（実績）は0.82倍であり、業界平均PBR0.7倍と比較するとわずかに高い水準ですが、自己資本比率の高さや無借金経営といった財務健全性を考慮すると、このPBR水準は許容範囲内と見なせる場合もあります。
– BPS（実績）は1,241.01円であり、現在の株価1,012.0円はBPSを下回っています。これは、純資産価値から見て割安な水準にあることを示しています。
– EPS（会社予想）は111.56円であり、この利益水準が維持されると仮定すれば、現在の株価はサポートされる可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価は1012.0円です。年初来高値が1,022円、年初来安値が808円であり、現在の株価は年初来高値に近い水準にあります。
50日移動平均線（994.66円）と200日移動平均線（904.17円）をともに上回って推移しており、株価は上昇トレンドにあることを示唆しています。
直近10日間の株価推移を見ても、988円から1012円へと緩やかな上昇傾向が見られます。これらの情報から、現在の株価は高値圏にあると考えられます。
売上高
- 2022年3月期: 17,158百万円
- 2023年3月期: 18,039百万円
- 2024年3月期: 16,179百万円
- 過去12か月: 15,196百万円
売上高は2023年3月期をピークに2024年3月期および過去12か月では減少傾向にありました。しかし、2026年3月期第1四半期の売上高は4,544百万円と前年同期比64.10%の大幅な増加を記録しており、通期予想では20,099百万円（対前期比+32.3%）と大きく回復する見込みです。
利益
- 粗利益: 2024年3月期に979百万円まで減少しましたが、過去12か月では1,438百万円に回復しています。
- 営業利益: 2024年3月期に249百万円まで大きく落ち込みましたが、過去12か月では658百万円に回復。特に2026年3月期第1四半期の営業利益は258百万円と、前年同期の9百万円から大幅な増益を達成しました。通期予想では1,099百万円を見込んでおり、大幅な回復基調にあると言えます。
- 純利益: 営業利益と同様に2024年3月期に144百万円まで減少した後、過去12か月では500百万円に回復。2026年3月期第1四半期純利益も197百万円と、前年同期の18百万円から大幅に増加しています。通期予想は815百万円と回復が見込まれています。
キャッシュフロー
2026年3月期第1四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な評価はできません。
指標
- ROE（実績）: 5.63%。過去12か月では7.71%と改善傾向にあります。
- ROA（過去12か月）: 4.62%。
- 自己資本比率（実績）: 70.2%。直近四半期末でも66.4%と極めて高い水準を維持しており、財務基盤の強固さを示しています。
- 流動比率（直近四半期）: 2.54倍（254%）。短期的な支払い能力に十分な余力があることを示しています。
- 「無借金」であるため、D/Eレシオに関する懸念は低いと考えられます。
9. 株主還元と配当方針
ソネックの配当利回り（会社予想）は2.96%です。1株配当（会社予想）は年間30.00円を継続する見込みであり、2025年3月期の実績と同じ水準です。過去12か月に基づく配当性向は43.76%であり、利益を株主還元と成長投資にバランス良く配分する方針と推測されます。5年平均配当利回りは3.23%であり、継続的な株主還元姿勢がうかがえます。自社株買いに関する具体的な情報はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近の10日間で988円から1012円へと上昇基調にあり、上昇モメンタムが見られます。50日移動平均線と200日移動平均線を上回って推移していることも、この上昇トレンドを裏付けています。直近の好調な四半期決算が株価にポジティブな影響を与えている可能性があります。
信用買残が23,400株、信用売残が3,800株で、信用倍率は6.16倍と買い残が多くなっています。ただし、両者ともに前週比で減少しています。平均出来高は3ヶ月で約10.2k株と比較的少ないため、流動性には注意が必要です。機関投資家保有比率が2.68%と低く、インサイダー（55.94%）や個人投資家の動向が株価に与える影響が大きいと考えられます。
11. 総評
ソネックは兵庫県を地盤とする中堅ゼネコンで、無借金かつ高水準の自己資本比率を維持する非常に強固な財務体質を持っています。過去数年間の業績は変動があったものの、2024年3月期の低迷を経て、直近の2026年3月期第1四半期では大幅な増収増益を達成し、通期でも大幅な業績回復を見込んでいます。建設事業の受注環境の好調がこの回復を牽引しています。
株価は年初来高値圏で推移しており、PERは業界平均より割安、PBRは簿価を下回る水準で、バリュエーションに割安感が見られます。安定的かつ高い配当利回りを維持している点も魅力的です。
一方で、建設業界全体が抱える人手不足、資材価格高騰といった課題への対応は、今後の収益性を持続させる上で重要となります。出来高は限定的であるため、売買時の流動性には留意が必要です。
12. 企業スコア
-
成長性: A
直近四半期の売上高成長率が前年同期比64.10%と高く、2026年3月期の通期売上高が前年比+32.3%と大幅な増収を予想していることから、短期的な成長性は高いと評価されます。
– 収益性: A過去12か月の営業利益率が5.70%であり、直近四半期も約5.7%を維持しています。2024年3月期に落ち込んだ利益が過去12か月および直近四半期で大きく回復しており、業界平均との比較は困難ですが、回復力と安定した利益率を評価しました。
– 財務健全性: S自己資本比率が実績で70.2%、直近四半期末でも66.4%と非常に高い水準を維持しています。流動比率も2.54倍と高く、さらに無借金経営であることから、極めて健全な財務状況にあると評価されます。
– 株価バリュエーション: APER（会社予想）が9.07倍と業界平均の11.3倍を下回っており、利益面から見て割安です。PBR（実績）0.82倍も業界平均0.7倍と近い水準であり、BPSを株価が下回ることから、純資産価値に対しても割安感があるため、総合的に割安と評価しました。
企業情報
| 銘柄コード | 1768 |
| 企業名 | ソネック |
| URL | http://www.sonec-const.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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