生化学工業(4548)企業分析レポート
株価: 684円(2025/10/27終値)/市場区分: プライム/業種: 医薬品
1. 企業情報
- 概要: 複合糖質(グリコサミノグリカン)に特化した研究開発を強みとする医薬品・医療機器メーカー。主力はヒアルロン酸系の関節機能改善剤(ARTZ、SUPARTZ FX、VISCO-3、JOYCLU、Gel-One など)と眼科手術補助剤(OPEGAN/SHELLGAN)、内視鏡粘膜切除補助材(MucoUp)、腰椎椎間板ヘルニア治療材(HERNICORE)。医薬品原体(ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム)供給も実施。
- セグメント: 医薬品事業(売上比約70%)、LAL事業(エンドトキシン/グルカン測定関連、売上比約30%)。
- 販売体制: 国内の一部製品は提携先(科研製薬、参天製薬等)に委託販売。
- 研究開発: 糖質科学に特化し、関節疾患領域に注力。アライアンスを活用した開発・上市を志向。
- 海外売上比率: 64%(2025年3月期)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション: ヒアルロン酸系関節注射剤と眼科手術補助剤で国内で高い存在感。LAL(エンドトキシン/グルカン測定)も安定的な需要。
- 競争優位性:
- 糖質科学(ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸等)の長年の研究蓄積と製造技術。
- 提携販売によりコマーシャル面の効率性を確保。
- 課題:
- 製品ポートフォリオの集中(ヒアルロン酸依存度)。
- ロイヤリティや出荷タイミングの変動に伴う業績ブレ。
- 薬価環境や海外政策(米国の医薬品政策、中国の集中購買等)による価格・需要の変動リスク。
- LAL領域では代替技術(遺伝子組換え関連など)台頭の注視が必要。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方針: 糖質科学に特化し、独自技術と外部アライアンスの両輪でパイプラインを前進。研究開発の継続投資と国際展開。
- 重点テーマ(直近開示ベース):
- Gel-One(架橋ヒアルロン酸注射剤):2025年2月より日本で第III相開始。2025年4月に小野薬品と共同開発・販売の基本合意。
- SI-449(癒着防止材):承認申請時期の前倒し可能性を示唆。
- 既存主力(ARTZ/OPEGAN 等)のシェア維持・適応拡大と、海外展開の強化。
- LAL事業はグルカン測定製品の拡販(特に米国)と受託サービスの強化。
- 中計: 数値目標の明示は直近開示に記載なし。研究開発継続とアライアンス推進が中長期の柱。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 医薬品・医療機器の製品売上+ロイヤリティ+原体供給+LAL試薬・受託サービス。国内は提携販売で販売効率を確保、海外は出荷タイミングの影響を受けやすい。
- 持続性評価:
- 需要面では高齢化に伴う関節疾患・眼科手術の基礎需要が堅調。
- 一方、薬価改定や製品集中、ロイヤリティ変動が収益の不確実性を高める。
- LALは安定基調だが、技術動向(遺伝子組換え由来製品等)への対応力が重要。
- R&D比率は高水準(2026年3月期1Qで売上比19.4%)で、中長期の新製品創出に依存。
5. 技術革新と主力製品
- 技術基盤: 複合糖質(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等)の精製・架橋・製剤化に強み。手術補助材・関節注射剤で製品化実績。
- 主力品・収益牽引:
- 関節機能改善剤:ARTZ/SUPARTZ FX、JOYCLU、VISCO-3、Gel-One(開発中含む)
- 眼科手術補助剤:OPEGAN/SHELLGAN
- 手術補助:MucoUp、HERNICORE(腰椎椎間板ヘルニア)
- LAL関連:エンドトキシン・グルカン測定試薬、受託試験
- パイプライン進捗(抜粋):
- Gel-One:国内第III相進行中、小野薬品と提携で上市加速を狙う。
- SI-449:承認申請の前倒し可能性。臨床で主要評価項目の有意差確認済。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提: 株価 684円、EPS(会社予想)24.74円、BPS 1,312.44円、時価総額 388億円、現金14.66億円、借入0.37億円(いずれも億円換算の概算)
- 指標比較
- PER(予想): 684円 / 24.74円 ≈ 27.6倍(業界平均 27.8倍と同水準)
- PBR(実績): 684円 / 1,312.44円 ≈ 0.52倍(業界平均 1.4倍を大きく下回る)
- EV/Sales: EV ≈ 388 – 146.6 + 3.7 ≈ 245億円
- 売上(FY2025実績)3,937億円→0.62倍、会社予想(FY2026)3,560億円→0.69倍
- 同業平均に比べ低水準とみられるケースが多い指標感
- 配当利回り(予想): 30円 / 684円 ≈ 4.39%
- 参考: Payout ratio(参考指標)100%超(会社予想EPS基準で約120%前後、外部データでは約135%)
7. テクニカル分析
- 短中期トレンド:
- 50日移動平均: 約668円、200日移動平均: 約693円
- 現在値(684円)は50日線の上、200日線の下。中立〜やや上値抵抗(200日線近辺)。
- レンジ認識: 年初来高値 805円/安値 603円。現水準はレンジ中位。
- 直近10日: 649円→685円へジリ高、出来高は平常域。モメンタムは改善傾向だが、200日線前後での攻防が続く形。
- 需給面: 信用倍率 12.1倍(買い長)。買い残は約151.6万株で、短期の上下ブレ要因。
8. 財務諸表分析(単位: 百万円)
- 売上高推移:
- 2022: 34,851 → 2023: 33,456 → 2024: 36,213 → 2025: 39,374
- 3年CAGR(2022→2025): 約+4%台、直近FYは前年比+8.7%
- 収益性(FY2025実績ベース):
- 粗利率: 19,153 / 39,374 ≈ 48.6%
- 営業利益率: 1,336 / 39,374 ≈ 3.4%
- 当期純利益率: 1,214 / 39,374 ≈ 3.1%
- EBITDAマージン: 3,932 / 39,374 ≈ 10.0%
- ROE(実績): 1.67%(開示値)
- 直近四半期(2026年3月期1Q):
- 売上高 8,731(前年比 -12.9%)、営業損失 △365、純損失 △200
- 医薬品セグメントのロイヤリティ大幅減と出荷ずれが主因。R&D費は1,691(売上比19.4%)
- 財政状態:
- 自己資本比率: 87.3%(前期末)→ 1Q時点 89.1%
- 流動比率: 6.13倍(外部データ)
- 総現金: 14,660、総借入: 373(実質無借金、ネットキャッシュ)
- キャッシュフロー: 1Qは未作成(注記)。現預金は期首比で減少。
9. 株主還元と配当方針
- 配当: 年間30円(中間15円・期末15円、会社予想据え置き)
- 配当利回り: 約4.39%(684円基準)
- 配当性向: 会社予想EPSベースで100%超(外部データ参考値 約135%)
- 自社株買い等: 期末自己株式 3.94%保有(直近で新規の買付方針は開示なし)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム: 直近は下値切り上げで改善。200日線(約693円)付近にテクニカル抵抗。
- ボラティリティ: ベータ 0.24(低ボラティリティ傾向)。
- 需給・保有構造: インサイダー保有比率が比較的高く(約39%)、フロートは限定的。信用買い残優勢で短期の価格変動に影響。
- パフォーマンス(参考): 過去1年で相対的に軟調(外部データベースで52週変化率マイナス)。
11. 総評
- 事業面: ヒアルロン酸系注射剤・眼科手術補助材・LALといった基礎需要に支えられたコア事業に加え、Gel-OneやSI-449などパイプラインの前進が確認できる。一方、製品・ロイヤリティの集中と出荷タイミング依存により、短期業績はブレが生じやすい。
- 財務面: 高自己資本比率・ネットキャッシュで財務健全性は高い。収益性は研究開発投資と価格環境の影響で低位にとどまる局面がある。
- バリュエーション: PERは業界並み、PBR・EV/Sは低水準。配当利回りは相対的に高いが、配当性向が高めで持続性は業績次第。
- テクニカル: 50日線上・200日線下のレンジ内推移。次四半期の出荷タイミングとIRイベント(決算)で方向性が意識されやすい。
(注)本レポートは公開データを整理したもので、投資判断を目的とする助言ではありません。
12. 企業スコア
- 成長性: B
- 根拠: FY2025売上は前年比+8.7%、3年CAGR約+4%と堅調。一方で2026年3月期1Qは-12.9%と減収、通期会社予想も減収見通し(-9.6%)のため総合で中立評価。
- 収益性: C
- 根拠: 粗利率は約49%と一定だが、営業利益率は約3%(直近四半期は赤字)で業界平均を下回る水準。
- 財務健全性: S
- 根拠: 自己資本比率約87〜89%、流動比率6倍超、D/E約0.5%で実質無借金・高流動性。
- 株価バリュエーション: A
- 根拠: PERは業界並み、PBR約0.52倍・EV/S約0.6〜0.7倍と低位水準。配当利回りも高め(約4.4%)。
【イベント予定】
– 2025年8月上旬(実施済):2026年3月期 第1四半期決算発表
– 2025年8月4日〜8日:決算関連日程(ガイダンス)
– 2026年3月30日:権利落ち日(予定)
【参考(単位の注意)】
– 本文の決算数値は百万円単位、マーケットデータは一部億円換算の概算を併記。外部ベンダーのLTM集計値と有価証券報告書・決算短信ベースで期間差による不整合が生じる場合があります。
企業情報
| 銘柄コード | 4548 |
| 企業名 | 生化学工業 |
| URL | http://www.seikagaku.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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