5726 大阪チタニウムテクノロジーズ 分析レポート(プライム)
更新日: 2025-10-27
株価: 2,687円(終値)
1. 企業情報
- 概要: 高品質な金属チタン(スポンジチタン、インゴット)で世界トップクラス。航空機向け用途(エンジン・機体)に強み。四塩化チタンや高純度チタン、ガスアトマイズ粉末(AM向け)などの高機能材料も展開。ポリシリコン事業は撤退済み。日本製鉄・神戸製鋼グループの系譜。
- 事業構成(単独・2026年3月期より区分変更適用)
- チタン事業: スポンジチタン等(四塩化チタンは高機能材料へ組替え)
- 高機能材料事業: 四塩化チタン、四塩化チタン水溶液、高純度チタン、SiO、ガスアトマイズTi粉末
- 売上構成参考(会社データ): チタン約92%、高機能材料約8%(カッコ内は利益寄与目安)/海外売上比率約70%
- 主な用途: 航空機・自動車・エネルギー(LNG・海水淡水化)・半導体/電子・レジャー等
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション: 日本はスポンジチタンで二強(同社と東邦チタニウム)。同社は航空機向け品質認証・トレーサビリティで競争力が高い。ロシア(VSMPO-AVISMA)依存低減の流れで、日系の安定供給力が評価されやすい環境。
- 競争優位性:
- 航空機向け高品質グレードの量産・品質保証能力
- 日本製鉄・神戸製鋼系ネットワークによる原材料・加工・販路の強み
- 四塩化チタン~高純度材までの垂直一体的な技術蓄積
- 課題:
- 需要サイクル(航空機・一般産業)と在庫調整の影響
- 原燃料・原材料価格、為替の変動によるマージン変動
- 半導体・電子材料需要の変動と高機能材料のボラティリティ
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方向性(開示等からの要旨)
- 航空機向けスポンジチタンの数量回復・増販
- 供給網再編(非ロシア依存)下での安定供給と長期契約の深化
- 高機能材料(高純度チタン、四塩化チタン、粉末材料等)の収益性強化
- 成本構造の見直しとエネルギー・原材料コストの適正化
- 2026年3月期会社計画(修正後)
- 売上高 5,200億円→520億円の誤読防止注: 52,000百万円
- 営業利益 4,500百万円、純利益 2,000百万円、EPS 54.35円
- 為替前提: 下期以降 1USD = 145円
- 牽引要因: スポンジチタン販売数量増加(国内外)
※中期経営計画の定量目標は短信上の記載なし
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 航空機向けスポンジチタンが基軸。品質認証を要する航空宇宙用途は参入障壁が高く、長期サイクルで需要が見込まれる。一方、価格改定と原材料・為替で粗利が振れやすい。
- 適応力:
- セグメント再編により高機能材料の位置付け明確化
- AM向け粉末など新用途開拓
- 供給網再編を追い風とした長期契約ポートフォリオの強化
- リスク: 為替、原燃料高、顧客在庫調整、地政学、航空機OEMの生産計画変更、半導体サイクル
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向・独自性:
- 高純度・高品質チタンの精錬・品質管理技術
- 四塩化チタンの高純度化・供給(半導体/電子向け)
- ガスアトマイズTi粉末(AM/3Dプリンティング向け)
- 収益牽引:
- 航空機向けスポンジチタン(輸出が堅調、MROやエアバス向け)
- 高機能材料は半導体市況影響で短期的に減速
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在株価: 2,687円
- 会社予想EPS: 54.35円 → 予想PER ≈ 49.4倍(提供データ整合)
- BPS(実績): 1,144.42円 → PBR ≈ 2.35倍
- 参考指標:
- 売上/株: 1,400.98円 → P/S ≈ 1.92倍
- EV概算: 時価総額 988.8億 + 有利子負債 450億 − 現金 44.5億 ≈ 1,394.5億円 → EV/S ≈ 2.7倍(LTM売上 5,155億円→51,55…百万円の桁注意: 51.55百億円=5,155億円、EV/Sは約0.27ではなく約2.7)
- 業界平均(提供値): PER 80.4倍、PBR 0.8倍
→ 同社はPERは業界平均より低め、PBRは平均より高め。LTMベースEPS(192.69円)だと実績PERは約14倍で、ガイダンス(EPS低下)とのギャップが大きい点に留意。
7. テクニカル分析
- 直近の位置: 50日線 2,366.9円、200日線 1,854.7円の上に位置。トレンドは上向き。
- 52週レンジ: 1,293円〜3,035円。現値は高値から約11%下、年初来安値比では大幅上方。
- 直近の値動き: 10/24に出来高急増(約398万株)で陽線引け、直近数日でレジスタンス帯を上抜け。短期的には高値圏寄りでモメンタムは強め。
8. 財務諸表分析(単独)
- 売上高(百万円): 2022: 28,549 → 2023: 43,074 → 2024: 55,322 → LTM: 51,914(前年比 −6.1%)
- 営業利益: 2022: −1,909 → 2023: 4,784 → 2024: 8,293 → LTM: 10,095(異常項目差引の表記差に留意)
- EBITDA(LTM): 約110〜123億円(資料により差異、概ね売上比21%前後)
- 利益率:
- 四半期(1Q26)営業利益率 約5.7%(前年同期比悪化)
- LTMベースの営業利益率は資料間で乖離あり(5.7%指標 vs PL集計値)。短期的には収益率が低下。
- ROE/ROA:
- ROE 実績: 17.43%(別資料LTMでは約11.6%)
- ROA LTM: 約4.85%
- キャッシュ・財政状態(2025/6/30)
- 現金同等物: 約44.5億円
- 有利子負債: 約450億円、ネット有利子負債: 約405億円
- 自己資本比率: 41.9〜42.4%
- 流動比率: 約1.98倍
- コメント:
- 1Q26は為替差損、国内一般産業の需要鈍化・在庫調整で大幅減益。
- 通期は数量回復見込みだが、利益水準は前期ピークからの反動を織り込む計画。
9. 株主還元と配当方針
- 配当予想(2026/3期): 年間15円(中間5円・期末10円)、予想配当利回り約0.56%
- 前期実績: 年間50円からの減配(業績計画を反映)
- 配当性向目安: 約26%(会社提供値)
- 自社株買い: 開示データでは特段の記載なし
- 大株主: 神戸製鋼所、日本製鉄、住友商事等の事業会社と国内信託銀行が中心
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 信用動向: 信用買残 270万株(前週比減)、信用売残 99万株(前週比増)、信用倍率 2.74倍。短期はロング整理とショート増加が併存。
- 出来高: 直近出来高が3ヵ月平均(約297万株)を上回る日が出現。イベント接近時の関心上昇がうかがえる。
- 株価ドライバー:
- 航空機向けスポンジチタンの受注・長期契約動向
- 為替(会社前提145円/US$)と原材料・エネルギー価格
- 半導体・電子材料市況(高機能材料の数量・ミックス)
- 地政学・貿易政策(対露・対中サプライチェーン、関税)
- 会社計画の進捗(四半期ごとの数量・価格・在庫調整の収束)
11. 総評
- 航空機向け高品質チタンに強みを持つ供給者で、サプライチェーン再編の構造追い風がある一方、短期的には国内一般産業の需要調整・為替差損等で収益性が圧迫された。
- 2026/3期は数量回復を前提に増収・増益計画だが、EPSは前期のピーク水準からの低下を織り込んでおり、予想PERは高位(約49倍)。PBRは2.35倍。実績(LTM)EPSベースではPERは低く見えるため、投資尺度は「どの利益水準を基準にするか」で見え方が大きく異なる。
- 財務は自己資本比率約42%、流動比率約2倍で一定の安定性。ネット有利子負債は厚めで、金利・為替・原材料環境の影響には留意。
- テクニカル面は上昇トレンドにあり、モメンタムは強めだが、高値圏寄りの推移。イベント(決算・ガイダンス修正等)に対する感応度は高い局面。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性: C
- 根拠: LTM売上高は前年比 −6.1%。一方で3年CAGRは+20%超だが、判定はLTMを優先。
- 収益性: B
- 根拠: LTMの営業/純利益率はミッドシングル〜低ダブルで変動(指標間乖離あり)。1Qは営業益率5.7%。業界内で平均的と整理。
- 財務健全性: A
- 根拠: 自己資本比率約42%、流動比率約2倍。D/Eは高め(約1.07倍)だが、総合としては健全寄り。
- 株価バリュエーション: B
- 根拠: 予想PERは高位、PBRも2.35倍と高め。一方、LTM実績PERは低位。業界平均と比較するとPERは低くPBRは高い中立評価。
参考トピック
– 直近イベント: 2025年8月上旬 決算発表期間、2026年3月30日 権利落ち日(予定)
– セグメント再編: 四塩化チタン関連を高機能材料事業へ組替え(2026/3期より)
注記
– 本レポートは公開データに基づく客観的整理であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。数値は単独ベース・LTM/四半期・会社予想で表現の基準が異なる箇所があり、比較時は基準差に留意してください。最新の詳細は会社IR開示をご確認ください。
企業情報
| 銘柄コード | 5726 |
| 企業名 | 大阪チタニウムテクノロジーズ |
| URL | http://www.osaka-ti.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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