クレハ（4023）企業分析レポート
注意：本資料は提供データに基づく客観的な情報整理であり、投資助言を行いません。不明な項目は記載を省略します。
1. 企業情報
- 概要：機能材料、化学品、樹脂製品を主力とする化学中堅。セグメントは「機能製品（PPS、PVDF、PGA加工品、炭素製品、ビーズ活性炭等）」「化学製品（医薬・農薬・工業薬品）」「樹脂製品（NEWクレラップ、食品包装、容器、PVDF釣糸Seaguar等）」「建設関連」「その他（環境、分析、物流、医療）」で構成。
- 特徴：塩素化学に起源。EV向けリチウムイオン電池用バインダーに用いるPVDFが成長ドライバー。家庭用ラップ等の消費財は安定収益源。
- 事業構成（売上構成比の目安）：機能製品35%、化学製品19%、樹脂製品25%、建設関連9%、その他11%（2025.3期、海外売上比率31%）。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション：汎用品よりも高付加価値ニッチに強み。EV電池向けPVDF、耐熱エンジニアリングプラスチック（PPS）、PGA加工品など差別化領域に注力。消費者向けは国内ブランド力が強い。
- 競争環境：
- PVDF：Daikin、Arkema、Solvay等と競合。EV市況・政策・原材料（フッ素系）動向の影響が大きい。
- PPS：Toray、DIC、海外大手（Celanese等）と競合。自動車軽量化・電動化で用途拡大の一方、景気感応度あり。
- 包装材・家庭用ラップ：国内でのブランド浸透が強み。価格改定・コスト転嫁が収益性を左右。
- 課題：EV需要変動、PFAS規制等フッ素化学の規制リスク、原材料・エネルギー価格、為替感応度。製品ポートフォリオの選択と集中が継続論点。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・中計：「未来創造への挑戦」「ローリングプラン2025」を掲げ、サステナビリティ経営、重点領域への資源配分を推進。
- 重点分野・施策
- 成長投資：PVDF・PPS・PGAなど機能材料の能力増強・高付加価値化。
- ポートフォリオ再編：一部製品（例：熱収縮多層フィルム）の販売終了など収益性重視の選択と集中。
- キャッシュアロケーション：DOE5%目安の配当、自己株式取得・消却を機動的に実行（2025年1Qに大規模な自己株取得・消却）。
- 収益改善：価格改定、原材料安の取り込み、固定費コントロール。
- 2026年3月期会社計画（IFRS）
- 通期：売上収益1650億円（+1.8%）、営業利益140億円（+48.5%）、親会社当期利益100億円、EPS約249.8円。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：高機能材（景気・産業サイクル感応）＋消費財（安定キャッシュ）＋化学・建設・その他（補完）の分散ポートフォリオ。
- 適応力：不採算・低採算領域の整理や価格政策、研究開発で差別化。EV・エネルギー転換、循環型素材ニーズに沿う商材が多い一方、EV需要変動やPFAS等規制環境の変化への対応が重要。
- リスク対応：在庫・設備投資の抑制と段階投資、為替・原材料ヘッジ、顧客分散が鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性：フッ素系（PVDF）・耐熱樹脂（PPS）・PGA加工技術、ビーズ状活性炭、炭素断熱材などニッチ・高機能品の材料設計力。
- 主力収益源（直近の動向）
- 機能製品：PVDFは電池市況の影響で変動、PPS等を含め長期需要は底堅いが短期は調整局面あり。
- 樹脂製品：家庭用ラップは数量調整、釣糸等一部海外製品が堅調。事業としては高い利益率を維持。
- 化学製品：農薬・医薬の一部で減収、工業薬品は原料安の追い風も。
- R&D/設備：PPS・PVDFの品質・用途拡大、PGAの新規用途開拓に注力。
6. 株価の評価（バリュエーション）
- 前提：株価3,710円、時価総額約1,852.9億円、BPS 4,475.59円、EPS（会社予想）219.99円、業界平均 PER 20.4倍／PBR 1.1倍。
- 指標
- 予想PER：約16.9倍（業界平均比で低位）。
- 実績PER（LTM）：約24.8倍（3,710円 ÷ 149.5円）。
- PBR：約0.83倍（業界平均比で低位）。
- EV/Sales（参考）：約1.76倍［EV≒1,852.9+1,209.5-218.6=2,843.8億円、売上LTM 1,620.2億円］。業界平均は未提示のため参考値。
- まとめ：予想利益ベースでは業界平均PER・PBRと比較して低水準、実績PERでは平均を上回る水準という対照的な姿。会社計画どおりの利益回復前提が評価の前提条件。
7. テクニカル分析
- 位置づけ：52週レンジ 2,375–4,080円の約78%地点に位置（高値圏に近いが直近高値からは調整）。
- トレンド：終値3,710円は50日移動平均3,823.8円を下回り、200日移動平均3,164.4円を上回る。中期は上向き、短期はやや弱含み。
- モメンタム：直近10営業日は3,740–3,795円中心から本日3,710円へ緩やかに下押し。出来高は本日35.9万株と10日平均（約23.5万株）超、3カ月平均（約43.8万株）には未達。
8. 財務諸表分析
- 収益推移（連結、億円）
- 売上：1,683（2022）→1,913（2023）→1,780（2024）→1,620（LTM）で減少基調（LTM YoY -9%）。
- 営業利益：181→210→134→95（LTM）。営業利益率は約5.8%（LTM、前年7.6%、2023年11.0%）。
- 粗利率：約26.2%（LTM、前年約28.8%から低下）。
- EBITDA：231（LTM）、マージン約14.3%。
- 収益性指標（LTM）
- ROE：約3.6%、ROA：約1.7%、営業利益率約5.3%（別データ表記）。
- キャッシュフロー（LTM）
- 営業CF：+245億円、レバレッジドFCF：▲184億円（投資・株主還元影響）。
- 財政状態
- 自己資本比率：60.6%（前期末）→49.9%（2025/6/30単独四半期、自己株取得・負債増の影響）。
- D/E：約70%、流動比率：約1.06。ネット有利子負債は増加傾向。
- セグメント（2026年3月期1Q）
- 売上：機能1,553億円・化学582億円・樹脂872億円・建設239億円・その他409億円（単位百万円換算）。
- 利益：樹脂が牽引、化学は赤字。機能は増収も利益は伸び悩み。
9. 株主還元と配当方針
- 配当方針：DOE（連結株主資本配当率）5%を目安。
- 配当実績・予想：2025/3期 86.7円 → 2026/3期予想 219円（配当利回り約5.9%、Payout Ratio約58%）。
- 自社株：2025年1Qに大規模な自己株式取得・一部消却を実施。自己株口は大きい比率（期末発行済4,994万株、自己株約1,173万株時点の開示あり）。
- 補足：LTMのFCFはマイナスだが、営業CFは潤沢で、配当は利益・DOE基準で設定。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム：52週騰落+35.7%、β=0.57（市場連動性は相対的に低い）。直近は短期調整。
- 信用動向：信用買残54.1万株（前週比▲9.1千株）、売残39.3万株（+3.5千株）、倍率1.38倍。やや手仕舞い・売り増しの動き。
- 投資家構成：機関保有約40%、インサイダー8.6%。特定大口株主の存在が資本政策への注目度を高めやすい。
11. 総評
- 事業面：高機能材×消費財のバランスで中長期の持続性はある一方、EV電池材料・フッ素化学のサイクル・規制に左右されやすい局面。直近は売上・利益ともに調整、樹脂製品が利益を下支え。
- 財務・資本政策：自己株取得の影響で自己資本比率は一時的に低下、負債活用が進む。営業CFは安定、配当はDOE基準で増配計画。
- バリュエーション：PBRは業界平均比で低位、予想PERも平均を下回る一方、実績PERは平均超。会社計画どおりの利益回復のトラックレコードが焦点。
- テクニカル：中期上昇トレンドは維持、短期は50日線を割り込み調整。イベントは11/11の決算に注目。
12. 企業スコア
- 成長性：C
- 根拠：LTM売上YoY約▲9%、3年CAGRも小幅マイナス。上期ガイダンスも減益見通し。
- 収益性：C
- 根拠：営業利益率5–6%台、ROE約3.6%。過去水準からの低下。セグメントで化学が赤字。
- 財務健全性：B
- 根拠：自己資本比率は50%前後と良好だが、D/E約70%、流動比率1.06、ネット有利子負債・レバレッジドFCFのマイナスを勘案。
- 株価バリュエーション：A
- 根拠：予想PER16.9倍・PBR0.83倍はいずれも業界平均（PER20.4倍、PBR1.1倍）より低位。EV/Sは参考1.76倍（業界平均不明）。
参考情報
– 次回決算予定：2025年11月11日
– 権利落ち予定：2026年3月30日
– リスク要因：EV需要・政策、原材料・エネルギー価格、為替、PFAS等規制、一部製品の販売終了影響、有利子負債増による金利感応度
本資料は公開データに基づく事実整理です。投資判断は各自で一次情報（決算短信・有価証券報告書・IR資料等）をご確認ください。
企業情報
| 銘柄コード | 4023 |
| 企業名 | クレハ |
| URL | http://www.kureha.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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