1. 企業情報
株式会社レオクランは、医療機関や介護・福祉施設向けに、医療機器の販売から医療情報システムの提供、内装工事、メンテナンスまでを一貫して手掛ける「メディカルトータルソリューション事業」を主軸としています。特に新設・改装される病院への医療機器一括販売を強みとしています。その他、MRIやCTなどの画像データを専門医が遠隔で診断する「遠隔画像診断サービス事業」や、施設向けに給食を提供する「給食事業」も展開しており、医療・福祉・健康ニーズに多角的に対応しています。本社は大阪府摂津市にあり、2001年に設立されました。
2. 業界のポジションと市場シェア
レオクランは、総合的な医療機器商社として、医療機関の新設・移転・再編といった大規模プロジェクトにおいて、コンサルティングから機器の選定、導入、設置、メンテナンスまでを一括して提供するソリューション能力を競争優位性としています。遠隔画像診断サービスは、医療の効率化や専門医不足への対応として、医療DXのニーズに応える事業です。
業界内の課題としては、物価上昇に伴う医療機関の経営環境悪化、医療費増加に対応するための制度改革、医療従事者の人手不足などが挙げられます。これらの外部環境に対し、レオクランは事業の多角化を通じて適応を図っています。具体的な市場シェアや競合他社との直接的な比較データは、提供情報からは確認できません。
3. 経営戦略と重点分野
経営戦略としては、売上の大半を占める「メディカルトータルソリューション事業」において、医療機関の新築・移転・再編に伴う大型医療機器や電子カルテなどの医療情報システムの一括販売を全国で展開することを重点としています。
「遠隔画像診断サービス事業」では、専門医の確保とこれまで培ってきたノウハウを強みとして、導入医療機関のさらなる拡大を目指しています。
また、「給食事業」については、新規受託の獲得、既存施設への販売強化、価格の見直しなどを通じて収益性改善に取り組む方針です。
提供された情報には、中期経営計画における具体的な数値目標や進捗に関する記載はありません。
4. 事業モデルの持続可能性
レオクランの主力であるメディカルトータルソリューション事業は、医療機関の設備投資サイクルに左右される側面がありますが、医療の高度化に伴う新規・更新需要は安定的に存在すると考えられます。遠隔画像診断サービスは、医療分野における効率化や地域差是正のニーズに応えるものであり、今後も市場の拡大が見込まれる持続可能性の高い事業モデルです。給食事業は安定需要があるものの、原材料費や人件費の変動、競争環境が収益に影響を与える可能性があります。
医療費抑制政策や医療制度改革、人口構造の変化といった外部環境への適応力が、長期的な事業成長の鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
レオクランは医療機器の専門商社であるため、自社での革新的な技術開発よりも、国内外の最新医療機器や医療情報システムを厳選し、医療機関に最適なソリューションとして提供することに強みがあります。
収益を牽引する主力製品・サービスは、連結売上高の9割以上を占める「メディカルトータルソリューション事業」における医療機器・医療情報システムの一括販売およびこれらに付随するコンサルティング、設備工事、メンテナンスサービスです。
「遠隔画像診断サービス」は、ITを活用した医療サービスであり、専門医の知見や診断ノウハウがサービスの独自性を支えています。
6. 株価の評価
現在の株価1139.0円、会社予想EPS27.09円に基づくと、PER（株価収益率）は約42.05倍です。また、実績BPS978.26円に基づくと、PBR（株価純資産倍率）は約1.16倍となります。
業界平均PERが10.1倍、業界平均PBRが0.7倍であることと比較すると、レオクランのPERおよびPBRは業界平均を大きく上回っています。この数値からは、現在の株価は業界平均と比較して割高であると評価される可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価1139.0円は、年初来高値1319円より約13.7%低い水準にあります。一方で、年初来安値798円からは約42.7%高い水準です。
直近10日間の株価は1085円から1152円の範囲で推移しており、緩やかな上昇基調にあるように見受けられます。
移動平均線を見ると、現在の株価は50日移動平均線（1116.12円）を上回っており、200日移動平均線（1001.03円）も上回っていることから、短期および中長期の株価トレンドは上昇方向にあることを示唆しています。これらの状況から、現在の株価は安値圏から回復し、上昇トレンドを維持しているものの、高値圏に近づきつつあると捉えることができます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去5年間（2021年9月期から2024年9月期実績）は、2022年9月期をピークに減少傾向にありましたが、直近の2025年9月期第3四半期累計では前年同期比+9.5%と回復基調に転じ、通期予想も前年比+13.6%の増収を見込んでいます。
- 利益: 営業利益、経常利益、純利益は2022年9月期をピークに2024年9月期に大きく減少しました。しかし、2025年9月期第3四半期累計では、売上高の増加と販管費の減少により営業利益が前年同期比+100.2%と大幅に改善しています。ただし、通期予想の純利益は前年比増加を見込むものの、過去数年の水準と比較すると依然低い状況です。
- キャッシュフロー: 第3四半期累計のキャッシュフロー計算書は提供されていませんが、直近四半期末の現金及び預金は5,740百万円と潤沢です。
- 収益性指標:
- ROE（実績）は2.44%（過去12ヶ月では4.81%）
- ROA（過去12ヶ月）は2.43%
- 営業利益率（過去12ヶ月）は1.54%。2024年9月期実績は0.90%でしたが、2025年9月期第3四半期累計では2.75%に改善しています。
- 財務健全性: 自己資本比率は2024年9月末実績で52.3%、直近の2025年6月30日時点でも51.1%と非常に高い水準を維持しています。流動比率は同時点で2.28倍と、短期的な支払い能力も極めて高い状態にあります。負債比率に関する直接的なデータはありませんが、自己資本比率の高さから財務健全性は非常に高いと評価できます。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の年間配当金は17.00円と提供されていますが、2025年9月期第3四半期決算短信では、年間配当予想として中間17.00円、期末17.00円の合計34.00円が開示されています。この年間34.00円で計算した場合、現在の株価1139.0円に対する配当利回りは約2.98%となります。
会社予想EPS27.09円に対して年間配当34.00円と仮定した場合の配当性向は125.4%となり、予想純利益を上回る水準です。これは、今後の利益水準や配当方針に関する継続的な確認が必要である可能性を示唆しています。
自社株買いなどの株主還元策に関する情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は緩やかな上昇傾向にあり、高値圏にあるとはいえ、中長期移動平均線を上回るなど上昇モメンタムが見られます。
一方で、出来高は直近10日間で3,600株と低水準であり、平均出来高（3ヶ月平均8,450株、10日平均3,320株）も低い水準で推移していることから、市場での流動性はあまり高くないと見られます。
信用取引においては、信用買残が139,300株に対して信用売残が0株であり、信用倍率が0.00倍となっています。これは需給面で買い圧力がかかりにくい状況を示唆しています。
投資家関心については、提供された情報からは具体的な分析レポートやメディア露出の情報は確認できず、出来高の低さからも、現時点では広く注目されているとは言えない可能性があります。
11. 総評
レオクランは、医療機関向けトータルソリューションを軸に、遠隔画像診断など成長分野にも取り組む医療関連サービス企業です。主力事業の売上は過去減少傾向にありましたが、直近は回復基調にあり、2025年9月期第3四半期累計では利益が大幅に改善しています。自己資本比率が高く流動性も潤沢であるなど、財務基盤は非常に健全です。
一方で、現在の株価に基づくPER・PBRは業界平均と比較して割高な水準にあり、企業予想の年間配当金とEPSから算定される配当性向は高い水準となる点には注意が必要です。株価は安値圏から回復し上昇基調にあるものの、出来高は低く、市場の流動性は限定的です。今後は主力事業の安定的な成長と、給食事業の収益改善、そして医療業界特有の外部環境変化への適応能力が注目されます。
12. 企業スコア
| 評価項目 | スコア | 評価の理由 |
|---|---|---|
| 成長性 | B | 過去の売上高は減少（LTM売上成長率YoYはマイナス）だが、直近の2025年9月期第3四半期累計売上高は前年同期比+9.5%、通期予想も増収を見込んでおり、回復基調にあるため中立とした。 |
| 収益性 | B | 営業利益率は過去低迷したが、2025年9月期第3四半期累計では2.75%に改善。通期予想では1.33%となる見込み。医療機器流通業の業界平均が不明なため、中立とした。 |
| 財務健全性 | S | 自己資本比率51.1%（直近3Q）、流動比率2.28倍（直近3Q）と、非常に高い水準を維持しており、財務基盤は極めて健全と評価できる。 |
| 株価バリュエーション | C | PER（会社予想42.05倍）およびPBR（実績1.16倍）が、業界平均PER10.1倍、PBR0.7倍を大幅に上回っており、割高な水準と判断した。 |
企業情報
| 銘柄コード | 7681 |
| 企業名 | レオクラン |
| URL | http://www.leoclan.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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