住友化学(4005)企業分析レポート
本資料は公開・提供データに基づく情報整理であり、投資助言を目的としません。数値は原則として連結ベース(IFRS)です。
1. 企業情報
- 概要:1913年創業の総合化学大手。アグロ&ライフソリューション(農薬・飼料添加物等)、ICT&モビリティソリューション(光学・半導体材料・電池部材等)、アドバンストメディカルソリューション(CDMO等)、エッセンシャル&グリーンマテリアルズ(石化・樹脂・MMA・アルミナ・合成ゴム等)、住友ファーマ(低分子医薬品)の5セグメントでグローバル展開。海外売上比率は約70%(2025年3月期)。
- 事業構成(売上構成イメージ):アグロ&ライフ約21%、ICT&モビリティ約23%、アドバンストメディカル約2%、エッセンシャル&グリーンマテリアルズ約34%、ファーマ約15%、その他約4%(2025年3月期の情報を基にした目安)。
- 上場区分:東証プライム/業種:化学
- 本社:東京都中央区日本橋
- 従業員数:約2.93万人
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:日本の総合化学大手の一角。石化の海外合弁(シンガポール、サウジ)を持ち、農薬・電子材料・医薬まで幅広く保有する分散ポートフォリオ。
- 競争優位性(示唆):
- 幅広い事業ポートフォリオと高い海外比率により、単一サイクルへの依存が相対的に低い。
- 農薬、半導体関連材料、電池材料、医薬など、非石化の領域に収益源を持つ。
- 課題:
- 石化・基礎化学はナフサ価格やマージン、為替の影響を受けやすい。
- 一部事業(LCD関連等)で構造改革の継続が必要。
- 金利上昇局面での財務コスト上昇(TTMの純金利費用が増加)への対応。
※定量的な市場シェアは本データに記載なし。
3. 経営戦略と重点分野
- 開示から読み取れる施策・方向性:
- 事業ポートフォリオの再構築(LCD用偏光フィルムの構造改革、前期のアルミ関連事業撤退等)。
- 住友ファーマの収益改善(北米製品の伸長、販管費削減)。アジア事業の会社分割・株式譲渡による収益計上予定(概算約450億円)。
- 石化は合弁の定修・市況要因の影響を受ける中、交易条件改善の兆しを注視。
- 2026年3月期(通期)会社計画(修正なし):売上収益2.34兆円、コア営業利益1,500億円、営業利益1,050億円、親会社帰属当期利益400億円、想定為替USD/JPY=145、ナフサ63,800円/KL。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:石化・素材のサイクル(市況・原料・為替)に加え、農薬・電子材料・医薬の非サイクル要素を組み合わせた分散型。セグメント分散で業績変動の平準化を図る一方、各分野固有の需給・薬価・技術トレンドに左右される側面あり。
- 変化への適応:LCD関連やアルミなどでの撤退・再編、ファーマ事業の再編・費用最適化など、構造改革を継続。半導体・電池・農薬といった需要構造の変化に合わせた注力が示唆される。
5. 技術革新と主力製品
- 技術領域:半導体プロセス材料、化合物半導体、光学材料、電池材料、機能性樹脂、農薬、医薬(CDMO含む)、再生・細胞医薬等。
- 主力・収益牽引(直近期の示唆):
- ICT&モビリティ:半導体・高付加価値材料。LCD関連は構造改革進行中。
- アグロ&ライフ:農薬は地域別に堅調。メチオニンは市況下落が逆風。
- 住友ファーマ:北米の主力薬(オルゴビクス、ジェムテサ等)が伸長し、コア利益改善。
6. 株価の評価(バリュエーションの目安)
- 前日終値(10/27):477.8円
- 予想EPS:24.44円 → 予想PER=約19.6倍(会社公表値19.55倍と整合)
- 実績BPS:541.25円 → PBR=約0.88倍(会社公表値0.88倍と整合)
- 参考・簡易EV/Sales(TTM):
- 時価総額7,921億円+(有利子負債1兆2,481億円−現金1,426億円)≒ EV約1兆8,977億円
- 売上高TTM 2.606兆円 → EV/S ≒ 0.73倍
- 業界平均との比較(提供データ):
- PER:同社約19.6倍 vs 業界平均20.4倍 → やや低水準
- PBR:同社約0.88倍 vs 業界平均1.1倍 → 低水準
7. テクニカル分析(短期)
- 直近10日:終値は451.5円→477.8円へ上昇基調。高値・安値ともに切り上がり。
- 年初来レンジ:283円〜496円。現状は年初来高値(496円)に近い水準(レンジ上限付近)。
- 需給:信用倍率9.93倍と信用買い優位。買い残・売り残ともに前週比減少。
- 価格帯:直近の支持帯候補は455〜465円ゾーン、上値目標は年初来高値近辺が意識されやすい状況。
8. 財務諸表分析(TTMおよび年次推移)
- 売上高(百万円):TTM 2,606,281/2024年 2,446,893/2023年 2,895,283/2022年 2,765,321
- YoY(TTM vs 2024年):+6.5%(ただし2023年比では約−10%)
- 収益性(TTM):
- 粗利 725,476 → 粗利率 約27.8%(2024年は約20.4%から回復)
- 営業利益 172,394 → 営業利益率 約6.6%(2024年は赤字)
- EBITDA 210,683 → EBITDAマージン 約8.1%
- ROE(実績):4.14%
- 営業外・金利:TTMの純金利費用 −134,940百万円と負担増(金利上昇と有利子負債残高の影響)。
- 財政状態:
- 自己資本比率:26.2%(四半期時点26.6%)
- 有利子負債:1兆2,481億円、D/E約1.18倍(四半期開示)
- 現金同等物:1,426億円(四半期末)
- キャッシュフロー(第1四半期累計):営業CF+239億円、投資CF▲459億円、財務CF▲492億円。
- セグメント概況(1Q):
- アグロ&ライフ:減収・減益(メチオニン市況・為替影響)
- ICT&モビリティ:出荷・収益減、LCD構造改革影響
- アドバンストメディカル:出荷タイミングで赤字
- エッセンシャル&グリーンマテリアルズ:定修・撤退影響で赤字
- 住友ファーマ:増収・大幅改善
9. 株主還元と配当方針
- 会社予想配当:年間12円(中間6円・期末6円)/配当利回り約2.51%(終値基準)
- 直近実績:前年9円からの増配予定
- 予想配当性向の目安:12円/EPS24.44円 ≒ 約49%
- 自己株式:発行済の約1.24%(保有状況)。新規の自己株買い方針は本データに記載なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:年初来安値からの上昇トレンド継続、年初来高値接近。
- 関心材料:
- 直近決算でコア営業利益が改善、通期見通しは据え置き(再精査方針)。
- 住友ファーマの北米事業進捗・アジア事業売却の収益計上見込み(概算約450億円)。
- 為替(円高想定145円)、ナフサ価格、市況(メチオニン、石化マージン、電子材料需要)動向。
- 予定イベント:
- 2025/11/4 決算発表(Earnings Date)
- 2026/3/30 権利落ち日(Ex-Dividend)
11. 総評
- 収益面は2024年の大幅赤字からTTMで黒字回復。粗利率・営業利益率も改善基調。
- ただし、金利負担や基礎化学のサイクル、為替・原料価格など外部要因への感応度は高い。LCD関連などの構造改革を継続しつつ、半導体・電池・農薬・医薬など非石化領域の収益拡大が鍵。
- バリュエーションは業界平均比でPER・PBRともにやや低水準。株価は年初来レンジ上限付近で推移しており、短期的にはイベント(決算等)と需給(信用動向)に注意が必要。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 根拠:LTM売上は前年(2024年)比+6.5%で改善。一方、3年CAGRは概ね横ばい〜微減のレンジ。
- 収益性:B
- 根拠:TTMの営業利益率約6.6%、粗利率約27.8%へ回復。ROEは4.1%と控えめ。業界平均との直接比較データは限定的。
- 財務健全性:C
- 根拠:自己資本比率約26%台、D/E約1.18倍。有利子負債規模大、金利負担増が収益を圧迫。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER約19.6倍(業界平均20.4倍比で低位)、PBR約0.88倍(業界平均1.1倍比で低位)。EV/Sは約0.73倍。
参考データ
– 株価(10/27終値):477.8円
– 時価総額:約7,921億円
– 予想EPS:24.44円/実績BPS:541.25円
– 予想PER:19.55倍/実績PBR:0.88倍
– 予想配当:12円(利回り約2.51%)
– 年初来高値:496円/安値:283円
– 信用倍率:9.93倍
注記
– 本レポートは事実関係の整理を目的とし、投資判断に関する推奨は行いません。
– 一過性損益は評価から除外するよう留意しています。
– 記載の計数は四捨五入等により合計と内訳が一致しない場合があります。
企業情報
| 銘柄コード | 4005 |
| 企業名 | 住友化学 |
| URL | http://www.sumitomo-chem.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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