1. 企業情報
東和銀行は、群馬県前橋市に本店を置く第二地方銀行です。群馬県内で2番手、埼玉県や東京都にも事業を展開しています。主な事業内容は、預金、貸出、国内為替、外国為替、クレジットカードなどの銀行業務全般です。2024年には公的資金を完済し、SBIホールディングスとの資本業務提携も進めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
東和銀行は、群馬県における地域金融機関の一つとして、貸出金においては特に中小企業向け融資が事業の柱となっています。第二地方銀行として地域に根差したサービスを提供しており、栃木銀行や筑波銀行との連携も強化しています。国内の金融緩和政策からの転換や金利上昇局面においては、地域金融機関として資金運用収益の動向が事業に影響を与える可能性があります。SBIホールディングスとの資本業務提携は、新たな金融サービスの展開や経営の効率化に繋がる可能性を秘めています。
3. 経営戦略と重点分野
提示された情報からは具体的な中期経営計画の詳細や重点分野の詳細な記述はありませんが、SBIホールディングスとの資本業務提携が経営戦略の重要な要素であると考えられます。これは、地域金融基盤の強化とともに、フィンテック分野や新たな事業領域への展開を目指すものと推測されます。また、2024年の公的資金完済により、財務の健全性を高め、より自由度の高い経営が可能になることが期待されます。
4. 事業モデルの持続可能性
東和銀行の事業モデルは、地域社会の預金を集め、それを地域の企業や個人への貸出金として活用することで収益を上げる伝統的な銀行業が中心です。収益の安定性は地域経済の動向、金利環境、そして与信状況に左右されます。直近の決算では、日本銀行の金融政策見直しに伴う市場金利上昇が資金運用収益の増加に寄与しており、市場ニーズの変化に適応しつつある傾向が見られます。不良債権比率は約2.55%（2025年6月末）と、リスク管理を継続的に行っています。
5. 技術革新と主力製品
銀行業における主力製品は、預金、貸出、為替業務です。技術革新に関しては、提示された情報からは具体的な取り組みに関する詳細はありません。しかし、SBIホールディングスとの資本業務提携を通じて、デジタル技術を活用した新たな金融サービス開発や業務効率化の推進が今後の重点分野となる可能性があります。
6. 株価の評価
現在の株価920.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER（会社予想）: 11.13倍。会社予想EPS 82.67円を基にすると、理論株価は約919.99円となり、現在の株価とほぼ同水準です。業界平均PER10.7倍と比較すると、やや高い水準にあります。
* PBR（実績）: 0.36倍。実績BPS 2,578.00円を基にすると、理論株価は約928.08円となり、現在の株価920.0円はPBR基準でやや割安感がある状態です。業界平均PBR0.4倍と比較すると、割安な水準にあります。
PERで見ると業界平均よりやや割高、PBRで見ると業界平均より割安という状況です。
7. テクニカル分析
現在の株価920.0円は、年初来高値1,016円、年初来安値490円の間で推移しています。年初来高値に比較的近い水準にあります。
* 50日移動平均線: 933.42円
* 200日移動平均線: 738.68円
現在の株価は50日移動平均線を下回っていますが、200日移動平均線を大きく上回っています。直近10日間の株価は920円から958円の範囲で推移しており、小幅な調整または横ばいの動きが見られますが、年初来安値からは大幅に上昇しているため、相対的には高値圏にあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上（経常収益）: 過去数年間は290億円台で推移しており、2022年3月期の326.7億円から2023年3月期には減少しましたが、その後はほぼ横ばいです。しかし、直近の2026年3月期第1四半期では経常収益が98.66億円（前年同期比+22.6%）と大幅に増加しています。
- 利益: 親会社株主帰属純利益は、2022年3月期の17.45億円から2025年3月期には45.2億円と堅調な増加傾向にあります。過去12ヶ月では57.6億円を計上しており、直近の2026年3月期第1四半期も純利益が19.06億円（前年同期比+186.5%）と大幅増益を達成しました。特別利益（固定資産処分益等）の計上も寄与しています。
- キャッシュフロー: 第1四半期の連結キャッシュフロー計算書は作成されていないため、詳細な分析はできません。
- ROE: 実績値4.34%、過去12ヶ月実績6.14%と、収益性が改善傾向にあります。
- ROA: 過去12ヶ月実績0.24%です。銀行業の特性上、ROAは低い水準となる傾向があります。
- 自己資本比率: 実績値3.7%ですが、銀行の健全性を示す連結自己資本比率（国内基準）は9.99%（2025年6月末）であり、規定の水準を上回る健全な範囲内にあります。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは3.80%（1株配当35.00円）であり、配当性向は30.97%です。安定した配当を目指していると考えられます。自社株買いについては、自己株口の保有があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
東和銀行の株価は、52週変化率でS&P500の動向を大きく上回る62.69%の上昇を示しており、投資家の関心が高いことがうかがえます。直近10日間の株価は高値圏で推移しており、短期的な上抜きの勢いは一服しているようにも見えますが、上昇トレンドは継続しています。信用倍率は10.71倍と買い残が多く、需給面ではやや重い状況です。今後の株価に影響を与える要因としては、国内の金融政策の動向、地域経済の活性化、SBIホールディングスとの連携による具体的な成果、そして公的資金完済後の新たな経営戦略の実行進捗などが挙げられます。
11. 総評
東和銀行は、地域金融を基盤としつつ、SBIホールディングスとの資本業務提携や公的資金完済により、経営環境に大きな変化を迎えています。直近の四半期決算では、市場金利の上昇を背景に経常収益および純利益が大幅に増加し、収益性の改善が見られます。財務健全性についても、連結自己資本比率（国内基準）は健全な水準です。株価は年初来で大きく上昇し、高値圏で推移していますが、PBRは業界平均を下回っており、割安感も残存しています。今後の成長は、新たな経営戦略の具体化と実行、そして金利環境の変化への適応力が鍵となるでしょう。
12. 企業スコア
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成長性: A
LTM売上成長率（YoY）のデータは変動が見られますが、直近四半期収益は前年同期比で大幅増を記録しており、特に資金運用収益の増加が顕著です。これは収益モデルが市場環境の変化にポジティブに反応していることを示しており、今後の成長期待が高まります。
– 収益性: A過去12ヶ月の営業利益率は25.10%と高く、直近四半期の経常利益および純利益も大幅に増加しています。ROEも改善傾向にあり、収益性は良好と判断されます。
– 財務健全性: A連結自己資本比率（国内基準）が9.99%と、国内基準行として十分な水準を維持しており、財務基盤は健全です。
– 株価バリュエーション: APERは業界平均よりやや高めですが、PBRは業界平均と比較して割安な水準にあります。企業価値と比較して株価に割安感が残ると判断できるため、バリュエーションは良好と言えます。
企業情報
| 銘柄コード | 8558 |
| 企業名 | 東和銀行 |
| URL | http://www.towabank.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
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