1. 企業情報
マミーマートは、埼玉県を拠点にスーパーマーケットチェーンを展開する企業です。主力の「マミーマート」店舗のほか、低価格を特徴とする「生鮮市場TOP!」や生鮮品を強化した「マミープラス」といった多様な店舗フォーマットを展開しています。主に生鮮食品や加工食品、惣菜などの日々の生活に欠かせない食料品を提供しており、連結事業のほぼすべてがスーパーマーケット事業で構成されています。2025年10月に、マミーマート株式会社からマミーマートホールディングス株式会社へ商号変更し、株式分割（1株を5株に）も実施しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は関東地方、特に埼玉県内を主要な地盤とする地域密着型スーパーマーケットです。激しい競争が繰り広げられる小売業界において、「生鮮市場TOP!」のような低価格業態の推進や、生鮮品および惣菜の商品開発に注力することで差別化を図っています。「お弁当・お惣菜大賞2025」での多数受賞は、同社の惣菜分野における商品力の高さを裏付けています。一方で、業界全体としては、他社との価格競争、人件費や物流費の上昇、消費者の節約志向の高まりといった課題に直面しています。
3. 経営戦略と重点分野
マミーマートは、現在進行中の中期経営計画（2024年9月期～2026年9月期）を「先行投資フェーズ」と位置づけています。この計画に基づき、新規出店や既存店の改装、人材への積極的な投資、およびデジタル化による業務効率化を重点的に推進しています。具体的には、2つの新フォーマット（「生鮮市場TOP!」「マミープラス」）の展開、惣菜などの商品開発強化、「LSP（シフト管理）」や「RPA」といったデジタルツールの導入による人件費率の適正化、そして社員・パートナーの賃金改定を含む福利厚生の拡充などが挙げられます。
4. 事業モデルの持続可能性
食品スーパーマーケット事業は、日々の生活に不可欠な商品を扱うため、比較的安定した需要基盤を持っています。同社は、低価格志向の業態や生鮮品強化を通じて、変化する消費者のニーズに対応しています。また、デジタル技術の活用によるコスト効率の改善は、人件費上昇などの外部環境変化に対する適応力を高め、持続的な収益モデルの確立に寄与するものと考えられます。継続的な新規出店や店舗改装による地域シェア拡大も、事業モデルの持続性を支える要素です。
5. 技術革新と主力製品
同社における技術革新は、直接的なR&Dというよりは、店舗運営の効率化に向けたデジタル技術の導入に重点を置いています。シフト管理システム（LSP）や業務自動化ツール（RPA）の活用により、業務プロセスの改善と人件費の最適化を目指しています。収益を牽引している主力製品としては、鮮度の高い生鮮食品に加え、独自の惣菜開発力が強みです。既存店の売上が客数・客単価ともに伸長している背景には、これらの主力商品群による顧客満足度向上が寄与していると考えられます。
6. 株価の評価
現在の株価1,600.0円に対し、会社予想EPS（連結・分割後）は99.98円であるため、PERは約16.00倍となります。これは業界平均PERの21.1倍と比較すると割安な水準にあります。一方、PBR（実績・連結）は1.94倍であり、業界平均PBRの1.3倍と比較すると割高な水準です。PERが割安な一方でPBRが割高な評価となっている点は、同社の堅調な利益成長への期待が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。
7. テクニカル分析
現在の株価は1,600.0円で、年初来高値（および52週高値）の1,625円に迫る水準にあります。過去10日間の株価推移を見ると、1,439円から1,600円へと上昇基調で、50日移動平均（1,398.70円）および200日移動平均（1,119.24円）を大きく上回っています。これは明確な上昇トレンドを示しており、現在の株価は高値圏にあると評価できます。過去1年間での株価上昇率は102.94%と、市場平均を大きく上回るパフォーマンスを記録しています。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2022年9月期に一時的に減少したものの、2023年9月期以降は回復・成長基調にあり、特に直近の四半期売上高成長率は前年比22.50%と高い伸びを示しています。
- 利益: 売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益、純利益も堅調に推移しています。2022年9月期を底に利益も回復し、近年は増加傾向にあります。
- ROE: 実績（連結）13.17%、過去12ヶ月12.83%と、小売業としては良好な資本効率を示しています。
- ROA: 過去12ヶ月5.67%と、総資産に対する利益率も効率的です。
- 自己資本比率: 連結で51.6%と安定した財務基盤を築いています。
- D/E比率: 直近四半期で42.16%と、負債も適切に管理されています。
- 流動比率: 直近四半期で0.58と、短期的な流動性には注意が必要です。スーパーマーケットのような現金商売では低めに出る傾向はありますが、引き続き動向を注視する必要があるでしょう。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の一株当たり年間配当金（分割後）は20.00円で、これに基づく配当利回りは1.25%です。過去12ヶ月の配当性向は20.22%と比較的低く、利益を成長投資に回す方針が見られますが、2025年9月期には前年比増配を予想しており、株主還元への意欲はあります。自社株買いについては、現時点では具体的な近況の情報は提供されていません。2025年10月1日の株式分割は、投資単位を引き下げ、より多くの個人投資家が投資しやすくなる効果が期待できます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近で強い上昇モメンタムを示しており、年初来高値圏で推移しています。これは、堅調な業績、特に既存店売上の好調さと利益の成長が背景にあると考えられます。中期経営計画で掲げた新規出店や改装、人材投資といった成長戦略の実行に対する市場の期待も高まっていると見られます。また、株式分割による投資魅力の向上も、投資家関心を集める一因となっている可能性があります。
11. 総評
マミーマートは、埼玉地域を基盤に堅実なスーパーマーケット事業を展開し、既存店の好調な業績と戦略的な新規出店・改装投資によって成長を加速させている企業です。財務面では、自己資本比率やROEが良好で、資本効率と財務健全性は高い水準にありますが、流動比率の動向には注意が必要です。利益成長への期待から、株価は年初来高値圏で推移し、マーケットから高い関心を集めています。PERは業界平均と比べて割安ですが、PBRは割高となっており、成長とバリュエーションのバランスを考慮した評価が重要です。今後の成長戦略の実行とその成果、特にデジタル化による効率改善と人件費上昇のバランスが、継続的な成長の鍵となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: S
- 過去数年の売上高は増加傾向にあり、特に直近四半期の売上高成長率（YoY 22.50%）は高い。LTM売上成長率も良好。
- 収益性: A
- 過去12ヶ月の営業利益率3.61%は、一般的なスーパーマーケット業界の水準と比較して高め。粗利率も安定している。
- 財務健全性: B
- 自己資本比率51.6%、D/E比率42.16%は健全な水準だが、流動比率0.58には留意が必要。
- 株価バリュエーション: B
- PERは業界平均より割安だが、PBRは業界平均より割高となっているため、総合的に見て中立的な評価。
企業情報
| 銘柄コード | 9823 |
| 企業名 | マミーマート |
| URL | http://www.mammymart.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
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