新日本電工(5563)企業分析レポート
注記:本資料は公開情報に基づく企業分析であり、投資助言ではありません。数値は原則として連結ベースの提供データを使用しています。一過性損益は可能な範囲で除外・補足し、中立的に記載しています。
1. 企業情報
- 概要:新日本電工は、合金鉄(フェロアロイ)を主力に、機能材料(ジルコニア・ホウ酸・水素吸蔵合金・二次電池向け材料等)、焼却灰資源化、アクアソリューション(排水処理・純水製造)、電力事業を展開。日本製鉄グループ系で国内の鉄鋼向け合金鉄で最大手。南アフリカにマンガン鉱山権益を保有。
- 事業構成(2024.12):合金鉄66%(営業利益率目安:約2%)、機能材料18%(約12%)、焼却灰資源化10%(約18%)、アクアソリューション2%(約7%)、電力2%(約28%)、他2%(約11%)。
- 基本情報:プライム上場、鉄鋼セクター。従業員967名、平均年齢41.7歳、平均年収707万円。大株主は日本製鉄(22.1%)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の鉄鋼向けフェロマンガン・シリコマンガン等でトップクラス。日本製鉄向けの安定需要に加え、南ア権益により原料調達面の強みを持つ。
- 競争優位性:
- 原料アクセス(マンガン鉱山権益)と国内製鋼各社との強固な取引関係。
- 高付加価値の機能材料や環境リサイクルで相対的に高い利益率。
- 課題:
- 合金鉄は鉄鋼業の生産動向・資源価格・為替に対する感応度が高く、収益変動が大きい。
- グローバルでは大手資源・金属企業との競争、電力コストの上昇リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方向性(公開情報の範囲):
- コアの合金鉄事業の安定化(コスト最適化・長期契約・原料ソーシングの強化)。
- 高収益の機能材料・環境(焼却灰資源化、アクア)・電力の拡大によるポートフォリオ分散。
- 脱炭素・資源循環領域への対応(省エネ、リサイクル、電力事業の安定収益源化)。
- 直近の開示事項:
- 2025年中間期の配当支払開始予定日を9月12日に訂正(実務日程の修正で、業績数値訂正はなし)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:
- 合金鉄はボリューム×スプレッド(販売価格−原料・エネルギーコスト)。景気循環の影響を受けやすい。
- 機能材料・環境・電力はストック性・プロジェクト性が高く、平均的に高利益率で安定性に寄与。
- 適応力:
- 原料権益と複数事業の組み合わせでサイクル変動を一定程度緩和。
- 電池材料・水処理など構造的需要分野の育成が進めば収益の安定化余地。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:ジルコニウム・ホウ素化合物、水素吸蔵合金、マンガン系化学品、LiB正極材など機能材料群を保有。環境分野では焼却灰の溶融固化・無害化、アクアでは排水処理・純水設備を提供。
- 収益ドライバー:
- 事業別利益率目安から、機能材料・焼却灰資源化・電力が収益性を牽引。
- 合金鉄は売上比率が大きく、市況上振れ時のレバレッジが高い一方、下振れ時の利益圧迫要因。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価339円、EPS(会社予想)11.65円、BPS536.14円、時価総額約467億円。
- 指標
- PER(予想):約29.1倍(業界平均約8.0倍比で高め)
- PBR:0.63倍(業界平均0.6倍と同水準圏)
- EV/売上高:EV ≈ 467+138−59 ≈ 546億円 → EV/S ≈ 0.68倍
- EV/EBITDA(LTM EBITDA約86億円ベース):約6.3倍
- コメント:PERは業界平均を上回る水準。PBRは業界並み。キャッシュ水準・負債抑制でEV系は相対的に落ち着いた水準。
7. テクニカル分析
- トレンド位置:52週高値368円・安値228円のレンジで、現株価339円はレンジ上方(約79%位)に位置。
- 移動平均:50日MA約337円、200日MA約286円。株価は両MA上で中期上昇基調を維持。
- 短期足:10/16に年初来高値に接近後はやや反落・持ち合い。出来高は直近10日平均が3カ月平均を下回り、勢いは一服。
- 信用動向:信用倍率2.88倍。買残は前週比微減、売残は増加で、短期的には上値追いに慎重な気配。
8. 財務諸表分析
- 損益(LTM)
- 売上高:798億円、売上総利益:137億円(粗利率約17.1%)
- 営業利益:66億円(営業利益率約8.3%)、当期純利益:31億円(純利益率約3.9%)
- 利益水準は2022年ピーク(営利88億円、EPS54.45円)から縮小後、2024年は持ち直し、LTMは横ばい圏。
- トレンド(2021→2024→LTM)
- 売上高:660→782→798億円(3年CAGR約5〜6%)
- 純利益:78→31→31億円(2022年をピークに縮小)
- 効率・資本
- ROE:約4.3%、ROA:約4.3%。資本効率は控えめ。
- キャッシュフロー
- 営業CF:78億円、レバードFCF:約20億円とプラス。EBITDAに対するCF創出は概ね良好。
- 財務安全性
- 自己資本比率:72.1%、D/E:約0.19、流動比率:3.31倍。財務基盤は堅健。
- セグメント含意
- 低マージンの合金鉄と高マージンの機能材料・環境・電力のミックス。ポートフォリオ改善が全社利益率の鍵。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:年間予想12円(利回り約3.53%)。直近の配当支払開始日は訂正のうえ2025年9月12日(中間分)。
- 配当性向:
- トレーリングベース約53%。
- 会社予想EPS11.65円に対して12円配当を仮置きすると配当性向は約103%となり、業績想定によっては持続性に注意が必要。
- 自社株買い:開示上の自己株は僅少(5千株)。現時点で大規模な自己株買いは確認できず。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週で+17.5%(ベータ0.62で低ボラ)。直近は高値圏での調整・保ち合い。
- 需給・関心:
- 信用買い優勢だが、買残微減・売残増で短期はバランス改善。
- 流動性は3カ月平均出来高約81万株。10日平均はやや減少。
- 影響要因:
- 鉄鋼生産動向、マンガン鉱石・合金価格、為替、電力コスト。
- 機能材料(電池関連等)の受注動向、環境リサイクル案件の進捗。
- 親密先(日本製鉄)向けの需給・価格改定。
11. 総評
- 合金鉄で国内トップの地位と原料権益、さらに機能材料・環境・電力の高収益セグメントを併せ持つ多角化モデル。景気・市況の変動耐性は以前より改善。
- 収益面は2022年ピークから調整局面。LTMでは売上は堅調ながら、純利益・ROEは低位。財務は極めて健全で、キャッシュ創出も安定。
- バリュエーションはPBRが業界並み、PERは業界平均比で高位。今後は高マージン事業の拡大と合金鉄の収益変動抑制が、収益性・評価の両面のカギ。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 売上はLTMで前年水準をやや上回り、3年CAGRもプラス。ただし直近の四半期YoYは微減(-0.3%)で加速感は限定的。
- 収益性:B
- 連結粗利率約17%、営業利益率約8%(LTM概算)。セグメントで高収益事業はあるが、全社ROEは約4%と控えめ。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率72%、D/E約0.19、流動比率3.31倍と強固。
- 株価バリュエーション:C
- PERは業界平均(約8倍)比で高位、PBRは同水準圏。EV/EBITDAは中位。
参考データ抜粋
– 株価関連:株価339円、時価総額約467億円、年初来高値368円・安値228円、50日MA337円・200日MA286円
– 指標:PER約29.1倍(予想)、PBR0.63倍、配当利回り約3.53%、ROE約4.3%、自己資本比率72.1%
– CF:営業CF78億円、レバードFCF約20億円
– イベント:次回配当の権利落ち予定 2025/12/29(会社開示ベース)
企業情報
| 銘柄コード | 5563 |
| 企業名 | 新日本電工 |
| URL | http://www.nippondenko.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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