椿本興業(8052)企業分析レポート
株価(終値):2,665円(2025-10-29)
市場:東証プライム/商社・卸売(33業種:卸売業)
時価総額:約519億円
本レポートは公開情報に基づく客観的な企業分析であり、投資助言を目的とするものではありません。不明事項は記載を省略しています。
1. 企業情報
- 概要:椿本興業は、動力伝達(動伝)製品やFA関連設備、産業資材、センシング・画像処理等を扱う機械系専門商社。主力はチェーン・コンベヤ、モーター・減速機、クラッチ・ブレーキ、アクチュエータ等の動伝商材と、省力化・搬送などの設備装置。非織布や機能材料、IoT/AIを活用したセンシングソリューションも展開。
- 事業構成(連結):動伝46%、設備装置46%、産業資材8%(海外売上比率12%)
- グループ関係:主要サプライヤーでもある椿本チエイン(6371)が筆頭株主(保有10.33%)。
- 地域体制:東日本・西日本・中日本の各本部に加え、開発戦略本部(海外/新規事業・マテリアル/制御・センシング等)。
- 従業員:813人、平均年齢42.5歳、平均年収約805万円。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の機械・FA領域に特化した中堅専門商社。動伝・FAに強みを持ち、案件対応力とエンジニアリング機能(設備提案~導入・保守)を組み合わせたバリューチェーンを構築。
- 競争優位性:
- 動伝領域での長年の取扱い実績と椿本チエイン等との関係性。
- 設備装置(省力化・搬送など)の一括提案力、受注残高の厚み。
- センシング・画像処理などの付加価値提案で単価・継続性を高めやすい。
- 課題:
- 設備投資(CAPEX)サイクルの影響を受けやすい(大型案件の期ズレも含む)。
- 海外売上比率は12%とまだ限定的で、グローバル分散は発展途上。
- 一部サプライヤー/特定大口案件依存の進捗・納期リスク。
- 市場シェア:定量的な公表データなし(業界内では動伝・FAのニッチ領域で存在感)。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/基本方針(短信・会社コメント要旨)
- 受注残高を着実に売上計上し、省力化・自動化ニーズを取り込む。
- マテリアル、制御、センシング・画像処理など新領域を拡充。
- 海外子会社の回復と収益基盤の強化。
- 中期的な重点施策(示唆)
- 省力化・FA設備の大型受注取り込みと案件消化の平準化。
- 動伝コアに、センシング/AI・画像処理やIoTを組み合わせた高付加価値化。
- 海外(開発戦略本部)での売上拡大とポートフォリオ分散。
- 通期見通し(会社予想据え置き)
- 2026/3期:売上1,250億円、営業利益63.5億円、純利益48.5億円、EPS予想260.54円。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:商社マージン+エンジニアリング(設計・据付・保守)による付加価値。動伝は安定需要、設備装置はプロジェクト色が強く収益変動もあるが、受注残高の厚みで一定平準化。
- 需要構造:国内製造業の自動化・省力化投資、老朽更新、環境・クリーン領域の設備投資が継続的な需要源。半面、マクロ鈍化や対中需要、関税・為替等の外部要因には感応。
- 適応力:センシング・画像処理、材料、制御の拡張で高付加価値化を志向。海外売上のテコ入れ余地が成長オプション。
5. 技術革新と主力製品
- 主力:チェーン・コンベヤ等の動伝商品、モーター・減速機、クラッチ/ブレーキ、アクチュエータ。設備装置は搬送・省力化ライン等。
- 技術トレンド:画像処理・センシング、IoT/AI連携を強化し、品質検査・トレーサビリティ・自動化の高度化に対応。
- 収益ドライバー:省力化設備を中心とした大型案件(例:偏光板生産設備等)の順調な売上計上、動伝の安定収益、新規事業の回復基調。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:2,665円/BPS(実績)2,391.11円 → PBR 1.11倍(会社データ)
- EPS(会社予想):264.16円 → PER 10.09倍(会社データ)
- 配当利回り(会社予想):約3.0%(年80円、うち2025期末は特別配当10円実施済み)
- 業界平均との比較(参考)
- PER:同業平均約12.1倍に対し約10.1倍と低水準
- PBR:同業平均約1.0倍に対し約1.11倍と僅かなプレミアム
- 総合所見(定量比較):利益倍率は相対的に低水準、簿価倍率は概ね業界並み〜やや上。
7. テクニカル分析(短期~中期)
- 52週レンジ:1,825円〜3,040円。現在値はレンジ中上位帯(直近高値比で約88%)。
- 移動平均:50日線 2,802円 > 現在値 2,665円、200日線 2,387円 < 現在値
- 短期は50日線を下回り調整色、中期は200日線上で上昇トレンドを維持。
- 直近10日:戻り局面からやや押し戻される推移(終値ベースで小幅安)。出来高は3カ月平均(約52千株)を下回る日が多い。
- 需給:信用買残2.05万株、信用倍率8.2倍と買い長。短期の値動きは需給の影響を受けやすい状況。
8. 財務諸表分析(トレンドと指標)
-
成長性
- 売上高(億円):968.9(2022)→1,079.6(2023)→1,135.0(2024)→1,243.2(LTM/2025)
LTM成長率 約+9.5%(対2024)、3年CAGR 約+8.6%
– 第1四半期(2026/3期):売上+24.4%、営業利益+109.6%と高い伸長(大口案件の計上進捗)
– 収益性(LTMベースの概算)
– 粗利率:約15.4%(概ね横ばい)
– 営業利益率:約4.8〜5.0%(やや改善傾向)
– 当期純利益率:約3.8〜4.1%(資料によりブレ)
– EBITDAマージン:約5.5〜5.8%
– ROE:実績11.2%(参考LTM 12.5%)、ROA:約4.4%
– 安全性・効率性
– 自己資本比率:43.4%(期末実績)→ 45.4%(2025/6末)
– 流動比率:161%(2025/6末)
– 現金等:292億円(2025/6末)。有利子負債詳細は未掲載のためD/Eは未算出。
– 収益の質
– 受注残高は高水準。大型設備の売上計上が進む一方、期ズレ・外部環境の影響に留意。
– 減価償却負担は軽微(四半期84百万円)でフリーキャッシュ創出余地は相対的に確保されやすい構造(CFデータは短信未作成)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:会社予想 年80円(中間20円・期末60円)。2025年期末は特別配当10円を実施済み。
- 配当性向:約27.8%(参考値)
- 利回り:概ね3%前後(株価水準に依存)
- 自己株式:保有比率4.52%(信託含む)。新規の自己株買い方針は資料に記載なし。
- 株式分割:2024/3/28に3:1の株式分割を実施。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週で+45.0%と市場(S&P500 +18.3%)を大きくアウトパフォーム。短期は50日線下での押し、200日線上での中期上昇を維持。
- 需給・関心:インサイダー保有21.4%、機関投資家29.1%、フロート約1,423万株。信用買い越しが続いており、短期のボラティリティには留意。
- イベント:権利落ち日(予定)2026-03-30。大型案件の計上進捗が四半期ごとの数値変動要因。
11. 総評
- 事業面:動伝の安定収益に加え、省力化・搬送等の設備装置が受注残の消化で収益を牽引。センシング・画像処理やマテリアルの伸長が付加価値向上に寄与。
- 業績:売上・利益は中期にわたり拡大傾向。粗利率は安定、営業利益率は緩やかに改善。ROEは11〜12%台。
- 財務:自己資本比率45%台、流動比率160%と健全。現金水準も厚め。
- バリュエーション:PERは業界平均比で低水準、PBRは概ね平均並み。配当利回りは約3%。
- リスク:設備投資サイクル、外部環境(インフレ・中国景気・関税・為替)、案件期ズレの影響。海外売上の拡大は課題かつ機会。
- テクニカル:短期調整の範囲内で、中期トレンドは維持。需給は買い長で値動きに影響しやすい。
(注)本情報は公開データの要約・計算によるもので、投資判断は各自の責任でお願いします。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
理由:LTM売上+約9.5%、3年CAGR約+8.6%、直近期も2桁成長。受注残高は高水準。
– 収益性:A
理由:営業利益率約5%は卸売業平均域の上側。ROE11〜12%台、EBITDA率も安定。
– 財務健全性:A
理由:自己資本比率45%台、流動比率161%。有利子負債詳細不明だが総合的に健全域。
– 株価バリュエーション:A
理由:PERは業界平均比で低水準、PBRはほぼ平均並み。配当利回り約3%。
参考データ
– PER(会社予想・連結):10.09倍
– PBR(実績・連結):1.11倍
– EPS(会社予想):264.16円、BPS(実績):2,391.11円
– ROE(実績):11.19%(参考LTM 12.45%)、自己資本比率:43.4%(2025/3末)→45.4%(2025/6末)
– 受注・売上(2026/3期1Q):売上+24.4%、営業利益+109.6%、受注残高8,299.3億円(+1.3%)※会社短信より
– 主要株主:椿本チエイン(10.33%)、太陽生命(8.62%)ほか。自己株式4.52%(信託含む)
企業情報
| 銘柄コード | 8052 |
| 企業名 | 椿本興業 |
| URL | http://www.tsubaki.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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