1. 企業情報
石光商事株式会社は、1906年創業の老舗コーヒー輸入商社です。主な事業は、コーヒー、紅茶、酒類、食料品の製造、加工、輸入、販売です。特に業務用コーヒー市場で高いシェアを持ち、国内だけでなく海外でも事業を展開しています。事業セグメントはコーヒー・飲料、食品、農産、海外の4つで構成されており、直近の売上構成比はコーヒー・飲料が38%、食品が34%、農産が11%、海外が17%となっています（2025年3月期予想）。海外では日本食の輸出入なども手掛けています。本社は兵庫県神戸市灘区にあり、従業員数は490人、平均年齢は42.8歳、平均年収は644万円です。
2. 業界のポジションと市場シェア
石光商事は、老舗のコーヒー輸入商社として業務用市場で高いシェアを占めており、この分野での競争優位性を持っています。幅広い食品・飲料を取り扱うことで、事業の多角化を図っています。
課題としては、コーヒー豆などの国際商品相場の変動、為替レートの変動（特にドル円）、米国の通商政策による輸出影響、および世界経済のマクロ動向（特に中国経済の減速や各国消費状況の変化）といった外部要因が業績に影響を及ぼすリスクがあります。
3. 経営戦略と重点分野
同社は2026年3月期より中期経営計画「SHINE2027」を開始しています。この計画の主眼は、ROIC（投下資本利益率）を重視した事業ポートフォリオの見直しと成長投資、GHG（温室効果ガス）削減や社会課題解決に貢献する商品の開発、そして社内体制の強化にあります。具体的な施策としては、既存事業の収益性改善に加え、新たな市場ニーズに対応する商品開発や海外展開の強化が挙げられます。
4. 事業モデルの持続可能性
石光商事の事業モデルは、多岐にわたる食品・飲料の輸入・加工・販売であり、特に業務用市場での強固な顧客基盤を持っています。コーヒー・飲料、加工食品、水産物、調理冷食、農産物など幅広い商材を扱うことで、市場ニーズの変化への適応力を高めています。海外事業では、日本食材の輸出も手掛けており、グローバルな需要を取り込む戦略も推進しています。ただし、原材料の国際相場や為替レートの変動が収益に与える影響は大きく、これらのリスク管理が事業の持続可能性の鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
提供された情報の中で、具体的な「技術革新」に関する記載は限定的です。商社としてのビジネスモデルにおいて、技術開発よりも商品調達力、品質管理、物流、顧客ネットワークの構築・維持が重要と考えられます。
主力製品は、創業以来の基盤であるコーヒー豆やインスタントコーヒー、紅茶などのコーヒー・茶類事業製品に加えて、缶詰、パスタ、オリーブオイルといった西洋食材、冷凍食品、鶏肉関連製品、エビやイカなどの水産物、さらに生鮮野菜や加工農産品も収益を牽引しています。海外事業では、日本食材の輸出も主力の一つです。
6. 株価の評価
現在の株価は1,396.0円です。
– PER（会社予想）：11.19倍
– PBR（実績）：0.88倍
– EPS（会社予想）：125.24円
– BPS（実績）：1,595.57円
業界平均と比較すると、
– 業界平均PER：10.1倍
– 業界平均PBR：0.7倍
石光商事のPER11.19倍は業界平均10.1倍と比べてやや高く、PBR0.88倍も業界平均0.7倍を上回っています。この数値を見る限り、現在の株価は業界平均と比較して、割安感が高いとは判断しにくい状況です。
7. テクニカル分析
現在の株価1,396.0円は、年初来高値1,547円に近い水準にあります。年初来安値は740円です。
直 近10日間の株価推移も概ね上昇基調で推移しています。
– 50日移動平均線：1,365.22円
– 200日移動平均線：1,053.49円
現在の株価は50日移動平均線および200日移動平均線を上回っており、テクニカル面では上昇トレンドにあると見られます。過去1年間の株価は83.55%上昇しており、S&P 500の同時期の変化率17.87%と比較しても顕著な成長を示しています。これらのことから、現在の株価は比較的高値圏で推移していると判断できます。
損益計算書（年度別比較：2022年3月期～2025年3月期）
- 売上高（Total Revenue）：46,729百万円（2022年3月期）から64,953百万円（2025年3月期）まで安定的に増加しており、成長軌道に乗っていることを示唆しています。
- 売上総利益（Gross Profit）：売上高の増加に伴い、6,637百万円（2022年3月期）から8,453百万円（2025年3月期）へと増加しています。
- 営業利益（Operating Income）：695百万円（2022年3月期）から1,557百万円（2025年3月期）へと着実に増加しており、収益性が改善している傾向が見られます。
- 純利益（Net Income Common Stockholders）：532百万円（2022年3月期）から888百万円（2025年3月期）へと増加しており、安定的な収益力を示しています。
企業財務指標（LTMおよび直近四半期）
- ROE（実績）：7.44%（2025年3月期）から8.80%（過去12か月）。
- ROA（過去12か月）：3.34%。
- 自己資本比率（実績）：31.2%（2025年3月期）から30.2%（直近四半期）。商社としては一般的な水準ですが、より高い健全性を求める見方もあります。
- 流動比率（直近四半期）：1.45。短期的な支払い能力には問題がない水準です。
- Total Debt/Equity（直近四半期）：91.96%。有利子負債は自己資本の約9割の水準です。
直近の四半期決算（2026年3月期 第1四半期）
- 売上高：18,343百万円（前年同期比+25.6%）と大幅増。
- 営業利益：790百万円（前年同期比+205.2%）と非常に高い伸びを示しました。売上高営業利益率は約4.31%です。
- 親会社株主に帰属する四半期純利益：376百万円（前年同期比+59.6%）。
これは、主にコーヒー・茶類事業における中国現地法人での販売拡大や相場高による販売価格上昇、飲料製品の新規開拓が寄与した結果です。
9. 株主還元と配当方針
石光商事の株主還元策は、主に配当によって行われています。
– 配当利回り（会社予想）：2.71%
– 1株配当（会社予想）：38.00円
– 配当性向（Payout Ratio）：26.20%
現在の配当性向は比較的低く、今後の事業成長や利益水準の向上に伴い、増配余地がある可能性も考えられます。特別配当の言及はありません。自社株買いについては、自己株式として3.01%の保有がありますが、直近の具体的な自社株買い実施に関する計画は提供された情報にはありませんでした。
10. 株価モメンタムと投資家関心
石光商事の株価は過去52週間で83.55%上昇しており、市場全体（S&P 500の同時期変化率17.87%）を大きく上回る強い上昇モメンタムを維持しています。直近の10日間の株価推移も上昇トレンドを示しています。
投資家関心度は、信用取引の状況を見ると、信用買残が98,100株に対して信用売残が2,600株と、信用買い残が大幅に多く、信用倍率は37.73倍となっています。これは、今後の株価上昇を期待する投資家が多いことを示唆しています。
株価への影響を与える要因としては、国際的なコーヒー相場の動向、為替レート（特にドル円）、農産物の価格変動、そして食品業界全体の景気動向や海外事業が展開される国の経済状況（中国の動向、米国の関税政策など）が挙げられます。
11. 総評
石光商事は、安定した売上高の成長と収益性の改善を継続しており、直近の第1四半期決算も好調な結果となりました。特に業務用コーヒー市場での高いシェアと、食品・農産・海外といった多角的な事業構成が強みです。中期経営計画「SHINE2027」に基づくROIC重視の戦略や、社会課題解決型商品の開発は、今後の成長ドライバーとなる可能性があります。
一方で、国際商品相場や為替の変動リスク、自己資本比率の健全性維持などが継続的な課題として挙げられます。現在の株価はテクニカル分析上は高値圏にありますが、業績の好調さや今後の成長戦略への期待が株価を支えていると見られます。 PERやPBRは業界平均をやや上回っているため、割安感は限定的です。
12. 企業スコア
- 成長性：S
- 直近四半期売上成長率（前年同期比）が25.60%と大幅な伸びを示し、過去数年間も安定的に売上高を伸ばしています。中期経営計画に基づいた成長戦略も進められています。
- 収益性：A
- 過去12ヶ月の営業利益率は4.31%であり、卸売業の業界平均（一般的に1〜3%程度）を上回る良好な水準です。粗利率も各事業で10%台を確保しており、効率的な事業運営が見られます。
- 財務健全性：B
- 自己資本比率は直近で30.2%と、商社業界では標準的ではありますが、より高い安全性を示す40%以上という基準と比較すると改善の余地があると言えます。流動比率は1.45で短期的な支払い能力は問題ありませんが、Total Debt/Equityが91.96%と有利子負債の比率がやや高い傾向にあります。
- 株価バリュエーション：C
- PER（会社予想11.19倍）とPBR（実績0.88倍）が、いずれも業界平均PER（10.1倍）およびPBR（0.7倍）をやや上回っています。このことから、現在の株価は業界平均と比較して割安感は限定的です。
企業情報
| 銘柄コード | 2750 |
| 企業名 | 石光商事 |
| URL | http://www.ishimitsu.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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