ラサ工業(4022)企業分析レポート

東京証券取引所プライム市場に上場するラサ工業(証券コード:4022)の企業分析レポートを個人投資家向けに作成しました。

1. 企業情報

ラサ工業は、リン酸を起点とする化成品事業を中核に、機械事業、電子材料事業、その他事業(触媒再生、不動産賃貸など)を展開する化学メーカーです。1907年のラサ島でのリン鉱脈発見を起源とし、現在では半導体製造プロセスに用いられる高純度リン酸・リン酸塩、水処理用の凝集剤、消臭剤などを製造・販売しています。また、建設・土木機械や、化合物半導体向けの高純度無機素材(赤燐、ガリウム等)も手掛けており、多角的な事業ポートフォリオを構築しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社は「素材・化学」セクターの「化学」に属し、特に半導体向けの高純度化学品や化合物半導体向け無機素材といったニッチかつ高付加価値な市場で存在感を示していると考えられます。化成品事業が売上高の約84%を占める主力であり、半導体関連製品や水処理凝集剤は海外市場や上水道向けで堅調な需要があると報告されています。具体的な市場シェアのデータは開示されていませんが、専門性の高い技術と品質が要求される分野において独自の強みを持っていると推測されます。

3. 経営戦略と重点分野

ラサ工業は、長期的な羅針盤として「RasaVision2033」を掲げ、2024年度から2026年度までの3年間を対象とする「中期経営計画2026」を「フェーズ1(種まき)」と位置付けています。この中期経営計画における重点分野は以下の通りです。
* 資源配分の最適化と収益力強化
* 電子材料事業や半導体関連化成品といった成長事業の拡大
* ESG(環境・社会・ガバナンス)への対応強化
* DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

2026年3月期第1四半期決算では、売上は微減したものの、営業利益率が改善していることから、収益力強化への取り組みが進んでいることが伺えます。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の事業モデルは、リン酸化学という基盤技術を軸に、高付加価値製品への転換と多角化を図ることで持続可能性を高めていると考えられます。半導体市場は変動があるものの、長期的な成長が期待されており、同社の高純度化学品や電子材料は、その恩恵を受ける可能性が高いです。また、水処理凝集剤のように社会インフラを支える製品や、触媒再生、不動産賃貸といった安定的な収益源を持つことも、事業全体の安定性に寄与しています。特定の原材料価格変動や市場ニーズの変化への適応力が、今後の持続性を左右する可能性があります。

5. 技術革新と主力製品

ラサ工業は、リン化学分野における長年の知見と技術力を基盤としています。特に、半導体プロセスの高精度化に対応する高純度リン酸・リン酸塩製品や、次世代半導体として注目される化合物半導体向けの赤燐・ガリウムなどの高純度無機素材が収益を牽引する主力製品です。これらの製品は、高い品質と安定供給が求められるため、同社の精製技術や製造ノウハウが競争優位性となっています。具体的な技術開発の詳細は明らかではありませんが、常に市場の先端技術動向に対応した製品開発を行っていると推測されます。

6. 株価の評価

現在の株価5,030円を各種指標で評価します。
* PER(株価収益率): 会社予想PERは11.81倍です。同業種の業界平均PERが20.4倍と比較すると、現在の株価はPERの観点からは業界平均より低い水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 実績PBRは1.40倍です。同業種の業界平均PBRが1.1倍と比較すると、現在の株価はPBRの観点からは業界平均よりやや高い水準にあります。
* EPS(1株当たり利益): 会社予想EPSは422.68円であり、現在の株価はEPSの約11.89倍です。
* BPS(1株当たり純資産): 実績BPSは3,563.76円であり、現在の株価はBPSの約1.41倍です。

総合的に見ると、PERでは割安感がある一方、PBRではやや割高感もある評価状況です。

7. テクニカル分析

現在の株価5,030円は、年初来高値5,270円、年初来安値2,224円のレンジ内で推移しています。年初来のレンジの中では高値圏に近い水準にあります。直近10日間の株価は5,000円台前半から5,200円台半ばで変動しており、明確な高騰や急落は見られず、高値圏でのもみ合いが続いています。

8. 財務諸表分析

過去数年の財務諸表データから、以下の特徴が見られます。
* 売上高: 2023年3月期には496億円と大きく伸びましたが、2024年3月期は427億円に減少しました。しかし、過去12ヶ月(LTM)および2025年3月期予想では454億円と回復基調にあります。
* 利益: 売上高と同様に、2024年3月期は営業利益・純利益ともに減少しましたが、2025年3月期は回復し、2023年3月期に近い水準になると予想されています。2026年3月期第1四半期の営業利益は前年同期比で16.7%増益、営業利益率も12.6%に改善しました。
* 収益性: ROE(自己資本利益率)は実績で11.85%と、自己資本を効率的に活用して利益を上げている状況です。LTM営業利益率は10.4%、EBITDA率は14.4%です。
* 財務健全性: 自己資本比率は実績で60.8%と非常に高く、財務基盤が強固です。流動比率も約200.7%と短期的な支払能力に優れており、有利子負債も純資産に対して低い水準に抑えられています。
* キャッシュフロー: 第1四半期決算短信ではキャッシュフロー計算書が作成されていないため、この期間のキャッシュフロー詳細は不明です。

9. 株主還元と配当方針

同社は安定的な株主還元を重視しており、2026年3月期の年間配当は128.00円(中間64.00円、期末64.00円)を予想しています。これは2025年3月期実績の120.00円からの増配計画です。会社予想に基づくと、配当利回りは約2.57%となり、会社予想EPS422.68円に対する配当性向は約30.3%となります。株主情報からは、自社(自己株口)が1.72%保有されていることから、過去に自社株買いが実施されたことが示唆されます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は年初来高値圏でのもみ合いが見られ、明確なトレンドは確認できません。出来高は特別多くなく、商いは落ち着いています。信用取引の状況を見ると、信用買残が信用売残を上回っており、信用倍率は3.57倍です。信用買残の増加は、今後の株価上昇を期待する投資家がいることを示唆する一方、将来的な売り圧力となる可能性も含まれます。
投資家関心は、電子材料事業の成長性、半導体市況の回復動向、そして中期経営計画の進捗状況に集まっていると考えられます。特に、半導体関連の需要変動やマクロ経済の不確実性(中国経済の減速や地政学リスクなど)が、今後の株価に影響を与える可能性があります。

11. 総評

ラサ工業は、リン酸を基盤とする多角的事業と高付加価値製品への注力を特徴とする企業です。特に半導体関連の高純度化学品や電子材料事業が成長ドライバーとなっており、第1四半期では利益率の改善も見られました。財務状況は自己資本比率60%超と非常に健全で、ROEも良好です。現在の株価は年初来高値圏で推移していますが、PERでは業界平均に対し割安感があります。安定的な配当にも力を入れており、堅実な株主還元姿勢も伺えます。一方で、機械事業の減収やマクロ経済の不確実性はリスク要因として認識しておく必要があります。中期経営計画の推進と成長事業のさらなる発展が、今後の企業価値向上に寄与すると考えられます。

12. 企業スコア

  • 成長性: A
    • LTM売上成長率(YoY)は約6.16%、3年CAGRは約8.65%と堅実な成長を示しています。特に電子材料事業の成長は著しく、全体を牽引しています。
  • 収益性: A
    • LTM営業利益率は10.4%、EBITDA率は14.4%と良好な水準です。第1四半期では営業利益率が12.6%に改善しており、ROEも11.85%と資本効率も優れています。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率60.8%、流動比率約200.7%、有利子負債対純資産比率(D/E比率)約0.29倍と、全ての主要指標が極めて健全な水準にあり、盤石な財務基盤を誇ります。
  • 株価バリュエーション: A
    • PER(会社予想11.81倍)は業界平均20.4倍と比較して割安感があります。PBR(実績1.40倍)は業界平均1.1倍をやや上回りますが、強固な財務健全性や収益性を考慮すると、総合的にはバリュエーションに魅力があると評価できます。

企業情報

銘柄コード 4022
企業名 ラサ工業
URL http://www.rasa.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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