日本板硝子(5202)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ、日本板硝子(5202)の企業分析レポートをお届けします。本レポートは提供されたデータに基づき、企業の現状を客観的に整理し、分析したものです。投資判断はご自身の責任において行ってください。
1. 企業情報
日本板硝子は1918年設立の住友系ガラス専業メーカーです。主な事業は、建築用ガラス、自動車用ガラス、高機能ガラスの製造・販売です。特に、英国のピルキントン社を買収したことにより、板ガラス分野で世界トップクラスの地位を確立し、欧州での事業展開も活発です。事業セグメントは「建築用ガラス」(売上比率43%)、「自動車用ガラス」(51%)が主要な柱であり、「高機能ガラス」(6%)がこれに続きます。連結売上の約8割を海外が占めており、グローバルに事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日本板硝子は英ピルキントン買収を契機に、板ガラス業界において世界有数のプレイヤーとしての地位を築いています。主要な製品は建築市場向けのフロートガラスや加工ガラス、および自動車の新車・補修市場向けのガラス製品です。特に、建築用ガラスの欧州市場における生産適正化は、収益改善に寄与しているとされています。高機能ガラス分野では、薄板ガラスや特殊レンズなどを提供しており、特定のニッチ市場で独自の技術力を有しています。しかし、地域ごとの需要変動(北米・欧州の自動車需要の弱含みや東南アジアの建築需要の低調など)や原材料・燃料コスト、為替変動が事業環境に影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「2030 Vision : Shift the Phase」と題した中期経営計画を策定しており、2025年3月期から2030年3月期までの6年間で、事業構造変革と収益性改善を目指しています。
2027年3月期には、営業利益640億円、営業利益率7%、フリー・キャッシュ・フロー270億円、有利子負債4,420億円、自己資本比率15%を中間目標として掲げています。
この目標達成に向けた戦略として、「Business Development」(事業開発)、「Decarbonization」(脱炭素化)、「Digital Transformation」(デジタルトランスフォーメーション)、「Diverse Talent」(多様な人材)の4つの重点分野を設定しています。
直近の2026年3月期 第1四半期では、営業利益率に改善が見られますが、自己資本比率9.9%やネット借入約4,914億円といった主要な財務目標は、中期目標から乖離している状況です。
4. 事業モデルの持続可能性
日本板硝子の収益モデルは、建築物や自動車といった主要産業の需要に大きく依存しています。グローバル市場で事業展開しているため、地域ごとの経済状況や為替変動が収益に与える影響は大きいです。
特に、世界的な脱炭素化の潮流に対応するため、「Decarbonization」を重点戦略に掲げており、太陽電池用ガラスの提供や製造プロセスの環境負荷低減に取り組むことで、持続可能な事業モデルへの適応を目指しています。しかし、原材料・燃料価格の変動、金利動向、自動車・建築市場の景況感、地政学的リスク(特に関税・貿易政策の変更など)は、事業の持続性に影響を与える外部要因となります。
5. 技術革新と主力製品
同社は、長年培ってきたガラス製造技術を基盤に、広範な製品を提供しています。主力製品は、住宅・商業施設向けの「建築用ガラス」と自動車向け「自動車用ガラス」です。
技術革新の分野では、太陽電池用ガラスの開発・供給を通じて再生可能エネルギー分野に貢献しています。また、「高機能ガラス事業」では、情報通信D向け薄板ガラス、プリンター・スキャナー用レンズ、光ガイド、ガラス繊維製品など、独自の精密加工技術や特殊配合技術に基づく製品を提供しています。これらの高機能製品は、特定の市場でのニーズに応えることで、収益ドライバーの一部となっていますが、直近ではプリンター・スキャナー向け需要の低調が見られます。
6. 株価の評価
現在の株価は585.0円です。
会社予想PERは26.65倍で、業界平均PER18.3倍と比較すると割高な水準にあります。
一方、実績PBRは0.54倍で、業界平均PBR1.4倍と比較すると割安な水準です。
会社予想EPSは21.95円、実績BPSは1,088.73円です。過去の純利益が不安定で、過去12ヶ月では赤字であるため、PER単独での評価は難しい面があります。PBRが1倍を大きく下回っているのは、自己資本比率の低さ(9.9%)が影響している可能性があり、単純な割安とは言えない状況です。
7. テクニカル分析
現在の株価585.0円は、年初来高値636.00円に比較的近い水準で推移しており、年初来安値315.00円と比較すると大きく上昇しています。52週間の株価変動率は59.73%と、S&P500の18.53%を大きく上回り、力強い上昇トレンドを示しています。
短期の移動平均線である50日移動平均線538.58円と、長期の200日移動平均線448.27円をともに上回っており、株価は上昇基調の中にあります。直近10日間の株価推移を見ると、一時636円まで上昇した後、580円台に戻る動きも見られ、高値圏での調整フェーズに入っている可能性もあります。
8. 財務諸表分析
売上高:
2022年3月期 6,005億円から、2023年3月期 7,635億円、2024年3月期 8,325億円、過去12か月で8,404億円と、売上高は年々増加傾向にあります。しかし、直近の2026年3月期 第1四半期では、前年同期比で△2.9%と減少しています。
営業利益:
2022年3月期 199億円から、2023年3月期 348億円、2024年3月期 358億円と増加した後、過去12か月では164億円と減少しています。ただし、2026年3月期 第1四半期の営業利益は68億円で、前年同期比+44.3%と大きく改善しています。
純利益:
純利益(親会社所有者に帰属する当期利益)は、2022年3月期 41億円の黒字、2023年3月期 △337億円の赤字、2024年3月期 106億円の黒字、過去12か月で△138億円の赤字と、不安定な推移を見せています。
収益性指標:
– 売上高総利益率(過去12か月):約20.0%
– 営業利益率(過去12か月):1.96%
– Operating Margin(過去12か月):3.30%
– EBITDA(過去12か月):696億円、EBITDA率約8.29%
– ROE(実績):-11.91%、過去12か月 -10.08%。収益性の低さと資本効率の課題を示唆しています。
– ROA(過去12か月):1.14%
財務健全性指標:
– 自己資本比率(実績):10.5%。直近四半期では9.9%と、非常に低い水準にあります。中期経営計画で掲げた15%目標と比較して乖離が見られます。
– 流動比率(直近四半期):0.76倍。1倍を下回っており、短期的な負債の返済能力に懸念があります。
– 総負債(直近四半期):5,288億円。総負債/自己資本比率(D/E比率)は410.08%と非常に高い水準です。
– キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュフローは過去12か月で568億円のプラス、レベライズド・フリーキャッシュフローも180億円のプラスとなっており、キャッシュ創出力は維持されています。
9. 株主還元と配当方針
日本板硝子の配当方針は、2026年3月期に関して会社予想では1株配当0.00円(年間0.00円)と、普通株式については無配を継続する計画です。2020年3月30日を最後に配当は行われておらず、5年平均配当利回りは2.64%ですが、直近は株主への配当は実施されていません。
一方、A種種類株式(非上場)に対しては、2026年3月期に1株当たり65,000円の配当が予定されており、総額で約18億円程度を見込んでいます。自社株買いなどの株主還元策に関する情報は明示されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近1年間で大幅に上昇しており(52週変化率59.73%)、強い上昇モメンタムが見られます。直近10日間の株価推移では、一時高値を付けた後に小幅な調整が見られますが、年初来安値からは大きく値を戻しています。
出来高は、平均出来高(3ヶ月)1.39M株に対して、平均出来高(10日)1.87M株と増加傾向にあり、投資家の関心は高まっていると考えられます。信用取引では、信用買残が674万株と多く、信用倍率は12.24倍と高水準です。信用買残が前週比で増加している点も、投資家の期待(または需給の偏り)を示唆しています。株価への影響要因としては、世界経済の動向、自動車生産台数の変動、建築市場の需要、為替相場、原材料・燃料価格の変動などが挙げられます。
11. 総評
日本板硝子は、英国ピルキントン社買収によりグローバルな事業基盤を確立した大手ガラスメーカーです。建築用と自動車用ガラスを二本柱とし、高機能ガラスも展開しています。中期経営計画「2030 Vision」のもと、事業構造改革と収益改善を目指しており、足元では営業利益率の改善が見られます。しかし、過去の純利益の不安定さ、特に過去12ヶ月の赤字は課題です。自己資本比率が低く、有利子負債が大きいなど、財務健全性には引き続き懸念があります。株価は年初来で大幅に上昇し、テクニカルには強いモメンタムを示していますが、ファンダメンタルズ、特に収益性と財務の安定性に関しては、中期計画の目標達成に向けた今後の進捗が注目されます。現在の株主還元は無配であり、配当を重視する投資家にとっては魅力的でない可能性があります。
12. 企業スコア
- 成長性:B
- LTM売上成長率(YoY)は約0.94%と微増。3年CAGRでは約11.86%と過去数年の成長は見られます。しかし、直近四半期売上高は前年同期比で約△2.9%と減少しており、安定的な成長には見極めが必要です。
- 収益性:C
- 過去12ヶ月の営業利益率は約1.96%(財務指標では3.30%)、2026年3月期1Qでは約3.27%と改善傾向にありますが、純利益は赤字の期が多く不安定です。これは一般的に低い水準であり、業界平均と比較しても課題がある可能性があります。
- 財務健全性:D
- 自己資本比率は直近で9.9%と非常に低く、中期経営計画目標の15%とも乖離しています。流動比率も0.76と1を下回っており、D/E比率は410.08%と有利子負債の負担が高い状態です。
- 株価バリュエーション:B
- PBR(実績)は0.54倍と業界平均1.4倍を下回り割安感がありますが、PER(会社予想)は26.65倍と業界平均18.3倍を上回っています。純利益の不安定さから予想PERの信頼性に限界があることや、低い自己資本比率を考慮すると、単純な割安評価は難しいと判断されます。
企業情報
| 銘柄コード | 5202 |
| 企業名 | 日本板硝子 |
| URL | http://www.nsg.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – ガラス・土石製品 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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