1. 企業情報

西日本フィナンシャルホールディングスは、福岡県を本拠地とする地域金融グループの持株会社です。主要子会社として「西日本シティ銀行」と「長崎銀行」を傘下に持ち、地域に根差した銀行業を中核事業としています。日本国内(特に九州地域)に加え、中国、香港、シンガポールでも金融サービスを提供しています。
主な事業内容は、個人および法人顧客向けの預金、貸出(住宅ローン、事業者向け融資)、有価証券関連業務、信託業務などです。近年は、M&A支援、事業承継、スタートアップ支援といったソリューション提供のほか、キャッシュレス決済、モバイルバンキングアプリ「Nishi-Nippon City Bank App」、法人向けプラットフォーム「NCB Business Station」などのデジタルソリューションにも注力しています。
また、信用保証、クレジットカード、金融商品取引、情報システムサービス、さらには人材関連サポート(人材紹介、派遣、コンサルティング)など、多岐にわたる金融・非金融サービスを展開し、事業の多角化を進めています。資金調達の約9割を預金が占め、資産の約7割が貸出金で構成されています。融資先は中小企業等が70%、住宅・消費者向けが34%(2025年3月時点の方針)となっています。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社は日本の銀行業界、特に地方銀行セクターに属し、福岡県を主要な地盤とする西日本シティ銀行が中核を担っています。九州地域においては有力な金融機関の一つとして位置付けられています。

競争優位性:

  • 地域密着型サービス: 福岡、長崎、宮崎、大分といった九州地域における強固な顧客基盤と地域経済への深い理解があります。中小企業や個人向けにきめ細やかな金融サービスを提供できる点が強みと考えられます。
  • 多様な事業展開: 伝統的な銀行業務に加えて、信用保証、クレジットカード、金融商品取引、情報システム、人材サービスなど、金融・非金融問わず幅広い事業を展開し、収益源の多角化を進めています。
  • デジタル対応: モバイルバンキングアプリや法人向けプラットフォームの提供を通じて、顧客利便性の向上や業務効率化への投資を行っています。

課題:

  • 低金利環境: 長期にわたる日本の低金利環境は、銀行の主要な収益源である預貸金利鞘を圧迫する要因となります。金利上昇の兆しも見られますが、収益性の持続的な改善が課題です。
  • 人口減少と地域経済の縮小: 主要地盤の一部地域における人口減少や高齢化は、中長期的な貸出需要や預金ベースに影響を与える可能性があります。
  • 競合激化: 大手銀行、ネット銀行、信用金庫、および異業種からの金融サービス参入により、競争環境が厳しさを増しています。
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応: 顧客ニーズの変化やフィンテック企業の台頭に対応するため、継続的なDX投資と人材育成が求められます。

3. 経営戦略と重点分野

データから経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画の全体像を詳細に把握することはできませんが、第1四半期決算短信の記述からは、主に「資金運用利回りや貸出金利息の増加」を追求しつつ、「資金調達費用(預金利息等)の増加」への対応が経営課題として認識されていることがうかがえます。
企業概要や事業内容から推測される重点分野は以下の通りです。
* 事業領域の多角化: 従来の銀行業務に留まらず、M&A支援、事業承継、スタートアップ支援、不動産関連、船舶/航空機ファイナンスなど、法人向けソリューションの強化。
* 個人顧客向けサービス強化: NISAや投資信託を活用した長期分散投資の提案、住宅・消費者ローン、遺言信託、相続関連サービスなど、顧客のライフイベントに応じたソリューション提供。
* デジタルチャネルの強化: キャッシュレス決済の推進やモバイルバンキングアプリ・法人向けプラットフォームの機能拡充による顧客利便性向上と業務効率化。
* 非金融分野の強化: 人材関連サポートなど、地域経済への貢献と新たな収益源の確保。
* リスク管理: 金利変動、有価証券の評価損益、信用コストの変動、規制・制度変更といった金融機関特有のリスクへの適切な管理。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の収益モデルは、銀行業を中核とし、預金者からの資金を貸出金や有価証券運用に回すことで利鞘を得るのが基本です。これに、手数料などの役務取引等収益や、信用保証、クレジットカード、金融商品取引、情報システムサービスといった多様な事業子会社からの収益が加わることで、収益源の多角化を図っています。

市場ニーズの変化への適応力:

  • 金利環境への適応: 直近の金利上昇局面は資金運用収益の増加に寄与する可能性がある一方で、預金金利の上昇による資金調達費用の増加も伴うため、利鞘管理が重要となります。
  • デジタル化への対応: モバイルアプリや法人向けプラットフォームの提供は、利便性を求める顧客ニーズに応え、競争力維持に不可欠です。デジタル化推進は事業効率化にも貢献すると考えられます。
  • 地域経済への貢献と非金融サービス: 地域密着型金融機関としての強みを活かし、事業承継、スタートアップ支援、人材サポートなどの非金融サービスを提供することで、地域経済の活性化と新たな収益機会の創出を目指しています。これは、従来の銀行の枠を超えた事業モデルの持続可能性を高める取り組みと言えます。
  • リスク管理体制: 金融機関特有のリスク(金利変動、有価証券評価損益、信用コスト)への適切なリスク管理が、事業モデルの安定性・持続性に直結します。

5. 技術革新と主力製品

データからは具体的な技術開発の内容に関する詳細な記述はありません。しかし、デジタルソリューションの提供に注力していることから、FinTech関連技術の導入や活用が進められていると推測されます。
* 技術開発の動向や独自性:
* 個人向けの「Nishi-Nippon City Bank App」では、口座開設、カードローン、投信取引、スマートフォンATM、外貨預金、保険契約確認といった幅広い機能を提供し、モバイルバンキングの利便性向上を図っています。
* 法人向けの「NCB Business Station」は、金融取引だけでなく非金融取引も提供するプラットフォームであり、AIやデータ分析技術を活用したコンサルティング機能などが含まれる可能性があります。
* 事業内容に「データ分析」の提供が含まれることから、顧客データ活用やマーケティング強化、新たなビジネスモデル構築に向けた取り組みがうかがえます。
* 収益を牽引している製品やサービス:
* 銀行業: 依然として「貸出金利息」と「有価証券利息配当」が主要な収益源です。特に貸出金は、中小企業向け融資が70%、住宅・消費者向けが34%とバランスの良い構成となっています(2025年3月の方針)。
* 役務取引等収益: 手数料収入などが含まれると推測され、収益の多角化に貢献しています。
* その他事業: 信用保証業務、クレジットカード業務、金融商品取引業務なども収益に貢献しています。

6. 株価の評価

現在の株価:2,637.0円
EPS(会社予想):265.64円
BPS(実績):4,035.69円
PER(会社予想):9.93倍
PBR(実績):0.65倍
業界平均PER:10.7倍
業界平均PBR:0.4倍
* PER評価: 現在のPER (9.93倍) は、会社予想EPSに基づくと計算値とほぼ一致しています。業界平均PER (10.7倍) と比較すると、現在のPERはやや低い水準にあり、割安感があるとも考えられます。
* PBR評価: 現在のPBR (0.65倍) は、実績BPSに基づくと計算値とほぼ一致しています。業界平均PBR (0.4倍) と比較すると、現在のPBRは高い水準にあります。ただし、PBRは自己資本に対する市場の評価を示すため、一概に割高とは言えず、市場が同社の収益力や将来性を業界平均より高く評価している可能性もあります。

総合的に見ると、PERは業界平均を下回り、割安感がある一方で、PBRは業界平均を上回っています。銀行業界においては、金利環境の変化が直接的に収益に影響するため、今後の金利動向や貸出成長見通しも株価評価に重要な要素となります。

7. テクニカル分析

現在の株価:2,637.0円(2025-10-30終値)
年初来高値:2,678.00円
年初来安値:1,557.00円
52週高値:2,678.00円
52週安値:1,557.00円
50日移動平均:2,469.42円
200日移動平均:2,193.49円
現在の株価2,637.0円は、年初来高値(52週高値)2,678.00円に非常に近い水準で推移しており、年初来安値(1,557.00円)からは大きく上昇しています。
直近10日間の株価推移を見ると、2025年10月17日の2,362円から上昇基調にあり、10月28日には年初来高値を更新しました。その後、やや調整しつつも、高値圏を維持しています。
株価は50日移動平均(2,469.42円)と200日移動平均(2,193.49円)をいずれも上回っており、短期および中期的に上昇トレンドにあることを示唆しています。
過去1年の株価変動率が54.45%と堅調な上昇を示していることからも、現在の株価は高値圏に位置していると判断できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上(経常収益):
    • 2022年3月期: 125,714百万円
    • 2023年3月期: 135,772百万円 (対前年比 +8.0%)
    • 2024年3月期: 146,229百万円 (対前年比 +7.7%)
    • 2025年3月期(予想): 153,470百万円 (対前年比 +4.9%)
    • 経常収益は過去数年間、着実に増加傾向にあります。これは、貸出金や有価証券運用からの利息収入の増加、および役務取引等収益の拡大が寄与していると考えられます。
  • 利益:
    • 税引前利益 (Pretax Income):
      • 2022年3月期: 37,154百万円
      • 2023年3月期: 34,111百万円 (対前年比 -8.2%)
      • 2024年3月期: 34,855百万円 (対前年比 +2.2%)
      • 2025年3月期(予想): 45,016百万円 (対前年比 +29.1%)
      • 税引前利益は2023年3月期に一時減少しましたが、2024年3月期には回復し、2025年3月期には大幅な増加が予想されています。
    • 親会社株主に帰属する純利益 (Net Income Common Stockholders):
      • 2022年3月期: 24,236百万円
      • 2023年3月期: 26,064百万円 (対前年比 +7.5%)
      • 2024年3月期: 23,576百万円 (対前年比 -9.5%)
      • 2025年3月期(予想): 30,982百万円 (対前年比 +31.4%)
      • 連結純利益は年度ごとの変動があるものの、2025年3月期には大幅な増益が予想されています。
    • Operating Margin (過去12か月): 28.71%
    • Profit Margin (過去12か月): 17.91%
    • これらの利益率は、銀行業としては比較的良好な水準を維持しています。
  • キャッシュフロー:
    • 第1四半期の連結キャッシュフロー計算書は作成されていないとの記載があり、詳細なキャッシュフローの分析はできません。
  • 収益性指標:
    • ROE(実績):5.52% (過去12か月:5.18%)
    • ROA(過去12か月):0.22%
    • ROEは株主資本の効率的な活用度合いを示し、ROAは総資産に対する利益率を示します。これらの数値は、地域金融機関としては標準的な水準と言えるでしょう。
  • 財務健全性指標:
    • 自己資本比率(実績):4.0%
      • ただし、決算短信には「連結自己資本比率(国内基準)12.72%(速報)」との記載があり、実績の4.0%は異なる算定方法に基づくと注記されています。銀行の健全性を見る上では、国内基準の自己資本比率12.72%の方が実態に近いと判断でき、これは比較的健全な水準です。
  • 貸借対照表(2025年6月30日時点):
    • 総資産: 13,597,968百万円
    • 負債合計: 13,025,446百万円
    • 純資産: 572,521百万円
    • 預金・譲渡性預金合計: 10,741,039百万円
    • 貸出金: 9,793,865百万円(前年末比減少)
    • 有価証券: 1,710,901百万円(前年末比増加)
    • 貸出金が減少傾向にある一方で、有価証券が増加していることから、資産ポートフォリオのリバランスの動きがうかがえます。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当方針:
    • 2025年3月期の実績配当は年間合計75.00円でした。
    • 2026年3月期の年間配当は90.00円(中間45.00円、期末45.00円)と増配が予想されており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。
  • 配当利回り:
    • 会社予想に基づく配当利回りは3.41%であり、比較的高い水準にあります。
  • 配当性向:
    • 過去12か月の配当性向(Payout Ratio)は33.88%です。これは、事業の成長に必要な内部留保と株主還元とのバランスがとれていると評価できる水準です。
  • 自社株買い:
    • データ上、直近の自社株買いに関する具体的な発表はありませんが、主要株主の中に「自社(自己株口)」が4.76%(6,970,800株)保有していることから、過去に自社株買いを実施した実績があることが示唆されます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近の変動傾向:
    • 直近10日間の株価履歴を見ると、株価は上昇基調にあります。特に過去1年間の株価変化率は54.45%と、S&P 500の20.77%を大きく上回るパフォーマンスを示しています。
    • 株価が50日移動平均(2,469.42円)と200日移動平均(2,193.49円)をいずれも上回っていることから、強い上昇トレンドが確認できます。
    • 直近10日間の平均出来高が3か月の平均出来高を上回っており、投資家の関心が高まっている可能性があります。
  • 株価への影響を与える要因:
    • 日本銀行の金融政策: 日本の金利政策は銀行の収益に直接影響するため、株価の重要な変動要因となります。
    • 地域経済の動向: 主たる営業地盤である九州地域の経済成長や雇用状況が、貸出需要や信用コストを通じて業績に影響します。
    • 貸出金・預金残高の動向: 銀行業務の根幹であり、これらの残高の推移が業績、ひいては株価に影響を与えます。特に貸出金の減少傾向は注視が必要です。
    • 有価証券投資の状況: 金利変動や市場環境の変化は、保有する有価証券の評価損益に影響します。
    • 株主還元策: 増配や自社株買いなどの株主還元策は、投資魅力度を高め、株価にポジティブな影響を与える可能性があります。
    • デジタル戦略の進捗: デジタル化の推進は、中長期的な競争優位性や収益力に影響を与えます。
    • PBR1倍割れ改善への期待: 金融庁がPBR1倍割れ企業の改善を促している動きの中で、改善に向けた具体的な施策や取り組みが株価に影響を与える可能性があります。

11. 総評

西日本フィナンシャルホールディングスは、九州地域に強固な基盤を持つ地域金融グループであり、銀行業を中核に据えつつ、多様な金融・非金融サービスを展開することで事業の多角化を進めています。
財務面では、経常収益は安定的に成長しており、2025年3月期には大幅な増益が予想されています。Operating Margin、Profit Marginも比較的良好な水準を維持しています。銀行業の国内基準自己資本比率は健全な範囲にあり、財務の安定性を示唆しています。一方で、貸出金が減少傾向にある点は今後の動向が注目されます。
株主還元については、増配予想が示されており、配当性向も健全な水準で、株主還元への意欲が見られます。
株価は、過去1年間で50%を超える上昇を示し、現在は年初来高値圏で推移しており、強い上昇モメンタムの中にあります。PERは業界平均を下回る一方で、PBRは業界平均を上回ることから、PBR1倍割れ改善への期待感など、市場からの一定の評価が株価に織り込まれている可能性もあります。
今後の株価を左右する要因としては、日本銀行の金融政策、地域経済の動向、デジタル化の進捗などが挙げられます。地域密着型サービスと多角的な事業展開、デジタル戦略への注力は、同社の中長期的な成長に寄与する可能性があります。

12. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 過去数年間にわたる年次経常収益の安定的な増加傾向、および2025年3月期の大幅な利益成長予想から、高い成長性があると評価されます。
  • 収益性: A
    • 過去12か月のOperating Marginが28.71%、Profit Marginが17.91%と、銀行業としては比較的高い水準を維持しており、効率的な事業運営が行われていると評価されます。
  • 財務健全性: A
    • 決算短信に記載された連結自己資本比率(国内基準)速報値12.72%は、銀行業として健全な水準にあります。総資産に対する純資産比率(4.0%)の数値も開示されていましたが、国内基準を重視して評価しました。
  • 株価バリュエーション: B
    • PER(会社予想)9.93倍は業界平均10.7倍を下回っており割安感がある一方、PBR(実績)0.65倍は業界平均0.4倍を上回っています。PERの割安感は評価材料ですが、PBRが平均より高い点を考慮し、中立的な評価としました。

企業情報

銘柄コード 7189
企業名 西日本フィナンシャルホールディングス
URL http://www.nnfh.co.jp
市場区分 プライム市場
業種 銀行 – 銀行業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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