アイル(3854)企業分析レポート
株価:2,440円(2025-10-31終値)/市場:東証プライム/時価総額:611億円
1. 企業情報
- 概要:中堅・中小企業(SMB)向けの基幹業務システムとEC/店舗の統合を強みとする独立系ソフトウェア企業。大阪本社。
- 主力製品・サービス
- 基幹パッケージ「アラジンオフィス」:販売・在庫・仕入・物流などの基幹業務をカバー
- EC一元管理「CROSS MALL」:複数ネットショップの受注・在庫・商品情報を統合管理するASP/SaaS
- 顧客・ポイント統合「CROSS POINT」:実店舗とECの顧客・ポイントを統合管理
 
- 事業構成(2025年7月期):システムソリューション約88.1%、Webソリューション約11.9%
- 特色:リアル(基幹・店舗)とWeb(EC)の「CROSS-OVER」提案による統合DX支援。製販一体体制で導入から運用まで一気通貫。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:SMB向けERP/販売・在庫管理とEC統合領域で一定の実績。基幹×EC/店舗の横断提案に強み。シェアは非開示。
- 競争環境(例示):
- SMB基幹:OBC、PCA、弥生、クラウド会計・ERP(freee、マネーフォワード等)
- EC一元管理:ネクストエンジン(Hamee)、各種カート/モールのエコシステム
 
- 競争優位性:
- 基幹〜EC/店舗の統合導入ノウハウ、カスタマイズ・運用支援力
- ストック収益の積上げ(保守・SaaS)と高い継続率が収益安定に寄与
 
- 課題:
- パッケージ/SaaSの競争激化・機能同質化
- 人材獲得・育成(SE/コンサル)の継続的強化
- AI/クラウドの技術進化による陳腐化リスク
 
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略:「CROSS-OVER」戦略を軸に、基幹とEC/店舗データの連動による業務効率化・販売力強化を実現。中堅〜大手領域にも提案範囲を拡大。
- 重点施策:
- 製販一体の体制強化で案件品質と収益性を改善
- Web商材(CROSS MALL/CROSS POINT)の機能拡充と単価向上、ARPU改善
- クラウド/マイクロサービス化で拡張性・開発スピードを向上
- ストック収益拡大(保守・SaaSの積み上げ)
 
- R&D:研究開発費 0.93億円(前年 0.65億円)と増加。プラットフォーム構想を視野にプロダクト強化。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:フロー(ライセンス・導入・カスタマイズ)+ストック(保守・SaaS)。
- 2025年7月期のストック売上は概算で約83.2億円(構成比約43%)と安定収益基盤を形成。
 
- 適応力:中小企業の人手不足・効率化需要、ECシフトを背景に需要は底堅い一方、競合・技術進化への継続対応が不可欠。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:クラウドサービスのマイクロサービスアーキテクチャ移行でスケーラビリティと開発速度改善を志向。
- 主力製品:
- アラジンオフィス:業種別機能の強化で中堅領域にも対応
- CROSS MALL:主要モール/カートと連携する一元管理SaaS、契約単価の上昇が進展
- CROSS POINT:CRM/ポイント統合で実店舗とECの顧客データ活用を支援
 
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在株価:2,440円
- 予想EPS:148.82円 → 予想PER:約16.4倍(会社公表値と一致)
- 実績BPS:450.94円 → PBR:約5.41倍
- 業界平均(参考):PER 23.2倍、PBR 2.3倍
- PERは業界平均比で低位、PBRは平均比で高位(高ROE企業らしい水準)
 
- 参考試算:
- 予想EPS×業界平均PER=約3,453円(参考水準)
- EV/S(概算):(時価総額611億−現金75億)/ 売上約193億 ≒ 約2.8倍(負債情報非開示のため概算)
 
7. テクニカル分析
- トレンド位置:終値2,440円は50日線2,699円、200日線2,550円を下回り、モメンタムは弱め。
- レンジ位置:52週高値3,320円・安値1,885円の中間下寄り。年初来高値は3,090円。
- 出来高:直近出来高は3カ月平均(約7.3万株)を下回る場面が多く、需給はやや閑散。
- 需給補足:信用買残9.41万株、信用売残ほぼゼロ(信用倍率表示0.00倍は売残極小のため)。インサイダー保有56.6%と浮動株が少なめで、値動きが振れやすい局面に注意。
8. 財務諸表分析
- 成長性:
- 売上高:192.9億円(前期175.1億円、+10.2%)
- 3年CAGR(2022→2025):約+14%(129.4→192.9億円)
 
- 収益性(2025年7月期):
- 営業利益:48.2億円(+13.0%)、営業利益率:約25.0%
- 当期純利益:34.9億円(+20.8%)、純利益率:約18.1%
- 粗利率:約55%(会社資料ベース)、EBITDA約52.1億円
- ROE:33.27%、ROA:20.13%
 
- 安全性:
- 自己資本比率:71.6%、流動比率:約505%
- 現金同等物:75億円(有利子負債は短信上目立たず)
 
- キャッシュフロー(2025年7月期):
- 営業CF:+33.7億円、投資CF:▲5.5億円、フリーCF:概ね+28億円
- 財務CF:▲20.8億円(自己株式の取得・処分、配当等)
 
- 補足:株式需給緩衝信託設定に伴う一時費用や自己株式処分差損の計上あり(恒常的費用ではない)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績(2025年):年間50円(中間20円・期末30円)、配当性向約35.4%
- 配当予想(2026年):年間60円(中間30円・期末30円)、予想配当性向約40%
- 予想利回り:約2.46%(株価2,440円換算)
- その他の還元/制度:株式需給緩衝信託の設定、ESOP信託導入予定。自己株式の取得・処分を需給安定に活用。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:50・200日線を下回り、直近10日も戻りが限定的。52週では▲20.6%と弱含み。
- ボラティリティ:5年β0.23で指数連動性は低め。インサイダー保有が厚く浮動株が少ない点は流動性に影響。
- 注目イベント:
- 次回配当権利落ち予定日:2026-01-29
- 決算発表期:2025年9月に通期発表済、次期は会社計画の進捗が焦点
 
11. 総評
- 強み:SMB向け基幹×EC統合という明確なポジショニング、ストック比率約43%による収益安定、高水準の利益率・ROE、堅固な財務体質。
- 課題:競争激化・技術進化への継続対応、人材確保、PBRは高水準でバリュエーション感は指標間で解釈が分かれる。株価は移動平均下でモメンタムが鈍い。
- 見通し:会社計画は増収増益(売上207億円、EPS 148.82円)を見込む。プロダクト強化と中堅領域の深耕、SaaS/保守の積み上げが鍵。
(本レポートは公開データに基づく客観的整理であり、投資助言を目的としません。)
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- LTM成長率約+10%、3年CAGR約+14%と安定した二桁成長。
 
- 収益性:S
- 営業利益率約25%、粗利率約55%、ROE33%と業界平均を大きく上回る水準。
 
- 財務健全性:S
- 自己資本比率72%、流動比率約5.0倍、実質無借金に近い。
 
- 株価バリュエーション:B
- PERは業界平均比で低位(割安感)、PBRは高位(プレミアム)。指標混在のため総合は中立。
 
企業情報
| 銘柄コード | 3854 | 
| 企業名 | アイル | 
| URL | http://www.ill.co.jp/ | 
| 市場区分 | プライム市場 | 
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 | 
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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