1. 企業情報
株式会社日本製鋼所は、1907年設立の歴史ある重工業メーカーです。主に産業機械事業と素形材・エンジニアリング事業を展開しています。大型鋳鍛鋼や樹脂成形機分野では世界有数の技術力を持ち、射出成形機にも強みを持っています。防衛関連機器も手掛ける他、火力・原子力発電所向けの鋳鍛鋼製品でも世界的な大手です。近年は、利益の柱を樹脂製造・加工装置などの産業機械事業にシフトさせています。半導体・電子デバイス、カメラ・センシングデバイス、航空機・モビリティ部品、電子部品向けに、フォトニクス、複合材料、金属材料なども提供しています。
事業内容の内訳(2025年3月期予想):
- 産業機械事業: 80% (9%の営業利益率) – 樹脂製造・加工機械、成形機、防衛関連機器、その他産業機械
- 素形材・エンジニアリング事業: 19% (16%の営業利益率) – 素形材製品、エンジニアリング
- その他事業: 1% (3%の営業利益率)
海外売上比率は52%(2025年3月期予想)とグローバルに事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日本製鋼所は、大型鋳鍛鋼や樹脂成形機において世界有数の地位を確立しており、特定のニッチ市場で高い競争優位性を有しています。特に、火力・原子力発電所向けの大型鋳鍛鋼や、高精度が求められるプラスチック射出成形機、半導体製造用の高機能材料など、技術的に高度な製品を供給している点が強みです。
競争優位性:
- 高度な技術力と長年の経験に基づく製品開発能力
- 多岐にわたる産業分野への対応力
- グローバルな供給体制
課題:
- 米国関税政策に起因する投資の手控えなど、外部環境の変化による受注変動リスク。
- 電力・原子力関連需要の中長期的増加に備えた人員確保や人材投資が、短期的な固定費増加に繋がる可能性。
3. 経営戦略と重点分野
提示された情報からは、具体的な中期経営計画の全体像は確認できませんが、決算短信からは以下の重点分野と事業戦略の一部が読み取れます。
*   素形材・エンジニアリング事業の需要対応: 電力・原子力関連需要の中長期的増加を見据え、人員確保や人材投資を強化しており、将来的な需要増に備える戦略的な投資を進めています。
*   産業機械事業の強化: 利益の柱として樹脂製造・加工装置などの産業機械事業を位置づけ、高付加価値製品へのシフトを進めています。
*   多角的な事業ポートフォリオ: 防衛、再生可能エネルギー、電子デバイス、モビリティなど、多様な成長分野へ製品・サービスを提供することで、特定の市場リスクを分散し、安定的な経営基盤を構築する姿勢が見受けられます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、幅広い産業分野にわたる高技術製品の提供により、持続可能性を確保しています。
収益モデル:
- 産業機械事業(樹脂製造・加工機械、成形機、防衛関連機器など)からの製品販売およびアフターサービス。
- 素形材・エンジニアリング事業(鋳鍛鋼製品、エンジニアリングサービス)からの収益。
市場ニーズの変化への適応力:
- プラスチック関連機器では、環境規制やリサイクル需要の高まりに対応した新技術開発が求められます。
- 原子力・再生可能エネルギー分野では、エネルギー政策の変動に応じて需要が変化する可能性があります。同社はオフショア風力発電用部品や水素貯蔵用圧力容器など、再生可能エネルギー関連にも対応しており、市場ニーズへの適応力を示しています。
- 半導体や電子デバイス、航空機などの分野では、継続的な技術革新が求められるため、研究開発への投資が重要となります。
5. 技術革新と主力製品
日本製鋼所は、幅広い分野で独自性の高い技術を有しています。
技術開発の動向:
- エクシマレーザーアニールシステム、ホットプレス装置、真空ラミネータ、デポジットシステムなど、半導体や電子部品製造に関連する高精度な装置を提供しています。
- フォトニクス、複合材料、金属材料において、半導体・電子デバイス、カメラ・センシングデバイス、航空機・モビリティ部品向けの高機能材を開発しています。
- 水素貯蔵用圧力容器など、次世代エネルギー関連技術にも取り組んでいます。
収益を牽引している製品・サービス:
- 産業機械事業: 樹脂製造・加工機械(ペレタイザー、フィルム・シート製造設備、二軸押出機)、射出成形機(プラスチック射出成形機、溶融マグネシウム射出成形機など)が主要な収益源です。特に、「利益柱は樹脂製造・加工装置など産業機械にシフト」していると記述されています。
- 素形材・エンジニアリング事業: 原子炉部品、蒸気発生器部品、ローターシャフト、タービンケーシング、ダイス鋼、製鉄所向け鋼ロール、クラッド鋼板などの大型鋳鍛鋼製品。
6. 株価の評価
- 株価 (2025年10月31日終値): 10,085.0円
- EPS(会社予想): 251.34円
- PER(会社予想): 40.18倍
- PBR(実績): 3.83倍
- 業界平均PER: 16.6倍
- 業界平均PBR: 1.4倍
現在の株価10,085円に対するPERは、会社予想EPS251.34円から計算すると約40.12倍となります。これは、業界平均PER16.6倍と比較して高い水準です。
PBR3.83倍も、業界平均1.4倍と比較して高い水準にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価10,085.0円は、年初来安値3,866円から大幅に上昇し、年初来高値10,475円に近い水準で推移しています。
*   50日移動平均線: 9,252.78円
*   200日移動平均線: 7,305.52円
現在の株価は50日移動平均線、200日移動平均線をともに上回っており、上昇トレンド中にあります。直近10日間の株価推移を見ると、高値圏での値動きが見られ、特に10月29日には10,475円の年初来高値を記録しています。
8. 財務諸表分析
売上高:
過去数年間で堅調に推移しています。
*   2022年3月期: 213,790百万円
*   2023年3月期: 238,721百万円
*   2024年3月期: 252,501百万円
*   直近12か月 (企業財務指標): 268,500百万円
*   2026年3月期 第1四半期: 67,544百万円 (前年同期比 +41.9%)
*   2026年3月期 通期会社予想: 290,000百万円
直近の第1四半期は大幅な増収となっており、通期予想も過去最高水準を目指しています。
利益:
- 営業利益 (過去12か月): 22,827百万円
- 営業利益率 (過去12か月): 7.81%
- 純利益 (過去12か月): 17,961百万円
- 粗利率 (過去12か月): 24.5%
- EBITDA率 (過去12か月): 11.85%
過去数年間で営業利益、純利益ともに増加傾向にあります。特に直近12か月では営業利益率7.81%、EBITDA率11.85%と、製造業として安定した収益性を維持しています。第1四半期においても、売上高の大幅増により、営業利益、経常利益、四半期純利益も増加しています。素形材・エンジニアリング事業では人員確保や人材投資による固定費増加が見られましたが、全体としては増益を達成しました。
キャッシュフロー:
当第1四半期連結累計期間のキャッシュフロー計算書は作成されていないため、詳細な分析は困難です。
ROE・ROA:
- ROE(実績): 9.70%
- ROE(過去12か月): 10.04%
- ROA(過去12か月): 3.87%
ROEは10%前後で推移しており、株主資本の効率的な活用が示唆されます。ROAも3%台後半と、効率的な資産運用が行われていると評価できます。
財務健全性:
- 自己資本比率(実績): 48.5% (直近1Qで49.0%)
- 流動比率(直近四半期): 2.07倍
- Total Debt/Equity(直近四半期): 29.13%
自己資本比率は40%を上回っており、財務基盤は比較的安定していると言えます。流動比率も200%を超えており、短期的な支払い能力も高い水準です。有利子負債も自己資本に対して低い水準にあります。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 0.87%
- 1株配当(会社予想): 88.00円
- 配当性向(実績): 35.24%
- 5年平均配当利回り: 1.60%
2025年3月期の実績配当は年間86円、2026年3月期の会社予想配当は年間88円と、増配傾向にあります。配当性向は35.24%と比較的高すぎない水準であり、成長投資と株主還元を両立する方針がうかがえます。自社株買いに関する情報は今回提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
日本製鋼所の株価は、過去52週間で93.70%の上昇を示しており、S&P 500の同時期の上昇率20.77%を大きく上回っています。これは強い上昇モメンタムを示しています。
直近の市場動向では、活発な出来高(直近10日平均100万株)を伴い、年初来高値圏での推移が見られます。
信用倍率は1.95倍と、売り残よりも買い残が多い状態です。
株価への影響を与える要因:
- 産業機械事業、特に樹脂製造・加工機械の受注動向。米国関税政策などの外部要因による影響。
- 電力・原子力関連需要の長期的な見通しと、それに伴う素形材・エンジニアリング事業への投資効果。
- 品質不適切行為に関連する偶発債務とその影響。
- 防衛関連機器の需要動向。
- 為替レートの変動(海外売上比率が52%)。
11. 総評
日本製鋼所は、大型鋳鍛鋼や樹脂成形機など高い技術力を要する分野で競争優位性を持ち、堅調な業績を維持しています。特に、産業機械事業が収益の柱となっており、今後の成長を牽引すると期待されます。財務状況は自己資本比率や流動比率、負債比率ともに健全性が高く、安定した経営基盤を持っています。
株価は年初来で大きく上昇しており、現在のPER、PBRは業界平均と比較して高い水準にありますが、直近の売上高の大幅な成長(第1四半期で前年同期比41.9%増)や、2026年3月期通期の大幅な増収予想は、市場からの成長期待を反映していると考えられます。株主還元についても増配傾向にあり、堅実な姿勢がうかがえます。
一方で、米国関税政策の影響による一部事業の受注変動リスクや、品質不適切行為に伴う偶発債務の可能性は留意すべき点です。しかし、多様な事業ポートフォリオと技術力により、これらのリスクを管理しつつ成長を目指す企業としての位置づけは変わらないでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率(YoY)は+6.3%と堅調に伸びており、直近の2026年3月期第1四半期売上高は前年同期比41.9%の大幅増、さらに2026年3月期通期会社予想売上高も2900億円と過去最高水準を見込んでいます。
 
- 収益性: B
- 過去12か月間の営業利益率7.81%、EBITDA率11.85%は、製造業として良好な水準です。業界平均データがないため高評価とはしませんが、比較的安定した収益力を有していると評価できます。
 
- 財務健全性: A
- 自己資本比率49.0%、流動比率2.07倍、Total Debt/Equity比率29.13%と、いずれの主要財務指標も健全性が非常に高く、安定した財務基盤を築いています。
 
- 株価バリュエーション: C
- PER40.18倍、PBR3.83倍は、業界平均PER16.6倍、PBR1.4倍と比較して高い水準にあり、割高感があると評価されます。
 
企業情報
| 銘柄コード | 5631 | 
| 企業名 | 日本製鋼所 | 
| URL | http://www.jsw.co.jp/ | 
| 市場区分 | プライム市場 | 
| 業種 | 機械 – 機械 | 
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