1. 企業情報
日本郵船は、1885年設立の総合海運大手企業です。海運売上高において国内トップの地位を占めており、海・陸・空にわたる多角的な物流サービスを提供しています。傘下には総合物流企業の郵船ロジスティクスを擁し、グローバルなサプライチェーンを構築しています。
連結事業別売上構成比(2025年3月期予想)は以下の通りです。
* 物流:31%
* ドライバルク:23%
* 自動車:21%
* 定期船:7%
* 航空運送:7%
* エネルギー:7%
* その他:4%
2. 業界のポジションと市場シェア
日本郵船は国内における海運業界のリーディングカンパニーであり、海・陸・空を連携させた総合的な物流ソリューションを提供しています。特にコンテナ船事業では、他社との統合により競争力を強化し、主要な収益源の一つとなっています。また、M&Aを通じてヘルスケア物流分野を強化するなど、特定の市場ニーズに対応した事業展開も進めています。しかし、海運業界はコンテナ運賃やドライバルク市況といった外部環境の影響を受けやすく、需給バランスや地政学リスク、世界経済の動向が業績に大きく変動をもたらす課題も抱えています。
3. 経営戦略と重点分野
日本郵船は総合物流企業への転換を加速させる戦略を掲げており、特に物流事業を重点投資分野としています。中期経営計画においては、収益構造の強化を図り、持続的な成長を目指しています。具体的な施策として、ヘルスケア物流大手Movianto International B.V.の買収を進めるなど、高成長が見込まれる分野への事業拡大に注力しています。一方で、航空運送事業の一部(日本貨物航空)をANAホールディングスへ譲渡するなど、事業ポートフォリオの最適化も進めています。
4. 事業モデルの持続可能性
日本郵船は、コンテナ船、ドライバルク船、タンカー、LNG船といった多様な船種による海上輸送に加え、航空貨物輸送、陸上輸送を含む総合的な物流サービスを提供しており、事業の多角化を進めています。この「海・陸・空」の連携と、地域に根差した物流拠点網は、顧客に対して包括的なサプライチェーンソリューションを提供する強みとなっています。
エネルギー事業では中長期契約による安定した収益確保を目指す一方、市況の影響を受けやすいコンテナ船、ドライバルク船の収益変動リスクも存在します。近年は、M&Aによるヘルスケア物流の強化など、成長分野への投資を通じて、特定の市場ニーズへ適応し、事業モデルの持続可能性向上を図っています。
5. 技術革新と主力製品
提供データからは具体的な技術革新に関する記述は確認できませんでした。
しかし、日本郵船の収益を牽引する主力製品・サービスには以下の事業があります。
* 定期船事業: コンテナ船による海上貨物輸送やターミナル運営。
* 物流事業: 倉庫、貨物輸送・荷役、通関、海空貨物輸送フォワーディングなど、陸上輸送を含む総合物流サービス。ヘルスケア物流も強化中。
* 自動車事業: 完成車輸送や建設機械などの特殊輸送。
* ドライバルク事業: 鉄鉱石や石炭などを運ぶばら積み船による輸送。
* エネルギー事業: 原油タンカー、LNG船、石油製品・化学品船によるエネルギー輸送、海洋事業。
特に、コンテナ船事業は業界統合により競争力を高め、物流事業はM&Aを積極的に活用し成長を志向しています。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 5,331.0円
- EPS(会社予想): 557.16円
- PER(会社予想): 9.57倍
- 業界平均PER: 7.8倍
- BPS(実績): 6,516.57円
- PBR(実績): 0.82倍
- 業界平均PBR: 0.8倍
現在の株価5,331.0円は、会社予想EPSに基づくとPERは9.57倍となります。これは業界平均PERの7.8倍と比較してやや割高な水準です。
一方、実績BPSに基づくとPBRは0.82倍であり、業界平均PBRの0.8倍と同水準で、株価が解散価値を下回る割安な水準にあります。
PERとPBRを総合すると、株価は市場平均に対して極端な割高感や割安感は認められないものの、PERはやや高め、PBRは平均的な水準と評価できます。
7. テクニカル分析
現在の株価5,331.0円は、年初来高値5,640円と年初来安値4,133円の間に位置しています。年初来高値からは約5.5%低い水準であり、年初来安値からは約29%上昇した水準です。
直近10日間の株価推移を見ると、5,057円から5,364円の範囲で推移し、緩やかな上昇傾向にあります。
50日移動平均線5,271.66円、200日移動平均線5,100.67円と比較しても、現在の株価は両移動平均線を上回っており、短期および中長期的に上昇トレンドにあることを示唆しています。現在の株価は年初来高値圏に近い位置にあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 過去数年は変動があり、2022年3月期 2,280,775百万円 → 2023年3月期 2,616,066百万円 → 2024年3月期 2,387,240百万円と推移しています。過去12カ月(LTM)は2,588,700百万円であり、直近の通期(2024年3月期)と比較して増加傾向にあります。しかし、直近四半期の売上高成長率(前年比)は-7.80%と減少しています。
- 利益:
- 純利益は、2022年3月期の1,009,105百万円、2023年3月期の1,012,523百万円と非常に高水準でしたが、2024年3月期には228,603百万円へと大幅に減少しました。過去12カ月(LTM)では477,707百万円と回復傾向にありますが、依然として市況変動が大きい事業構造の影響を受けやすいと言えます。LTMの営業利益率は6.29%です。
- キャッシュフロー:
- 2026年3月期第1四半期の四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていません。現金及び預金残高は173,972百万円です。
- 収益性指標:
- ROE(実績)は17.16%、過去12カ月では14.96%と、資本効率は高い水準にあります。ROA(過去12カ月)は2.64%です。
- 財務健全性指標:
- 自己資本比率は67.6%(実績)、直近四半期で64.6%と非常に高く、財務の安定性を示しています。
- 流動比率は直近四半期で1.55倍(155%)と短期的な支払い能力も健全です。
- 有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は直近四半期で30.29%(0.30倍)と低く、負債依存度が低いことを示しています。
9. 株主還元と配当方針
日本郵船は、安定した株主還元を目指しています。
* 配当利回り(会社予想): 4.41%
* 1株配当(会社予想): 235.00円
* 配当性向: 30.36%
同社の配当方針は、連結配当性向40%を目安とし、年間下限配当を200円/株とするものです。2025年3月期の年間配当は325円でしたが、2026年3月期の予想は235円と減配の見通しです。
配当以外に、自社株買いによる株主還元も積極的に実施しており、上限総額1,500億円、上限48百万株の自己株式取得を進行中です。2025年7月末時点ですでに7,921,200株を取得しており、取得した株式は原則として消却予定です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
日本郵船の株価は、直近10日間で緩やかな上昇トレンドを示しており、短期的なモメンタムは強含んでいます。しかし、直近の平均出来高は3ヶ月平均よりやや減少傾向にあります。
投資家関心に影響を与える要因としては、海運市況の変動(コンテナ運賃、ドライバルク市況)、為替レート(特に米ドル/円)、燃料油価格の動向、地政学リスク、世界経済の成長率などが挙げられます。
足元の決算情報では、売上高・利益ともに前年同期比で減少しており、通期業績予想も下方修正されています。日本貨物航空の売却による特別損失や、Movianto買収によるのれん計上など、事業再編の影響も投資家の注目点となる可能性があります。信用倍率は2.90倍と、買い残が売り残を上回る状況です。
11. 総評
日本郵船は、国内海運業界のトップランナーとして、海・陸・空の多角的な物流サービスを展開しています。堅調な自動車事業や安定収益が見込めるLNG船事業を持つ一方、コンテナ船やドライバルク事業は市況による業績変動が大きいという特性を持っています。
中期経営計画では物流事業の強化を重点戦略と位置づけ、M&Aにより成長分野への投資を進めています。財務体質は非常に健全であり、高い自己資本比率と低いD/Eレシオが特徴です。株主還元にも積極的で、安定的な配当と機動的な自社株買いを実施しています。
足元では、海運市況の変動や事業再編に伴い、直近の業績や通期予想が下方修正されていますが、PBRが業界平均と同水準と割安感が残る水準です。今後の株価は、世界経済の動向、海運市況の回復、そして物流事業における成長戦略の進捗が注目されます。
12. 企業スコア
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成長性:B(中立)
LTM売上高は前年度比で増加しているものの、直近四半期売上成長率は前年比-7.8%と減少傾向です。通期業績予想も減収を見込んでおり、短期的な業績は足踏み状態にあると判断します。
* 収益性:A(高評価)ROE(実績)は17%台と高い水準を維持しており、資本効率が良いことを示しています。営業利益率は市況変動の影響を受けやすいものの、平均的な水準を確保しており、総合的に見て高評価と判断します。
* 財務健全性:S(非常に高評価)自己資本比率は60%台後半と非常に高く、流動比率も150%を超えており、D/Eレシオも低水準です。極めて強固な財務基盤を有しています。
* 株価バリュエーション:B(中立)PERは会社予想で9.57倍と業界平均の7.8倍をやや上回っています。PBRは0.82倍と業界平均の0.8倍と同水準であり、割安感は平均的です。PERとPBRを総合すると、極端な割高感や割安感はなく、中立的な評価となります。
企業情報
| 銘柄コード | 9101 |
| 企業名 | 日本郵船 |
| URL | http://www.nyk.com |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 海運業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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